狩人達と魔術師達の運命、それからあらゆる奇跡の出会い   作:Luly

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裁「実際北斗神拳って奥義だけじゃなくて経絡秘孔まで複製しないとだから複製負荷大きいんだよね…」

相手は生物かどうか怪しいものねぇ。

裁「完全な人体じゃないとしても機能はするみたいだけどね。」

如くじゃない、それ?

裁「なのかな?……それよりアトラス院に行った時って確か……あれが出てきた気が。」

あれ?

裁「ほら……“砂漠”といえば、ね?」

………あぁ


第332話 穴蔵と乱入者

「……おし、着いたぞ」

 

砦付近を脱出し、砂漠を暫く走って。私達はアトラス院の入り口まで来ていた。

 

「……うん?なんか妙だな」

 

「……お兄ちゃんもなんか気になる?」

 

お兄ちゃんもこの場所に何か違和感を覚えたみたい。…けど、私にはその違和感の原因が掴めない。

 

〈アトラス院───別名を“巨人の穴蔵”。私や六花が所属している時計塔と並んで魔術協会三大部門の一角よ。話では“未来”を見る錬金術師の集団ね。〉

 

「“アトラスの封を解くな。世界を七度滅ぼすぞ”───そんなことが言われてる奴らの総本山…がここか。確か中で作られたものは持ち出しちゃいけねぇんだったな。徹底的に外界と関わることを拒絶するが、“アトラスの契約書”が絡んだときに外に出てくる。」

 

〈詳しいわね、六花。〉

 

「マリスビリーが話してたんだわ。そもそもカルデアの“霊子演算装置トリスメギストス”はアトラス院産だろうが。」

 

〈………そうだったわね〉

 

「んで、持ち出せないように入ったら出られないような迷宮構造になってるわけ…なんだが。」

 

あ、これ迷宮だったんだ。

 

「……内部に用があるってのにその迷宮から帰れなくなるのはな……」

 

「我が乖離剣でこじ開けるか?」

 

ギルが入り口を見ながらそう言う。バイクの中にいた全員───ナーちゃん、マシュ、ギル、アル、アルトリアさん、呪腕さん、百貌さん、煙酔さん、静謐さん、さっき助けた法師の人、さっき助けた弓の人には今は外に出てもらってる。

 

「……いや、それはちょっとやめてくれ。ここに来ることに賛同した1つに“疑似霊子演算装置トライヘルメス”があるんだ。あれを壊されるのは困る。」

 

お兄ちゃんがそう言ったあと、少し考えてからギルの方を向いた。

 

「なぁ、ギル。世界を七度滅ぼせる兵器───“七大兵器”。あれ、いるか?」

 

「む?……まぁ、管理することは構わんが…良いのか?」

 

「迷宮内部に人の反応はないからな……ん?」

 

お兄ちゃんがバイクのレーダーを見ながら首を傾げたのと同時にマリーが口を開いた。

 

〈人の反応はないけれど奥に動体反応があるわね?この姿は……角竜“ディアブロス”とかいうモンスターじゃないかしら?〉

 

「ディアブロス……」

 

私が聖都城門前で着てたディアソルテシリーズ……の原型となるディアブロシリーズの素材元。…って言い方あまりしたくないけど。ルーパスちゃん達曰く、かなり強いんだっけ。でも…

 

「なんでこんなところに?」

 

〈生息地は砂漠だから、一応条件は揃ってるよ?〉

 

答えてくれたのはルーナさん。でも、答えたあとに少し不安そうな顔。

 

〈でも、これ普通のディアブロスじゃないなぁ…もしも戦うってなったなら絶対に逃げた方がいいよ。〉

 

〈どういうことだい、ルーナ…さん?〉

 

〈……ねぇ、呼びにくいなら“ルーナちゃん”でもいいよ、ロマニくん。私や蒼空の容姿が幼いのは分かりきってることだし。〉

 

〈でも…本当にいいのかい?〉

 

〈もう、しつこいってば!前々からいいって言ってるでしょ!?〉

 

ドクターはなにしてるんだか……

 

〈……ごめん、話を戻すね。通常…というか、龍歴院で確認されてたディアブロスの大きさっていうのは大体1,700から2,500なの。…なんだけど。〉

 

「だけど?」

 

〈どう見ても2,700はあるよ、これ───って動き出した!!〉

 

ルーナさんの言葉にマップが映ってるウインドウを見ると、確かに私達のいる方へ一直線に向かって……って

 

「ちょっ……!?」

 

〈皆、どうにか身を守って……!!私の予測が正しければ───アイツだ!!!〉

 

ルーナさんの言葉にマシュが私の前に立つ。それと同時に───()()は、姿を現した。

 

「───ビュギィィイィィウ!!!」

 

「「「「「……!!」」」」」

 

〈ぎゃぁぁぁぁ、耳がぁぁぁぁぁ!!?〉

 

〈っ!その特徴的な咆哮───!!間違いない!!!逃げて、というか身を隠して!!!!早く!!!!!!〉

 

「空間よ、我らを守る障壁となれ。我が神月の力において堅牢なる護りを命ず───!!」

 

いつの間に代わったのか(るな)さんが詠唱をしていて、私達の周りに透明な壁が張られた。その、明らかに異質なディアブロスは煙のようなものを振り撒きながら私達には目もくれず去っていった。

 

「…なんだ、ありゃあ……」

 

〈間違いない……あれは、二つ名“鏖魔”!憤怒に従いその目に映る全てを狂奔の末に抹殺せんとする“鏖殺の暴君”……!!どうして、ここに……!?〉

 

「鏖…魔……?」

 

「それは確か……先輩がロンドンで暴走した際、ルーパスさん達が先輩を見て似てると言った……」

 

〈狂暴走状態、ね。……でも実物見たらなんとなく…分かるでしょ?〉

 

「それは……はい、失礼ながら……」

 

暴走中の私ってあんなだったんだ…

 

〈……ともかく、例のディアブロスは去っていったわ。探索を……って、迷宮が……〉

 

マリーが愕然とするような声を出した。…どうしたんだろう。

 

「……はぁ?迷宮機構ぶっ壊されてんじゃねぇか……ってことはあのディアブロス、トライヘルメスからここまで一直線に開通させたのかよ!?」

 

〈む、無茶苦茶よ……〉

 

〈……あー、いつもはちゃんと埋め直してただけで埋め直さなければ道を開通させることもできるのか…〉

 

「七大兵器…いやその他の発明品も壊れてなきゃいいが。」

 

〈アトラス院の遺産は私達も研究してみたい!是非持ち帰ってきてくれよ!〉

 

「……へいへい。んじゃま、行きますか。」

 

お兄ちゃんがそう言うと、さっき助けた法師さん───“玄奘三蔵”さんが不安そうな表情をした。

 

「……なんか、まだ嫌な予感するのよねー…」

 

「お主の勘は笑えぬからなぁ……」

 

さっき助けた弓の人───“俵藤太”さんもそう呟くと同時にマシュが周囲を気にし始めた。

 

「マシュ?」

 

「………何か聞こえませんか、先輩?」

 

「聞こえ……ないけど。」

 

「聞こえるのか?」

 

「……いえ、聞こえるというよりは……感じる、というか……」

 

マシュがそう呟いたとき───近くの砂が、爆ぜた。

 

「「「「「……!?」」」」」

 

「───グルリャァァァァァウ!!!」

 

その咆哮と───その砂埃に映った影は、確か。

 

「土砂竜“ボルボロス”……!?」

 

「ピィィィィィィィィィ!!!」

 

「っ………ここっ!!」

 

私の前に立ったマシュが恐らく勘だけで大盾を振るった。その大盾は何かにぶつかるような音を立てて、上空へと飛ばされた。

 

「っ、つ……やはり、重いですね……」

 

そう呟きながら大盾をキャッチするマシュ。アルトリアさんから突風が吹いて倒れてもがいているボルボロスの姿が露になった。

 

「……先輩、ここは先に行ってください」

 

「え……!?」

 

「誰か一人はここに残って食い止めないと、ですから。……私が残りますので、食い止めている間にアトラス院の探索をお願いします。」

 

「でも……」

 

私が次の言葉を告げる前にマシュは口を開いた。

 

「七海さん、先輩をお願いできますか?…私には、そちらまで守護を伸ばす余裕がありませんので。」

 

「いいわよ?…いい、けれど───」

 

ナーちゃんが鋭い目付きでマシュを睨んだ。

 

「───死ぬつもりじゃ、ないわよね?」

 

「まさか。人理修復を終えるまで───いいえ、その先の未来に生きるまで私は死ぬつもりはありませんよ。」

 

「……そう」

 

ナーちゃんはため息をついて私の手をとった。

 

「行きましょう。…こうなったら止められないわ。」

 

「で、でも……」

 

「何らかの意地があるのよ、彼女にも。…悔しいけれど、私達には生存を祈るしかできないわ。」

 

意地……生存を祈る……

 

「……分かった。行こう、皆。」

 

私の言葉に全員が少し暗い表情で頷く。……祈り…あ。

 

「……マシュ」

 

「…?」

 

「───令呪を以て命ず!!“必ず生きて”、“五体満足で帰ってきて”!!」

 

私の言葉に令呪が2画消える。無理難題かもしれない、でも……多分。

 

「───はい、マスター!」

 

マシュの強化には十分!!それを確認したのちマシュに背を向けて穴に向き合う。

 

「皆、行こう…!」

 

「マスター!」

 

「……?」

 

マシュの声に私が振り向くと、爽やかな笑顔で私の方を見ていた。

 

「食い止めるのはいいのですけど───別に倒してしまっても構いませんよね?」

 

「───」

 

「───やれるものならやってみなさい!!」

 

ナーちゃん!?

 

「ただし、死んだらあたしは絶対にあなたを許さないわ!!絶対に、必ず、何がなんでも生きて帰りなさい!!!人理のため、カルデアのため───そしてなにより、貴女の先輩のために!!!!」

 

「───はい!!!」

 

ナーちゃんの怒声に怯むことなく言葉を返したマシュは再度ボルボロスに向き直った。

 

「───行こう、皆!マシュが限界を迎える前に全探索を終わらせる!!」

 

「「「「「おー!」」」」」

 

私達はディアブロスが開けた穴の中に入っていった。

 

 

 

side マシュ

 

 

 

「……行きましたね。」

 

先輩達が穴の奥に消えたのを確認して、再度ボルボロスに向き合います。

 

「───グルリャァァァァァウ!!グル、グルリャァァァァァウ!!」

 

「……咆哮は効きませんが……やはり、大きいですね。」

 

ルーパスさん達はいつもこんなのを相手にしていると思うと、本当に尊敬します……さて。

 

「……角度は、これでいいはず…」

 

右手に取り付けたスリンガーで特殊な弾を上空に撃ちます。……“救難信号”。ルーパスさんの宝具である“緊急事態故、救援を要請する(救難信号)”とは違って魔力無しでサーヴァントを呼ぶ効果はありませんが───ないよりはあった方がいいでしょう。

 

「救難信号も撃ったことです……ただ、ギャラハッドさんには申し訳ありませんがこの盾ではボルボロスに不利ですね。」

 

「ピィィィィィィィィィ!!!」

 

「っ、また───“ガードバッシュ”」

 

突進に対してガードバッシュ。正面からぶつかり合うだけでなくこちらからも力を加えているのでこちらもかなりのダメージを負いますが、大きな問題ではありません。…問題ではありませんが、このままではこちらが圧倒的に不利。ボルボロスがふらついている間にアトラス院の入口から離れます。

 

「さて───早速ですがお願いできますか?」

 

アイテムポーチにギャラハッドさんの盾と剣をしまい、代わりの武器を取り出します。

 

「───“円卓盾斧ギャラハッド”……!!」

 

先輩が出かけている間───リューネさんの依頼でジュリィさんが作ってくださいました。そしてリューネさんとルーパスさんの2人がかりで私に扱い方を教えてくださいました。現状、あちらの世界の素材を使った武器を持つこちらの世界の人間は私、先輩、七海さんしかいません。だからこそ───

 

「お願いしますね、七海さん。」

 

目標、土砂竜“ボルボロス”。戦闘経験、なし。───戦闘を、開始します。




砂漠といったらディアブロスとボルボロスだよねー……

裁「鏖魔出たのは割と真面目にビックリだけどね。」
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