狩人達と魔術師達の運命、それからあらゆる奇跡の出会い   作:Luly

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裁「ねぇギル、第一部第六章って“序盤”なの?」

弓「序盤に決まっておろうよ。貴様が生きていたときまでで少なくとも第二部第五章まで進んでおるのだ、これを序盤と言わずしてなんと言う。…我の見立てが正しければ現在観測中の世界の貴様は我らよりも“先”に行くであろうよ。」

裁「先……かぁ」

弓「その先は我の千里眼でも見通せぬ闇ではあるがな。」

裁「……え、そうなの?それって=未来がないってことじゃ…」

弓「…本来はそうなのだろうよ。だが、貴様の生前であろうと我の千里眼は闇しか映さなんだ。ソロモンとマーリンの千里眼も同様にな。となれば我の千里眼がおかしいと考えるのは間違いであり、“常に闇しか視えぬ世界”であると考えた方が自然だ。そしてそれが貴様のいる世界なのだろう。」

裁「常に闇しか見えない…世界。でも、濾過異聞史現象知ってたのは…?」

弓「別の並行世界より情報を得ていただけにすぎん。」


第336話 謎に包まれた封印

バサルモスについていって少し。不意にバサルモスが足を止めた。

 

「っと…いきなり止まったな。」

 

〈目的地に着いたんじゃないかな?〉

 

目的地……といってもこれ岩石、というか…

 

「……マップを見る感じ、この先がトライヘルメスなんだが。なんだこの石壁…崩れたような形跡があるが。」

 

「ゼルダの伝説とかで出てくる爆弾で壊せる壁に似てるよね、なんか。」

 

〈うーん……鏖魔が通りすぎた影響で埋まったのかも……〉

 

あ、ミラちゃんには鏖魔がいたことは説明してある。…戦闘にならず、どこかに行ったことも。

 

「でもこれって爆弾で壊せるかしら?」

 

「通路丸々埋まってるからなぁ……ゼルダの伝説の爆弾ならまだしもこの世界の爆弾だとな……」

 

「複製使っても多分この世界の爆弾に近くなると思う…」

 

実際私ゼルダの伝説詳しくないから精密に複製するための情報が足りないっていう…

 

〈大タル爆弾G……でもねー…実際あれって割と小規模だから壁を完全に破壊するほどの火力は出ないかな。…古代樹の森みたいに水が塞き止められててその一部を爆発するだけで水圧が壁を壊すならまだしも。〉

 

「いやそもそもゼルダの伝説の爆弾が異常なだけだろ…」

 

そんなことを話してたら何かが崩れた音がして、その音の方を見るとバサルモスが体当たりで壁を崩してた。

 

「うお、すげ……ん?なんだ、これ?」

 

壁の向こう。浮遊する光る板。まるで…

 

「魔法の…壁?」

 

「…何かの術式だってことは辛うじて分かるな。だが、見たことねぇぞこんなの。」

 

〈………嘘〉

 

「ミラさん?どうかしたのかしら?」

 

震える声にミラちゃんの方を見ると信じられない、というような表情をしていた。

 

エ、エスナ!!ちょっと!

 

ミル姉様?どうか……

 

これって……!!

 

ミラちゃんの声にカルデア直行の通信ウインドウに顔を出したエスナさんの表情が魔法の壁を見て固まった。

 

……え、これ…まさか“五竜封紋”、ですか!?何故ここに……これは私達の世界の術式ですよ!?

 

「「「!?」」」

 

“私達の世界”。これが仮にこの世界だったら問題ない。…けど、ミラちゃん達の世界だと考えると話は変わる。そもそも、現状ミラちゃん達の世界の術式を使う人はミラちゃんとエスナさんの2人しか確認されてない。ルーパスちゃん達は如何に魔術に見えても基本的に魔術じゃないからね。…アークスから習ったって言うフォトンアーツと変身・召喚宝具くらいじゃないかな、意識的に魔力を使ってるのは。奥義は特に魔力を意識したことはないらしい。

 

 

閑話休題。

 

 

私達の前に現れたのがミラちゃん達の世界の術式だとしたら───少なくとも今の私達には解呪は無理だ。

 

大丈夫です、解呪方法はあります。

 

でも、洞窟に響くエスナさんの声がそれを否定した。

 

…五竜封紋とは、何らかを五つの強力な力で封じる術式。五つの強力な力───即ち“獣魔の力”。鍵となる獣魔が解呪要求者に対して解錠条件を提示しますので、その条件を達成すればいいのです。…問題となるのは───

 

───その獣魔がどこの誰か、というところかしら?

 

ナーちゃんの言葉にエスナさんが頷いた。

 

はい。皆様だけであり、本来であれば周囲にいる獣魔を全て調べる必要があります。…ですが……ミル姉様?

 

封紋の解析、終わってるよ。私がそこにいれば強制的に砕くこともできるんだけど、今回に関してはリッカさん達でやってみよう。…それに、そもそも封紋を強制的に砕くのは推奨されないことだし。

 

というと?

 

“人柱”…って分かるよね。こういう獣魔の力で封じているような封紋はその封じている力の源である獣魔達が言葉通り柱……術式を支える支柱になってるの。そして、正規の方法で解呪しなかった場合───つまり強制的に封紋を砕く場合、力の源である獣魔達は封紋と運命を共にする。

 

それって……

 

…無理矢理砕けば死ぬ、ってことか。

 

その通り。正規の方法で解呪するのは封紋との関係性を断ち切っているの。…もちろん、強制的に砕く場合でも関係性を断ち切れば問題はないけど……でも、エスナは…

 

……申し訳ありません、未習得です。

 

ということだから。…そもそも関係性を断つ術は難しいからエスナが落ち込むことじゃないよ。

 

……ありがとうございます、ミル姉様。

 

あ、少しエスナさんの表情が明るくなった。

 

……んで、封じてる奴って?ミラなら分かってるんだろ?

 

もちろん。そのために封紋の解析……というか、封紋の術式を読んでたからね。…その前に、五竜封紋の基本を教えるね。

 

「「「基本?」」」

 

そ、基本…というか、大体の場合のこと。……基本的に、五竜封紋の錠は火水雷氷龍……つまり通常の5属性をそれぞれ扱う大型獣魔が1体ずつ封印の錠を担当する。一番分かりやすいのはテオ・テスカトル、ナバルデウス、ナルハタタヒメ、キリン亜種、バルファルクとかかな。古龍種なのかそれ以外なのか、それから竜なのか竜じゃないのかは関係ない。極論、何らかの獣魔が5体揃っていればそれでいい───つまりランポス5体やクンチュウ5体……“獣魔”として定義されている存在であればいいわけだからアロワナ5匹でも構わない。それでも基本が大型獣魔5属性なのはそれが安定しやすいから。逆に属性が片寄ると安定しにくい。

 

そこでミラちゃんは一旦区切って封印の方を見た。

 

けど、この封紋の錠は火毒水雷龍だ。つまり氷属性が足りないし毒属性が入ってる───不安定な錠構成になってる。それにも関わらず封紋が崩れずに存在しているってことはこれを構築した術者は割と実力はあるだろうね。

 

…実力はある、かぁ

 

…それと、龍。ここだけ情報が隠されててこっちからじゃ読めない。錠前隠しは割と基本技術みたいなところあるけど…大体こういう時って古龍が隠されている場合が多い。相手にするなら気を付けて。

 

ん?錠前隠しで読めない、ってことは……他は分かるのか?

 

火が岩竜“バサルモス”、毒が毒怪竜“ギギネブラ”、水が斬蟹“ショウグンギザミ”、雷が奇怪竜“フルフル”。…今の攻略班、女の子多いけど大丈夫かな…

 

大丈夫かな…って?

 

なんか不安になりそうな言葉遣いだった気がする。

 

フルフルとギギネブラですか……確かに不安ですね

 

不安だねー…

 

話が見えないのだけど…

 

あ、ごめんね。えーと…何て言っていいのかな。…といってもどう説明したものか。

 

なんとなく言いにくそう?

 

…フルフルとギギネブラはよく女性の方を襲うのです。…その、ええと……どの程度とは言いませんが……

 

R18、だっけ?そっちの方向性で襲うんだよ。

 

「……あぁ、なるほどね。…そんなエッチな同人誌みたいな展開がホントにあるのね…」

 

「七海。お前が言うと色々ヤバイ。」

 

お兄ちゃんは見た目幼女が絵面的にR18作品語るな、って言いたいんだろうなぁ…というかナーちゃんはなんで知ってるんだろ。私?私の場合は高校の同級生の男の子達の話が聞こえてたり持っているものが見えてたりと……うん。

 

「触手系の存在はR18系では定番のネタだがなぁ……このまま対峙すると……まぁ例としてだが、リッカが性的に襲われる可能性があるってことか。」

 

「なんで私……」

 

「例、って言ったろ。別に七海や無銘、静謐が襲われる可能性だってあるんだからな。」

 

「……静謐さんの場合逆に毒殺しそうね。」

 

あー……私に効かないとはいえ毒性割と強かったからねー…

 

〈流石に毒殺(それ)はないんじゃない?神秘の問題で。〉

 

「…それもそうね。となると……」

 

「…早めに戻った方がいいか?」

 

さっきの場所に置いてきてるもんね……

 

〈んーと……待ってね。……届くかな〉

 

「?」

 

〈……うーん、流石にダメだ。仕方ない……第一、第二リミッター解除、“超広域魔力精密探査”〉

 

その声が聞こえた途端───一瞬、変な感覚に包まれた。

 

〈捉えた。……動いてないね、特に。リッカさん達の位置と英雄王達の位置…さっきと全く変わってない。フルフルやギギネブラに襲われた場合、襲われたのが3時間以内くらいなら少なからず魔力に乱れが生じるから襲われた形跡もないね。〉

 

「は───おい待てミラ、村からここまで探知を広げたのか!?」

 

〈え?そうだよ?〉

 

軽く言ってるけど絶対難しいことだよね?

 

〈流石に集中力と魔力が足りなくて第二リミッターまで解除しないと洗い出せなかったけどね。動きがないかはこっちで見ておくから……とりあえず〉

 

そこで言葉を切ってミラちゃんはバサルモスの方を見た。

 

第一錠、火属性錠守護獣魔“バサルモス”。汝が錠を開く鍵を見定めるにふさわしいとする試練は如何なるものか?我等封印の錠前を解かんとする者、汝が試練を提示せよ。

 

その言葉で───周囲の空気がピリッとした。




………

裁「……なんかマスター凹んでない?」

星乃「あれは……なんだろーね。」

?「わぁぁぁぁ!ど、どいてくださいー!!」

裁「……んー?」


ゴンッ


裁「………????」

?「はぇぇぇ………」

星乃「……こっちもこっちで何やってるんだろ」
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