狩人達と魔術師達の運命、それからあらゆる奇跡の出会い   作:Luly

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……はい。えっと………

裁「───遅いよこの馬鹿マスターァァァ!!!」

ごふっ……

弓「……やれやれ。マスターに対してこの仕打ちか、貴様…」

裁「これくらい許してよ……2024年が2話だけってどういうこと、しかもこの話いま進行中の話と関係ないよね!?」

…はい、関係ないです……全くもって関係ないです…

弓「それもそれでどうなのだ……」

裁「何か言い訳は?」

んと……前にも言った気がするんだけどプロットを全部失ってから執筆速度がさらに遅くなっててさ……あと次の話がうまく書けなくてとりあえず思いついた話を書こうと……

裁「……」

無言つらいからやめて…

裁「あ、ごめん…そういえばありすさんの原作側の魔術回路ってどうなってるんだっけ。」

神秘が枯渇してるEXTRA時空の人間だからか知らないけど明記されてないよ……

裁「………そっか」

……ほんとに次の話が書けないのは謝ります…


第342話 ありすの魔術回路

リッカさん達がアトラス院に向かったのを見届けてたあと。

 

「……食堂にいるかしら」

 

ある人を探してカルデア内を歩いて移動する。と、そこに不意に現れる影。

 

「きゃっ」

「む」

 

止まりきれずにその影にぶつかって転んでしまったのだわ。

 

「すまない、怪我はないかね?」

 

「え、えぇ……」

 

声に顔を上げると見知った顔……というより、探していた顔がそこにあった。

 

「…って、無銘さん!探していたのだわ!」

 

「む?私をか?」

 

「貴方以外に誰が……と思ったけれどアルさんがいたのだわ…」

 

「やれやれ……ほらありす、手を貸すから立ち上がりたまえ。」

 

「ありがとう……」

 

無銘さんの手を借りて立ち上がる。

 

「…それで、私に何か用かね?」

 

「あ、そうなのだわ。…ねぇ、無銘さん?ありす(あたし)の身体に走る魔術回路、調べてくれないかしら。」

 

あたしがそう言うと無銘さんの表情が固まったのだわ。

 

「……無銘さん?」

 

「…………はっ、すまない。ええと、なんと言ったかな?」

 

「だから、ありす(あたし)の身体に走る魔術回路を調べてほしいの。」

 

「聞き間違いではなかったか……」

 

「何をどう聞き間違えるの……?」

 

本当に何をどう聞き間違えたのかしら……

 

「……そもそも、君に魔術回路はあるのかね?」

 

「魔術回路ならあるわ。あるけれど……自力で開いたことがないの。」

 

「…ふむ?」

 

「……ほら、知っているでしょう?あたし(ありす)はムーンセルにいた頃からずっと……」

 

「……そうか。そう、だったな。君は。」

 

そう。あたし(ありす)はムーンセルにいた頃から……もっと言えば、それよりも前から“死者”だった。だからこそ、生前“魔術回路を開く”ということをしなかった。だからこそ……あたしはあたしの魔術回路の…質を。量を。編成を。それから魔術属性に魔術特性も。何もかも、知らない。

 

「無銘さんは解析ができるでしょう?今のあなたに寄り添う物語(あたし)の身体はあたし(ありす)の記憶にある生前とまるっきり同じにしているから“今の身体の魔術回路”がそのまま“ありすの魔術回路”になるはずよ。」

 

「君の記憶の中の君か……まぁ、それは良いのだが。良いのかね?下手すれば私が君の全てを知ることになるぞ?」

 

「……言い方が相変わらず変態さんなのだわ」

 

あたし(ありす)の言葉に無銘さんが詰まり、あたし(ありす)はそれに小さく吹き出してしまう。

 

「まぁ、調べることは構わない。…だが……ありす、確か君は私を苦手としていなかったかね?」

 

「そうね……サーヴァントになったからなのかはわからないけれど苦手意識は若干薄れてるわよ?」

 

「そ、そうか……それより、魔術回路の調査となると私よりも適任がいるのではないだろうか?」

 

「というと?」

 

「エルメロイⅡ世やオルガマリー、ドクターロマンなどだ。正直な話、彼らの方が魔術回路を調べるのには適していると思うがね?」

 

「……ロマンさんは、ちょっと。悪い人ではないのだけれど…」

 

「…っと、すまない。何かに触れてしまったか。」

 

あたし(ありす)の表情から察してくれたのかすぐに引いてくれた。

 

「とはいえこんな廊下では調べられないな。使えそうなところはというと……そうだな。すまないが調べるのは医務室で構わないかね?それから専門的なことは私に説明を求められても困ることだしオルガマリーも呼ぶとしよう。」

 

「……ごめんなさい、お願いするわ。」

 

「了解した。先に医務室に向かっていてもらえるかね?君の方が移動は早いだろう?」

 

小さく頷くと無銘さんは小さく笑って私の頭の上に手を置いた。

 

「では先に向かってくれ。私はオルガマリーを呼んで向かおう。」

 

その言葉の後に無銘さんが管制室の方に向かったのを見届けて電子化(エンコード)。電脳空間を飛んで医務室で物質化(デコード)あたし(ありす)の最速の移動方法。ムーンセルでも使ったことのある、電脳空間内の瞬間移動。

 

「……」

 

医務室。…病室。

 

「っ………」

 

身体に残る記憶が、あたし(ありす)の精神を締め付ける。あたし(ありす)の生前の苦しみが、あなたに寄り添う物語(あたし)の霊核へと流れ込む。…もし。ここにロマンさんまで揃っていたら、どうなっていたか。

 

「……ふぅ」

 

思考を止めて大きく深呼吸。あたし(ありす)から(ストーリーズ・ライブラリ)へと一時的に思考回路を変化。体は本で出来ている───此の身はあらゆる歴史を収集する魔導式大図書館。その定義が終わり次第すぐにあたし(ありす)に。

 

「…ん。分かってはいることだけれど、やっぱりあたし(ありす)は脆いのね…」

 

実際、今回の現界で英霊の本体であるストーリーズ・ライブラリが表面上に出てくることは非常に少ない。出てくる時があるとすれば、それはあたし(ありす)が意識を喪う、または喪いかける、あるいは非常に不安定になった場合。今回の場合であれば、生前の死因に関係する病室を連想してしまったことによるPTSD。

 

「……体は…」

 

───体は本で出来ている。

 

血糊は文で心は糸

 

永遠なる時を経て不滅

 

ただ一度の忘却もなく

 

ただ一度の認識もない

 

担い手は常に在らず

 

根源の奥で本を綴る

 

この在り方に大義は不要

 

されど

 

知を望む者にこの体は応え

 

力を望む者にこの体は応え

 

勇を望む者にこの体は応え

 

あらゆる者に、この体は応える

 

故に

 

この体とこの世界は

 

無限の本で出来ている

 

「───それが、君の宝具の詠唱かね?」

 

背後からのその声にため息をつく。

 

「……もう。女の子の独り言を物陰でこっそり聞いてるのはどうかと思うわよ、むめ───変態さん。」

 

「待ちたまえ。何故言い直した?何故悪い方向に言い直した!?」

 

「だってそうでしょう?永遠なる、のあたりからず〜っと気配を絶ってまで聞いていたものね?」

 

「気づいていたのか……」

 

「もちろんよ。」

 

そう言いながら無銘さんとその後ろにいたオルガマリーさんの方に身体を向ける。

 

「だってありす(あたし)は……いいえ、(この英霊)あなたに寄り添う物語(ストーリーズ・ライブラリ)。主人に寄り添い、主人が求める物語を提供するためにありとあらゆる情報を書物として集め続ける全知の魔導式大図書館。だからこそ、あなたたちがリアルタイムで何をしているのかを調べることすらもあなたたちを記した本さえ見つけてしまえば容易なのよ。」

 

「……凄まじいですね、やはり…」

 

「なおさら私が魔術回路を調べる必要などないのではないか…?」

 

そんな呟きにクスリと笑う。

 

「そうね、それを知るだけであれば誰かに調べて貰う必要なんてないわ。だってあたし(ありす)はいつだって正解を調べられるのだもの。」

 

あたし(ありす)から依頼しておいてだけれど、これは紛れもない真実。だってあたし(ありす)は、そういう英霊の依代なのだから。…けれど。

 

「…でも、そんなのつまらないわ。最初から正解の分かっている謎解きなんて何が楽しいの…?過程から結果まで、全部分かってしまうのも考え物。だからあたし(ありす)は、本当に必要な時以外…そして、本を読みたい時以外にこの力を使わないと決めているの。」

 

「……全知などつまらない、か。なるほど。」

 

「……とはいえ。さっきのあなたたちに関してはその力を使わずとも分かったことだけれど。」

 

あたし(ありす)がそう言うと無銘さんが不思議そうな表情をした。

 

「……そうなのかね?」

 

「だって、あなたたちの魔力は酷く特徴的だもの。無銘さんは剣と鏡の魔力、オルガマリーさんは杯と星の魔力。特に無銘さんは剣に特化しすぎているわ。それはあなたたちの在り方も関係するでしょうけれど、ここまで特徴的であれば魔力で個人を特定するくらいはできるわよ?」

 

「杯と星……」

 

「剣と鏡……いや待て、オルガマリーはともかく私は魔術回路を閉じているぞ?サーヴァント特有の魔力以外は流れていないはずだが…」

 

「魔力そのものというより魔力の残滓かしら……それを読み取っているの。魔力も使っていれば服の汚れのように染み付いてしまうものよ。」

 

「そういうものかね……」

 

「そういうものよ。……あと、魔力の特徴なんかはあまり深く考え込まないほうがいいわ。それより、そろそろ調べ始めてもらえるとうれしいのだけれど…」

 

あたしの言葉にハッとしたような表情になる2人。……さっき言ったのは無銘さんなのに忘れていたのかしら。

 

「ではこれより始めよう……と言いたいのだが。そういえば、君の魔術回路自体は開いているのかね?」

 

「……さぁ。分からないわ。」

 

「これまでも魔術は使っていたはずだから開いてはいるんじゃないかしら……」

 

「それでいて魔術回路を自力で開けない……ふむ?となれば常に全開か……もしくは魔術回路を介さずに魔術を使っているかの2択か?」

 

「ありえ……なくはなさそうね、前例がいるもの…」

 

「無意識であたし(ありす)側ではなく英霊側の魔術回路を開いている可能性もなくはないけれど……調べるだけなら魔術回路を開いていなくても特に問題はないわよね?」

 

「そう、だな……では調べさせてもらうとしよう。───同調開始(トレース・オン)

 

オルガマリーさんがあたし(ありす)の右手を、無銘さんがあたし(ありす)の左手を握って、無銘さんが詠唱をしたと共にあたし(ありす)の中にあたし(ありす)とは別の魔力が広がる感覚がする。その感覚がした直後、2人が息を呑んだのも聞こえた。

 

「………ありす。1つ聞いていいかね?」

 

「…?何かしら?」

 

「君の家系は代々魔術師だったのか?確か君の姓は……“ティアーナ”、だったか。そんな家は聞いたことがないが…オルガマリー、君は聞いたことがあるか?」

 

「い、いいえ、そんな家は聞いたことがないわ……」

 

「……あたし(ありす)の家系がどうかしたの?」

 

「ふむ……いやなに、初代でこの魔術回路となれば相当なもの……あるいは、異常とも言えるものだと思ってね。」

 

……?

 

「───魔術回路の質、及び量、共にかなりの上物。回路の編成は変質、変質傾向は“人ならざる回路”。おまけに属性は五大元素(アベレージ・ワン)ときた。君の結末は聞いているが…なるほど、これならば強制延命の後に使い潰されるのも頷けるというもの。だが…凛や桜が見たら泣くだろうな、これは……確認だがありす、君はその身体を生前と同じものにしていると言ったが。君は生前人間だよな?」

 

「人間よ?身体に関しては生前のものを忠実に再現しているから魔術回路も同様に忠実な再現がされているはずだけれど…」

 

実際、ストーリーズ・ライブラリはあたし(ありす)の姿を持って現界する時、あたし(ありす)の意思を汲んで情報を流しはしなかったけれどあたし(ありす)の情報を調べて身体を構築したとのことだから。生前のあたし(ありす)と今のあたし(ありす)は99%は同じ構造になっているはず。残りの1%はストーリーズ・ライブラリの付加部分になるわね。

 

「なによ、これ……魔術回路のメインが200本、サブが7種類あってそれぞれ両腕両脚に100本ずつ……!?しかもそのどれもが超上物…!!」

 

「そこから更に英霊ストーリーズ・ライブラリにパスで繋がるようになっている回路が存在する、と。……ありすのみで超上物の魔術回路が3000本とは。これは真実なのかね……」

 

「分からないわ。今ここにいるあたし(ありす)だと信用できないというのなら人理修復が終わった後でこの世界にいるあたし(ありす)に直接聞いてみればいいじゃない。」

 

現に|あたしもその結果を聞いて少し困惑しているのだし。そう思っていると無銘さんが首を傾げた。

 

「この世界にいるありす……?いや待て、今が月の聖杯戦争から15年前だとはいえ、君はもう亡くなっているはずだろう?」

 

その問いに少しの間目を瞑る。

 

「……ええ。あたし(ありす)の記憶の限りではそのはずなのだけれど…」

 

……そのはずなのだけれど。

 

「これが直感なのかは分からないのだけど。多分だけれど、()()()()()()()()()()()()()()()。」

 

「なっ……!?」

 

「…とはいいつつも、正確には人理焼却のせいで死んでしまってはいるけれど。でも、人理修復を成し遂げて人理焼却を“なかった事”にできれば……」

 

「そのありすも元通り、か……」

 

「その通りよ。」

 

とはいえ、そうなると1つ疑問が生じる。

 

「……でも、どうして生きているのかしら。あたし(ありす)あたし(ありす)の死の記憶を知っているから分かるけれど、あの状態をあたし(ありす)の身体が耐えられる気がしないわ。…何千回、何万回と同じ展開を繰り返したとしても生きていられるのは精々5〜10年だと思うわ。だからこそ、この世界のあたし(ありす)が生きているのには何か理由があるはずよ。」

 

「……ふむ。…そう考えると疑問は残るが……まぁ、いいか。さて、これをランク化すると…?」

 

「魔術回路・質:A++、魔術回路・量:EX、魔術回路・編成:変質。……こう言っては失礼だけれど、本当に人間?」

 

人間なのだけれどね。

 

「そういえば……」

 

「む?」

 

「サブの回路が7種類ってどういうことかしら?」

 

「あぁ、それか。いやなに、君のサブ回路はどうやら使われる属性ごとに主に使われる回路が分かれているみたいでね。火、水、風、地、空、虚……この6属性それぞれに使われる回路に加えて属性が不明な回路があるといった感じだ。…まさか、無属性ではないだろう。7属性などそんな人間がいてたまるか。」

 

「属性分かれの回路…確か、虚属性は“ありえるが、物質界にないもの”。無属性は“ありえないが、物質化するもの”。……エルメロイさんがリッカさんに話してたのを聞いてるわ。」

 

「その通りよ。…役割不明の回路も含めて3000本の魔術回路。属性ごとで見れば使える魔術回路は200+400の600本でそのどれもが超のつく上物。正直なところ、のどから手が出るほど欲しくなるようなスペックね……」

 

「使用できる属性に関しても少なくとも五大元素が確定している。……若干の得手不得手があるみたいだが、ほぼ誤差のようなもので凛と同じ五大元素(アベレージ・ワン)としても問題はないだろうな……」

 

……なんか大変そうね。

 

「だがしかし、これでようやく合点がいくというものだ。」

 

「え?」

 

どういうことかしら…?

 

「君はあの時……いや、正確に言うならば君のサーヴァントは丸一日固有結界を展開していた。私も使い手だからな、固有結界の消費の重さは身に沁みて分かる。それを丸一日展開し続けているとなるとどれだけの魔力消費になることか。君がサイバーゴーストとはいえ、その魔力が一体どこから来たのかと思っていたが…なるほど。」

 

無銘さんの知るあたし(ありす)が使った丸一日の固有結界というと……あぁ。3回戦のアリーナ…三の月想海第二層であたし(ありす)あたし(アリス)が無銘さんと岸波白野さん(お姉ちゃん)に対して展開した“名無しの森”のことね。SE.RA.PHでは全てのマスターがアリーナを出た時点で時間が進むようになっているけれど、一日は一日かしら。

 

「さて、あと調べるべきは君の魔術特性と起源か。もう少し深くまで踏み込むが、構わないかね?」

 

あたし(ありす)が頷くと魔力の干渉がさらに強くなる。

 

「ふむ……身体の構造はちゃんと人間の少女なのだな…」

 

「何を調べているのかしら変態さん。」

 

「許してくれたまえ。起源まで調べるとなると必然的に分かってしまうのだよ。」

 

「……変なこと言ってるとこれから先ずっと変態さんって呼ばせてもらうのだわ。マスターやあたし(アリス)、あとは……マシュさんにアルトリアさん、エレシュキガルさんあたりにもこれからはそう呼んでもらうようにお願いしてみようかしら…?」

 

「すまない、悪かった。私が悪かった。すまない……」

 

まったくもう。サーヴァントだって女の子なんだから変なことしないでほしいのだわ。

 

「……ふむ。なんだこの魔術特性は…」

 

「特性が……6つ?不老、伝承、回帰、転換、結合、分離………不老と伝承って何よ…?」

 

不老……?伝承に関しては心当たりあるけれど……

 

「……不死ではなく不老なのよね?」

 

「あぁ……不死ではないな。とはいえ意味はよく分からないが…」

 

「老衰による死がない、というところかしら。外的要因による死はあっても老衰……寿命で死去することがない…?」

 

「もしかすると不死も含んでいるかもしれないが……」

 

「それは絶対にないわ。不老がもし不死も意味するのであればあたし(ありす)が死んだことへの説明がつかなくなってしまうわ。間接的にとはいえあたし(ありす)を殺した無銘さんが不死はありえないことを証明しているでしょう?」

 

「……それも、そうか。あの迷宮でも、そういえば……」

 

………あの迷宮でのことは、あまり思い出したくないわね。

 

「起源は……と思ったが、起源も“伝承”か。これに心当たりはあるかね?」

 

「……家系じゃないかしらね、多分。あたし(ありす)の家系は、少し特殊だもの。…でも、今は話すべきことじゃないわ。」

 

……今は、ね。

 

「……ふむ?」

 

「……少なくとも人理焼却を越えた先。人理修復を成した先に話すべき時は在る。…あたし(ありす)はそう思っているわ。」

 

逆を言えば人理修復を成さなければ今話したところで意味はない。もっと言えば、この世界のあたし(ありす)が話さなければ意味がない。この世界のあたし(ありす)が死んでいるのならともかく、生きているのなら。今ここにいるあたし(ありす)が話すべきことではないわ。

 

「……早々に手紙を出すべきかしらね」

 

「む?何か言ったかね?」

 

「いいえ、なんでもないわ。……調べてくれてありがとう、無銘さん、オルガマリーさん。このお礼はいつか必ずするわ。」

 

あたしがそう言うと2人は首を横に振る。

 

「気にしなくていい。こちらとしてもお役に立てたのなら何よりだ。」

 

「私も同意見よ。…もっとも、私は役に立っていたかわからないけれど。」

 

そうオルガマリーさんが言った時、無銘さんが少し悩んだような表情になった。

 

「…むしろ、オルガマリーのやるべきこと…役に立つべきことはこの先かもしれないがね。」

 

「というと……?」

 

「オルガマリーはここで正確な情報を知った。それを魔術協会にどこまで伝えるか。そして、生きているかもしれないこの世界のありすをどうするか。それが君の手に委ねられるのだろう。ここにいるありすも含め、ありすを守るかどうかも君次第……ということだ。」

 

……あ。

 

「……そうそう、言い忘れていたのだわ。さっきの答え合わせ。」

 

「え?」

 

あたし(ありす)の家系は…ティアーナ家は魔術師、もしくは魔術使いよ。だけど、魔術協会に所属していないわ。…いいえ、協会だけじゃない。あらゆる魔術組織や宗教組織に所属していないはずよ。本来ならあたし(ありす)が死んだ時点でその血は絶えるはずだけれど……この世界だとどうなっているかしら。」

 

あたし(ありす)が生きている可能性が存在する以上、ティアーナの血が絶えていない可能性が高い。…実際、そうであると一番嬉しいのだけど。もしもあたし(ありす)が生きていて、あたし(ありす)を魔術協会を干渉させずにカルデアに引き込めるなら。ムーンセルでマスターだった実績があり、今ここで“マスター”のクラスを持つあたし(ありす)はカルデアの新たなマスターとして登録することができるようになる。ただ、懸念点はそのあたし(ありす)が70歳近くのおばあちゃんであることくらいかしら……

 

「………」

 

そこまで考えたのかオルガマリーさんの表情がコロコロと変わる。

 

「……“三月兎の狂乱”

 

あたし(アリス)の使う氷の魔術を唱えて小さな氷柱を生み出す。その氷柱を悩んでるオルガマリーさんに投擲。

 

「ひゃうっ!?」

 

「……一気に悩みすぎよ、オルガマリーさん?そんなに悩んでいると疲れてしまうし、重要なところで間違えてしまうわ。…なやみのタネになってしまったのは謝るけれど、悩む時間は……猶予時間(モラトリアム)はまだあるの。少しずつ情報を集積し、分析し、整理して確実に問題を解いていきましょう?」

 

「……えぇ…えぇ、そうね……ありがとう、ありすさん。」

 

なんとか引き戻せたようね。

 

「……さてと。ごめんなさい、あたし(ありす)は先に失礼するわね。」

 

「む、あぁ。」

 

「…もう一度言うけれど、調べてくれてありがとう。言ってしまえばただのあたし(ありす)の娯楽なのに。…あたし(ありす)に付き合ってくれて、ありがとう。」

 

そう言ってあたし(ありす)は医務室を出てその扉から離れる。長い間いるといくら一度精神強化をしているとしてもまた発作が出ないとは限らないもの。

 

「……それにしても。」

 

……“ありす、確か君は私を苦手としていなかったかね?”……か。

 

「ふふっ…」

 

自然と笑みが零れる。

 

「あの人ってば、大分おかしなことを言うのね。」

 

だって───

 

「だって貴方は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ね。」

 

あたし(ありす)を含め、ムーンセルでの出来事を知っている者達からすれば(無銘の英霊)と重ねてしまうせいで無銘さんと呼んでしまう事が多いけれど。“正義の味方の概念”である“無銘”と“正義の味方を志した者の未来”である“エミヤ”ではその根本的なところが全く違うのにね。




……とりあえず、全く関係なさそうであっても生存報告も兼ねて最低でも半年に1話は投稿しておこうと思います

裁「…そう」

それで…えっと。今作のありすさんの魔術回路はかなり強力……を通り越して異常にも見える性能にしてみました。

弓「………まぁ、霊子ハッカーが電脳空間内で扱える魔力が魔術回路の性能によって決まるのであれば妥当かもしれんが…にしても高すぎる気はするがな。」

その辺りの情報少なくてねぇ…あ、今作でのありすさんの情報を纏めるとこんな感じですね。


魔術回路・質 A++

魔術回路・量 EX(メインが200、サブが400×7の計3000本)

魔術回路・編成 変質(現代の人間にはありえない)

魔術特性:不老 伝承 回帰 転換 結合 分離

魔術属性:五大元素(アベレージ・ワン)(細かく見ると火が若干強く、水と地が若干弱いが誤差の範囲)+虚数

起源:伝承


なお、ここに書いてるの“ありす”さんだけで見た場合の魔術情報なので英霊本体も入れると恐らくは質もEXになるかと…

弓「規格外が過ぎるであろう…」

裁「実際“常識外れのマスター”って書かれてるっぽいからね。ありすさんだけでも質、量ともにEXとかありえないわけじゃないのかな?」

……なんかありすさん達の情報もっと欲しいとほんとに思う…

弓「難しいであろうな……ありすは元より子供。聖杯戦争に参加するには幼すぎる。これはシンジもだが、霊子ハッカーとしての腕が強く関係するSE.RA.PHだからこそ月の聖杯戦争に参加できたようなものよ。…もっとも、それは冬木の聖杯戦争よりも過酷なものではあったがな。」

裁「…もし、ありすさんが冬木の聖杯戦争に参加できたとしたら…?」

弓「ふむ……もしもありすが冬木の聖杯戦争に参加できるとすれば出生時期から考えて第四次聖杯戦争になるだろうが、その頃にはとうに絶命しているであろうよ。」

……実際のところ、ありすさんは質も規格外(EX)にしていいんじゃないかなぁ、とは思ったりした。だって3回戦3日目の時点で展開した名無しの森を3回戦の間ずっと展開したままにできるとしたら丸々三日間展開し続けられるわけだし。下手すれば1回戦からずっと名無しの森を展開し続けて勝ち残るたびに新しい名無しの森を展開するとかやってる可能性あるわけだし。それを最終戦まで続けてる可能性だってなくはないし…

弓「そう考えるとかなり異常な性能をしているのだな、ありすは…」

ね。…あと気になるのが魔術回路の正式な調べ方ってどうなんだろ。今回はエミヤさんとオルガマリーさんが解析魔術を使ったわけだけど。

裁「さぁ。」

弓「知らんな。」

……そう。ちなみにここのありすさんは電脳空間と現実を簡単に行き来できる(例:建物全体にインターネットが接続されている)なら霊体化するより電子化して飛んだほうが速いです。
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