狩人達と魔術師達の運命、それからあらゆる奇跡の出会い   作:Luly

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弓「またギリギリではないか…」

上手く時間が取れないね…どうしたものかな


第35話 寝静まる深夜にて

 

夜の森、全員が寝静まったころ。僕は一人、木の上で周囲を警戒しながらルーパスやジュリィ殿、ルルやスピリス、ガルシアのを含めて武器を研いでいた。

 

「…ふむ。」

 

今研磨しているのはルーパスの前回使用していた“マグダ・ラハト”。熔山龍“ゾラ・マグダラオス”の素材から作れるガンランスだという。

 

「やはり、新大陸は大陸とはまた違う機構を用いているな。面白い…」

 

弓使いのルーパス。狩猟笛使いの僕。その第二得意武器はルーパスはガンランス、僕は太刀になる。僕はルーパスの母の得意武器を、ルーパスはルーパスの父の得意武器を受け継いだ。第二、ではあるが。

 

「…やはり、夜の森は少し怖いね。だからと言って、今は何とかなるか…」

 

自分の苦手とするのもを思い出しながらそう呟いて、僕は武器の研磨作業に戻る。

 

「…森に敵影無し。いたって平常だよ、マリア殿。こんな僕に、何か用かな?」

 

「…あら。気がつかれておりましたか?」

 

僕の声に下にいたマリー・アントワネット殿が反応した。僕らのように基本的に呼び方を変えない者は、マリーだけだと分かりにくくなるため、マリアと呼ぶことになっている。

 

「君の音がしたからね。」

 

「ふふふ。アマデウスと同じようなことを言いますのね。」

 

「よしてくれ。僕は彼みたいに変態ではない。ただの聴力が優れているだけの、狩人に過ぎないのだからね。」

 

「うふふ、アマデウスと同じは流石に酷かったかしら?でも…そうですわね。アマデウスから変態を抜けばあなたになりそうですわね。」

 

「ははは。…どうだろうね。僕は彼とは違う。能力が似ただけの、ただの別人でしかないのにさ。」

 

一応、音感ではなく聴力を全開で運用すればこの森一帯を警戒範囲として監視下に置くことはできる。僕の絶対音感は“音楽”というものに対してのみ働くという性質もある。そして、その音を“音楽”として僕が認識、定義してしまえばそれを絶対音感で聞き取り、記憶し、それを特定することができる、というのもあるが…生憎と僕は高速処理を得意としていない。だから僕は味方を見ずに判別する際は時間をかけて音を記憶する。今この森にいる味方達は既に全て覚えたため、誰が近くに来たのかなどは判別できる。高速処理を得意としないと言っても、3時間ほどあれば大体記憶はできるのでね。

 

「ルーパスがこの絶対音感と聴覚を持っていれば、もしかしたら彼のようになっていたかもしれないけれどね。」

 

「…音楽使いの狩人様?よろしければ隣に行きたいのですが…」

 

「あぁ、すまない。今降りよう。」

 

僕はその木から降りて、マリア殿の隣に座った。

 

「あら…音楽使いの狩人様も私と同じような座り方をしますのね。」

 

「僕だって一人の少女なのでね。…まぁ、19歳を少女と言えるかは疑問点があるが…」

 

「うふふ、そうでした。」

 

「…にしても、何故僕なんかの所に来たんだい?さっきまで立香殿たちと一緒にいたはずだろう?」

 

そう。僕は彼女たちの邪魔にならないように、そして彼女たちに休んでもらいたいという意志の下、彼女たちのいる場所から離れ、森全体に聴力の網、ともいえるようなものを張って警戒をしていたのだ。ルーパス達から武器を…信頼している一本以外を預かって。ジュリィ殿やユクモ村、我らの団、ナグリ村、ベルナ村、ココット村、ポッケ村、龍識船…そしてカムラの里の加工職人殿達が言っていたが、狩猟中に砥石で研磨していたとしてもやはり武器や防具の劣化はする。その劣化を抑える方法は、加工職人殿達に定期的に見てもらうか、こういった戦闘中ではない時に入念に研磨をかけておくとそれなりに劣化を抑えることができるらしい。武器の整備に関して、特に僕やルーパスのような世界を飛び回るようなハンターには加工場に行くことも少ない人が多いようで、せめてその使っている装備を大事にしてほしい、ということで加工場に赴かずに劣化を最小限まで抑える方法を教えているのだという。…それでもあくまで“加工場を使わない最小限”なので実際には定期的に加工場に顔を出した方がいいらしいのだが。

 

「確かに先程までジャンヌたちと話していたのだけれど、眠ってしまったので。お嫌でしたか?」

 

「嫌じゃないさ、わがままな第三王女の方がよっぽど苦手だ。」

 

「あら……あの、狩人様?眼が死んでおりますわよ。」

 

「当然だろう…何故連続狩猟ばかりなんだ?何故雌火竜に挑みに行くんだ?何故金獅子を飼いたいと言い出すんだ……?そして何故金獅子を捕えに行く!?王女であってハンターではないだろう!?」

 

「……お、お疲れ様です…なのかしら?」

 

「彼女が似たようなことをするのは一度や二度ではない!雌火竜はまだいい、下位にもいるものだ。だがよりによって上位以上に存在を見られる桜火竜や金火竜に挑みに行くとは何事だ!!第三とはいえ王女だろう、それでいいのか!!」

 

本気で彼女には疲れさせられる記憶しかない。というか彼女は女王ではないのに“真の女王”の座をかけて陸の女王に挑むとはどういうことだ…?“わがままな第三王女”には僕の父や母も悩まされていたということだから何とも言えない。ルーパスと共に行動しているとき、“わがままな第三王女”の名を見た時、二人してため息をついて頭を押さえていたのは今でも覚えている。その点、ミラ殿は我儘でもなく逆におとなしい、“聡明な第一王女”と似たような雰囲気を感じるが…まぁ、本人ではないだろう。彼女も彼女でモンスターを使役する者…“モンスターサマナー”であるわけだし。しかも正式にギルドに登録しているらしい。その点はわがままな第三王女とは違う点であろう。む、なぜわかったかと?試しに聞いてみたら僕らと似たような“ギルドパス”というものを持っていた。ギルドパス───僕らの世界では正式名称“ハンターズギルド所属ライセンスパスカード”。ミラ殿の世界では“サマナーズギルド所属ライセンスパスカード”。ハンターランクや所属ギルド、本人の氏名を記載する、立香殿の言葉を借りれば“身分証明証”だ。…やはり、世界が違うとはいえ似ているために同じような機構が存在するようだ。…と、マリア殿が少し引いたように僕を見つめているのにやっと気がついた。

 

「……すまない、マリア殿に言っても分からないか。空気が読めず申し訳ない。」

 

「い、いえ。」

 

「…そういえばマリア殿。アマデウス殿もだが、君達は何故僕らを見つけたんだ?」

 

少し前から疑問に思っていたことを聞いてみる。

 

「簡単ですわ。」

 

「む?」

 

「狩人様、この森に来る前に、ラ・シャリテに行く前に。砦にいらっしゃいませんでしたか?」

 

「砦…ワイバーンを叩き落したあの砦のことだろうか。」

 

思い返してみると地味にひどいことをしている気がするぞ、僕ら…

 

「えぇ!私達はその砦で聞きましたの!骸骨の魔物を瞬時に蹴散らす弓使いさん、ワイバーンが空中にいることも関係なしに空中で戦い、ワイバーンをまるで玩具のように鈍器で殴り続ける元気な少女と少年のような少女の二人組!そして地面に叩き落とされたワイバーンを受ける大盾の少女!終わった後にはワイバーンを調理して振舞い、飲むと傷が癒える緑色の飲み物や薬草を虚空から出す方!…猫が2匹、人が8人、狼が1匹で構成された方々!!そんな方々がいるのならば、会ってみたいと思うのが普通ではなくて?」

 

「そうなのか…?僕にはよくわからない。というか、僕はやはり少年のように見られるのか…」

 

紛らわしいと自覚していないわけではないが、少しだけ辛いものがあるのも事実なのである。

 

「男装の麗人、というのも私は好きですわ。生前にいた方を思い出します。シュヴァリエ・デオン、というのですけど。女であり男、男であり女、として語られる文武両道の剣士にして文筆家ですわ。」

 

「剣士、か…」

 

「えぇ!白百合の如き剣士、私が生前ドレスを贈った方です!先程女であり男、男であり女とは言いましたが、私は彼女を女性として見ていましたわ。」

 

「…白百合の如き剣士……」

 

そういえば、敵側にいた気がする。剣の冴えが凄い、男性か女性か見ただけでは分からない可憐なセイバーのサーヴァントが。あのサーヴァントを言葉で表すならば、“白百合の如き剣士”になるのではないだろうか。

 

「ねぇ、狩人様?良かったら貴女のこれまでのお話、聞かせてくださらない?」

 

「僕の、かい?」

 

「えぇ!弓の狩人様に聞いたのだけれど、貴女達はこの世界とは別の世界から来た方なのでしょう?聞いてみたいわ、この世界とは違う、貴女達のお話を!」

 

「そうか…あまり面白い話ではないよ?それでもいいのかい?」

 

「はい!」

 

僕は手元の“シャミセン【狼】(所有者:ルーパス)”の弦の調子を見ながらマリア殿に話した。

 

 

小さい頃はルーパスに姉だと思われていたこと。

 

ハンターを始めた直後、ジャギィに二人して苦戦したこと。

 

ハンターを始めた1年後、ルーパスの父と母、それからルーパスと共に古龍種の中でも禁忌のモンスターと呼ばれる煌黒龍“アルバトリオン”と戦いに行ったら一撃貰ってしまい、ルーパス共々真面目に死にかけたこと。ちなみに当時9歳。

 

10歳の頃、唐突に僕がルーパスと姉妹ではないと明かされたこと。少し塞ぎ込んだが、ルーパスのおかげで立ち直れたこと。煌黒龍“アルバトリオン”と煉黒龍“グラン・ミラオス”をルーパスの父と母の力を借りずに討伐したこと。

 

11歳の頃、ルーパス共々奥義を編み出したこと。その時戦っていたのは蛇王龍“ダラ・アマデュラ”だったのだが…まぁそれはいいか。

 

12歳の頃、狂竜ウイルスの原因を突き止め、天廻龍“シャガルマガラ”を倒したこと。同じような時期に禁忌のモンスターと呼ばれる黒龍や紅龍そして祖龍や紅竜の特殊個体とまで戦ったこと。これで禁忌モンスターは全制覇していたと言ったら驚かれた。

 

13歳の頃、夫婦と言われ始めたこと。ずっと一緒にいたからかピンと来なかったが、外部からは仲のいい恋人同士、というよりは結婚した男女に見えてたらしい。この頃には本当に様々なモンスターと戦っていたこと。

 

14歳の頃、泡狐竜“タマミツネ”や斬竜“ディノバルド”、巨獣“ガムート”、電竜“ライゼクス”などの動きが活発になったこと。

 

15歳の頃、天彗龍“バルファルク”と戦い、倒したこと。

 

16歳の頃、ルーパスと僕が新大陸古龍調査団に所属することの推薦を受けたこと。僕はそれを拒否し、ルーパスは了承して僕は大陸を、ルーパスは新大陸を護ることになったということ。その時にある装備を預かったこと。

 

17歳の頃、ルーパスが新大陸に渡ったこと。僕はベルナ村を基本拠点にし、各村長やキャラバンの人たちから依頼を受けていたこと。

 

18歳の頃、とある依頼によってカムラの里に渡り、自分の父と母に18年という年月を経て再会したこと。カムラの里を、里の力を合わせて百竜夜行から護りきったこと。

 

そして今、この世界に来てルーパス達と再会したこと。

 

 

…結構長く話していたが、マリア殿はそれを静かに聞いていた。

 

「…こんなところか、僕らの旅路は。」

 

「すごいですわね…いつか貴女の世界に行けるかしら?」

 

「…どうだろうね。僕たちが道を見つけられれば、可能性があるかもしれないが……む」

 

僕の耳が森の中で何かが動く音を捉えた。それを捉えた直後に、僕は手元のシャミセンで一音、弾いた。

 

「どうされました?」

 

「……マリア殿、皆を起こしてくれ。」

 

「…?」

 

「敵襲。ワイバーンが約60、人が1。恐らくこの“人”はサーヴァントだろう。」

 

「…!わかりました、すぐに起こしてきますわ!」

 

「頼む。…さて、待ち構えるとしようか。」

 

僕はアイテムボックスから狩猟笛を出し、戦闘態勢を整えた。




ん~…そういえば第一宝具、第二宝具とかの順番ってどうやってついてるんだろ…

裁「知らない…」

オルレアン修正後に召喚するサーヴァントのクラスは?

  • 剣士、魔術師
  • 騎兵、暗殺者
  • 槍兵、騎兵
  • 剣士、剣士
  • 狂戦士、魔術師
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