狩人達と魔術師達の運命、それからあらゆる奇跡の出会い 作:Luly
裁「5000字…」
弓「気を張れ、マスターよ。」
ん…あ、今回もなぜかタイトル入りきらなかったのでここにタイトル置いておきます
第37話
「はぁぁぁっ!!」
「甘いわよっ!!」
二人の聖女が、白き聖女が掲げる旗と聖十字の聖女が持つ杖がぶつかり合う。
「───はっ!」
「くっ…!」
聖女が杖を振るえば奇蹟が発動する。詠唱を伴わぬ魔力の炸裂───それが戦いをやりにくくしている。
「逃げてばかりでは活路は開けませんよ!」
聖十字の聖女───マルタが白き聖女───ジャンヌに指摘する。
(詠唱を破棄して祈りのみで奇蹟を行使する───まさにそれは聖なる人の技!)
思考を巡らせている最中にも、ジャンヌの保有するスキル“啓示”───目標を達成するために最適の道を選ぶスキルを最大限活用し、マルタの攻撃を回避し、攻撃を続けていた。
「…そこっ!」
「くっ…重い、わね…!」
「伊達に、恋などもせずに旗を振るい続けたわけではありませんから…!!」
「そう───」
一方は筋力B。もう一方は筋力D。本来なら、その差は埋めることが叶わない。だが、筋力Dの今のマルタには、筋力Bのジャンヌにはない一手がある。
「舐めんじゃ、ないわよ!!」
それ即ち───狂化。マスターによって付与された、本来の彼女にはない狂暴化するスキル。“狂気”というものは正しく扱えば大きな力となる。危険だが、強力。強い自己をもってそれを扱えば、狂気は利となる。もっとも、文字通り狂わされるものであるため、それが難しいのだが。しかし、もしもその狂化の力が弱くとも、ステータスが落ちている今のジャンヌには十分な一手。
「てぇいっ!!」
「っ!」
ジャンヌが蹴り飛ばされ、マルタとジャンヌに距離が開く。
「…かかってきなさい。狂気に堕ちた騎手の聖女すら倒せなくば、貴女に未来はありません。」
「言われ、なくとも…!!」
ジャンヌとマルタは再度ぶつかる。
───立香side
「■■■■■───!!!」
「そこです!」
ヘラクレスさんとアルトリアさんがタラスクと戦ってる。私はそれに目を離さず、そしてこの固有結界で起こる戦闘の状況を観る事に集中を割いていた。何かがあった時に、すぐにでも対応ができるように。
「■■■■───!!」
「グォォォ!」
「逃がしません!」
ヘラクレスさんとアルトリアさんが連携してタラスクを追い詰めていく。戦っていると、私の魔力がどんどん減っていくのも感じられる。
〈気ぃ失うなよ、立香!〉
「わかって…る!!」
〈しかし流石ギリシャの大英雄だな!!英雄王も狩人達もすごいが、こっちはこっちで別の凄さがある!!〉
ギルは大量の武器による手数。ルーパスちゃんたちは多分…技術。だとしたら、ヘラクレスさんは純粋な力、かな?
〈ロマニ、そんなこと言っている場合じゃないわよ!カルデアの魔力リソースを立香に回しなさい!!いくら魔力が多いと言っても大英雄、英雄王、騎士王を維持するなんて無茶があるわ!!セリア、立香のバイタルは!?〉
〈現在正常、しかしもう少しで注意域まで突入します!!〉
〈大至急!!立香、意識はちゃんと保ってなさい!!無理があるようなら分割思考切りなさいね!!〉
「うん…!!」
私は返事をして分割思考を切り、ヘラクレスさんとアルトリアさん、マシュに意識を集中させた。
「■■───!」
「グォォォ」
「…っ!ヘラクレスさん!!」
炎を吐く行動に入ったタラスクとヘラクレスの間に、マシュが割り込む。
「■■」
「ヘラクレス、何を───!!」
「え、きゃ───!!」
ヘラクレスさんが近場にいたアルトリアさんとルーパスちゃんを上空に投げた。…力持ちだなぁ
「……この高さ…行きます、“
「処理が追い付かないから三連射撃っ!」
そう言い放った瞬間、アルトリアさんの剣から圧縮された風が放出され、それがタラスクの頭に刺さる。ルーパスちゃんは2、3本の矢をタラスクに向けて放った。
「安心してください、峰打ちですから」
〈いや峰打ちなのかあれ?〉
「峰打ちです」
〈さいですか…〉
峰打ちらしい。
───三人称side
「ガァァァァ…」
ミラボレアス。伝説の黒龍と呼ばれし黒き災厄。それが今、広大な草原の上で仁王立ちのような状態でワイバーンと対峙している。
「…グルルルル…」
低い咆哮。というより、威嚇だろうか。その声からは、少なからず苛立ちの念を感じる。
「龍よ。我が声が聞こえるか!!」
「グルッ!?」
その大声にミラボレアスが反応する。その声の方向には、金の鎧を纏う王と可憐な王妃、そして音楽家の姿。
「貴様がどんな存在かは知らん。だが龍よ、一つ言っておく!もしもあ奴らを落とし忘れたとしても、それに気を割くな!落とし漏れは我らで消し去ってくれる!」
「実際、ドラゴンただ一匹に全部倒されたら僕らがいる意味がないからね。君は落とし漏れとか気にせずに戦ってもらっていいよ。」
「えぇ!そしてドラゴン様?終わった暁にはあなた様の背中に乗せていただけないかしら?」
「…ふはははは!!マリア、貴様怖いものなどないか!?」
「あんな威厳のあるような龍だ、それを了承してもらえるとは限らないけど?下手したらそのまま噛み殺されるんじゃないのかい?」
「………」
ミラボレアスは王妃───マリー・アントワネットを見つめていた。
「……」
その後、興味を失ったかのように視線を外し、口を開いた。その奥に見える、赤い火。
「ちょっ!?僕らを焼く気か!?ほら言わんこっちゃない、君のせいだぞ、マリア!!」
「…ガァァァァ!」
そのままミラボレアスは火を吐いた。…ワイバーンの群れに向かって。
「へ…?」
「…龍よ、今はあれらを倒すのが先決だと?」
ミラボレアスが王───ギルガメッシュの言葉に頷く。
「ふ…よかろう、音楽家!!マリア!!用意せよ、この黒龍の援護よ!!」
「ホントに援護なんているのかい?」
「世の中に絶対などあらぬ!絶対などないからこそ、それを支えるのが裏方の役目であろう!!」
「ガァッ!!」
「龍も分かるか!!ふははははは!!」
以前から何故か機嫌がいい英雄王と伝説の黒龍の共闘がここに成る。
「はぁ……はぁ……」
「…まだ、迷っていられるのですか。」
所変わってジャンヌとマルタ。何度も鍔迫り合いが続き、双方有効な一撃を与えられずにいる。
「…どうしたのです?力が出せないからかしら?それとも戸惑っていますか?私が貴女と同じだから?」
ジャンヌが無言になる。
「…はぁ」
マルタは小さくため息をついたかと思うと、一瞬でジャンヌに距離を詰めた。
「!?」
「ふっ!!」
鉄拳一閃。そんな名前が合いそうなその拳に、ジャンヌが吹き飛ばされる。
「舐めんじゃないわよ。言ったわよね?アンタが私の屍を乗り越えられるか見定めるって。だったらアンタが本気で向き合わないとこれに意味はない。アンタが越えられないと竜の魔女に挑む資格はないとみなす。私如き越えられないのなら、諦めなさい。竜の魔女を倒すことを。この時代を正すことを!!」
「…っ、それは…」
「諦めたくないのだったら───私を越えなさい!!私が言っていることがそんなに難しいかしら!?」
マルタが言いたいことは本当に単純だ。自分を越えなければ魔女には挑めない。ならば自分を越えて見せろ。ただ、それだけだ。
「杖があってやりにくいって言うならハンデとしておいてあげる。ライダーの今は鈍っている拳。だけど狂化も合わさって今のアンタには十分。」
そう言って杖を置き、一度の踏み込みでジャンヌの懐に潜り込む。
「オラオラオラオラオラオラオラオラァ!」
筋力D、されど狂化によって強化された拳がジャンヌに殺到した。
───立香side
「ォォォォ!!」
タラスクが吠えて、突然回転しだす。
「───■■■■!!!」
「マスター!」
私を庇うように、目の前でヘラクレスさんが仁王立ちし、マシュが盾を構える。さっきオラオララッシュ聞こえた気がするの気のせいじゃないと思うんだけど…とか結構ぎりぎりな意識の中で考えていたら、タラスクは飛来中に軌道を変えた。
「っ!?そんな、カバーできない…!?」
「■■■!?」
不規則な軌道。…いや、直感に従えば私の真上からの押しつぶし。盾はそもそも盾の正面からの衝撃を防ぐものであり、矢とかはともかく重い物の対空防御は向いていない。ヘラクレスさんについては素手だから論外といえば論外。ルーパスちゃんたちも妨害してるけど時間の問題。アルトリアさんの宝具には防御するものもあるらしいけど今の私の現状だと魔力が足りない。
「…っ!?」
突然、後ろから服を引っ張られ、足にそこまで力が入っていなかった私はその場にしりもちをついてしまった。
「アル…?」
「…マスター、は…私が…」
“無銘のアルターエゴ”。そんな名前のアルは、宝具などなかったはず。それなのに、私の前に立った。
「…今だけでもいい。私にマスターを守る、力を…お願い、します。」
それは、彼女の願い。純粋な、彼女の言葉。震えた声で告げる彼女は、どことなく…冬木でのマシュに似ていた。
「───!!」
タラスクが唸りをあげてこちらに突っ込んでくる。それに対し、アルは左手を向けた。…そうするのが、最適解だというように。
「───ッ。」
直後、衝突。だけど、アルは見事にその場でタラスクの押しつぶしを防ぎ切っていた。
……いや。
ちがう。アルが、というより。アルの左手の先が、歪んでる…?
〈宝具…!?真名は分からないけれど、それは明らかに宝具の反応を示しているぞ!!〉
〈マシュと同じで護りたいという望みだけで開いたの…!?〉
「…ぁぁぁぁぁあああ!!」
アルが叫んだと思うと、タラスクとアルの左手の間が爆発した。
「───」
「アル!?」
爆発の後、倒れそうになったアルを咄嗟に支える。
「あり…がとう…」
「死んじゃだめだよ!?」
「うん…疲れ、ちゃった…」
「…っ!やっちゃって、バーサーカー!セイバー!!」
〈カルデアのリソースは確保できているわ!!〉
〈来るぞ!!ヘラクレスと騎士王の宝具開帳だ!!〉
タラスクは爆発で吹き飛ばされた後、ヘラクレスさんとアルトリアさんにこちらに来させられないようにさせられていた。
「…なんで、無茶したの…?」
「無茶……なんかじゃ、ない……私は、貴女を守りたいと思った…守りたいと、願った……それが、私の力だと信じた。」
力…
「記憶もない、名前もない私に……良くしてくれるマスターを……守りたいと思うのは、だめ…?」
「駄目じゃ、ないけど…」
先程の爆風。それが、アルを傷つけていた。今の預言書じゃ、この傷を治すこともできない。
「…これくらいの傷なら、大丈夫。なんでか分からないけど…そんな確信がある。だから、少しだけ休ませて…?」
「…死なない、よね?」
「…うん。」
そう言ってアルは目を閉じた。
〈…霊基は安定しているぞ。多分宝具の解放で疲れたんだろ。〉
「…そう、なのかな。レンポくん、アルの守護お願いしてもいい?」
「…あぁ。」
微妙に納得いかないけど、私はレンポくんにアルの守りをお願いしてアルトリアさんとヘラクレスさんの方を見た。
「■■■■───!!」
「束ねるは星の息吹、輝ける命の奔流…」
「我ら五期団、その紋章を白き追い風。熔山龍と共に新大陸に渡りし者…」
「我、大陸の守護者と呼ばれる者。大陸に残り、村々の英雄と言われる者…」
「我、新大陸に渡りし猫にゃ。ここに示すは歴戦の技、旦那さんと共にいた軌跡…」
「我、大陸に残りし猫にゃ。ここに示さんは歴戦にゃる技、旦にゃさんとの軌跡…」
「ガルルルル…」
〈宝具の7騎同時発動…!衝撃に気を付けなさい!!〉
「…すごい」
私からはそんな簡単な言葉しか出なかった。
「ガァァァ!!」
ミラボレアスたちはというと、既に残り少なくなったワイバーン50体程を相手取っていた。
「そら、逃がさぬよ。」
ミラボレアスに恐れをなしたのかマスターたちの方向へ行こうとするワイバーンをギルガメッシュが仕留め、ミラボレアスはワイバーンの群れを塵にはせずに焼き尽くす。
「貴様、加減もできるとはな!話の分からない龍などではなさそうだ!!」
ギルガメッシュも上機嫌に剣を放ち、落ちたワイバーンを回収する。
「地味に美味しいね。ていうか焼き加減最高だ。」
「本当ですわ!」
「…てか、あの咆哮どうにかならないかなぁ…酷い音だ。」
そう音楽家───ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトが呟いたと思うと、ミラボレアスがアマデウスの背後に向かって火を吐いた。
「あぶな!?」
「貴様の自業自得だということだろう!恐らくこやつはミラめの使役獣魔、主人が変態の毒牙にかかるなど嫌であろうよ!」
「ガァァァ!!」
「ふはははは!!此度の我はセイバーに興味はないといえばないが我とは別の我、それも弓の我のような者に取られるのは聊か不愉快であるからな!!その気持ちは分かるぞ、龍よ!!」
ちなみにこの声は近くで戦っているカルデアのアルトリアにも届いていたという。
───ピコン
ん…?
裁「どうしたの…?」
……宝具、起動したのか。
弓「どういうことだ?」
疑似展開に過ぎないけど…一つ、守りの宝具が展開できたみたい。
弓「ほう…」
───無銘 宝具追加 “疑似展開
オルレアン修正後に召喚するサーヴァントのクラスは?
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剣士、魔術師
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騎兵、暗殺者
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槍兵、騎兵
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剣士、剣士
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狂戦士、魔術師