狩人達と魔術師達の運命、それからあらゆる奇跡の出会い 作:Luly
───時は、少し戻る。
「……ったた…」
私は、その場で体を起こした。…体が痛い。どうやら、穴に手を触れた後どこかに投げ出されたみたいだけど。
「っ、相棒、大丈夫ですか?痛いところなどはありませんか?」
「嬢…?」
目を開けると赤い炎に包まれた地と私を見て心配そうにしている嬢の姿があった。
「…どのくらい、気絶してた?」
「私達がここに来てからどれくらい経っているかはわかりませんが…少なくとも、30分は。相棒が…相棒が目を覚まさないので心配しました。」
そう言って嬢が涙目になる。それを見て私は嬢の頭に手を置く。
「ごめんね、嬢。イヴェルカーナの時もそうだったけど、嬢には本当に心配かけちゃうね。」
「い、いえ…それに、イヴェルカーナの時は私が原因ですから…」
そう、申し訳なさそうに呟いた。私は苦笑した後、周囲を見渡した。
「…ここは?幽境の谷とか、火山じゃないみたいだけど。」
「えぇ…恐らく、ここはどこかの拠点の跡地だと思われます。」
「拠点?」
「はい。見たことのない素材ですが、家らしきものが在った形跡があります。…これを。」
嬢が私に石、みたいなのを渡してきた。みたいなの、というのは歪すぎてそれを石と呼べるか不明だったから。
「石…じゃない、確かにこんな素材見たことない。嬢、これはどこで…?」
「そこら中に落ちてました。あたりを見てください、相棒」
そう言われるがままあたりを見ると、確かに大きさは様々だけど似たものがあった。
「…相棒。」
「うん?」
「聞きにくいのですが………オトモさんは、どちらに?」
「…え」
嬢の言葉に周囲をもう一度見渡す。…確かに、私のオトモアイルーの姿は、ない。
「え…嘘!?ジュリィ、知らない?」
「…すみません、私も相棒が起きるまで周囲を調べたのですが……オトモさんの姿は、見つけられませんでした…」
「そんな……」
私にとって、あの子は大切な相棒。ハンターを始めてからずっと一緒にいた子。その子が、いない。そのことは、私の心にのしかかっていた。
「…相棒。ひとまず移動しませんか?私達と同じようにあの穴を通ってきているのなら、この場所に来ているはず。前のようにアステラにいるなら、心配することはないのかもですけど…」
前、というのは私達が新大陸に来た時のことだ。確かに、私達はあのときも離れ離れだった。
「とりあえず、相棒は武器を探してください。何が起こるか分からない状況下で、
「うん…え?」
私はその言葉に嬢を見た。
「え、私武器装備してるよね?」
「…いえ。あの穴に触れる前は確かに弓を…“ミスト=グレイシア”を担いでいました。ですが今は……」
私は背中に触れる。…
「…分かりましたか?」
「…うん。とりあえず、一緒にいた方がいいだろうね…」
「ですね…私も武器がないのでお役に立てるかはちょっと微妙ですが……」
「いざとなったら剥ぎ取りナイフでどうにかなる。」
「……それは、まぁ、確かに。」
私達が持つ持ち物の中で一番の鋭さを持つもの。それが“剥ぎ取りナイフ”。鋭くてどんなモンスターにも刺さるんだけど破壊力は持たない、不思議なナイフ。
「…さぁ、移動しましょうか───」
嬢がそう言ったとき、私の耳が何かをとらえた。
「っ…?」
「相棒?」
「何か、来る?」
「え…」
私は剥ぎ取りナイフを構え、近くに落ちていた小さな石ころをスリンガーに嵌めた。嬢にも石ころを渡し、スリンガーに嵌めるように指示する。
「…油断は、禁物。そうだよね。」
油断せずに構えていると、音がしたところから、人のような骨が姿を現した。
「骨───!?」
「「「Gaaaaa!!」」」
その骨たちは私に見境なく襲いかかってきた。
「───シッ!!」
私のナイフは骨の身体を走るが、大したダメージは入れられていないみたいだ。
「…相棒!!」
その声に嬢の方を見ると、嬢は右手でアイテムポーチを押さえ、左手にビンを持っていた。
(アイテムポーチ、ビン、近接……あっ!!)
「…ありがとう、嬢!!」
私はそう叫んでから骨から少し距離を取り、アイテムポーチからとあるビンを取り出した。
(私は弓使い……なら、各種ビンは携帯してる!!そして、ここで使うべきは───)
私はビンを骨に向かって投げた。その後、もう一本、次は違うビンを取り出してビンの中身をナイフに塗った。その、直後。
ボゴンッ!!
爆破音。
「「「Gaaaa!?」」」
「どう、“爆破ビン”のお味は?そしてここからは近接の時間!!」
“接撃ビン”の中身を塗った剥ぎ取りナイフで骨を切りつける。結果は……
「「「Aaaaaaaa!!」」」
「上々…!これなら通る…!嬢!」
「は、はい!」
「少しだけ、時間稼げる!?」
「分かりました、相棒!!」
私が後ろに退くと同時に剥ぎ取りナイフを構えた嬢が前に出る。
「やぁぁぁぁぁ!!」
(時間がない。早く終わらせないと…!)
嬢に武器のことを言われて気がついた。私は今、新大陸に来た時と同じ状態だ。だから今私は、着慣れたあの装備達じゃない。一撃貰って、何が起こるか分からないし、全部避けるしかない。問題は、砥石の時間がどれだけあるか…!
(あった!“接撃砥石”!!)
接撃ビンと砥石の調合で作り出せる“接撃砥石”。この砥石にはそれなりにお世話になった。
「…これで…よし!嬢、変わって!」
「…!はいっ!!」
嬢が強化撃ちをし、骨たちを怯ませた。
「あなた達の相手はこっちだよ!!」
そう言い放ってから、三閃。それだけで、その骨たちは崩れ落ちた。
「…ふぅ。」
「相棒、ご無事ですか?」
「うん。…でも、このナイフだけで戦うのはちょっと…ううん、かなり危ない。早く、武器になりそうなものを探せればいいけど…」
「そうですね……っ!相棒、まだです!まだ来ます!!」
「言ってる、そばから…!!」
嬢の言う通り、先程と同じ骨たちが私達の方へと向かってきていた。先程よりも、数が多い。
「くっ……流石にあの量は荷が重い…!せめて、どんな武器種もいいから武器があれば──!」
虫が嫌いとか、重い武器が苦手とか言ってられない。何か一つでも武器があれば。そう、思った直後。
カッ
「っ!?」
「あ、相棒!?」
急に私の手元が、閃光を発した。否、嬢の手元も、だ。
「ま、まぶし……光の、中に……何か、見える?」
「これは…?」
私達が無意識にそれに手を伸ばすと、閃光が消え。一張の弓と、一振りの大剣が、その姿を現した。
「これ、は…」
「まさ、か…」
「“バスターソードI”───?」
「“鉄弓I”───?」
嬢と私がそれぞれ呟く。どちらも、新大陸に来て初めて触れた武器だ。
「…嬢!私が時間を稼ぐから───」
「───“接撃砥石”で切れ味強化、ですね!分かりました!」
「流石…私の相棒!」
私は弓を構えて骨を狙った。
「っ!」
一気に引き絞り、矢を放つ。当然だけど、それだけじゃ倒せない。
「かったい…でも、負けない!」
矢をつがえて、矢を放つ。それを、繰り返していた時だった。
ピュォォォン、ピュォォォン……
「───!!」
風と共に流れてきた、かすかな音。それに私は、聞き覚えがあった。…ううん、ないはずがない。だって、それは、
ピュォォォン、ピュォォォン……
「これは…音色、でしょうか?」
「…うん。そうだよ。」
嬢の問いに私は答えた。その言葉に嬢は不思議そうな顔をする。
「…あなたが、もしかしているの?」
その呟きをすると、私に力が湧いてきた。“
───やりなよ
あの子の声が、聞こえた気がした。私の、大切な友達の声が。
「…うん。任せて…」
あの子と一緒なら、誰にでも負ける気はしない。あの子の言葉と、あの子の旋律は───私に、力をくれる!!
「……はぁぁぁぁ!!」
私が放つは、貫通の矢。時間はかかるが、それなりに効果はある“竜の一矢”!!
フォンファァン、フォンファァン
笛。“
「嬢、避けて!!」
私の代わりに時間を稼いでいた嬢に声をかける。その声を聴いて、嬢が横に跳んだ。
「…貫けぇっ!!」
そんな私の気合と共に放たれた矢は骨たちを貫通して。
その中間程で、爆発を起こした。
「よしっ!」
「…相棒ってたまに変なもの作りますけど強いの多いですよね。」
「そう?」
「砥石で属性付与するとか普通出来ないと思いますけど……って相棒、後ろ!!」
「え?」
私が振り向くとそこには───
「Gaaaaa!!」
さっきより少し大きい骨が私に向かって剣を振りかざしてた。
「…」
「ちょっ、なんで構えないんですか!?」
「大丈夫だよ。…ね?」
そう呟いた瞬間、グシャッ、というような音がした。
「やれやれ。気づいていたんだね?」
「うん。あの旋律、あなたしか思い当たらないし。」
「光栄というべきなのか何なのか…ひとまず、そこで待っていてくれ。」
「はいはい。」
その言葉の後に一際大きな音が聞こえたかと思うと、骨が吹っ飛んだ。
「ふむ。こんなものかな。さてと、怪我はないかな、お嬢さん方?」
そこにいたのは、大きな鈍器を担ぐ長髪の男性───
「お嬢さんはあなたもでしょ?見ないうちに少し男の子っぽくなった?」
「…ふむ。…やめてくれ、君に言われるとなんか刺さる。」
───ではなく、男装した女性がそこにいた。
「ていうかそんな話し方してるから私と一緒にいるときに夫婦なんて言われるんじゃなくて?私は別にいいんだけどさ…」
「ぐっふ……僕は女として見られていないのだろうか……」
「どうだろうね…私はともかく、あなたはどうだろう…少なくとも私といるときは女性として見られてないかもしれないね?」
「ぐはぁ………!」
「ちょ、相棒っ!?」
まぁ、この子の弄りはこの辺にして。
「……久しぶり。また会えて心の底から嬉しい。…親友。」
「僕もだ。久しぶりだな、親友よ。」
私は彼女の持つ武器を見た。
「…“ベルダーホルン Lv.1”。私達の思い出の狩猟笛。…持っててくれたんだね。」
「当然だとも。僕らの旅立ちの一本だ。君は、その武器ではなかったけども。」
「私の新大陸での旅立ちの一張だよ、これは。…ごめんね、私達の思い出の弓じゃなくて。」
「いいと思うよ。大陸と新大陸…それぞれで武器が変わるのは当然だ。」
「そっか。」
「え、えっと……は、話が読めないのですけど……?」
あ。嬢を置き去りにしてた。
オリジナルのことに関してはまた今度。