狩人達と魔術師達の運命、それからあらゆる奇跡の出会い 作:Luly
「…ふむ。とりあえず整理しよう。」
軽く互いの自己紹介をした後、親友が口を開いた。
「君のオトモアイルーは、この場にはいない。元の場所にいるかもしれないし、この周囲にいるかもしれない。」
私はその言葉にうなずく。
「穴を通ったというのならば、この場所にきてはいるはずです。アステラにいる可能性は、ないとは言い切れませんが低いかと。」
「それは同感だ。僕と一緒に来た二匹も、すぐそこにいる。」
親友が目を向けた先にいるのは、笛を持った猫とこちらを見つめる犬。猫の方はアイルー。犬の方は…ガルク、と言ってたはず。
「ならば、この場所のどこかにいるはずだ。探してみるしかないか。」
「うん…ごめんね、私のために…」
「気にするな。僕らは支え、支えられて戦ってきた。そうだろう?」
「そうですにゃ。貴女様が気にする必要はないのですにゃよ。」
親友と、親友のオトモアイルーに励まされた。それを聞いてたら、いつまでも落ち込んでいるわけにはいかない。
「うん……ありがと。…ところで、いくつか聞いていいかな。」
「なんだい?」
「まず、そのベルダーホルン。それとベルダー装備一式。それ、どこで?」
私が着ているのはレザー装備一式。大陸での最後の仕事の後、それまで着てた装備が壊れちゃって、普通の…鎧も何もついていない服に着替えた後、新太陸に行って貰った最初の装備。ちなみにその時の服は戦闘用じゃないのに無理させたから破けました。…流石に所々破れた服のままアステラ内を案内されるのは辛かったよ、先輩……まぁ、裸にならなかっただけいいんだけどさ…
「分からない。ベルダーホルンのほうは手元が光ったと思ったら出てきたもので、ベルダー装備一式は気が付いたら着ていたものだ。」
「…っていうことは私と同じ感じなのね。じゃあ次。」
そう言って私はガルクを指さした。
「その子は?少なくとも私が大陸にいた頃は一緒にいなかったはずだけど。」
「あぁ…そういうことか」
親友は納得したような表情になって口を開いた。
「僕の出身地は知っているだろう?」
「うん…私の出身地のベルナ村…じゃなくて少し離れたカムラの里、だよね。」
「そう。ベルナ村はあくまで育ちの地なだけで生まれたのはカムラの里。まぁ、ベルナ村も僕にとっては故郷だけどね。」
「お父さんとお母さん、それに村長…それ聞いたら喜ぶだろうなぁ…」
「君のお母さんとお父さんには感謝しているよ。…っと、話がそれたね。…おいで」
親友がそういうとガルクが親友に近づいた。
「この子は…僕が最近里帰りした時に里長から貰った子だよ。彼女は、まだハンターとなって日が浅く、人見知りも激しい。だけど、僕にだけは恐れようとはしなかった。だから、凄腕のハンターでもある僕に託したかったんだそうだ。」
「そっか…女の子なんだ?」
「そうだよ。」
「……なんか私たちの旅路、女の子ばっかりだね……」
「相棒、それは私にも言ってますか?」
「うん。」
だって嬢も女の子だし。親友も、私も、私達のアイルーも女の子だし。
「まぁ、気が向いたら大陸に帰ってくるといい。ベルナ村長もきっと喜ぶぞ。」
「そっか…結構最近、そっちには向かったんだけどね。」
そういうと親友は納得したような表情をした。
「黒龍か……ギルドのほうで討伐隊に名を連ねる君の名前を見たとき、まさかとは思ったが。やはり、帰ってきていたんだね。」
「まぁ、少しだけね。」
「どうせ、今回
「いや、エイデン君がいたから…厳密には一人じゃなかったよ」
「エイデン…?」
親友は疑問気な声を出した後、すぐに手を叩いた。
「あぁ、彼か。元気そうだったかい?」
「元気だよ?私のことなんて忘れてたみたいだけど。」
「おい……」
「まぁ…あまり私は行かなかったからねぇ…狂竜化とかの討伐クエストはやってたけど。」
「む…それもそうか……っと話がそれたな、他には何かあるかい?」
「……じゃあ、今までずっと気になっていたことを聞いてもいいかな。」
「うん?」
私は少しためらいながら口を開いた。
「貴女は……私のことが……好き、なの?」
「ごっふぉ!?」
あ、むせた。
「けほっ、けほっ……年頃の女の子が冗談でもそういうことは言うものじゃないと思うよ?」
「真剣に聞いてるんだけど?あと年頃の女の子は貴女もでしょうが。」
「……」
あ、目を逸らした。
「…ま、いっか。今は。落ち着いたら、答えを聞かせてね。」
「……あぁ」
親友は小さくため息をついてから辺りを見渡した。
「君のオトモを探すというけど、どうやって探すんだい?」
「え?」
「この場所で探すにしても、普通に探したら時間がかかるだろう。どうやって探すつもりなんだい?」
「え、空から探そうと思ってるけど。」
「…………は?」
親友が呆気にとられたような顔で問い返した。
「…もう一度聞かせてくれ、どこから探すと?」
「空から。ね、嬢。」
「はい。翼竜を使えば、空から探せると思います。」
「……そ、そうか…」
若干引いている気もするけど、とりあえず私は翼竜を呼ぶことにする。
ピュゥイッ
いつものように指笛を吹く。そうすれば、翼竜たちは来てくれる……は、ず………
「……あれ?」
私はもう一度指笛を吹いた。変化は、ない。
「どうしましたか?」
「…
「…?そんなはずはないと思いますけど…」
嬢が指笛を吹いた。
「……あれ。確かに来ませんね。」
「でしょ?」
「…なら、どうするんだい?」
「う~ん…」
私が悩んでいると、嬢がふと顔を上げた。
「……ファスト、トラベル?」
「嬢?…っ!?」
その言葉の数瞬後に強い閃光。
アァァァァ
「…翼竜の声」
閃光が収まったかと思うと、そこには三匹の翼竜…“メルノス”がいた。
「えっと…嬢?」
「……もしかして、この翼竜達呼び出したの私ですか?」
「た、多分…?」
「え、えぇ……?」
「…ふむ。武器と言い、その翼竜と言い…ここはいろいろと不思議だな。」
それは私も感じていた。…ともかく。
「嬢、とりあえず翼竜に自由に飛んでくれるように指示してくれる?」
「そうですね…この辺の地理は分かりませんから自由に飛んでもらった方がいいでしょう。」
「…そういえば、そっちはワイヤーみたいなのって持ってる?」
「糸でいいならば“鉄蟲糸”があるが…」
「そっか。」
そう言って私は飛んでいる翼竜の足にワイヤーをひっかけた。それを見て嬢もワイヤーをひっかける。
「じゃ、行くよ!」
「ちょ、詳しく教えろ!?あぁもう、見様見真似だ!!」
親友も見よう見まねで光る糸を翼竜の脚にひっかけた。
「やればできるじゃん!」
「伊達にカムラ出身のハンターじゃないんでな…!」
「いや知らないけど。」
「知っておけ!?ていうかこれ、翔蟲とは色々違うな……!?」
「まぁそうでしょ…」
「相棒!これは…!」
嬢の声に私は周囲の景色を見渡す。そこにあるのは炎、炎、炎、炎…あらゆる場所が炎で焼き尽くされた紅い地だった。
「これは……ひどいな」
「うん…」
「一体、誰がこんなことを……まさか、この地にも黒龍が…?」
嬢の言うことももっともだ。だけど、この状況を作れそうな古龍は他にもいる。
「炎王龍…もしくは炎妃龍。それから煌黒龍とかもこの状況は作れそうだが…あとは、あれくらいか。」
「…紅龍、ミララース。違う?」
「流石。かの古龍ならばこの地獄ともいえる光景を作り出すことは十分に可能だろう。」
そんな会話をしていた時だった。
「みゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」
「「「……!!」」」
周囲に響き渡る、その鳴き声。
「サイン、コール……ですにゃ」
「しかも、この声は……」
「……スピリス」
「相棒、声はあちらから!!」
嬢がその方向を示した。だが、先程から私達以外の風を切る音がする。
「Gaaaa」
「っ、旦那さん、下にゃ!!」
「なんだ…あの骨の飛竜のようなのは!?」
親友の声に下を向くと、大量の骨で出来た飛竜が私達の下へと向かってきていた。
「行かせない、ってことかな……なら、蹴散らしてから」
「……行け」
「えっ…?」
私は親友が小さく呟いたのを聞き返した。
「行け!!ここは僕がやる!君はすぐに自分のアイルーと合流しろ!!」
「え、でも…」
「早く行け!!」
強い剣幕で言われ、空中で片手で狩猟笛を構えた。
「そら、行け!!約束する、必ず生きると!!」
「………無事でいてよ!?」
「当然だ、僕が君との約束を守らなかったことがあったか!?」
「ない、けど───」
「なら早くいけ!彼女は、君のことを待っているぞ───」
親友はそこで言葉を切った。
「───ルーパス!!」
「…分かった!また…後で!!またあとで会おうね───」
私は、親友の名を呼んだ。
「───リューネ!!」
「あぁっ!!」
そう言って親友───リューネは光る糸を翼竜から外し、骨の飛竜へと向かって言った。
ピュゥイッ!!
私は指笛を吹き、翼竜に向かう方向を指示する。
「良かったのですか、相棒!」
「大丈夫!!彼女は───リューネは、私との約束を破ったことは一度もない!!」
「ですが、相手は私達でもわからないものです!!それ…を……」
嬢の声が消えていった。
「……リューネ?リューネと、ルーパス……まさか。」
「嬢?」
「相棒。貴女達は……まさか……」
「「「Gaaaaaa!!!」」」
嬢の言葉はそんな咆哮にかき消された。大量の骨。人間に近い影が3つ。それが、私のアイルーとその近くにいる人間たちを取り囲んでいた。
「…嬢はここにいて!」
「え、えぇ!?」
私はそんな嬢の驚きの声を無視してワイヤーを外し、空に身を投げ出した。
「標的は……とりあえず、骨どもから!!」
空中で弓矢を構え、骨を狙う。狙うのは、骨の継ぎ目。
「…っ!!」
矢を放つ。すべての骨を撃ち抜く数の矢を放ち終わった後、人間に近い影3つのうち、一番巨体の相手を狙う。その瞬間───
「っ!?燃えっ!?」
3つの影のうち、一つが燃え上がった。一瞬視界を遮るが、5本の矢を番えて巨人のいた場所に放つ。それを、合計5回。25の矢が、巨人を襲うように。そして、総ての矢が狙った敵を襲った時。
「みゃぁぁぁぁぁ!!」
視認、した。オレンジの髪の女の子の近くにいるアイルー。紛れもなく、それは───
「“
「スピリスーーーー!!」
「にゃぁぁ!!」
私のオトモアイルー。“スピリス”の姿だった。
合流っ!次回はfate側とモンスターハンター側の初顔合わせですかね…