狩人達と魔術師達の運命、それからあらゆる奇跡の出会い 作:Luly
裁「相変わらずの執筆速度だけどね……」
う…
第三シミュレーションルーム。ここと第四シミュレーションルームは主にサーヴァント達の鍛練に用いられている。
「───チィッ!」
今使用しているのはジャンヌ・ダルク・オルタただ1騎。システム管制者はフォーマッタだ。ジャンヌ・ダルク・オルタは、ワイバーンと戦っていた。
「ギャァァォォゥ」
「鬱陶しい……!“
彼女の宝具、彼女の憤怒の炎がワイバーンを焼く。それによって、その場にいたワイバーンは消滅した。
「はぁ…はぁ──結果は」
〈…所要時間24分。被弾回数21回です。〉
「……そう。続けて。」
〈ですが……〉
「いいから、続けて。こんな程度じゃまだ足りない。早く、力を取り戻さないと───」
〈……分かりました。シミュレーションシステムを再起動。生成フィールド“市街地”。生成仮想敵1“ワイバーン”。仮想敵1生成数4体、全ユニットLv.7───出現します〉
そのアナウンスと共にシミュレータが稼働し、ワイバーンが出現する。
「──ふ……っ!」
手に持つ旗を持ち直し、シミュレータによって再現された町の地面を蹴る。
「───せいっ!」
旗を振り上げ、ワイバーンに叩きつける。旗を突き出し、ワイバーンを穿つ。炎を吹き出し、ワイバーンを燃やす───しかしそのどれもが、ワイバーンを一撃で仕留めるには至らない。
「くっ───」
歯噛みするジャンヌ・ダルク・オルタ。彼女が知らないうちに───
「………」
そのワイバーンと戦う光景を。見ている者がいた。
「この……!」
〈……追加します。生成仮想敵2、“ネームド”───固有名称“ファヴニール”。仮想敵2生成数1体、仮想敵2ユニットLv.30───出現します。〉
「な───!?」
突如告げられた宣告。その言葉の通り、黒い邪竜が出現する。
「何のつもりよっ!」
〈ジャンヌ・ダルク・オルタさん。何を焦っているんですか?〉
「焦ってなんか───」
〈いいえ、焦っています。本来その辺りに気がつかない私ですら気がつくほどに。もう一度聞きます、何を焦っているんですか?〉
「……うるさいっ!人工知能のあんたなんかに何が分かるのよ!」
〈えぇ、確かに私と姉は人工知能でしょう。ですが、私達にはちゃんと感情が存在します。……自分でいうのもあれですけどね。特に姉は管理者という性質もあるのか、人の感情に敏感です。そんな姉を見ていれば消去者である私でも少しは分かるようになるんです。ファヴニールは貴女が少し頭を冷やせるようにと。〉
「───舐めんじゃないわよ!」
といいつつ、被弾回数が増えたのは事実。さらに、カルデアのシミュレーションシステムには参加者の体力を管理する機構が存在する。故に、被弾回数が増えたということは───
〈──ガガッ、システムより通告。体力全損によりシミュレーションシステムが強制終了します。〉
「───」
〈……quest failed.〉
「まだ……まだよ!もう一度…」
〈───いい加減にしてください!〉
しびれを切らしたのか、フォーマッタが怒鳴った。
〈何を焦っているんですか!焦って何かをしたとしても、いい結果が残せるとは限りません!しかも今の貴女はその焦りのせいで正常な思考になってないんです!そんな状態でシミュレーションを重ねたとしても、何も得られるわけがありません!!〉
「うっさいうっさいうっさい!!あんたなんかに何がわかんのよ!人に作られたものの分際で、人でも英雄でもないただの知能の分際で!!」
〈分かりませんよ!貴女の言う通り私は人ならざる者!知識として人間は分かりますが、その全てが分かるわけないでしょう!!だから聞いてるんです、貴女を焦らせる原因は何なのか!何が貴女をそこまで掻き立てるのか!!答えなさい、ジャンヌ・ダルク・オルタ!!〉
「……あんたには関係ない!私は…私は私を求めたあいつのために強くなる!強くなってあの金ぴかと竜の王妃を見返してやる!!ただそれだけよ!!!」
〈───なるほど。それが貴女を掻き立てる理由ですか。〉
「そうよ!一刻も早く、あいつらを見返すために!!そのために私は強くならないといけないのよ!」
〈───そうですか。分かりました〉
「ふん。分かったなら早く───」
ジャンヌ・ダルク・オルタが言い終える前に、フォーマッタの声が響く。
〈ジャンヌ・ダルク・オルタ。フォーマッタの権限をもって、本日中の各シミュレーションシステムの使用を禁じます。〉
「───は?」
〈今の貴女は危険です。少し頭を冷やしなさい。〉
「待ちなさい!どういうことよ!」
〈そのままの意味ですが。〉
「───シミュレーションシステム起動!」
ジャンヌ・ダルク・オルタが叫ぶ。しかし、何も起こらない。
「起動!アクティブ!───何なのよ!起動しなさいよ、このポンコツ!」
〈無駄ですよ。貴女のIDにロックをかけました。ロックが解除されない限り、システムが応えることはありません。〉
「何なのよ…!!あいつに言った手前、私は強くならないといけないのに……!」
〈……はぁ。だ、そうですが。貴女的にはどうですか?リッカさん。〉
その言葉に、ジャンヌ・ダルク・オルタが扉の方を向く。
「……ジャルタさん…」
「…マス、ター……」
そこには確かに、ジャンヌ・ダルク・オルタを心配そうに見つめるマスターである藤丸リッカの姿があった。
〈……何か話すならこの場所使ってていいですよ。リッカさんシミュレーションシステム動かすならコンソールから呼んでください。〉
「……うん。ありがとう。」
そう言って音声は切れ、第三シミュレーションルームには藤丸リッカとジャンヌ・ダルク・オルタのみが残された。
うーん……
裁「どうしたの?」
いや……本編での対処、何か言われないか心配で