〈艦これ×FGO〉神機残響海戦 七大洋 ~天地人の狭間~   作:やみなべ

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アンケートへのご協力ありがとうございました。まさか50以上も返答をいただけるとは……。
そんなわけで、アンケート結果を受けての設定資料集でございます。一応ネタバレに配慮し、部分的に伏せてありますので、自己責任でドラッグして閲覧してください。


設定資料集

「男性提督」

民間人登用第一号……その実、生贄の羊であった硫黄島鎮守府提督。艦娘の技術提供を受けた手前、国連の影響力を無視できないことからその影響力そのものを削ごうと“失敗させる”ために硫黄島鎮守府に飛ばされてしまった。もちろん碌に教育も受けていないので、鎮守府運営も艦隊運用もハッキリ言って素人同然。あとから本命の提督たちを派遣するつもりでいたため、鎮守府として必要な設備は整っているものの、さっさと追い出そうと執務室やプライベート空間は徹底的におざなり。上層部のねらいとしては早々に運営自体が破綻するか、四面楚歌な状況に絶望して泣きつくかだったのだが、予想を裏切りちゃっかり居座ってしまうのであった。その後も妨害や圧力を加え続けるが、どこ吹く風とばかりにやり過ごされてしまう。これにはお偉いさんも歯ぎしり。

軍事方面の知識は素人同然だったため、国連から何らかのアクションがあることを想定して念のためにスパイとして派遣された大淀が見るに見かねて指導することに。指揮官としての力量は並だが、妙なところで胆力と勘の良さを発揮するのと、初建造で何故かできてしまった大和を奥の手とすることで、なんだかんだと危ない橋を渡り切ってしまう。艦娘たちの個性と自主性を尊重し、彼女らの「充実した時間」「豊かな生」に重きを置く方針。その影響か、旗下の艦娘たちはお祭り好きかつ自由人、艦隊の気風も「面白ければいいじゃない」と言う上層部からすれば頭の痛い問題児集団に。しかし、そんな彼女たちの手綱をしっかり握って制御できるので、組織としては不思議と円滑に運営されている。

提督になる前の職業はインテリアデザイナー。なぜか人里離れた山奥に居を構えていたが、情報社会ではネットがあればなんとかなるのでさほど不便はなかった模様。高校時代に国連が用意した留学プランに参加し二度の“空白”に巻き込まれたが、深海棲艦が現れるまでは帰国後も懲りずに海外旅行に繰り出していた。

その正体は人類最後のマスター。滞納されていたお給料と各種手当、さらに成功報酬を元手に金策に強いサーヴァントたちが(無断で)アレコレやった結果、年間ウン十億という不労所得を得る隠れお金持ちに。特に使い道もないので大半を慈善団体や奨学制度に寄付していたが、提督になってからはもっぱら鎮守府への設備投資及び艦娘たちへの福利厚生に充てている。魔術師としての腕前は下の下、礼装がなければ基礎魔術の一つも使えない凡人。とはいえ、“前例がないほどの数のサーヴァントと契約した”という事実を以て、最終的には“祭位(フェス)”の階位を得る。が、その事実故に“特級の触媒”として保存されそうになった。契約の基点であった令呪を宿していた右手を差し出すことで辛うじて見逃されるも、今度は「右手が本体」ということで階位を剥奪、名実ともに魔術師ではなくなった。もちろん、右手の有無ごときで彼と縁を結んだサーヴァントたちとの関係には何の影響もないのだが。

 

「女性提督」

欧州は大西洋方面で指揮を執る国連所属(正確には出向)の提督。当初はイギリス海軍の基地を間借りしていたが、制海権を確保していくと同時に大西洋上にギガフロートを建設。以降はそちらに拠点を移し、欧州やアメリカ東海岸を中心に艦隊を派遣する。艦娘たちを尊重し良好な関係を築いているものの、外部からは「女子校」のような雰囲気があるとか。艦隊指揮官としては防衛戦に長けており、彼女の艦隊と基地は “欧州最後の砦”であり、“深海棲艦に対する防波堤”だった。

前所属は隠蔽されているが、魔術協会“時計塔”の“法政科”に籍を置いていた。と言っても魔術師としての階位は持っておらず、“デミ・サーヴァント”という特殊性を評価した「バルトメロイ」が後ろ盾を務める形。しかしそれも形式的なものに過ぎず、実際の後見人は「ゴルドルフ・ムジーク」。本来なら貴重なサンプルとして保存されるところだったが、デミ・サーヴァントであるが故に強力な神秘を宿すため現代の魔術師では分が悪いので管理下に置かれるだけで済んだ。このあたり、男性提督の身柄の安全を巡っての取引もあった模様。彼女と同じデミ・サーヴァントを創る計画もあったが、カルデア時代のデータから召喚された英霊は休眠するか、最悪暴走する可能性が高かったため凍結された。それこそ“人理の危機でもない限りは使い物にならない”というのが彼らの結論だったのである。法政科時代はゴルドルフの秘書をしつつ、偶に当代のバルトメロイに無茶振りされたりしていたらしい。だが、深海棲艦が現れてからは面倒ごとを押し付けられる形で国連との折衝役を経て、現在の艦隊指揮官に収まる。

こんな経歴のため、あまり世間慣れしておらず所々で天然を発揮する。旗下の艦娘たちはそんな指揮官のことが大層心配らしく、提督に対して過保護な傾向が強い。

旗下の艦娘たちは練度上限に達すると出し惜しみすることなく“ケッコンカッコカリ”するのだが、上限に達するまでのペースが異様に早い。加えて、練度の高さもあってよく他艦隊から演習を申し込まれるが、相手の指揮官が男性且つ恋多い人物であった場合のS勝利率は驚異の10割。曰く「殺意が高過ぎる」「朗らかに毒を吐いてくる」など、トラウマになる場合も多い。

しかし彼らは知らない。諸事情あって前線に出ることはまずないが、実は艦隊の最強戦力はこの提督であることを。……まぁ、艦娘たちが「Admiralを危ない目に合わせるとかありえない」と考えているから、ホントに前線に出る機会はないのだが。

 

「オネェ提督」

呉鎮守府第四警備隊の提督、所属派閥は革新派。女子会と恋バナをこよなく愛する、乙女心を持った義理人情の人である。旗下の艦娘たちはもちろん、同僚の提督や自衛隊員からも慕われており、曰く「鎮守府のお父さん」。その顔の広さは鎮守府の枠に囚われず、他所の鎮守府や基地にまで及ぶとか。初期艦は漣、会話のテンポが非常に合うようで、外部からは「友達感覚の親子」に見えるらしい。

第四警備隊の主なお仕事は近海・輸送路の警備及び大規模作戦時の斥候と露払い、そして主力艦隊の支援。要は地味な裏方である。人手が多いからこそできる分業体制、全部自分たちでやなければならない硫黄島とはえれぇ違いだ。だがこの提督、偶にフラッと行方を眩ませて数日帰って来ないこともざら。なんでも、上からとても公にできない仕事を任されているとかいないとか……。

 

「パイセン」

絶海の孤島にある鎮守府に、どうやってかフラッとやってきては居座って提督を顎で使う美女。居丈高に振る舞うものの、提督が彼女の意向を尊重するので艦娘たちも渋々放置している。つまり、実はあんまりよく思っていない艦娘も少なくない。

のだが、提督が楽しそうに煽ったり懐かしそうに思い出話に花を咲かせたりしているので、邪険に扱うわけにもいかないらしい。加えて、提督と凄く親しげなことを羨ましがる者もチラホラ。

 

「硫黄島鎮守府」

現在、最も本土から離れた場所にある鎮守府であり、対深海棲艦の最前線目前の基地…にも関わらず、その扱いは“粗雑”の一言。上層部が物資の補給や資材の提供を渋っているうちに、気付けば半ば独立国家になってしまった。特に、一度半壊してからはその傾向が加速し、好き放題に施設や設備を作っていくものだから軍事施設にあるまじきラインナップとなっている。提督以外に人間はおらず全て自分たちで作ってきたため、総じて工兵スキルが高いのも特徴。他にも一芸持ちが多く、今を全力で楽しむスタンス。

一つの艦隊で鎮守府を運営する関係上、艦娘たちに多くの権限を与えて分業を図っている。特に兵站部門の権限はほぼ丸投げに近く、事務関係は大淀、工廠関係は明石、補給関係は間宮、主計関係は電が実権を握っている。そのため、提督であってもやらかしてしまった場合には容赦なくシバかれる。主に折檻は電が担当、着任初日に戦艦レシピを回して破産寸前に追い込んだ暴挙は生まれ変わっても忘れられない衝撃だったらしい。だが、それはそれとして要所要所の運がいいので、電も使う時には気前よく使う主義だったりする。要は使い過ぎさえしなければいいわけで…それでも勢い余ってやってしまうので怒られる。

物資の補給や鎮守府再建のために、勝手に本土から色々買い付けている。駆逐艦限定の輸送任務で通称“お使い艦隊”と呼ばれ、必要な物資の他に嗜好品なども調達し、駆逐艦の間で値切りスキルは必須項目となっている。反面、人間と接する機会そのものが乏しいため、駆逐艦以外は人間を前にすると緊張するらしい。このあたり、上層部(=人間)に対する印象の悪さも無関係ではない。

 

「アトランティス基地」

大西洋上に建設された国連直轄のギガフロート。元はただの軍事施設だったのだが、日本から亡命してきた提督とその艦隊が合流したあたりから魔改造が始まった。拡張に次ぐ拡張の果てに最早一つの街と化し、各種娯楽施設や民間人の住居などが建設されている。一応軍事エリアと一般エリアに分かれているが、非番の艦娘が一般エリアに繰り出して住民と交流したり買い物をしたりしている他、趣味に興じる姿も当たり前に目撃されている。

この基地内限定で艦娘にも階級が与えられ、中には艦隊行動から離れて個別の任務に従事する者もいる。加えて人間を部下に持つこともあり、人間と艦娘の共存のモデルケースとなっている。恋愛や結婚も推奨され補助金も出るのだが、流石にカップルが成立する例は“まだ”多くない。

基地名は大西洋上にかつてあったとされる大陸の名を引用しており、海底資源の調査・発掘もこの基地の役目となっている。しかし、ここが神代における“アトランティス”の真上にあり、海底からその残骸を回収するために建設されたことを知る者はほとんどいない。余談だが、この基地が完成されてから各国に配給される「高速建造剤」「高速修復剤」「開発資材」などの質と量が向上した。

 

「ノーチラス」

明石がジャンク品からでっち(組み)上げたなんちゃって大型建造で建造された艦娘(?)。純正品を使っていないのでかなり不安定ではあったものの、ちゃんと面倒を見れば数度の使用には耐えられる程度の仕上がりだったはずが、提督がこっそり投入した不審物のおかげで一回でおじゃんに。睡眠時間を削って組み上げ、せっせとメンテしていた明石は泣いていい。大爆発と引き換えに建造されたのが“潜水艦”ノーチラスである。

ただし、アメリカ海軍で運用されていたナーワル級潜水艦とは別物、「海底二万里」に登場する“キャプテン・ネモ”が駆る潜水艇ノーチラス号の艦娘。外見は海軍服のような白い服とキュロットを身にまとい、頭にターバンを巻いた少女。本来、艦娘は第二次大戦期に実際に存在した艦艇を素地としており、フィクションの艦艇が艦娘化することはあり得ない。

そういった事情もあり旗下の艦娘たちにもその存在は秘匿され、機材管理のために居合わせた明石のみがその存在を知っていた。建造後は特別任務に従事し、大西洋方面へのメッセンジャーとして単独行動をとることに。存在そのものが秘匿されていたため、他の艦娘と接する機会もなく、提督に報告し明石に補給と整備を受けてはまた出立するの繰り返し。提督はできる限りのフォローをしていたようだが、本人が寡黙な性質もあったのと艦娘たちとの毛色の違いもあり特に不満はなかった様子。

優れたソナーによる索敵能力と強力な魚雷を装備し、潜水艦にあるまじき耐久力を誇る。また、なぜか衝角(突撃槍)を備え、近接戦闘も得意。“近距離の撃ち合い”という意味ではなく、本当に白兵戦が得意なのである。だが、彼女の最たる能力はこのどれでもなく、隔絶した潜航能力である。何しろ、マリアナ海溝の底まで潜ることができるので、どんな潜水艦であろうと彼女を補足することはできない。鎮守府所属の潜水艦や深海棲艦の目を掻い潜ってメッセンジャーとしての役目を果たせたのも、この能力があったればこそ。

その正体は、“ライダー(騎乗兵)”キャプテン・ネモの宝具が擬人化した姿。このような背景を有するが故に、通常の艦娘ならば知りえないことも知っているし、提督に対する好感度と信頼は最初からカンストしている。彼女にとって、彼は“必ずや向こう岸(未来)に送り届ける”べき存在だったのだ。とはいえ、覚えていることは断片的で本人も何故知っているのかよくわかっていない。ただ、きっかけとなる何かがあれば思い出すことができるので、“忘れている”と言うのが近いだろう。艦娘というシステムに乗っかる形で現界したわけだが、もちろん通常ではありえないこと。投入した“ヘファイストス・クリロノミア”の効果ももちろんあるが、一番の理由は提督の存在。魔術師達は彼の右手こそが“特級の触媒”と考えていたが、令呪を宿していた右手はあくまでも“契約の要”でしかなく、彼の特異性は存在そのものに根付いている。

“ケッコンカッコカリ”に端を発する事件により提督が大本営に招聘という名の拉致された際、満を持して艦娘たちの前に姿を現し、彼女だけが知り得る情報で提督救出に貢献した。引き換えに、彼女という存在は本来あるべき場所に帰ることになった……わけだが、全てが終わった後何食わぬ顔で艦隊に合流。その潜航能力を活かし、現在はもっぱら海底探索で活躍している。

 

「深海棲艦」

数年前に何の前触れもなく現れた正体不明の海棲生物と無機物の混成存在。海底に沈んだ艦の怨念や戦争への憎しみから生まれたとも。深海棲艦の勢力圏は海が黒く染まり、その周囲では電波が攪乱され通信が阻害される。これは情報化社会では致命的とも言える問題であるため、どの国も全力で対処に当たっている。

当初は海だけを活動範囲としていたが、近年陸上に適応した個体も現れている。これに伴い、陸上も安全地帯ではなくなった。通常の深海棲艦でも陸上に上がれないことはないが、黒い海なしだと大幅に弱体化してしまうため積極的に上がってこなかった。そこで、陸上に適応した個体を作ることで対応した次第である。その個体を基点に、今度は黒い海を陸上にも広げようとしているのが現在の状況。

その正体はメソポタミア神話の創世の女神“ティアマト”の残滓と第二次大戦期の無念・怨念の融合。とはいえ、“生命の海(有機物)”と“鋼の艦(無機物)”では相性が悪いので、融合するのに数十年を要し、なおかつ融合した結果として得られた力も本来のそれから比べれば大幅に落ちている。それでも、現代兵器では太刀打ちできないくらいの脅威ではあるのだが。その本質は“ハイ・サーヴァント”に近く、複数の艦の要素と乗組員の無念が混沌と混ざり合っている。

強力な個体は人型…女性の姿を取るが、実は本体は海洋生物に近い姿を持つ艤装の方。人型を取っているのは艦娘たちに引っ張られた結果であり、別に意図したものではない。

ただし、とある提督が“大型建造”を回した場合のみ、極稀に深海棲艦が建造されることがある。その場合、一応は提督の指示に従うモノの、いつ何時牙を剥くかわからない危うさがあるので運用は慎重に。

 

「艦娘」

深海棲艦と言う脅威を前に配備された対抗手段。素体となるヒトガタに、中身となる(セイントグラフ)をインストールすることで成立する。とはいえ、ヒトガタもセイントグラフもそれ自体は無色に近いので、建造によって作られた艤装とリンク(照応)させることで着色する。この際にリンクの要となるのが開発資材である。深海棲艦同様ある意味では艤装が本体と言えるため、艤装を展開していない状態だと本来の性能を発揮できない。

その正体を一言で言い表すなら“分霊(アルターエゴ)”というのが最も適格。本来は一騎の英霊であった存在の霊基を解体し、艦種・艦型を経て個別の艦に細分化したものを降ろしている。この大本の存在が言わば「英霊の座」のような役割を担い、そこから各艦娘の霊基が引き出される形をとっているため、同じ艦娘が複数存在するということも起こる。ただし、基本的に一度轟沈した艦娘の経験などのフィードバックはされないので、常に全く新しい個体が生まれることになる。

ヒトガタは艦娘という形になった時点で一個の生命として確立されるので、成長も老化もする。とはいえ、基本的に建造時・改装時の姿から劇的に変わることは少ない。なので、海防艦が成長しても“小柄な女性”の域を出ることは稀。精々、少し太ったとか身長が伸びたとか、あるいは徐々に老化するのが限度。なので、RJはどこまで行ってもまな板。

しかし、それでも成長は成長であり、即ち“変化”である。そのため、建造されて間もないうちは同じ艦なら似た様な性質を有しているが、経験を積むにつれ異なる個性を獲得していく。

 

「妖精さん」

艦娘たちの大本となった英霊のスキルの一つであり、構成要素の一つ。艦娘が艦の魂であるとするのなら、妖精さんは乗組員の魂。とはいえ、既に個別の人格はないに等しく顔のない亡霊に近い。個性はあるのだが、それらは艦娘同様あとから獲得した性質。

 

「建造」

艦娘を生み出すために妖精さんの手で行われる作業、または儀式。

特殊な処理を施された資材を原料に、妖精さんが生み出すものを“艤装”と呼ぶ。素体となる“ヒトガタ”に中身(霊基)となる片面を黒く塗り潰された“騎乗兵(ライダー)”のカードを開発資材を楔に埋め込んだ状態で、この艤装を照応させることで艦娘は完成する。建造とは、艤装を開発する行為だけではなく、一連の工程すべてを総括した言葉。“大型建造”や“開発”も、投じる資材の規模が違うだけでやっていることは同じ。

生み出された艤装や装備には専属の妖精さんが憑いており、ある意味では「妖精さんを生み出す儀式」であるとも言える。

 

「大規模改装」

霊基の再臨。霊基の規格を拡張することでさらなる成長を可能にする。稀に、艦種そのものを変える個体やコンバートを可能にする個体もいる。

基本的に艦娘も時間経過で成長するが、大規模改装によって大幅に容姿に変化が起こる場合もある。

 

「解体」

原則的には艤装とのリンクを解除……体内に埋め込まれた開発資材を破棄することを指すが、艤装の影響で魂を着色した関係上、何の保険もなしに解体するとそのまま魂も無に帰ってしまう。その場合、素体となったヒトガタは姿形はそのままに物言わぬ人形となり果てる。なにしろ、彼女たちのアイデンティティその根幹を失うに等しいので、それでもなお自己を維持できるだけの“精神の確立(自立心)”が必要不可欠。余談だが男性提督はその辺の事情を全く知らなかった。にもかかわらず、“艦娘を生かす”という意味で言えば限りなく最適解に近い手法を取っていたことになる。

ちなみに、このヒトガタの再利用はできない。一度色の付いたものから、完全に色を抜くことはできないからだ。

逆に言えば、然るべき手順と条件をクリアした上で実行すれば艦娘の生命を保ったまま解体することも可能。ただしその場合、肉体の強度は“少し頑健な人間”レベルになる。そのギャップに慣れず怪我をする場合があるので、解体後は逆リハビリが必要になる。また、老化をはじめとした各種肉体的変化も艦娘時代より顕著になり、艦娘時代のノリで食べて激太り…なんてことも起こり得る。色々な意味で、アフターケアが大事。

 

高速修復剤(バケツ)

艦娘に対する治療薬。艤装は修理すれば使えるのに対し、艦娘の治療にはそれなりに時間を要する。艦娘の回復速度は人間のそれと大差ない。しかし、裏ワザとしてそれを短縮できるのが入渠であり、さらなる短縮を可能とするのが高速修復剤である。

とはいえ、艦娘が傷を負うのは中破以降から。中破までは艤装や制服がダメージを肩代わりしてくれるので、外見上の負傷はない。これは、傷を負うと戦闘行動そのものに影響を及ぼすため、肉体の保護を優先した結果。

船渠そのものは一見すると入浴施設だが、使用されている液体は艦娘専用で人体には無効とされている。実は、船渠で使われている湯と高速修復剤は同じもの、ただ質の差があるだけ。品質は低いが大量生産できるのが船渠で使われる湯であり、高品質なものが高速修復剤となる。だが、提督はこれよりさらに高品質なものをわずかながら所有していたりする。

その正体は劣化版「テオス・クリロノミア」のバリエーションの一つ。複製したは良い物の、純正品には及ばないため回復機能に特化したものがこちら。逆に、建造機能を特化させたものが「高速建造剤(バーナー)」である。

 

「ケッコンカッコカリ」

練度が上限に達した艦娘の練度上限を突破するための施術。艦娘の左手薬指に専用の指輪をはめ、書類に必要事項を記入することで成立する。実際の結婚を模した儀式だが、形式だけでなくちゃんと意味のある行為。

その本質は「契約の上書き」。艦娘の大本と契約している…言わば本来の契約者から現在の契約者であるそれぞれの提督との契約へと書き換えるためのもの。練度99になってから可能になるのは、そこまで器を満たさないと上書きそのものが成立しないから。

仮の契約者では練度99までしか成長が望めないが、正規の契約者になることでさらなる成長が見込める。つまり、正規の契約者ならなにもしなくても練度100を超えることが可能ということ。

 

「ドロップ」

深海棲艦を撃沈した際に稀に発生する“深海棲艦だったモノが艦娘になる”現象、あるいはその逆もあり得る。

詳しいメカニズムはわかっておらず、それ故に“艦娘=深海棲艦”という推測を呼び、彼女たちの立場を危ういものにしている。その推測自体はそう的外れではないが、“艦娘と深海棲艦が同じもの(表裏一体)”なのではなく、“黒泥と生物型艤装(余計なモノ)の有無”の違い。

深海棲艦は傷を負う度に黒泥が剝がされていき、艦娘は傷を負うほどに黒泥の侵入を許してしまう。どちらも、一定の水準を超えると相手方に引き寄せられてしまうのは同じ。違いがあるとすれば、前者は必ず起きる現象ではないのに対し、後者は確実に起こってしまう現象という点。ただし、新たな深海棲艦になったからと言って、必ずしも強力な個体になるとは限らない。

深海棲艦から黒泥を剥がすということは“玉ねぎの皮むき”に近い。剥がそうと思えばどこまでも剥がすことができ、“芯”と呼べるものがない。剥がしていく過程で、偶々余分な要素が除去され比較的に比重の重い要素が残った場合、黒泥の支配が弱まると同時に艦娘側に引き寄せられる。そうして、その要素の艦が表出し、新たな“艦娘”となるのである。こうして剥がせてしまうのは、“鋼鉄の艦”と“生命の海(黒泥)”の愛称の悪さが為せる業。通常の生命体であれば、一度黒泥に取り込まれれば“死”以外に開放はあり得ない。だが、元の相性の悪さ故にそれが可能となるのである。

逆に、艦娘が深海棲艦になる場合、傷から入り込んだ黒泥に飲み込まれ新たな要素を強制的に付属、やがて本来持っていた要素と融け合う。その過程で本来の姿形、意志は失われすべて黒泥に染め上げられてしまう。依り代であったものが消化吸収される、と言えばわかりやすいだろうか。

本来、艦娘の建造には“ヒトガタ”と“(セイントグラフ)”が不可欠だが、前者は弱体化した黒泥がその役目を担っている。怨念に黒く染め上げられているとはいえ、元は無色の“生命の海”、艦娘という存在が手本となって指向性を与えれば、そのような形で安定するのは必然なのだ。魂に関しても、戦闘の際に残された比重の重い要素がその代わりとなる。ベクトルが違うだけで、“英霊の分霊”も“集積された怨念”も実のところ大差はない。分霊とはいえ英霊という存在に感化され、そちら側に傾いてしまうのである。

 

「二大派閥」

深海棲艦に対し事実上唯一有効な戦力ではあるが、彼女たちの置かれた立場は非常に危ういものだ。彼女たちに対する姿勢は主に二つに分かれ、それは“貴重な戦力として重宝する”か“強力な消耗品として使い潰すか”のどちらか。日本では「革新派」と「保守派」に分かれているが、名称は様々。

前者(親艦娘派)は彼女たちを戦友・部下と見做し、個性や権利を尊重する傾向が強い。必要とあらば犠牲もやむなしとは考えるが、それは相手が人間でも同じこと。ならば可能な限り被害を減らし、艦娘たちとの関係を良好なものにすることで連携・協力していこうとする。中には個人的な仲になる例もあり、年頃の少女の姿を持つ艦娘たちを戦わせることに苦悩する場合もあるとか。

対して、後者(反艦娘派)は深海棲艦の同類、潜在的不穏分子として心を許さず、個性や権利を認めない考え。そのため、必要最低限の補給と生活環境だけを与え酷使する場合が多い。人間なら不満を覚え、反発するところだが、元が艦であるが故に“人間に対し基本的に従順”であり、“正当な扱い”の基準を持たないため、艦娘たちが反攻する例は極めて少ない。結果“モノ”としての認識が加速し、“捨て艦”や“大破進撃”も辞さない戦術をとる。むしろ、艦娘と深海棲艦の共倒れを狙うこともある。

とはいえ、これはどちらも極端な例であり、実際には二大派閥内でもさらに細かく思想は分かれており、「親寄りの反」やその逆もある。中には、“利益を得られるのならどちらにも傾く”という者たちもいる。あるいは、深海棲艦に繋がろうとする者もいるとか。実際、市井には深海棲艦を“神の使者”“世界の意思”とするカルト集団もいる。

 

「淑女協定“Admiral treaty”」

とある艦隊に所属する艦娘たちが、提督に内緒で交わした盟約。発起人はドイツ戦艦“ビスマルク”。

一言で言うと「抜け駆けすんじゃねぇぞオラァ!」ということ。この艦隊に所属する艦娘たちはみんな提督大好きなのだが、その中でも特に“恋愛対象”として好意を寄せる艦娘たちが加盟している。提督を巡って日々水面下で火花を散らす彼女たちだが、最優先事項が「提督のため」であることに変わりはない。あまり反目しあってばかりではそれが疎かになることを危惧し、円滑な艦隊運営のために設けられた取り決め。

色々と細かい条項はあるが、要点は主に4つ「提督に関する情報の共有」「提督の同意なき過度のスキンシップの禁止」「提督に悪意ある誤情報を伝えるべからず」「提督の有事には協力して事に当たるべし」と言ったところ。これらに違反したり、あるいは抵触したと判断されたりした場合、それが疑惑レベルであっても加盟者たち総出の「断罪裁判」が開廷される。これが開廷された場合の有罪率は、驚異の100%である。早い話が足の引っ張り合い。肉体的な私刑が行われることはなく、どちらかと言うと彼女たちだからこそ精神的に来る罰が課される。

とある艦隊と合流してからは、度々その艦隊の有志と合同会議が行われるようになる。

 

「Warship」

騎兵の英霊、軍艦という概念の集合体、艦娘たちの大本。

その本質は「絵本の総称」であるナーサリーライムに近い。彼女が多くの子どもたちの夢を受け止めることで一つの概念として成立したように、こちらは軍艦に対する畏怖や憧憬を受けて一つの概念として確立した。元々、船乗りたちが艦を女性に例えることが珍しくなかったのも一因だろう。

主に第二次大戦期の軍艦によって構成されるのは、彼女たちが最も華々しく戦い散っていった時代だからだ。

とはいえ、ナーサリーライムと違って概念としては浅く弱い。複数の艦…それも対立する陣営の概念が一纏めになっているため、確固とした人格を確立できず機械的で受動的。指示に反することがない反面、指示がなければ何もできない。

深海棲艦を脅威とは見做さない魔術師達だったが、これによって流通が滞るのは困る。そこで、貴重なサンプルとして確保したは良いが、縁がこんがらがり過ぎてかえって扱いづらい触媒を貸し出すことで事態の打開を図った。要は人任せである。

その結果、国連によって召喚されたのが彼女だ。サーヴァントと言うだけありその戦力は深海棲艦を一蹴して余りあるものだったが、多くの問題点を抱えていた。召喚したはずの人物との間には契約が成立せず、反抗しないのは良いが自立行動もとれず、元が軍艦の概念であるためか消耗が激しく、単騎であるために広く展開する深海棲艦に対応しきれない。

そんな具合に持て余していたところで、彼らはカルデアのとある記録に目を付けた。それが“デミ・サーヴァント”である。とはいえ、記録だけで再現出来れば苦労はない。失敗に次ぐ失敗の末、彼らは“デミ・サーヴァント”の成功例に希望を見出した。本来なら、時計塔としては元々使い道のなかった彼女は実験材料にされていたかもしれない。だがそこで、まったく別方向から技術提供があり、艦娘として成立することになる。

その際、同種の存在と言うことで時計塔から一人の女性が本来の予定とは別の形で出向になり、おまけで「何かの役に立つかも」といち早く艦娘を取り入れた極東の島国にかつてのカルデア職員の一人を提督として推薦したのが本作の始まり。

Warship自身は霊基が解体されたこともあり既に実体はない。とはいえ、艦娘全体で彼女であることを考えれば、退去したというよりも一つの巨大なネットワークに変じたというのが正しいだろう。そして、硫黄島鎮守府で記念すべき初めの建造が行われた時、彼女は感じたのだ……本来の契約者の声を。生憎完全な形での顕現はできなかったが、代わりに彼女と深くつながった分霊が顕現することになった。それが“大和”建造の真相である。

余談だが、Warshipの戦い方はすべての艦種を複合したもの。砲撃はもちろん艦載機も飛ばすし魚雷も打つ、何なら潜航も可能だ。もし、彼女と深く繋がった大和がその力の一部を獲得することがあるとすれば……。

 

 

「秘匿戦力」

表向きは存在しないことになっている三つの切り札。同僚たち曰く「規格外」と「反則」、そして「チート」とのこと。それぞれ「瑞鶴(規格外)」「清霜(反則)」「大和(チート)」を指す。三人の共通点として、何らかの形で「クリロノミア」が関与している。とはいえ、モノがモノなので国連にすら申告していない。

瑞鶴が「規格外」とされるのは、彼女の艦載機の“航続距離”と“飛行速度”などが他の空母のそれと比較して別格だから。とはいえ、瑞鶴自身がクリロノミアを使用しているわけではなく、その秘密は“アイギス・エクリプス”にある。練度が100を超えたあたりからようやく引けるようになり、150に至ってようやく扱えるようになったものの、今度は使用できる(艦載機)がないことが判明。通常の艦載機では、発艦の負荷に耐えられず自潰してしまうのだ。明石を筆頭とした工廠班は試行錯誤の末、提督に譲ってもらった「アテナ・クリロノミア」を使用しての“開発”を決行。その結果完成したのが「試製天狼(艦上戦闘機)」「試製天嵐(艦上爆撃機)」「試製天星(艦上攻撃機)」の三つであり、彼の黄金神弓を瑞鶴しか扱えないことを考えれば事実上の専用装備である。ただし、「クリロノミア」を瑞鶴自身に使用しているわけではないため、当然負荷の全ては彼女自身に降りかかる。一射放つ毎に血に染まる彼女の姿は、彼岸花を想起させる。その結果、これらの矢を放てる回数は自ずと制限されることもあり、敬意を以て「規格外」と称される。

「反則」と呼ばれる清霜だが、それも仕方のないこと。提督に渡された「ヘファイストス・クリロノミア」を使用した際、彼女の艦種は「駆逐艦」から「戦艦」に変化する。ちなみに、戦艦化した清霜の火力や装甲は彼女の憧れである「武蔵」…つまりは「大和型」に匹敵する。それでいて駆逐艦としての機動力と雷装は据え置きと来た。駆逐艦がいきなり戦艦に変わった挙句にこれなのだから、それは「反則」と言いたくなるのも当然だろう。とはいえ、もちろん反動は小さなものではなく、クリロノミアの機能停止後は彼女も行動不能に陥り、駆逐艦にあるまじき入渠時間を要求されることに。毎度全身筋肉痛に苦しみながらも、戦艦として大暴れした爽快感を思い出しては“ニチャア”と笑う清霜は、正直言って凄くキモイ(誰が呼んだか“キモ霜”)。質の悪いことに、味を占めた彼女は普通の任務でも積極的にこれを遣おうとするので、周りはむしろ清霜の暴走を止める方に神経を使うらしい。

大和に関しては言わずもがな。「ゼウス・クリロノミア」を完全励起した際の彼女は、みんなの悪夢「戦艦レ級」みたいな戦い方になる。只でさえバカみたいに高い火力と装甲がさらに強化され、艦載機は飛ばすし魚雷も打つ、何なら海中に潜航して不意打ちもかます。加えて他二人と違い建造段階からクリロノミアを使っていた恩恵なのか、これをやっても特別身体に大きな反動などはない。「チート(いかさま)」呼ばわりも当然……と言いたいところだが、これだけ出鱈目なのに何のはんどうもないなんてそんな旨い話があるはずもなし。肉体的な反動がない代わりに、資材の消費量が跳ね上がる。元々随一の大食艦だというのにさらに弾薬と燃料、場合によっては鋼材とボーキまで底なし沼の如く要求してくるので、冗談でも大和がこれを使う流れになると電が卒倒する。

だが、実を言うとこの三人は“本当に隠したいものを隠すための囮”に過ぎない。何しろこの艦隊、こっそり深海棲艦がいちゃったりするし、フィクション上の艦娘がいたりするので、隠れ蓑の一つや二つ必要なのである。加えて、提督たちの特殊性が露見した場合もいろいろ危ないことからこのような対策を講じるに至った次第。ほら、偶にいない筈のゴーストライナーとかも顔出したりするし、用心するに越したことはないのである。

 

「マスター」

“提督”あるいは“司令官”、または女性提督が男性提督を指す際に用いる言葉。前者は大和、後者はノーチラスが使用する。通常、艦娘たちは「提督」か「司令官」と艦隊指揮官を呼称するが、不思議なことに硫黄島鎮守府所属の艦娘たちは大和たちがそう呼んでも特に違和感を覚えなかった。まぁ、彼女たちが建造された際の背景を考えれば、なにも不思議なことはないだろう。

後に、大型建造によって建造された深海棲艦たちも提督をこのように呼称するように。こちらは特に深い意味はなく、艦娘たちと同じ呼び方を本能的に嫌がった結果らしい。実のところ、艦娘と深海棲艦は同じ陣営にいても互いに反目し合い、基本的に仲が好くない。

 

「マギ☆マリ」

男性提督が日々チェックを欠かさないブログのネットアイドル。これを知った艦娘たちは一様に冷た~い眼差しを向けるか、目を逸らしながら力のないフォローをするかのどちらか。その度に提督は「ごめんドクター」とつぶやいて項垂れる。昔何かあったらしい。

基本的には如何にもと言った様子のアイドル然とした語り口なのだが、どういうわけか物凄く胡散臭い。なものだから、胡乱な様子で覗き見た艦娘たちからの印象はグングン下がっていく。例外は謎の対抗意識を燃やす艦隊のアイドル(那珂)くらいだろう。その結果、艦娘たちはすぐに興味をなくし「また提督が変なの見てる」と適当に流す。

が、提督は気になるワードがあるとメモを取っては度々頭を悩ませている。胡散臭いし鵜呑みにするのもよろしくないが、軽視すべきではない情報が含まれている場合があることを知っているからだ。

 

ネタバレ上等の設定集、いる?

  • いる
  • いらない
  • そんなことより続きはよっ
  • 全部晒してしまえwww
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