〈艦これ×FGO〉神機残響海戦 七大洋 ~天地人の狭間~   作:やみなべ

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キャスト:提督、大淀、大和、電


「大淀塾」

「では、本日の教練はここまでとしましょう。お疲れさまでした」

 

「(プシュ~……)はい、ありがとうございました」

 

(やり過ぎたでしょうか? でも、こればかりはどうしようもないし……)

 

「……うぅ、字を見ると気持ち悪くなる」

 

「提督は、よく頑張っておられますよ」

 

「でも、頑張ってるだけじゃだめだ」

 

「それは……」

 

「俺に求められてるのは頑張ることじゃなくて、成果を出すこと。一日でも早く、ここをちゃんと運営できるようになる。そうじゃなきゃ、色々なことが回らない」

 

「……はい、その通りです」

 

「きついのは確かだけど、このまま容赦なく、徹底的に叩きこんでほしい。頼める、大淀」

 

「…………………承知しました。私も、心を鬼にして殺すつもりで叩き込んで御覧に入れます(キラッ)」

 

「えっ!? いや、流石に死ぬのはちょっと……」

 

(まずはカリキュラムの見直しね。本当に“今”必要なものに絞って、後回しでもいいもの、私たちで分業できるものは全部カット。並行して電や大和さん(秘書艦)にも肩代わりできる業務を選別しつつ、教育していかないと。とりあえず、白兵戦や射撃術なんかの戦技訓練は後回し。

 上からの指示には反するけど、それ位の肩入れは許されるでしょう。あまり何もかもが滞ると、(本命)がその煽り受けることになるわけですし……)

 

“シクシク……”

 

「とりあえず提督は、何でもかんでも下に“任せる”で済ませないようにしてくださいね。信任していると言えば聞こえはいいですが、それは“丸投げ”というやつですから」

 

(……そうだよなぁ。みんな(カルデア)とは違うんだし、それぞれに合ったやり方があるのは当然だ。あの頃は、周りは超一流(カルデア職員)突き抜けた天才(サーヴァント)ばっかりだったし、俺自身一番下っ端だったから任せた方がうまく回った。それこそよっぽどの緊急事態じゃない限り、俺が全体の指揮を取るなんてことにはならなかった。なったとしても、方針を決めるのとみんなの意見を吸い上げて調整するのが主な役割で、細かいところは任せていればよかった。下手にアレコレ口を出すと、その方が結果的に足を引っ張ったから、アレはアレでよかった。

 でも、今は違う。今は俺がここの司令官(最高責任者)で、みんな(艦娘)みんな(サーヴァント)と同じに考えちゃいけない。出来ること、出来ないこと、任せていいこととそうじゃないこと。しっかり見極めて、具体的に指示していかなきゃいけない)

 

「ですが、提督の柔軟性は長所です。指揮における臨機応変さには目を見張るものがあります。ただ、定石やセオリーをご存じないので、なかなか効率的・効果的な運用とはいきませんが」

 

「そこだよね」

 

「しかしそれは、必要な知識が身につけばある程度何とかなります。経験については、後からついてきますから」

 

(経験、か。あの頃の経験が、どの程度活かせるかも試していかないとな……)

 

「不肖ながら、私大淀もお手伝いしますので」

 

「うん、ありがとう。頼りにしてる」

 

「……はい」

 

 ・

 ・

 ・

 

「う~ん、う~ん……」

 

「司令官、大丈夫なのです?」

 

「こんなに頭使ったの久しぶりで、ちょっと知恵熱が……」

 

「無理もありません。本来、数年がかりで学ぶ内容を超短期で詰め込んでいるんですから」

 

「戦術・戦略は当然として……」

 

「戦史や軍事法規、兵装知識もですね。他にも所謂マネジメント…管理学やリーダーシップ論、教育指導論なども並行して学んでおられるそうです」

 

「覚えることが多くて大変そうなのです。それをみんな教えられる大淀さんもすごいのですが」

 

「実際大変ですよ。他の艦隊であれば、一つの鎮守府や泊地に対し複数人の提督がいて、さらに彼らを統括しつつ基地全体を管理・運営する基地司令がいます。ですが、ここ硫黄島鎮守府には提督(マスター)しかいません。本来複数人で分担するはずの業務を、提督(マスター)はおひとりで処理しなければいけないんですから。

 もちろん、規模が小さい分一つ一つの項目における業務量は減りますが、一番の問題は業務量ではなく業務が多岐にわたることです」

 

「やらなければならないこと、その“種類が多過ぎる”ということですね」

 

「はい。その上、専門的な知識と経験を必要とするそれらを処理するには、提督(マスター)には何もかもが足りていません。経験を積むには時間が必要ですが、知識だけは詰め込むことができます。その結果……」

 

「毎日通常業務とは別に教練で徹底的に詰め込む、と。夜中までお勉強してて、身体を壊さないか心配なのです」

 

「それは……」

 

「ああ、それは大丈夫。健康と丈夫さ、あと足腰にはちょっと自信があるから。砂漠にジャングル、雪原だってオッケー。なんなら、“徒歩(カチ)でアメリカ大陸横断”とか割と行ける。体調管理とか結構得意だよ?」

 

「「いやいやいやいやいや……」」

 

「まぁ、人間追い詰められれば大抵のことは何とかなるものさ。実体験で知ってる」

 

「……司令官は、以前ブラック企業にでも務めていたのです?」

 

「電、私は何か薄ら寒いものを感じたのですが……」

 

「とりあえず、大淀さんから提案のあった可能な限りの分業を進めるのです。電は主計関連をやりくりするので、大和さんは司令官の事務処理の補佐をお願いするのです」

 

「はい」

 

(とはいえ、二人だけに任せるよりもみんなを巻き込んだ方が一人一人の負担は減るよな。それなら、それぞれの得意不得意とか好き嫌いを把握できれば仕事の割り振りがしやすくなる、か?

 今はやることが多すぎて時間が取れないけど、少し落ち着いたら一人一人と腰を据えて話す機会を作りたいよなぁ。あとは、生存率を上げるためにも新しく着任した娘には先任を教育係につけて……俺の時は他に代わりがいなかったけど、ここはそうじゃない。一つの仕事でも複数人で分担できれば交代しながら回せるんだから、それを活用しない手はないよね)




~鎮守府裏日誌~

いきなり最高責任者になってしまったものだから、とにかく覚えることが多くて提督は毎日“ヒーッヒーッ”言いながら勉強しているよ。それでも根を上げないのは、“もっとしんどい状況”を知っているからかな? まぁ、そんなことを知る由もない大淀たちは不思議に思っているみたいだけど。
ただ、何でもかんでも「じゃ、任せた」と丸投げしてくるのは提督の悪い癖だね。大淀としては、そのあたりもうちょっとちゃんと引き締めてほしいみたいだよ。それに、そこまで優秀なわけじゃないけど、そんなに覚えが悪いわけでもないから、知らず知らずのうちに教練に熱が入っているのもあるね。まぁ、その結果提督の知恵熱が加速するわけだけど……これもある種の自業自得かな。

ネタバレ上等の設定集、いる?

  • いる
  • いらない
  • そんなことより続きはよっ
  • 全部晒してしまえwww
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