〈艦これ×FGO〉神機残響海戦 七大洋 ~天地人の狭間~ 作:やみなべ
「で」
「ん?」
「着任早々呼び出してどうするつもり、クソ提督」
「あれ、電から聞いてない?」
「面談がどうとか言ってたわね。誰がそんな見え透いた口実真に受けるもんですか。
ほら、他に誰もいないんだから正直に言ってみなさいよ。口の利き方がなってないから懲罰? それとも、規律を乱すって理由で解体? ふんっ、好きにすればいいじゃない」
(本当は怖いくせに、強がっちゃってまぁ……)
「なによその目。言っておくけど、どんな処分されようと改めるつもりはないわよ」
「ん~……まぁ、これはこれで」
「は?」
「いや、とりあえず言葉遣いとかはそのままで良いから、思っていることを話してくれればいいよ。気になることがあればその都度聞くし、そのための面談だからね」
(何なのコイツ……)
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「つまり、要約すると人間は信用ならない、と」
「当然でしょ。アンタたちにとってあたしたちは代わりの利く兵器でしかない。例え轟沈したとしても、建造するなりなんなりして、また戻ってくるのが当たり前。
別に誰も沈ませずに…なんて世迷言を言うつもりはないわ。でも、無感動に使い捨てにされるとわかってて黙ってるつもりもない」
「だから、言いたいことは言うことにしているわけか」
「そうよ、文句あるわけクソ提督」
「………………いや、曙の言い分はもっともだと思う」
「……ふんっ、随分素直なのね。それであたしを、あたしたちをどうするつもり?」
「誰も沈ませない。そう、できたらいいと思ってる」
「出来ると思ってるわけ?」
「……難しいだろうね。自分が指揮官として特別優秀だ、なんて己惚れることはできないし。
だからきっと、いつか“そこで
(その場凌ぎであれ本気であれ、“誰も沈ませない”なんて妄言垂れ流す偽善者なんて、人間以前に指揮官として到底信用できるわけがない。そういう意味で言えば、コイツはまだマシな方ね。
でも、コイツだって結局は他の奴らと同じに決まってる。あたしたちを使い捨てにして、仲間を沈めさせる。そんな奴らに、一歩だって引いてやるもんか!)
「俺にできることは、誰も沈ませないようにできる限りのことをして君たちを送り出すことくらいかな。あとは……」
「あと、何があるっていうのよ」
「これは、俺個人の希望なんだけど……できるだけ今を謳歌してほしい、かな」
「はぁ?」
「楽しいこと、好きなこと。そういうのをたくさん経験してほしいし、見つけてほしい。そのために、失敗を恐れず挑戦してほしい。俺にできることなら、何でもするつもりだよ」
「……ざ、けんな」
「……」
「…………ふざけんじゃないわよ! アンタ、自分が何言ってるかわかってる!? いつ沈むかわからない奴らに今を楽しめ? 死地に送り出す奴が協力? 頭沸いてんじゃないの!!」
「そう、だね。もしかしたら、凄く残酷なことを言ってるのかもしれない。それでも俺は、みんなの人生が豊かなものであってほしいと思う。まぁ、俺の我儘だよ」
「その思い出が、あたしたちを苦しめるんだって言ってるの! 沈んだ仲間の記憶に苛まれるのはまだいい。沈む覚悟も、喪う覚悟もみんなとうにできてる。
だけど、泣いて、苦しんで、ようやくそれを乗り越えた頃になってまったく同じ…それなのにその日々を“知らない”仲間を迎えることになるのが一番辛いのよ!! アンタたちにとっては“再建された艦”でしかなくても、あたしたちにとってはそうじゃないの!!! いったい…どんな風に向き合えばいいってのよ……」
「……ああ、きついよね。楽しかったことも嬉しかったことも、辛くて大変だったこともたくさんあって、でもその全てが大事な宝物なんだ。それをこっちは全部覚えてるのに、向こうはなんにも知らない。俺たちのことを憶えてすらいない」
(なんで、アンタがそんな顔してるのよ。そんな…そんな、溺れてるみたいな……)
「重ねちゃいけない、押し付けちゃいけない。同じ顔、同じ声…何もかも同じなのに、思い出だけがすっぽり抜け落ちてる。“同じ顔の別人”なのか、それとも“記憶を失っただけの同じ人”なのか。どう向き合ったらいいのか…正直、今でも答えは出ない。
ねぇ、曙」
「っ! な、なによ」
「君は…優しいね」
「……どういう意味よ」
「君の怒りは自分じゃなく、誰かのためだ。失ったはずの仲間と向き合わなければいけないみんなのために、自分の知らない思い出のために苦しむ仲間を見る誰かのために。君は、自分が解体されることも厭わなかった」
「そんな、大層なもんじゃないわよ」
「……向き合い方は、みんなで考えよう。そしてできれば、“新しく帰ってきた仲間”も一緒に“こんなことがあったんだ”って、笑い合えたらいいと思う」
「……とんだ理想論ね」
「うん、本当にその通りだ」
「……………アンタ、“好きなこと”“楽しいこと”を見つけろって言ったわね」
「うん」
「今のところ、特にやりたいことなんてないけど…やりたくないことならあるわ」
「……」
「仲間を、この手で沈めること。それだけは、絶対にさせないで。それさえ守ってくれるなら、命令くらいは聞いてあげる」
「もしかして、経験ある?」
「アンタ、デリカシーないとか言われない?」
「偶に、とてつもなく図太いって言われることはある。
そういえば聞いてみたかったんだけど、艦の頃の記憶はあるんだよね」
「当然でしょ」
「その時の気持ちも?」
「そんなことあるわけないでしょ。あの頃は感情なんてなかったし、今振り返ると“そういう感情が湧いてくる”ってだけよ」
「そうか、そういうものなのか……」
「それで、あたしの要望は聞いてもらえるの、もらえないの」
「わかった、約束する」
「そ、ならいいわ」
(そうだね。まったく同じじゃないだろうけど、俺にも覚えがある。仲間を捨て駒にしての逃走も、瀕死のところへ止めを刺すような令呪の行使も。本質は……何も変わらない。この子たちに同じ思いは……させたくないな)
「話は終わり? 用がないなら行くわよ」
「あ、待って。これ、持っててくれる?」
「なによこれ? 宝石かなにか?」
「宝石としての価値はないなぁ。適当にしまっておいてくれていいけど、なくさないようにだけはしておいて。いつか、必要になる日が来るかもしれない」
「……あっそ」
~鎮守府裏日誌~
「七色に輝く三角錐」
提督が何名かの艦娘に渡している宝石っぽい“ナニカ”だよ。
用途も価値も不明だから、扱いも艦娘によってだいぶ異なるね。大事に保管している娘もいれば、適当に引き出しに放り込んでいる娘もいるし、中には肌身離さず身に着けている娘もいるよ。ちなみに、曙はなんだかんだ言いつつわざわざ小箱を用意して丁寧に保管するタイプ。
でも、なぜか腹心とも言える電や大和は持っていないんだ。代わりに、電は提督のPCのパスワードを知っているし、大和は生体認証を登録してるから、二人がいれば提督のPCを開くことができるぞ。
他にも、「物」だったり「役割」だったりを任されている艦娘がいるけど……何か理由があるのかな?
ネタバレ上等の設定集、いる?
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いる
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いらない
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そんなことより続きはよっ
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全部晒してしまえwww