〈艦これ×FGO〉神機残響海戦 七大洋 ~天地人の狭間~   作:やみなべ

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キャスト:提督、明石


「女の子ですから」

「……………………………………………………はぁ」

 

(別に、普通の女の子みたいにお洒落しよう、なんて思わないし興味もないけど。精神的に幼い傾向の強い駆逐艦ですら可愛いアクセサリーとかちょっと背伸びした洋服とかで盛り上がっているのを見ると、つい我が身を顧みて寂しく感じるのは何なのかしら。心もメンテできたらいいのに、人間たちはずっとこんな厄介なものと付き合ってきたって言うんだから、ちょっと本気で尊敬)

 

「……ぃ」

 

(素材は…そう悪くないと思うのよね。まぁ、工廠ではツナギにタンクトップで基本スッピンの洒落っ気皆無ですけど。というか、油と煤と汗に塗れてたらそんな気にもならないんだけど)

 

「…かし」

 

(まぁ、煤で黒くなった部分は洗えば落ちるとはいえ…爪の間にこびり付いた油までは落としきれないし、どんなにお洒落してみたところで、これじゃ片手落ちってものよね。“灰かぶり(シンデレラ)”の魔法で着飾ったとしても、この手じゃどんな魔法も12時の鐘の前に一発で解けちゃうってなものですよ)

 

「お~い」

 

(そうそう、何事も分相応。着飾ったりお洒落したりは似合う子たちがすればいい。私は機械いじりとかの方が楽しいし、これは一時の迷いで言うほどお洒落にも興味がない。やろうとしたら、多分すぐに“あ、やっぱり面倒”とか思っちゃうタイプですから。

 ……………………ちょっと、ここ(硫黄島鎮守府)の娘たちにあてられちゃったのかな。深海棲艦と戦うための兵器であることを忘れてるわけじゃない筈なのに、それでも“今”を楽しんで“生きている”あの娘たちに)

 

「明石ってば、聞こえてる?」

 

(私も、本当の意味でここの一員だったら、違ったのかな……)

 

「心ここにあらず、か。仕方ない…………明石!!」

 

「ひゃい!? って、提督? どうしたんですか、いきなり大声出して」

 

「いや、いくら呼んでも明石が反応しないから。大丈夫、疲れてるんじゃない?」

 

「や、やだなぁ、ちょっとぼうっとしてただけですよ。まぁ、この前の“兵装の間接操作”をはじめ、色々無理難題言われてますから、疲れてるのは否定しませんけど」

 

「はい、いつも無茶振りしてすみません」

 

「まぁ、その分私もロマン兵装の開発とか大目に見てもらってますから、結構居心地は良いんですけどね。やっぱり、持つべきは理解があって懐の広い上司ですねぇ。おかげさまで、あれもこれも色々はかどります」

 

「やれやれ、おだてても何も出ないよ。ところで、じゃあ何をぼんやりしてたの?」

 

「そこ、突っ込みます? 細かいことを詮索する男性はモテませんよ」

 

「聞かなかったフリをしてるんだから、それで勘弁してほしいな」

 

「え、声に出てました」

 

「大丈夫、小声だったから断片的にしかわからないよ」

 

「提督の助兵衛、乙女の呟きを盗み聞きするとか最低です。一度、提督も修理した方が良いか」

 

「ボソッと怖いこと言わないで」

 

「まぁ、聞かれてしまったものは仕方ない。というわけで、これ()どう思います?」

 

「………………………カッコいい、かな」

 

「へぇ、ちょっと意外。てっきり、“綺麗な手”とかのお世辞が出るかと。まぁ、そっちより断然好感度高いですよ。ちなみに、その心は?」

 

「武術でも芸術でも、それこそ明石みたいな技術だってそうだけど。そういう“確かな(モノ)”を持ってる人って、やっぱりカッコよくない? 俺はほら、素人に毛が生えた程度の事しかできないから」

 

「あ~、この前作ってた椅子とかですね。実用には問題ないでしょうが……工作艦としてはこう、ちょっと物足りないところです。あれじゃあんまり長持ちしませんし、背もたれの角度とかもうちょっと快適にできるのになぁって。あとそう、機能美もそうですけど装飾とかにも凝ったらいいのに。素朴なのも味はありますが、“白紙の紙の中央にちょっとだけ絵を描いただけ”とでも言うか、どうにも勿体なくて」

 

「……」

 

「って何ですか、そんなニコニコして」

 

「いや、明石はやっぱり物を作るのが好きなんだなって。なんていうか、凄く生き生きしてる」

 

「そう、ですね。なんだかんだ言っても、こういう性分なんです」

 

「でも、お洒落にだって興味がないわけじゃないんでしょ?」

 

「それは…まぁ。“ある()”か“ない()”かで言えば、あります。だけど、どうせすぐ汚しちゃうし、結局“動き易い、作業しやすい服の方がラクちん”って思っちゃう性質ですから。根本的に向いてないんですよ」

 

「でも、楽しむくらいはしてもいいと思うな」

 

「楽しむ、ですか?」

 

「いつもみんなに言ってることだけど、せっかく人の姿と心を持ったんだから大いに楽しんだ方が良い。別に、辛く苦しい思いをしたいわけでも、淡々と過ごしたいわけでもないんでしょ?」

 

「まぁ、どうせならその方が気分はいいですね」

 

「うん。じゃ、明石どうせ今日はもう上がりでしょ。ちょっと付き合ってよ」

 

「構いませんが……何かご用件があったのでは?」

 

「忘れちゃった」

 

「……まったく、仕様のない人ですね。いいですよ、少しだけお付き合いします。でも、後で電に怒られても弁護しませんから」

 

「あ、それは困ったなぁ。なんとかならない?」

 

「なりません」

 

 ・

 ・

 ・

 

「で、言われるままについてきたわけですが……なんですか、これ?」

 

「ネイルカラー。随分使ってなかったけど、大丈夫そうで良かった」

 

「部屋をひっくり返して何をしているかと思ったら、ネイルアートってやつですか?」

 

「そこまで大層なものじゃないけどね」

 

「相変わらず、なんでそんなものを持っているのかよくわからない技術をお持ちですね。確か、メイクの仕方を教えてたこともありましたっけ」

 

「簡単なものだけどね。今じゃ、すっかり俺より上達してるし」

 

「……女装の趣味でも?」

 

「ないよ! あれは已む無く…って、あ」

 

「……聞かなかったことにしましょうか?」

 

「お、お願いします」

 

「それで、私の爪を飾り付けようと?」

 

「さっきも言った通り、大層なものじゃないけど。カラーを二度塗りして、細筆で思いのままに線を引く……はい、できた」

 

「へぇ、手軽な割に綺麗なものですね」

 

「あとはラメとかピクシーを乗せてみたりしてもいいしね。あ、できればケアをしておいた方がもっと見栄えが良くなるよ」

 

「うへぇ……やっぱり自分でやるのはちょっと……爪がゴテゴテしてると作業に支障があるかもですし」

 

「なら、仕事のない日にでもまたおいで。余裕がある時なら、になるけど」

 

「………………………また、やってくれるんですか?」

 

「そりゃ、提案したのは俺だし。明石が“もういらない”って思わない限りは、できるだけ付き合うつもりだよ。まぁ、明石の方が器用だし、自分でやった方が綺麗に仕上がるとは思うけどね」

 

「……良いんですか、私にそこまでやって」

 

「頼まれればやるし必要なら教えるよ、誰であってもね。明石もうちの艦隊の一員なんだから」

 

(ホント、分かってるんだか分かってないんだか)

 

「ここに居る限り、みんなを守るのが俺の役割で、その中には“楽しく生きる”ことも含まれてると思ってる。だから、できる限りのことはするつもりだよ。明石にも、間宮にも、もちろん大淀にもね」

 

(っ! まさか、気付いて……)

 

「どうするのか、どうしたいのか。最後に決めるのは君たち自身だ。良くも悪くも、もう昔とは違う。君たちには、自分で自分の在り方を選ぶ権利がある。俺としてはそれを応援して、できる範囲で手伝いたい」

 

「……………聞かなかったことにします」

 

「ああ、覚えていてくれれば」

 

「ああ、それと」

 

「うん?」

 

「…………………………また、そのうちお願いする、かもしれません」

 

「なら、色々と新調しないといけないな」




~鎮守府裏日誌~

意味不明なくらいに多芸な提督だけど、基本的に大抵のことは「素人に毛が生えた」レベルだよ。でも、艦娘たちの趣味や特技の発端はだいたい提督でもあるよ。“さわり”や基礎だけ教えて、後は各々の向上心任せなのさ。何しろ、絶海の孤島にある鎮守府だからね。他に教わる相手もいないし、艦娘は軍事機密の塊だから通信教育というわけにもいかなかったのさ。
でも、提督は趣味を応援する方針だから、教材とかは結構援助してくれるよ。結果、戦闘と関係のないスキルも、半独学ながら結構レベル高かったりするんだ。

ネタバレ上等の設定集、いる?

  • いる
  • いらない
  • そんなことより続きはよっ
  • 全部晒してしまえwww
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