〈艦これ×FGO〉神機残響海戦 七大洋 ~天地人の狭間~   作:やみなべ

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キャスト:提督、天龍、大淀


「提督の勘」

「提督、艦隊から通信です」

 

“敵艦隊の撃破を確認、指示を求む”

 

「天龍、その前に被害報告」

 

“っと、そうだったそうだった。小破二、中破以上なし。このまま海域の奥まで行けるぜ!”

 

「了解。それじゃ、羅針盤を……」

 

“どうした?”

 

「…………天龍、今日はここまで。撤収の準備を」

 

“本気か? こっちの被害は軽微。燃料・弾薬はそこそこ消費しちゃいるが、まだ余裕はあるぞ? 今回は偵察だが、何ならこのまま攻略しちまったって……”

 

「天龍」

 

“……”

 

「撤収だ」

 

“……………ちっ、しゃーねーか。わぁったよ。“旗艦”天龍、了解。偵察隊、これより撤収に移る。おら、お前ら! そんなわけだ、今日はこれで帰るぞぉ!”

 

“““え~~~……”””

 

“うっせぇ、提督命令だ。文句はアイツに言え”

 

「………………よろしかったのですか? 私も、この海域を攻略するチャンスかと思いますが」

 

「うん、そうなんだけどさ……」

 

「……何か理由が?」

 

「理由って言うか……勘?」

 

「……」

 

「うん。まぁ、言いたいことはわかるから」

 

(指揮官…というか、艦隊を預かる“提督”としてはまだまだ半人前。作戦立案、艦隊運用、鎮守府運営、執務…どれをとっても勉強不足。まぁ、元が一般人で碌に教育を受けることもなく放り込まれたことを考えれば、当然と言えば当然……なのだけど)

 

「?」

 

(書類仕事は案外手慣れているし、指揮…というか采配に関しては光るものがある。というよりも、“ここぞ”というところで妙に勝負強い。勘所が良い? それとも、天性の直感? 確かに、そう考えればさっきの“勘”にも多少の信頼性はあるかもしれないけど……とても、そういうタイプには思えない)

 

「えっと…出来の悪い生徒で申し訳ない」

 

「あ、いえ、それほど悪いわけでは……」

 

「でも、特別良くもない、でしょ?」

 

(そう。普段の教練を見る限り、至って“凡庸”と言わざるを得ない。まぁ、変に図太いというか肝が据わっているし、私たち(艦娘)のことも決して軽んじたりはしない。“勘”に頼るのは考え物だけど、“慎重さ”は大事な資質。少なくとも、“勇気”と“無謀”を履き違えるよりは……)

 

「あ~、でも上への言い訳はなにか考えないとなぁ……」

 

「……とりあえず」

 

「うん?」

 

「今回のことは、“弾薬と燃料の消耗が想定を上回ったため已む無く撤退”と報告しておきます」

 

「うん、ありがとう」

 

「ですが、この言い訳もそう多用はできないこと、お忘れなく」

 

「物資がカツカツなのは事実なんだけどねぇ」

 

「それでも、です。大本営は早急に“確かな成果”を挙げることを期待しております」

 

「……無茶振りだなぁ。まぁ、やるしかないし、何とかなるよう頭をひねるのが俺の仕事か。

 とりあえずは、今の海域を攻略するための準備を整えることかな」

 

(必要なのは、“慎重さ”を抑えて踏み出す決断力。それさえ身に着けて成長すれば、前線指揮にしろ鎮守府運営にしろ、“善い提督”にはなれると思う。

でも、あくまでもそこまで。才覚はもちろん、この人の性質(優しさ)では“常勝不敗”はおろか、“優れた指揮官” さえ難しい。そもそも“善い提督”ですら、相当の場数を踏む必要があるでしょうね。それだけの場数を、果たして踏めるかどうか……)

 

「とはいえ、“準備ができる”だけまだマシか」

 

「はい?」

 

「いや、何でもないよ。早速で悪いけど、今後のことを話し合いたいから大和と資料の用意をお願いできる? 哨戒に出てる電たちが戻り次第、すぐに始められるように」

 

「はい」

 

 ・

 ・

 ・

 

「提督!」

 

「? どうしたの大淀、そんなに慌てて」

 

「先日、当鎮守府が進軍を断念した海域に横須賀鎮守府より艦隊が派遣されたのですが……」

 

「……」

 

「順調に艦隊を進めた末……我々が撤退した先の海域で敵主力艦隊と遭遇、敗走したとのことです」

 

「被害は?」

 

「……二隻が轟沈、辛うじて帰還した艦も大破か中破。傷は修復剤で塞がりますが、それ以上に……」

 

「精神的なもの、か」

 

「はい。人に近づいたことの弊害です」

 

「…………それについての議論は別の機会にしておこう。敵艦隊の編成は?」

 

「戦艦三、空母一、重巡二」

 

(流石に、この状況で情報を伏せたりはしないか)

 

「加えて、戦艦棲姫…姫級が確認されたとのことです」

 

「姫……確か深海棲艦の上位種、だっけ?」

 

(コクン)

 

「……もしかして、俺のせいだったりする?」

 

(確かに、ここで武勲を挙げることで結果的に提督の立場を悪くする意図がなかったとは言えない。思いのほか提督が粘っていることに、一部上層部が焦れているのかもしれない。でも、ここで本来提督が為すべき戦果を先んじて…となれば、他の派閥に対してもいい牽制になったでしょうから。

 戦力面でも、駆逐と軽巡が主力のうちである程度進めたことから、敵を軽んじることになったのは否めない)

 

「そうか……」

 

「提督は、こうなることをわかっていらしたんですか?」

 

「まさか……。でも、“イヤな感じ”はしたんだ」

 

「イヤな感じ?」

 

「うん。うまく言えないんだけど、色々なところ旅しているうちにね。危ないものがあったりすると、“ヤバいなぁ”っていうのがなんとなくわかったりするようになったんだ。まぁ、いつもってわけじゃないけど……そういう感じがした時は、あんまり外れないかな」

 

「……まるで小動物みたいな敏感さですね」

 

「あははは、小動物か。うん、その表現は適格だ。俺一人の場合、基本“逃げる”か“避ける”かだから。“窮鼠猫を噛む”って言うけど、噛みついたところで少し怯ませられれば上出来だし、その後は噛みついた以上に痛めつけられる未来だけだろうからね」

 

(だとしても、この“危機感知能力”は得難い資質だわ)

 

「まぁ、分かってても進まなきゃいけない時もあるから。そういう時は、腹を決めるしかないんだけど。

さしあたっては、この後のことかな」

 

「艦隊を、派遣されるのですか?」

 

「しないわけにはいかないよ。うちが引いたことで被害が出てるし、放置したところで真っ先に危険にさらされるのは“ここ”だ。なら、主導権を握れるうちに動いた方が良い。違う?」

 

「いえ、その通りです」

 

「……うん。それじゃ、ありったけの資材をかき集めよう。今回は大和にも出てもらう」

 

「総力戦ですね。電が泣きますよ」

 

「ま、まぁ、そこはなんとかフォローするとして……うちの場合、戦力自体が限られてるからね。こればかりは仕方ない。出し惜しみして勝てる相手じゃないだろうし」

 

「現状、駆逐と軽巡がほとんどですから。大和さんに出てもらわないと有効な打撃を与えられません……夜戦まで持ち込めれば話は別でしょうが」

 

「そう言うこと。戦力の逐次投入は愚策、やる時は一気呵成に、ってね」

 

(この人は、艦隊を指揮するには優しすぎると思ったものだけど……随分と思い切りが良い。時々、まるで何度も場数を踏んできたかのように思うことがある……なんて、そんなことあるわけがないのに。それとも、深海棲艦が現れるまでも結構物騒だったりしたのかしら?)




~鎮守府裏日誌~

提督の能力を客観的に評価すると“まだまだ発展途上”というのが正しいね。何しろ、艦隊の指揮官としては知識も経験も何もかもが足りないんだから当然さ。実際、着任してからは執務と並行して吶喊で教練を受けているような状態だ。まぁ、覚えは悪くないけどかといって光るものがあるわけでもないんだけどね。
ただ、案外事務処理は手馴れているし、「進撃」と「撤退」の見極めでは異様な鋭さを発揮することがあるよ。大淀は「チグハグで評価が難しい」とボヤいているけど、無理もないね。

ネタバレ上等の設定集、いる?

  • いる
  • いらない
  • そんなことより続きはよっ
  • 全部晒してしまえwww
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