〈艦これ×FGO〉神機残響海戦 七大洋 ~天地人の狭間~   作:やみなべ

26 / 105
キャスト:提督、大和、ゴーヤ、イク、イムヤ


「それでもまだマシな方」

「うん、こんなものかな。次は?」

 

「工廠から追加予算の申請が来ています」

 

「またか。この前“51cm六連装砲”の件で電に絞られたばっかりだっていうのに……」

 

「良い所まで行ったんですが……」

 

「え?」

 

「ぁ、いえ、なんでも……」

 

「一斉射したら砲塔が根元から吹っ飛んだのに、“良い所”?」

 

「で、ですがアレはとても画期的だったんですよ! 通常大口径主砲は“三連装”までとされてきました。それを飛躍させ、まさかまさかの倍の“六連装”! やはり、大火力は砲雷戦……いえ、艦隊戦の華! ロマンだと思うんです!」

 

「それ、電の目を見て言える?」

 

「……………………………………………悲しい事故でした」

 

「……まったく。それで、今回の理由は?」

 

「“艦隊全体の火力底上げを目的とした兵装の改修”とのことです。具体的には…え?」

 

「どうしたの?」

 

「それが、その……“12cm単装砲”を“一式徹甲弾”が装填可能なように改修する、とのことです。あの、こんなことしたら軽巡ならまだしも駆逐艦は沈むんじゃ……」

 

「あのマッド……却下、次」

 

「は、はい。ええっと、潜水艦から待遇改善の陳情書が来ていますね」

 

「……悪いけど、ゴーヤたちに駆けずり回ってもらわないと回らないのが現状だからなぁ」

 

「そう、ですね。とはいえ、彼女たちはどの艦種よりも数が少ないですから。ローテーションを組んだところで……」

 

「まぁ、できるとしたらそれ以外の部分か」

 

「ですが、既に予算が……」

 

「足りない分は俺が出すよ。設備・娯楽・嗜好品……あと、“おつかい”のリクエスト権を優先的に回してあげて」

 

「……」

 

「どうしたの?」

 

「あ、いえ……彼女たちにとても親身に対応してくださるので……」

 

「ああ、まぁね。ブラックな労働環境も閉鎖空間に缶詰めになるストレスも、ちょっと心当たりがあってね。気持ちはわかるから出来れば改善したいけど、難しいなら他のところで埋め合わせしないと」

 

「潜水艦にでも乗っていたことがおありなんですか?」

 

「まぁ、ちょっとね」

 

“パチクリ”

 

「ついでに、遭難船の苦労も知っているつもりだよ。仕事量多くてヤバいんだよねぇ」

 

(えっと……冗談、よね?)

 

「あと、予算配分の説明会も開こう。不透明なままだと、他の娘たちから不満が出るかもしれない」

 

「あ、はい。彼女たちの状況が分かればみんなも納得してくれるでしょうから、良い考えかもしれません」

 

「でしょ?」

 

 ・

 ・

 ・

 

「うにゅ~……地獄の20連勤がやっっっっっと終わったでち」

 

「いいよね~、ゴーヤは。私はようやく折り返し、まだまだ先は長いわ」

 

「何言ってるんでち。ゴーヤはイムヤが非番の日も潜っていたんだから、当然だよ」

 

「まぁ、勤務日数はみんな同じなんだけどねぇ~。とりあえず、私が潜ってる間スマホお願い」

 

「ゲームなんてゴーヤ分からないよ」

 

「大丈夫、ログインだけしてくれればいいから」

 

「ふ~ん」

 

「艦隊帰投、なのね!」

 

「げぇ~、帰ってきちゃったかぁ~」

 

「文句言ってないで早くイクのね! 次はイムヤの番なのね!」

 

「はいはいっと。そいじゃ、いってきま~す」

 

「「いってらっしゃ~い(なの/でち)」」

 

「……」

 

「……」

 

「それでゴーヤ」

 

「なんでち?」

 

「提督は何か言ってたのね?」

 

「残念。待遇改善はまたの機会に持ち越しでち」

 

「ぶ~、提督は意地悪さんなのね! そろそろイクの魚雷がうずうずしてきたの……!」

 

「ほい」

 

「?」

 

「右から順に大吟醸、泡盛、紹興酒、ブランデー、ワイン……お高いジュースもあるでち。好きなのを一つ選んでいいって」

 

「っ!?」

 

「他にも高級洋菓子に和牛ステーキ、栗ご飯が待ってるでち」

 

「……も、もので買収されるほどイクは安い女じゃないのね」

 

「それじゃ、イクの分はゴーヤがいただくでち、ごちっ!」

 

「あ、それはダメなのね! イクの分はちゃんと残しておくのね!」

 

「……まぁ、ブラックな分色々優先的に回してもらってるんだから、文句を言ったら罰が当たるよね」

 

「……否定はしないの。たぶん、艦娘一人当たりに充てられてる予算はイクたちが一番多いのね」

 

「てーとくは潜水艦使いが荒いけど、その分の埋め合わせはちゃんとしてくれるでち」

 

「そういえば、はっちゃんがいないのね」

 

「ハチなら部屋で読書中。“おつかい”がいっぱい新刊運んできてくれたから、当分は出てこないでち」

 

「あ~、なら非番の間はお籠りなのね」

 

「というか、ローテの隙間もずっと読んでる気でち。ご飯とトイレはこっちで管理するでち」

 

「ホントに忘れるから質が悪いのね」

 

「「あ~、もっと潜水艦増えてほしい(でち/のね)」




~鎮守府裏日誌~

どこの鎮守府でもだいたいそうだけど、硫黄島鎮守府でも例に漏れず潜水艦たちの勤務体制は中々にブラックだよ。特にここの場合、とにかく人手の少なさと層の薄さが課題だから、偵察や哨戒は基本単独任務になりがちだね。他の艦娘たちが艦隊を汲んで行動していることを考えれば、間違いなく一番危険かつ酷使されているわけさ。
ただ、提督はそんな彼女たちの状況が他人事に思えないみたいで、出来る限り他の部分で補填しようとしてくれているよ。食料や住環境の他、嗜好品なんかも優先的に回してくれているしね。特に食に力を入れているのは、たぶん昔の上司の影響かな。

……なんでも、偶に潜水艦たちはお酒を呑みながら愚痴大会を開いたりしてるそうなんだけど、提督はシレッとそこに混じって当たり前のように溶け込んでいるんだ。鍛え抜かれたコミュ力のなせる業なのか、あるいは“ブラック”な勤務体制に一家言あるのか……いったいどっちなんだろうねぇ。

ネタバレ上等の設定集、いる?

  • いる
  • いらない
  • そんなことより続きはよっ
  • 全部晒してしまえwww
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。