〈艦これ×FGO〉神機残響海戦 七大洋 ~天地人の狭間~   作:やみなべ

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キャスト:提督、扶桑、時雨


「不幸体質」

「はぁ……今回もまた大破。なんとか海域最奥まではもったけど、それでも……」

 

(扶桑、やっぱり気落ちしてる。無理もないか、出撃すれば毎回大破してるんだから)

 

「戦果はパッとしないし、艦隊には馴染めた気がしないし、いつまで経っても山城は来ないし……いつも入渠してるから、どうせみんな『ドックの主』とか思ってるんでしょうね」

 

(違うよ扶桑、みんなそんなこと思ってないから。君がいなかったら、今回の作戦だって……)

 

「はぁ、空はあんなに青いのに……“ベチャッ”言いたくはないけど、不幸だわ」

 

(……うん。今のは流石に否定できないよ。ピンポイントで鳥のフンって、逆にスゴくない?)

 

「防御力とか速力とか、欲しいものはたくさんあるけど……今は“運”が欲しいわ、切実に」

 

「扶桑」

 

「あら、時雨。どうしたのかしら、そんなに暗い顔して」

 

「その、提督が呼んでるよ。話があるって」

 

「ふふっ、いよいよ戦力外通知かしら」

 

「提督はそんな人じゃないよ。それに山城のことだって……大丈夫。雨はいつか止むさ」

 

「そうね。そうだと良いのだけど……」

 

 ・

 ・

 ・

 

「あ、あのね提督! 扶桑はその…ちょっと不幸体質なだけで、別に脆いとか遅いとかその割には火力が微妙とかそんなことは全然なくって!」

 

「時雨、後ろ後ろ」

 

「え?」

 

「むしろそれトドメ」

 

「ふ、ふふっ……そうね。火力なら金剛たちにも負けないけど、速力で大負けだし。伊勢や日向にはその火力すら……ましてや大和や長門に勝てる要素なんてあるのかしら? 所詮私は欠陥戦艦……」

 

「わぁっ!? ごめんよ扶桑、悪気はなかったんだ!?」

 

「……う~ん、このぐだぐだ感よ。ちょっと懐かしくなってきたぞ?」

 

「提督もしみじみとしてないでフォローしてよ!?」

 

「じゃあ、とりあえず本題に入ろうか」

 

「この流れから!?」

 

「はい、これ」

 

「……提督、これはいったい?」

 

「ん~、見慣れないと思うけど、一種の御守り…かなぁ」

 

「御守り、ですか?」

 

「見たことがないデザインだね。どこの神社の? ご利益は?」

 

「いや、日本のじゃないんだ。ギリシャとインドとその他諸々のなんやかんや色々詰まった、ご利益的には“幸運”の御守り?」

 

(うわっ、すっごく怪しい)

 

(初めての提督からの贈り物がこんな胡散臭い代物だなんて…本気で不幸だわ)

 

「あ、その目。信じてないな……まぁ、騙されたと思って持ってなよ。貰い物だから“あげる”ってわけにはいかないけど、しばらく貸しておくからさ」

 

「はぁ……」

 

 ・

 ・

 ・

 

「……提督」

 

「お帰り、扶桑。報告は聞いてるよ、大活躍だったみたいだね」

 

「………………………その件でお話が」

 

「うん」

 

「こちらの御守り、お返しします。私には、過ぎたものです」

 

「余計なお世話だったかな?」

 

「……いえ。私、自分でもどうかと思うくらいの不幸体質なのですが、そんな私がこれを持ってからまったく不幸に見舞われませんでした。本当に、凄いご利益だと思います」

 

「まぁ、モノがモノだからね」

 

「お陰様で、今回の作戦で私は一切被弾しませんでした。でも、その代わりとばかりに僚艦が尽く被弾して……欠陥だとしても、私は戦艦です。装甲も、他の艦種に比べればずっと頑丈です。なのに……あんな思いをするくらいなら、“幸運”になんて、なりたくありません」

 

「………………………ごめん。多分こうなるんじゃないかって、知ってて渡した」

 

「そう、なのですか?」

 

「気付いてた? 扶桑が出撃した時って、他の娘たちの被弾率が凄く低いんだよ。まるで、扶桑がみんなに向けられた砲弾を引き受けてるみたいにさ」

 

「そんなことは……」

 

「扶桑にそのつもりはなかったんだと思う。でも、結果的にはそうだったんじゃないかな。

 俺はさ、扶桑の“不幸”はすごく“優しい”んだと思う。仲間の代わりに傷ついて、みんなを守ることができる、そんな力なんじゃないかって」

 

(そんな風に、考えてくださっていたんですね。私は…自分のことなのに、そんなこと思いもしなかった)

 

「だけど、それを扶桑が嫌だと思っているのならできるだけのことはしようと思った。望まない在り方、役目を押し付けるようなことはしたくなかった」

 

「だから、あの御守りを?」

 

「うん。それで、どうする?」

 

「……………やっぱり、この御守りはお返しします。私にその“幸運”は過ぎたものですから。

 この身の“不幸”で仲間たちを守れるのなら、そう悪いものでもないのでしょう。今は、そう思えます。

 少なくとも、仲間たちが傷つくよりは、ずっと……」

 

「……わかった。だけど、そんなに重く考えなくていいんじゃないかな。プライベートなら、少しくらいの幸運は許されると思うよ」

 

「…………はい」




~鎮守府裏日誌~

「幸運の御守り」

古今東西の神様・術師・聖人なんかが寄ってたかって加護と念と祈りとその他諸々詰め込んだオーパーツだ。一周回って良くないものを招き寄せそうなくらいアレな代物だけど、不幸体質・不運艦と名高い扶桑を強制的に「幸運艦」にしちゃうくらいのご利益はあったようだね。
なにしろ、中核にはインド神話の幸福の女神の化身が携わっているらしいっていうんだからさもありなんと言ったところかな。なんでも、所謂「幸運艦」……中でも瑞鶴と滅法相性が良いっていう噂があるとかないとか。

ちなみに、提督が持ってもあんまりご利益はないよ。
彼の場合、色々な意味で“運”が強すぎるらしいね。幸福の女神の加護を振り切るってどれだけ…と言いたいところだけど、さもありなん。二度も世界の危機に巻き込まれた挙句すべての責任を背負う羽目になったかと思えば、無力な一般人なのになんだかんだで綱渡りの末に大逆転を果たす……良くも悪くも人間離れした運の持ち主だ。
そりゃ幸福の女神もお手上げになるってものさ。

ネタバレ上等の設定集、いる?

  • いる
  • いらない
  • そんなことより続きはよっ
  • 全部晒してしまえwww
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