〈艦これ×FGO〉神機残響海戦 七大洋 ~天地人の狭間~ 作:やみなべ
終わりへと至る、その一歩手前の風景。
一手間違えば、現在の世界という形は崩壊へと突き進む。
深海棲艦という外敵のためではなく、そのうちにため込んだ内患故に、人は滅ぶのだ。
では、一体どうすれば…それを回避することができるのだろう。
「新しい提督が、
「う、うん。その……
「大丈夫、あなたがそんなことをするわけないって私は知っているわ。でも……そうね。どうあっても、逃れられないものよね」
「ど、どうしようか。また、前みたいなことになったら……」
「
「え? ど、どうかな……僕が聞いた時は一人だったし、まだ誰にも話してないけど」
「なら、まずは大淀への口止めね。下手に広まれば、みんなを不安にさせるだけですもの」
「でも、着任するのは決定事項みたいだよ。それなら隠しても意味はないんじゃないかな?」
“フルフル”
「もちろん、ずっと隠し続けるわけじゃないわ。でも今あなたが危惧したように、新しい提督が来ると知ればみんな少なからず動揺する。その対策だけでもしておきたいの。
せめて混乱は最小限に留めないと……提督が来てからが本番なんですもの。その前に足並みを乱すのは避けたいわ」
「そうだね…じゃ、僕は大淀のところに行ってくるけど
「
「わかったよ!」
“クルッ!”
「あ、待って時雨」
「? どうしんだい?」
「新しく着任する提督についてわかることはあるかしら? 年齢とか、キャリアとか…できれば、思想についても」
「ごめん、僕もそこまでは……」
「気にしないで。ただ、大淀にはそのあたりのことを気にしてることも伝えてちょうだい」
「うん!」
(……とはいえ、あまり期待はできないでしょうね。あれだけ
せめて、女性なら……いえ、それも安心材料とは言えないわね。艦娘は容姿の整った娘が多い。それが男性の“獣欲を掻き立てる”ように、女性であれば“嫉妬と嫌悪を買う”なんて話も聞くわ。“性処理の道具”になるか、“憂さ晴らしのサンドバッグ”にされるかの違いなのかも)
“チッチッチッ♪”
「はぁ……空はあんなに青いのに。どうして、私たちは……」
※太平洋上のとある孤島で行われた会話より一部抜粋
・
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深海棲艦が現れて三十余年。人類は未だ、歴史の深淵から現れる脅威を駆逐できずにいた。
しかし、それは決して絶望的な状況を意味するものではない。むしろ、良くも悪くも世界はある種の“安定期”に入っていた。全ての海を奪還できたわけではないものの、ある程度の航路は確保できている。時折深海棲艦の襲撃を受けたりすることもあるが、流通はそれなりに安定していた。
とはいえ、大規模攻勢を仕掛けることも仕掛けられることもあるため、各国軍部は未だ臨戦態勢を維持している。ただ、民間については厭戦気分が盛り上がる程度には危機感が薄れ、深海棲艦と言う脅威に対し適応しつつあった。
そんな状況になってくれば、自ずとバカなことを考える者も出てくる。民間のみならず、軍部でもだ。
民間であれば、未だ深海棲艦との戦争が終結する見込みもついておらず、絶対的優位を確保したわけでもないにもかかわらず、“社会と人はもう戦争には耐えられない”“軍事費を削り社会保障に当てろ” と声高に主張する。それだけならまだ可愛いもので、中には人類守護の要たる“艦娘”を槍玉に挙げて批判し、場合によっては直接的な暴力に訴える事件も起こっている始末。艦娘たちが“人間に危害を加えてはならない”という規則を守っていたから大事にはならなかった。だが、そのおかげでほとんどの国では艦娘が街中に出ることは禁止され、両者の溝は日々深まるばかりだ。
軍部にしても、世論に乗る形で艦娘を道具・兵器として扱う“兵器派”が力をつけている。単純に“戦力”として扱うなら特に問題はない。元が艦艇である彼女たちにとって、その扱いは慣れ親しんだものだ。“兵器派”の中でも良識のある人物であれば、整備や補給を十分に行い、万全な状態で彼女たちを戦場へと送り出す。艦娘を建造するコスト、練度を上げるコストもバカにならない以上、“貴重な戦力”として重宝するのだ。必要とあらば“大破進軍”も“捨て艦”も行うが、不必要な無謀はしない。そんな提督とであれば、“兵器派”であっても艦娘との関係は良好だ。
そして、“兵器派”の中にも“真正の馬鹿”はいる。何を履き違えたのか、艦娘を“
そんな世の中だが、艦娘に対する人権意識は潰えていない。それというのも、太平洋上に拠点を置く艦隊が積極的に彼女たちの情報を発信し、基地周辺に民間開放エリアを建設することで交流の場を設けているからだ。まだ今ほど世論が傾く前から行われていたこの試みにより、今なお艦娘たちを擁護する声が途絶えることはない。未来を見据えて撃たれた布石は、深く強く人々の間に根を張っているのだ。事実、“人権派”に属する人々や提督にとって、彼の地とその艦隊はある種のシンボルとなっている。
まぁ、“人権派”の中にも彼女たちを人間扱いするあまり前線任務を避け、蝶よ花よと扱った結果、関係がギクシャクする場合もあるので何事も程々と言うことなのだろうが。
とはいえ、そんな“人権派”における一大拠点では、一人の女性が司令長官の執務室に呼び出されていた。
基地における最高権力者からの呼び出しとあっては、緊張のあまり顔を青くしている…ところなのだろうが、彼女の面には“緊張”の「き」の字もない。実に気楽に、まるで友達の部屋に遊びに行くかのような軽やかさで歩みを進めている。
つい先日、基地内にある“養成校”を卒業したばかりでようやく任官したばかり…つまりまだ自分の艦隊どころか、一人の艦娘も部下に持たない新米とは思えないふてぶてしさだろう。あるいは、この部屋の主の人徳のなせる業なのか。
とはいえ、時と場合を使い分ける程度の良識はあるようで、部屋の前につくと制服を整え、制帽の向きを直してから扉をノックする。
“コンコン”
「藤丸少佐、出頭いたしました」
「は~い、開いてるからどうぞ~」
(はぁ、まったくこの人は……)
それなりに場の空気を読んだつもりだったのに、相手の方がそれをぶち壊しにしてくるのだから困ったものだ。
元から“威厳”や“規律”などと言った堅苦しいもので皆をまとめ上げているわけではないとはいえ、ちょっとは下っ端の配慮を汲んで欲しいところである。
「失礼します……あ、電姉だ。なに、またパパがなにかやらかしたの?」
思わず…なのだろう。素の呼び名が出てしまっているが、本人は気付いていないようだ。
「……あなたも十分過ぎるくらいに空気読めてませんからね。他の所だったら即大目玉なのです」
「「? ? ?」」
「はぁ……もういいのです。さ、司令官もさっさと本題に入ってください。まだまだ処理しなければならない案件が山積みなんですから」
「っとと、そうだったそうだった」
二十年来の付き合いになる秘書艦からの苦言に、あまり答えた様子は見せない。長官の緩さは立場を考えればどうかと思うが、これが彼にとって一番“仕事をしやすい姿勢”であることはよ~くわかっている。今更それを矯正する気はないし、いざという時の切り替えの早さと判断の速さは信頼している。
至らないところはあるが、それをフォローするのが自分たちの役割であり、そのことにやりがいを感じている時点で電の負けなのだろう。
とはいえ、だからと言って目の前にいるオシメも替えたことのある女性まで大目に見てやるつもりはない。
「なにかあるの?」
「こほん」
「あ~……なにかあったのでしょうか?」
「……機密とかもあるので、あんまり聞くものじゃないのですよ」
「まぁまぁ。それに、別に機密事項ってわけじゃないんだから」
「それはそうですが……」
「単純に、海域調査に行ってた神通たち二水戦が帰ってくるからその報告があるのと、それに関連して榛名と瑞鶴を呼んで打ち合わせがあるってだけ」
「あ、榛名ママたちもなんだ。もしかして大きな作戦が……」
“ジ~……”
彼女にとって、幼い頃から周りにいた艦娘たちは“母”や“姉”も同然だった。だから、ついつい気安くなってしまうのは仕方がないことなのだろう。しかし、それに“ケジメ”を付けるのが大人というものだ。
“養成校”に入る際、口を酸っぱくして言い含めたというのに……二番目の姉に倣ってジト目を向けてやれば、見る見るうちに小さくなっていく。ネコ可愛がりするメンツが多い中、“このままではいけない”と毅然とした態度で接してきた甲斐あって、電に対しては全く頭が上がらないらしい。思春期にはいわゆる反抗期と言うのもあって、色々と悩んだのも今となっては懐かしい思い出である。
こうして、素直ないい娘に育ってくれたのだから……身内に対してはちょっと子どもっぽくなるのが気がかりだが。
「し、失礼しました」
「司令官も、なのです。いい加減本題に入ってください」
「ごめんごめん。さて、唐突で悪いんだけど……君の配属が変わることになったんだ」
「はへ?」
予想だにしない話題に、間の抜けた表情を晒している。が、電もそんな反応を他所にどんどん話を進めていく。
「元々の予定では第二艦隊で経験を積んでから、戦隊の一つを預けるつもりだったのですが…状況が変わったのです」
「えっと……つまり、外の基地に行くってこと?」
“ジト~……”
「ですか、電中佐相当艦殿」
「そういうことなのです。ただ、一つ問題があって……」
「問題、ですか? ですが、外部への配属を希望する人もいますし、別に今までに例がないわけでは……」
そう。実際、この基地は対深海棲艦における要衝の一つ。欧州やアフリカ、さらには南北アメリカ大陸にも艦隊を派遣するし、場合によってはスエズ運河や喜望峰を通って太平洋に派遣することもある。
その練度と装備の質は数ある艦隊の中でも指折りであり、とりわけ連携については飛び抜けている。同時に、そのノウハウを惜しみなく次世代に伝えるために基地内に“養成校”を設け、排出された提督たちはみな優秀と評判だ。問題点としては、皆一様に艦娘に対する距離感が近いので、“兵器派”の権勢が強いところや“兵器派”でなくてもこの基地の影響力が広がるのを懸念して受け入れないところが多いことだろう。
まぁ、それでも受け入れ先はそれなりの数があるわけだが。
「まず、行き先が今まで受け入れてくれてたどこの艦隊でもないんだ」
「それは…確かに珍しいですね」
「実は、その艦隊の母港周辺で先日深海棲艦の大規模な動きがあったのです。それに恐れをなした提督は艦隊に防衛を命じて早々に遁走」
「うわっ、ひっど……」
気を引き締めたつもりが、つい巣が出てしまったらしく慌てて口を閉じている。電も流石に咎める気にならなかったのか、丁重になかったことにしていた。
「偶々うちから別件で派遣していた支援艦隊が動き察知して応援に向かってね。それで事なきを得たんだけど、逃げ出した提督って言うのがさ」
「逃げただけ、ではなかったんですね」
「所謂“ブラック鎮守府”というものだったようなのです。元々、体のいい左遷場所扱いだったそうで。そこで中央に戻るための戦果を求めて無謀な運用を続け、何人も轟沈。補給を疎かにしていたらしいですが、それでどうやって戦果を挙げられると思ったのか……というか、勝手に左遷場所にしないで欲しいのです。
残していった機材や設備も全然活用してなかったみたいですし。それどころか、ほとんど壊されてるってどういう了見ですか! 結果的に夜逃げ同然だったとはいえ、他人の家を何だと思っているのです。まったくもう!」
(? そこのことを知ってるみたいな口ぶりだけど……)
「その後は戦艦と空母を建造しようとしたようでね。たぶん、戦果が上がらないのは戦力が不足しているからって考えたんじゃないかなぁ」
「そんな温い考えで何とかなるほど甘い場所じゃないのです。まったく、あそこでは他にも増して地道な遠征と丁寧な哨戒こそ重要なのに。
とにかく、それで資材をつぎ込み続けた結果、当然のように枯渇…したのはまだ良い方でしょうか」
「え、それで!?」
またまた素が出てしまったが、資材運用については一家言ある電だけに気持ちはよくわかるのだろう。これまた丁重に聞かなかったフリをし、話を続ける。
「横領と着服をはじめとした各種不正のオンパレードと、それを隠蔽するための帳尻合わせに食費を削って粗末なものしか出されなかったそうなのです。あ、もちろん自分は例外で見事に肥え太っていたようですね」
「食費削ったくらいで何とかなるものなんですか? というか、そんなことしたら艦隊運用もままならなりませんし、装備の開発だって……」
「もちろん全部二の次だったようなのです。あと、予算については慰安施設も予算を削られて閉鎖されたそうで。あんな場所ですから外出もままなりませんし、慰安施設まで閉まってしまったら……」
「建造で生まれた娘も解体されるか狭い部屋に押し込まれて雑魚寝、自由時間もなければただ部屋の外に出るのにも許可がいる始末だったそうだよ。もちろん、申請しても目を通しすらしなかったらしい。休暇なんて言わずもがな……牢獄だってもう少し人道的だ」
「それに加え、艦娘に対するセクハラの域を超えた性的暴行…暴力も日常的だったそうなのです」
それはまさに、絵に描いたようなブラックさだ。一周回って“お見事”と言いたくなるほどに。
「……え、待ってください。そこに行くんですか、私が?」
「いや、流石に見過ごせなくて抗議文とか送ったらさ。“そんなに言うならお前たちが何とかしろ”って。結局、管理とかその他諸々こっちが受け持つことになったわけ。俺が行けたらいいんだけど……」
「それは流石に無理なのです」
「だって」
「でしょうね」
「加えて、あちらの艦娘は相当な人間不信らしく……打ち解けるのは非常に困難でしょうね」
「あ~…私が選ばれた理由、分かった気がします。まぁ確かに、此処で育った私が一番此処の思想とスタンスに親しんでますもんね。ある意味、長官のコピー…みたいな?」
同期や先輩たちも此処の思想を理解してはいるだろうが、彼女ほどではない。誰よりも身近に、長年に渡って此処の空気を吸って育った彼女は、誰よりもこの空気を作り出した人に近いのだろう。そんな人間でなければ溶かせないほどに、あちらの艦娘たちの心は頑なになっているのだろうか。
「頼まれてくれる?」
「…………」
「もちろん、無理強いはしないのです。あなたが一番適任そうと言うだけで、他にも人はいるのですし」
「……その人がダメだった場合、どうなります?」
「……最悪、艦隊を派遣して保護する形になるか、あるいは全員まとめてこっちに来てもらうかだろうね。もしかしたら、引っ越してもらった方が良いのかもしれないけど」
「……………そのお話、謹んでお受けいたします」
少しだけ悩んで出した結論。だが、安易に受けたわけではない。彼女より優れた指揮官は他にもいるだろうが、今求められているのは“優れた指揮官”ではない。
他ならぬこの人たちが彼女を選んだというのなら、自分こそが適任なのだろうと思ったからだ。もし、自分以外の者が言って失敗したら…彼女たちはきっとさらに人間を信じられなくなるだろう。それならいっそ、最初から最も適した人材が向かうべきだ。自分が言ったからと言って大丈夫とは限らないが、最善を尽くすべきだろう。
こちらに引き取るという手も、場合によっては反発を生む可能性がある。せめて、ある程度の信頼関係を築いてから実行すべきだ。
なにより……放っておけないと思った。人生のほぼ全てを艦娘たちと共に生きていたからこそ、そんな人たちが苦しんでいる状況で、できることから逃げるような真似はしたくなかった。
「いいの?」
「はい」
「……わかった。可愛い子には旅をさせよ…ってやつかな。電、手続きは任せてもいい?」
「はい、なのです。……あんなに小さかった子が、すっかり立派になって…時間が経つのは早いのです」
「あはは……それで、私の行き先というのは?」
「……硫黄島だよ」
その島の名を聞いて、彼女は改めて“家族”に感謝した。これを先に聞いていたら、きっと自分は一も二もなく話を受けていただろう。だってそこは、家族にとって“始まりの地”なのだから。
どうして、そこを放っておくことができるだろうか。
そう考えるとわかっていたからこそ、言わずにいてくれた。自分で考え、選ばせてくれた。
今も昔も、自分は大勢の家族の愛によって包まれていることを実感する。
ならばこそ、その信頼に応えたい。そう、思ったのだ。
「ところで、過度のスキンシップには注意するのですよ。あなたは感情が昂るとすーぐ抱き着く癖があるのです」
「は~い」
・
・
・
それから、数ヶ月後。
「提督、艦隊が帰投しまキャッ!?」
“ギュ―――――――ッ!”←ダイブからのハグ
「
「……はい。私こそ、信じてくださってありがとうございます、提督」
「キャ――――――――ッ!?
「ちょっと包丁で指切っただけでしょうが! 落ち着けっての、クズ提督!」
「
「あ、霞がまた提督にお姫様抱っこされてる」
「あんなに真っ赤になって照れちゃって、満更でもないくせに……」
「聞こえてるわよ、そこ!! アンタたち、あとで覚えてなさいよ!」
「だれか、だれか助けてください!?」
(ああもう。なに泣きそうな顔してんのよ、まったくもう……)
「提督さん。お洗濯もの、こちらに置いておきますね」
「いつもありがとね、
「気にしないで、由良に任せてください。ね?」
「そう? って、なんか顔赤いけど大丈夫? まさか、熱!?」
「ち、違いますよ! ただちょっと、夕立ちゃんに、その…“ごにょごにょ”してる所を見られちゃっただけで」
「? ? ?」
「そ、そんなことよりも! 一休みしてお茶にしませんか!」
「あ~、お茶…お茶ね」
「ねっ! ねっ ?はい、お茶はこちらにご用意しますから。ちょっと待っててください」
“ガチャ”
「お待たせ、提督。ゴト特製の“
「ゴトランドさん……それは、まさか」
「見ての通り、お茶の準備よ。あっ、あなたもどう? それはそれで魅力だし、楽しみっ!」
「そ、そうですか。では……」
「あれ、
「ふ~ん……じゃ、ゴトも」
(えっ、反対の手に
「「さっ、提督。食べたいものを教えて。私が取ってあげるから」」
「…………………え?」
「ねぇ、
「えっ! い、いえ、そんなことは……」
「あ、ジッとしてて。どれどれ?」
“コツン”←おでことおでこをくっつけている
「あ、あの、提督、これは……///」
「んー? 熱は…ないか。でも、ここのところ立て込んでたし…提督命令で今日は休暇。いいね?」
「で、ですが……!」
「い・い・ね!」
「……はい」
「よろしい。あとでリンゴ剥いてあげるから、大人しく待っててね♪」
「ウサギ、ですか?」
「ウサギです。好きでしょ?」
「…………………………はい」
「あれ、
「あ~、提督~。おはよ~」
「眠そうだけど…ねぇ、寝たの何時?」
「えぇっと~……………………………これから?」
「ん?」
「だから、その…これから寝るところです、はい」
「……まったく、寝起きにしてはくたびれてると思ったら。
「へ?」
「いいから座って。ハリーハリー! で、こっち向いて」
「はぁ……むぐっ!?」←割と豊満な胸に顔を埋めさせられた
“ポンポン”←夕張の頭を胸に抱きしめつつ、背中を軽く叩いてやる
「はい、そのまま。もうこのまま寝ちゃいなよ、寝入ったら部屋まで運ぶから」
「でも…悪いですよ。汚れちゃいますし……」
「いつも頑張ってくれてるし、そんなこと気にしないの。ほら、いいから寝た寝た」
(あ、やばっ…あったかくてやわらかくて、すごく好い匂い…気持ちいい、癖になるかも)
「あの…
「提督、私先日も申し上げましたよね。あまり根を詰めることのない様にと」
「そうだね。でもさ、ほら…大きな作戦が控えてるし」
「細かなところは私がやっておきますから、今はお休みになってください! ……みんな、心配しているんですから」
「は~い……でも、せめて降ろしてくれないかなぁ、なんて」
「却下です。ちょっとは懲りてくださらないと」
(うぅ、おどおどしてた頃が懐かしい…いや、明るくなって良かったんだけどね)
「は~い、ユーちゃん。口の端を持ち上げて…“ニコッ”」
「こう、ですか?」
“ヒクヒク”←上手く持ち上がらず、引き攣ったような笑みに
「う~ん、まだ固いなぁ……もうちょっとリラックスして」
「こ、こう?」
「あっ! 良い感じ。せっかく可愛いんだし、やっぱり笑顔の方がいいよ。ほら、ニコッ♪」
「に、にこっ……」
「キャワイイイイイイイ!! 高雄、カメラ! カメラを頂戴!」
「落ち着きなさいな、愛宕。いえ、気持ちはよくわかるのだけど」
「ええっと…
「提督が私に襲われそうになってる状況?」
“ニヤッ”←指を絡め、半ば押し倒しながらの“餓えた狼”の微笑み
「うわっ、今のちょっとグッと来た」
「よーし、そのまま食べられちゃいなさいな♪」
「ん~♪
「ふ~ん、私はチョコミントも好きよ? 提督ってば子どもなんだから」
「むむっ、
「あら、怖い♡」
“じ~っ”
「……ねぇ、
「はい。なぁに、提督」
「もしかして……食べたかったりする?」
「そうね~、一口いただけたら嬉しいわ」
「しょーがないな~。
「あら、嬉しい」
「あ、でも…スプーンの予備が……えっと、
「ええ。それじゃ、一口…はい、あーん♪」
「あれ、私に?」
「もちろん。提督の幸せそうな顔が、私にとっては一番の御馳走ですもの。だから遠慮なく、あーん♪」
「あれ~、確かここにしまったはずなんだけどなぁ……」
「どうしたの、提督?」
「あ、
「ああ。それなら、この間イヨが“いいものみ~っけ”ってはしゃいでたから、それじゃないかな?」
「え~…楽しみにしてたのに。
“ショボ~ン(´・ω・`)”
「ふふっ…そんなに落ち込まないで、提督」
「うぅ…私のチョコ~。楽しみにしてたのに~」
“ナデナデ”←自分より頭一つ分以上小さい相手に頭を撫でられている
「よしよし……なら提督、僕の部屋に来ない? 実は、クッキーでも焼こうと思っててね。よかったら、一緒にどうかな?」
「え、いいの?
「まぁね。でも、一人増えたくらいなら問題ないさ。ただ、作るのはこれからだから、少し待ってもらうけど…それでも良ければ」
「あ、それじゃ私も手伝うよ。これでも、料理はそれなりにできるからね」
「にゃー!」
「ニャー!」
「
「えへへ~」
「でしょ! ほら、提督さんもつけてつけて!」
「え、私も?」
「あぁ、もう、リベ! 見せるだけって言ったでしょ! 提督にあんまり無理を言ったら……」
「どうかな、似合う?」
「すっごいカワイイ! ほらほら見てよ、提督さんとお揃い!」
「そ、そうね……」
「あ、そうだ。せっかくだし、
「わーい! 私呼んで来るね!」
「え、あ、ちょっリベ!? ……行っちゃった」
「楽しみだね~♪」
・
・
・
「す~」
「ぴ~」
「く~」
「あら…みんなで遊び疲れちゃったのね。提督まで一緒に…クスッ、よしよし。写真にとって……みんなに共有しちゃいましょ。アクィラのお手柄かしら?」
「っていう夢を見たんだ」
「どんな夢なのです、それ!?」
「ママ、榛名がママ……提督、どんな名前が良いと思いますか? 榛名は、明るく元気な子になって欲しいです!」
「ウェイトウェイト! ちょっと待つネ、榛名! まだそうと決まったわけじゃありまセーン! テイトクも、ちゃんと説明してくだサーイ!!」
「だよね! “ママ
「あら~、私が出て来ないないなんて、提督にはちょっ~っとお灸が必要かしら~」
「ふふっ、皆さん。これからお夕食ですから、ほどほどになさってくださいね。大和さんも、邪念が漏れてますよ」
「はいっ! ごめんなさいっ! 鳳翔さんと一緒に
「ちょっと提督さん、榛名はママで私はどうなの? そこんとこ詳しく!」
「あら、Admiralは参加しなくていいの?」
「ウォースパイトさん…その、なにしろ先輩の夢ですから。“只の夢”と言い切っていい物かどうか……」
「マァ、マスターナラ……ヨチムクライ…アリ、カ」
エイプリルフール企画で書いたもので、本来なら4月2日になったら消すはずだったのですが、手違いで資料集の方を消して数日経ってしまったのは忘れてほしい。
存外好評なようだったので、復活させました。
消すといったな、あれこそがエイプリルフールの嘘なのだ…ということで一つ。
ネタバレ上等の設定集、いる?
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いる
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いらない
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そんなことより続きはよっ
-
全部晒してしまえwww