〈艦これ×FGO〉神機残響海戦 七大洋 ~天地人の狭間~   作:やみなべ

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キャスト:提督、陽炎、不知火、神通


「最前線だからこそ」

「…………」

 

「不知火、アンタまた眉間にシワよってるわよ」

 

「…………陽炎」

 

「なに? 当分は私がアンタの教育係だから、何でも聞いていいわよ」

 

「ここは深海棲艦との戦いの最前線基地…それで間違いありませんね」

 

「まぁ、うちほど連中の支配海域に近いところは他にないでしょうね」

 

「それにしては少々……緊張感に欠けるのではありませんか。誰も彼もが笑ってばかり、我々が軍隊であり、ここが戦場であるという自覚が足りないのでは?」

 

「あ~、それがうちの司令の方針だしねぇ」

 

「その司令からして覇気というものがありません。最前線と聞いて身の引き締まる思いだったのですが、つまらないわね。もっと骨のある場所だと思っていたのに」

 

「…………ま、追々わかるわよ」

 

「なにがですか?」

 

「とりあえず、明日の朝からみっちり演習と訓練ね。教官は神通さんだから」

 

「……であれば、少なくとも生温いものにはなりませんね」

 

「そうね~…確かに、温くはないわねぇ~」

 

「?」

 

「とりあえず、色々自信喪失する覚悟だけはしときなさい。よっぽどのことがなければ司令も参加するだろうし」

 

「司令が?」

 

「あの人はねぇ……ああ見えて、結構すごい人だから」

 

 ・

 ・

 ・

 

「ヒトマルマルマルです。よし、朝演習終了。帰投せよ。ご飯を頂きつつ、続いて昼演習用意、はじめ!」

 

「「「はい!」」」

 

「ぜぇ~、ぜぇ~……」

 

「まぁ、初参加ならそんなものよね」

 

「お~い、陽炎」

 

「あ、司令。なぁに、どうしたの?」

 

「いや、不知火が見るから限界そうなんだけど……大丈夫?」

 

「だ、大丈、夫、です」

 

「……まぁ、返事ができるだけマシな方じゃない?」

 

「確かに。大抵の娘の場合、初日は返事も食事もままならないことを考えると、不知火は根性あるなぁ」

 

「当然ね。自慢の妹だもの」

 

「提督、電さんから連絡が。急ぎ処理していただきたい案件があるそうです」

 

「わかった、今行く。あ、じゃあ陽炎。これ、不知火に渡しておいて」

 

「おっけー」

 

「それと、今日で“スタンプ”いっぱいでしょ。これ、新しいのね」

 

「さーんきゅっ♪ さぁて、何に使おっかな~」

 

「申し訳ありません。今日もお付き合いいただきまして……」

 

「いいよいいよ。俺も体を動かしたかったからさ。それじゃ、あとはお願いね」

 

「はい、お任せください!」

 

「……か、陽炎」

 

「お、もう喋れるの? 大したもんね」

 

「司令は、私たちと同じメニューをこなしたのですよね」

 

「そうね。重りの量とかは流石に違うけど、それ以外は」

 

「……………………人間とは、あんなにも体力があるものでしたか?」

 

「……どうかな? 私も司令以外の人間は良く知らないし。ただ、大淀さんたちの反応からすると割と“普通じゃない”みたいよ」

 

「民間人あがり……だったのでは?」

 

「そうよ。だけどあの人はねぇ。“戦技”に関してはほどほどなんだけど、とにかく“基礎体力”が凄いから。意外だった?」

 

「……」

 

「みんなが笑ってるのは緊張感がないんじゃなくて、“現在(いま)”を全力で楽しもうとしてるから。なにしろこんな場所だもの、明日があるかどうかすらわからない。なら、それくらいは許されるでしょ」

 

「最前線だからこそ、ですか」

 

「司令もそう。あの人はここがどういう場所かわかっているからこそ、私たちが“生きられる”ように心を砕いてくれている。そのくせ、自分がいつか私たちに“沈め(死ね)”って命令しなきゃいけない時がくることをちゃんと覚悟してるわ。そこんところを弁えた上で私たちにああやって笑いかけられるんだから、大したタマよ。実際、敵が哨戒網を抜けてきても全然動じないし。ある意味、一番“常在戦場”な人なのかもしれないわね」

 

「…………陽炎」

 

「なに?」

 

「昨日の言葉を撤回、謝罪します。不知火の落ち度、不見識でした。ご指導ご鞭撻、よろしくです」

 

「そういうまっすぐなところ、アンタの長所だから大事にしなさいな。

 あ、それと……はい、これ」

 

「……これは?」

 

「スタンプカード」

 

「? ? ?」

 

「訓練とか演習にちゃんと参加すればスタンプ一つ、一定水準以上のスコアを出せばもう一つ。他にも、出撃と遠征の成績…そうね、アシストとかサポートなんかでも貰えるから」

 

「集めるとどうなるのですか?」

 

「間宮さんのお店とか酒保で割引してもらえるわ。最近だと、“おつかい”のリクエスト優先権もね。いろんなところで使えるから、結構お得よ」

 

「“おつかい”とは?」

 

「それはまぁ、追々ね。多分、次の“おつかい”にはアンタも参加するだろうし、その時のお楽しみにしときなさい」




~鎮守府裏日誌~

建造にせよドロップにせよ、実は着任したての艦娘の提督への第一印象があんまりよくないことは間々あるね。
自分たちを指揮・統率するには、どうにも覇気に欠けるというか……ぶっちゃけ、頼りなく感じてしまうみたいだ。まぁ、基本的に…どころか、大抵のことは朗らかに笑って受け止めちゃうからそう思ってしまうのも無理はないんだろうけどね。

でも、その第一印象はまず長続きしない。
何しろ場所が場所だ、彼女たちですら平常心ではいられない事態なんて日常茶飯事。近海に敵艦隊発見…ってなったら普通大なり小なり動じたり緊張したりしそうなものだけど、普段と変わらないペースで指示を出す姿に「あれ、実はかなり肝が据わってる?」と見直すことになるのさ。
まぁ、彼のキャリアを考えれば、今更「話の途中だがワイバーンだ!」位じゃ動じないのも当然だろうけどね。

ネタバレ上等の設定集、いる?

  • いる
  • いらない
  • そんなことより続きはよっ
  • 全部晒してしまえwww
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