〈艦これ×FGO〉神機残響海戦 七大洋 ~天地人の狭間~   作:やみなべ

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キャスト:提督、電、大和、大淀、明石、間宮


「イメージするのは?」

「うぅ……まさかいきなり戦艦レシピを回すなんて、正気じゃないのです……」

 

「えっと…そんなに?」

 

「まぁ、初期資材でも回せなくはないですが、燃料と鋼材が大半飛んでしまいますから。普通はしません」

 

「しかもこれ、よく見たら通常の配給量の8割しか来てないじゃないですか(各800ずつ)」

 

「マジで!?」

 

「弾薬とボーキはまぁいいとしても、燃料200・鋼材100かぁ……ホントにシャレになりませんよ。大和が出撃したら一発で飛びますね」

 

「つまりホテル決定ですね、知ってました。大人しく隅っこにいるので、どうぞ放っておいてください(シクシク)」

 

「「「「…………」」」」

 

「いや、なんていうか、その……ゴメンナサイ」

 

「……はぁ。無いものは無い以上、クヨクヨしていても仕方がないのです。

 とりあえず、周辺海域の調査がてら哨戒に行ってくるのです」

 

「ですが、その……ろくに装備も仲間もいない状態では無謀ではないでしょうか。一応資材はまだありますし、最低値で建造を回すというのは……」

 

「明石たちはいっしょに行けないの?」

 

「う~ん、というか大淀はともかく私と間宮さんを戦力に数えないでくださいね」

 

「明石さんは工作艦、私は給糧艦なので、戦闘ではお役に立てないかと……」

 

「じゃ、大淀は?」

 

「手伝いたいのは山々なのですが、残念ながらそもそも艤装がないので」

 

「つまり、それ以前の問題ってことですね」

 

「そっかぁ……となると、やっぱり建造で人手を増やすしかないか」

 

「いえ、万が一のことを考えれば温存すべきでしょう。最悪、大和に出てもらわなければならなくなる事態も想定されますし、彼女のための燃料と弾薬は確保しておくべきです」

 

「私も大淀に賛成ですね。今ならまだ小規模戦闘くらいは耐えられますし……って、あれ? 提督は?」

 

「いまさっきまでそこにいらしゃったはずですが……」

 

「……猛烈に嫌な予感がするのです。大和さん、司令官がどこに行ったか知りませんか?」

 

「大和ホテルいいとこ一度はおいで♪ る~ららる~♪」

 

「あ、あの、黄昏れているところ大変申し訳ないのですが、正気に戻ってください」

 

「はっ!? あ、提督(マスター)ですか? でしたら、今ちょうど庁舎の外へ……ほら」

 

“ガバッ!”←弾かれたように立ち上がる一同

 

“ベチッ!”←我先にと庁舎の窓に張り付く

 

“ピシッ!”←色々なものに罅が入った音

 

「あの先にあるのって、まさか……」

 

「工廠、ですね」

 

(プルプルプルプル……)

 

「あの、電さん? 落ち着いて、一度冷静になった方が……」

 

「わぁぁぁぁぁぁぁぁ! 何やらかす気なのです、あの人はぁ!?」

 

 ・

 ・

 ・

 

「で、今度は何やりやがるつもりだったのです? 正直に言えば、海の藻屑にするのだけはやめておくのです」

 

「……」

 

「あの、電さん。頭に錨がめり込んでいますし、意識もないようですからせめて治療だけでも……」

 

~提督治療中~

 

「建造で人手を増やそうと思った。ちゃんと相談しなかったことは悪かったと思ってる、ごめんなさい」

 

(タフだなぁ)

 

(タフですね)

 

(タフ……)

 

(なんていう打たれ強さ……)

 

「ただでさえ資材がカツカツなのに、これ以上の消費は本当にいざという時に支障が出るのです。そのことをわかっているのです?」

 

「……いや、そこは考えなくていいんじゃないかな」

 

「「「「「はい?」」」」」

 

「だってほら、仮に敵に攻め込まれたとしたら到底守り切れるとは思えないし。それとも、大和と電だけでこの島全体をカバーできるの?」

 

「それは……」

 

「一方向からだけなら大和がいれば対処できるかもしれない。でも、二か所以上を同時に攻められたら詰みだ。大和が健在でも、此処が落ちたら意味がないしね。最終的には包囲されて終わりか、それとも大和だけ放置して撤退か、そんな所じゃない?

なら、攻め込まれた時点でこっちの負けだよ。もしそうなるようなら、その時は尻尾をまいて逃げるしかない」

 

(どう思う、大淀)

 

(……確かに、提督の言う通りね。堅実に行こうとするあまり、かえって状況が見えていなかったことを認めるしかありません)

 

(無理もありませんよ。私たちも気づいていなかったんですから)

 

(でも、元民間人って言う割には提督が妙に落ち着いているような……単に、現実感がないだけとか?)

 

「逃げる、ですか」

 

「少しでも勝ち目があるなら戦う意味もある。あるいは、なにか目的があっての足止めとか囮でもいいけど。

だけど、それすらない状態で確実に負ける戦いをすることに意味はないよ。だったら、被害が出る前に逃げちゃった方が良い」

 

「ですが、そうなると鎮守府が……」

 

「現状の戦力でも守れる算段がつくならいいけど、守れるの?」

 

「……無理、なのです」

 

「ですが! 何もせず撤退となれば提督(マスター)の進退が……!」

 

「命あっての物種だよ。残ったって生き残る芽はないし、生きてさえいれば何とかなるなる。恥をかこうが不名誉な評価をされようが大したことじゃないしね。そんなものよりみんなの命の方が大事だよ」

 

「私たち、ですか?」

 

「あの、提督? 私たちは戦うための兵器であって……」

 

「その辺の考え方については一旦置いておくとして……仮に兵器だとしても、意味もなく消費するのは悪手じゃない?」

 

「……そうですね。使うなら効果的に、それが兵器を運用する上での基本です」

 

「はい、というわけだから当面は建造を回して戦力補強を優先します。大和には悪いけど、しばらく出撃は諦めてもらうしかない。温存ですらないって言うのが申し訳ないけど」

 

「あ、いえ…そういうことでしたら、むしろ気も楽というか……」

 

「補給と入渠…だっけ? それに支障のない範囲で、資材は建造に回して人手を確保する。第一段階の目標としては、此処(鎮守府)を守れるだけの数を揃えること。遠征とか輸送とかは全部それから、それまでに敵襲があるようなら即時撤収。みんな、いつでも逃げられるように準備しておいて」

 

「「「「「はぁ……」」」」」

 

「で、電だけど……」

 

「わ、私は予定通り哨戒に行ってくるのです」

 

「出来れば、次の建造が終わってからにしてほしいんだけど……一人は危ないよ」

 

「だとしても、です。こうしている間にも、敵艦が迫ってきているかもしれません。今なら逃げる余裕があっても、次の建造を待っていたらそれもないかもしれないのです」

 

「……わかった。だけど、無理はしないこと。敵艦を見つけても、勝てそうにないようなら即撤退」

 

「電でも足止めくらいなら……!」

 

「ダメ」

 

「子どもの我儘じゃないのですよ!」

 

「もちろん。でもさ、電を囮にして逃げたとして、その後は?」

 

「え……」

 

「本土に向かっている途中で敵に襲われたら、今度はどうするの? 大和が戦えば資材があっという間に消し飛ぶらしいし、補給は一度が限界じゃない?

 でも、消費の少ない電が一緒に逃げてくれればある程度何とかなる。だから、こんなところで電を失うわけにはいかない」

 

「それは……」

 

「電さんの負け、ですね」

 

「はい。私も提督の判断を支持します、その方が生存率は高いでしょうから」

 

「明石と大和は? 何か意見はない?」

 

「「いいえ」」

 

「というわけで、哨戒に行くのはオッケー。でも、絶対に無理はしないこと。必ず、戻っておいで」

 

「………………………………………なのです」

 

 ・

 ・

 ・

 

(司令官にはああ言ましたが、やっぱり一人でとなると不安なのです。もし、私がミスをして気付く間もなく沈んだら、知らず知らずのうちに後を追跡されて敵を呼び込んでしまったら……あとからあとから、いやな想像がどんどん湧いてくるのです)

 

「……電? なんか顔色悪いけど、緊張してる?」

 

「そ、そんなことはないのです! ただ、その……」

 

「う~ん……じゃ、ちょっと目を閉じて」

 

「?」

 

「いいからいいから。じゃあ、そのまま言われた通りに思い浮かべてみようか」

 

(イメージトレーニング、というものでしょうか?)

 

「状況は人類滅亡寸前、戦えるのは自分とあと少しの仲間だけ」

 

「いきなりありえなさ過ぎてビックリしたのです!?」

 

「まぁまぁ。負けても…まぁ大丈夫だけど、死んだらそこで一巻の終わり、人類終了のお知らせです……っていう状況どう思う?」

 

「……突拍子もなさ過ぎて想像もできないのです。ただ、一つだけ言えるのは瀬戸際どころかもう終わっているということなのです。

“負けそう”なのではありません、それはもう“負けている”のです。そんな状態からどうやって巻き返すのです」

 

(あ~、言われてみれば確かに……あの旅って、負けたところから始めてるようなものだったんだなぁ)

 

「でも……」

 

「うん」

 

「とりあえず、言いたいことはわかったのです。確かに、それに比べば全然マシなのです。

 世界の命運どころか国の存亡がかかっているわけでもありませんし、電が負けたとしても大勢に影響はありません。沈んだとしても、それで何がどうこうなるものだいでもないのです」

 

「ついでに、無理してなにか成果を出さなきゃいけないってわけでもないね。“なにもなかった”で、この出撃は十分成功なんだから」

 

「だから気楽に行って、無理せず帰ってこい…そう言いたいのですよね」

 

「そうそう」

 

「…………………………司令官、一つ聞いてもいいですか?」

 

「ん、俺でよければどうぞ」

 

「出来れば、敵も助けたい…そう思うのは間違っているのでしょうか」

 

「…………」

 

「ごめんなさい、変なことを聞いたのです。電たちは戦争をしているのです、敵を助けるなんて……」

 

「間違ってないよ」

 

「え……」

 

「敵だからね、勝たなきゃいけないのは確かだ。でも、敵だから“助けちゃいけない”とか、“好きになっちゃいけない”とか、そういうのはないと思う。それが偽善だとしても、遅かれ早かれ奪ってしまう命だったとしても、手を差し伸べること、相手を知ろうとすることが間違っているとは思わない。

 そりゃね、何も知らない方が楽だとは思うよ。でも、俺たちは“顔を知っている”相手とだけ戦うべきだ。“顔も知らない相手だから殺せる”なんていうのはきっと……なんて、君たちに全部任せて後ろに引っ込んでる俺が言えたことじゃないけど」

 

「司令官は、誰かと戦ったことがあるのです?」

 

「生きるっていうのはね、色々なものと戦うってことなのさ」

 

「……」

 

「あ、今はぐらかしたって思ったでしょ」

 

「そ、そんなことはないのです!」

 

「ハハハハ、まぁ程よく解れたみたいで何より。それじゃ、頑張り過ぎない程度に頑張っておいで」

 

「……………………もう、仕方がないのです」




~鎮守府裏日誌~

この日、電にとって提督は“一番頭の痛い問題児”であり“一番の理解者”になったんだろうね。そして、その逆もまた然り。
普通の艦娘、普通の指揮官なら電の言葉は“戯言”と切って捨てたことだろう。でも、彼にはそんなことできるはずがない。だってそれは、彼自身の願いでもあったんだから。

「敵であろうと助けたかった」
「摘み取らずに済むのならそうしたかった」
「決して相容れない立ち位置でありながらも育んだ絆があった」
「奪ったものを忘れたくない、亡くしたものを“無”にしたくない」

そんな彼だからこそ、電の願いはとても尊く眩しかったはずだ。

ネタバレ上等の設定集、いる?

  • いる
  • いらない
  • そんなことより続きはよっ
  • 全部晒してしまえwww
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