〈艦これ×FGO〉神機残響海戦 七大洋 ~天地人の狭間~   作:やみなべ

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キャスト:提督、電、朝潮、大淀、明石


「朝潮の偉大な司令官」

「司令官、弾薬及び燃料の備蓄状況の確認、終了いたしました。こちら報告書になります!」

 

「ありがとう、朝潮。報告書は…そこのケースに入れておいてもらえる?」

 

「はい! 司令官、御用はないですか? 何でもご用命ください!」

 

「いや、特に今はないけど……」

 

「ではこちらで待機しておりますので、いつでもご用命ください!」

 

「え…別に、そこまでしなくても……」

 

「ご安心ください! この朝潮、いつまででも待つ覚悟です!」

 

「え~……無理しなくても」

 

「お気遣いありがとうございます! 新米の朝潮にも心を砕いてくださるなんて…ですが、朝潮には過分に過ぎるご配慮、どうかお気になさらず!」

 

「そ、そう?」

 

 ・

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 ・

 

「司令官? 司令官? いらっしゃいませんか?」

 

「ふぁ、朝潮? 俺ならここだけど」

 

「あっ、こちらにいらしたのですね。ハッ……!?」

 

“ムクッ”←芝生から起き上がったところ

 

「よっと…どうしたの?」

 

「も、申し訳ありません! もしや、次の作戦案を練っておられたところでしたか!?」

 

「え、いや、別にそんなことはないけど……普通に休憩してただけだし」

 

「では、艦隊の新たな編成案でしょうか! 流石は司令官です。民間人だったところを登用されたと伺いましたが、ご休憩中も常在戦場を忘れない心構え…感服いたしました!」

 

(な、なんでそんなことに……って、これのせいか? 枕代わりに適当に持ってきたんだけど、よく見たらコレ、この前攻略した海域の報告書のファイルじゃん。もしかして、次の作戦の参考にしてると思われた?)

 

「素晴らしい心がけです、朝潮も見習わせていただきます!」

 

「あ…うん」

 

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 ・

 

「司令官、何を読んでおられるのですか?」

 

「ん? 大淀が作ってくれた戦略論の初級教本だけど」

 

「っ! 御見逸れしました。この朝潮、目から鱗の落ちる思いです」

 

「なんで!?」

 

「? 初心に帰り、足元を固め直そうとなさっているのですよね。司令官に倣い、朝潮も改めて基礎から己を鍛えなおして参ります!」

 

「…………確認したいことがあって引っ張り出してきただけなんだけどなぁ」

 

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「まさかこの寡兵で勝利してしまうなんて…素晴らしい戦果です! 司令官に感謝します!」

 

(……勝っちゃったよ。今動かせるのが朝潮たちだけだったから何とか足止めしてもらって、その間に増援をって考えてたんだけどなぁ。まさか、到着前に雷撃で全部沈めちゃうとは……当たり所が良かったのかな?)

 

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 ・

 

「見事な采配です、司令官! 事前に危険を察知しておられたとは……深慮遠謀とはまさにこのこと! いったいどこからそのような情報を……いえ、差し出がましいことを聞きました。お忘れください!」

 

(単に勘が当たっただけで、別にどこも調査なんてさせてないんだけど……)

 

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 ・

 

「司令官の作戦です、これは勝利したも同然ですね!」

 

「出撃ですか! 朝潮をご指名いただき恐縮です、必ずや司令官の信頼に応えてご覧に入れます!」

 

「艦隊、帰投しました。多少被弾しましたが、この程度で朝潮は沈みません。司令官がいてくだされば、百人力です!」

 

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 ・

 

「………………前々から思ってたんだけどさ、朝潮って俺のことかなり過大評価してるよね?」

 

「……正直、朝潮さんの中で司令官はいったいどれほどの戦略家なのか、ちょっと気になってくるレベルなのです」

 

「まぁ、その……いいんじゃありませんか? 高く評価してくれているわけですし」

 

「大淀、せめて俺の目を見て言ってよ」

 

“プイッ”←とてもじゃないが目を合わせられない

 

「…………怪我の功名だったり、勘がクリーンヒットだったりしたとはいえ、戦果を挙げているのは事実ですし」

 

「だから目、目を合わせて」

 

“ププイのプイッ!”←断固として目は合わせない

 

「初歩的なミスや記憶違いがあっても、“司令官のことだから私には考えも及ばない深いお考えがあるに違いありません”とか思ってそうなのです」

 

「そのフォローに駆け回る私たちの身にもなって欲しいですね」

 

「そ、その節は大変ご迷惑おかけしました……」

 

「それで、提督はそんなに朝潮の期待が重いと?」

 

「重いというか…サボってただけなのに“私たち末端のことまで気遣っていただけるとは”って感動されるのはちょっとね」

 

「「サボってたんですか?」」

 

「息抜き! 息抜きに散歩してただけだから! ずっと執務室に缶詰めでちょっと外の空気を吸いに行っただけなんだ、お願い信じて!?」

 

「大淀さん」

 

「ええ。これは…叩いたら他にも埃が出てきそうですね。電、何か心当たりは?」

 

「司令官の行方が掴めない時がチラホラあったのです」

 

「そうですか……これは、確認が必要ですね。艦隊指揮官として、所在はハッキリしていただかないと」

 

「というわけで、司令官?」

 

「あの…電さん? 笑顔がとっても怖いんですけど……」

 

「キリキリ吐いてください。私たちの目を盗んで、一体どこで何をしていたんですか?」

 

「ヒィィィィィィ!?」

 

 ・

 ・

 ・

 

「駆逐艦“朝潮”、改装していただきました。今まで以上に艦隊のお役に立てるよう、頑張ります。よろしくお願いします!」

 

「うん、これからもよろしく。ますます頼もしくなって……」

 

「そんな、頼もしくだなんて…ご期待に沿えるよう、粉骨砕身の覚悟です!」

 

「う、うん。まぁ、ほどほどにね。それにしても、この前来たばかりの朝潮ももう“改”かぁ。時間が経つのは早いなぁ……」

 

「提督ぅ、老け込むには早いんじゃありませんか?」

 

「明石さん! その仰りようは司令官に失礼です!」

 

「いやいや、別にそんな鯱張らなくても」

 

「いえ! 司令官を敬うのは当然ですから!」

 

「う~ん、生真面目……ところで明石、朝潮に異変とか不調とかはないんだよね?」

 

「まぁ、私も呼ばれた時点で聞かれるとは思ってましたけど……大規模改装の度にそれ聞きますよね」

 

「だって、今までとは色々変わるわけでしょ? 何かしらの不具合がないとは限らないじゃないか」

 

「まったく、心配性なんですから…どう、朝潮?」

 

「はい。今のところこれといった不調はありません。今すぐにでも出撃可能です!」

 

「そう…とはいえ、しばらくは経過観察。何か気になること、気付いたことがあれば俺でも明石でも…それこそ誰でもいいから必ず言うこと。“これくらい大丈夫”って言うのが一番危ないからね」

 

「司令官……! 朝潮は、朝潮は幸せ者です。こんなにも気にかけてくださるなんて……」

 

“じと~っ”←そういうことやってるから朝潮の勘違いが加速するんじゃありません? という目

 

(だってなぁ…再臨で霊基に歪みとか亀裂が生じた例もある。艦娘たちの改装で、エミヤ・オルタみたいな事がないとは限らない。なら、慎重になるくらいでちょうど良いはず……)

 

「ご安心を! この朝潮、司令官のため、御国のため、国民のために必ずや……司令官?」

 

「どうしました、提督。なんというか、随分微妙な顔してますけど」

 

(ああ、今の俺そんな顔してるんだ。まぁ…ちょうどいい機会か)

 

「もしや、お体の具合でも!? 明石さん、急ぎ司令官の体調を……」

 

「ああ、大丈夫。別に体調が悪いとかじゃないから。ただね…朝潮には悪いんだけど、俺の場合“国”とか“国民”のために提督やってるわけじゃないからさ」

 

「え……で、では、なぜ?」

 

「強いて言うなら……“生きるため”かな」

 

「生きる、ため?」

 

「そ。ほら、負けて此処(鎮守府)が落ちたら俺の命もない。だから、俺は俺が生きるために日々頑張っているわけ」

 

「……」

 

「ぶっちゃけますねぇ」

 

「本当のことだからね。正直、“国”とか“国民”なんて言われても俺の手には余るんだ。背負いきれない、って言ってもいいかな。そんな大層なものは、俺には荷が勝ちすぎる。

 精々目の届く範囲が関の山なんだ。例えばそう…自分と、目の前にいるみんな(艦娘)のことでね。朝潮は俺のことを高く買ってくれているけど、本当の俺はそんなちっぽけな人間だよ。提督業だって、みんなに助けてもらって、支えてもらってやっとこさっとこやってるくらいだ。俺一人にできることなんてたかが知れてる」

 

「……」

 

「失望させちゃったかな…早めに言った方が良いとは思ってたんだけど、中々タイミングを掴めなかったのはゴメン。もし、朝潮が希望するなら……」

 

「……いえ、それには及びません」

 

「……いいの?」

 

「はい。確かに、朝潮は司令官に理想を押し付けていたやもしれません。正直に言えば、先ほどのお言葉にショックを受けなかったと言えば嘘になります。ですが、それでも司令官が多くの戦果を挙げ、朝潮たちに心砕いてくださっている事実に変わりはありません。

 であれば、朝潮は変わらずお仕えするのみです」

 

「朝潮が思ってるほど、戦略も戦術も得意じゃないよ?」

 

「であれば、お支えするまでです! 非才の身ではありますが、頼っていただけるなら幸甚に存じます!」

 

「……わかった。なら、これからも頼りにさせてもらうよ」

 

「はい! 必ずや、提督に勝利を!」

 

 ・

 ・

 ・

 

「ところで、提督も結構人が悪いですよね」

 

「うん?」

 

「さっき、微妙に話をすり替えましたよね? 此処に留まって日々戦っているのは“生きるため”……確かにそうなんでしょうけど、じゃあどうして“提督”になったんですか?」

 

「……」

 

「“生きるため”って考えるなら、安全な内地にいた方がよかったと思いますけど?」

 

「此処に来たのは完全に予想外なんだけどなぁ。まさか、いきなり飛ばされるとは思わなかった」

 

「そうでしょうねぇ……それで、どうして提督に?」

 

「……強いて言うなら、“確かめるため”かな」

 

「確かめる?」

 

「そ、昔のやり残しをね。こんなところまで来ちゃったけど…受けて良かったと思ってるよ」

 

(昔か……この人の経歴で、私たちや深海棲艦なんかと関わるようなものってないはずなんだけど……食えない人ねぇ)




~鎮守府裏日誌~

たった一人で最前線の鎮守府を任され、確かな戦果を挙げていることから朝潮は勘違いしちゃったりもしたようだけど、これを機に冷静に提督のことを見られるようになったそうだよ。
ただ、崇拝がなくなったのは良いんだけど以前にも増して“司令官をお支えしなければ”という使命感に燃えるようになったんだ。どうやら、生真面目だからこそ頼りない部分を補うことにやりがいを感じてしまったようだね。まぁ、きっとすっごく有能だったとしてもそれはそれでやる気に満ち溢れていたんだろうけど。

しっかし、“国”や“国民”なんて大きなものは背負ない…かぁ。本心であり事実ではあるんだけど、それに対して彼の為してきたことの不釣り合いさときたら。


P.S
これまで毎日更新してきたわけですが、年度末が近づくと共にリアルが忙しくなってきたのと、丁度100話と切りもいいのでしばらく更新を停止します。
身辺が落ち着きましたら、また再会できたらと思います。

ネタバレ上等の設定集、いる?

  • いる
  • いらない
  • そんなことより続きはよっ
  • 全部晒してしまえwww
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