〈艦これ×FGO〉神機残響海戦 七大洋 ~天地人の狭間~ 作:やみなべ
「提督、作戦完了です。お疲れ様、ですって」
「……はい、確認しました。ありがとうございます、ろーさん」
「えへへ~。ろーちゃん、提督のなでなで大好きです。これは、とっても気持ちいいですって。ダンケ、ダンケ!」
「…………」
「提督?」
「あ、その……ろーさん、身体に異変はありませんか? 頭がぼーっとするとか、声が聞こえるとか、どんな些細なことでもいいので」
「もうっ! 提督は心配し過ぎ! 工廠で検査はしてもらったし、さきにお風呂も行ってきたし、ろーちゃんは元気いっぱいですって!」
「それならば良いのですが……」
「…………………………仕方ないなー。提督、提督」
「はい」
「ちょっと両手を広げてください。こんな感じ、ですって」
「こうですか?」
「うん。それじゃ…ギューッ!」
「ろーさん……」
「ねぇ、提督。ろーちゃんはあったかいですか?」
「……はい、とても」
「ろーちゃんもあったかいですって。だから、心配しなくてもろーちゃんは大丈夫です。何度だって、提督のところに帰ってきます。ろーちゃんを信じてください、ねぇ?」
「そう、ですね。信じていますよ、ろーさん」
「ろーちゃんも提督のこと信じるんですって!」
「あの、ろーさん。もう少しだけ、こうしていてもいいでしょうか?」
「Ja♪」
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「全く、ドイツの小娘にまで気を遣わせるとはな……」
「面目ありません、ネルソンさん」
「貴様は余の指揮官なのだ。もっと腰を据えて、どっしりと構えていればよい」
「はい……」
「ちょっとネルソン。Admiralは純粋にあの子を…ひいては私たちのことを心配しているのよ。そんな言い方はないんじゃない。純粋な厚意をそんな風にしか捉えられないなんて、“紳士の国”が聞いて呆れるわ。
可哀そうなAdmir……」
「待て」
「ちょっと、なに人の後襟掴んでるのよ。離しなさいよ、服がズレて零れちゃうでしょ」
「そうだな、それは些か見苦しい。しかし、抱き着いて何をするつもりだった」
「別に。私の腕の中で慰めてあげようと思っただけよ。誰かさんの心ない言葉で傷ついた、AdmiralのHeartをね」
「Naturalにセクハラしようとするな。
そもそも、別に心配するなとは言っておらん。だが上に立つ者として、毅然とした振る舞いは必要であろう。心配するとしても、それを徒に表に出すべきではないと言っているのだ。それとも、余の言っていることは何か間違っているか」
「言い方が悪いって言ってるのよ。まったく、船体だけじゃなく口と態度まで無駄に大きいんだから」
「ほぉ……余は侮辱には実力を以て応じるが、それを知っての言葉であろうな」
「……そうね。同じBig7ではあるけれど、このあたりで一つ序列決めるのもいいかもしれないわ」
「そうだな。余が上で、貴様が下というわかりきった序列ではあるが、白黒つけておくとしよう。掛かってくるがいいコロラド、余が直々にNelson Touchを教えてやる」
「
「お…お二人とも! け、喧嘩は良くないと思います!」
「そうね、やっぱり喧嘩はダメよね!」
“ガクッ”
(な、なんという変わり身の早さだ。さっきまでやる気満々だったくせに、一瞬で手のひらを返しよってからに……)
「そういえばAdmiral、あの娘に何を取りに行かせていたの?」
「これです」
「これって……」
「この色…深海棲艦共の海域の海水か? それにこの色合いは、かなり“深い”場所のものだな。このあたりの海域では見かけないLevelだ」
「それなら私に言ってくれればよかったのに」
「いえ、この任務はろーさん…というか、潜水艦の方でなければならなかったんです」
「ほぉ? 貴様、それはどういうことだ。潜水艦でなければならなかったということは、奴らの特性が理由ということであろう」
「潜水艦は文字通り海に潜る関係上、完全な“気密性”があります。これが最大の理由です」
「? どういうこと?」
「……つまり、この“黒い海水”が内部に侵入する可能性を極力排除したかった、ということか。単独任務だったのもそれが理由だな」
「はい。目的が採取だったので、戦闘は必要ありませんでしたから。むしろ戦闘を回避するために、単艦での隠密行動がベストと判断しました。ろーさんにお任せしたのは……」
「あの娘が潜水艦の中じゃ練度が一番高いものね」
「まったく、信じて送り出したのなら最後まで信じてやらんでどうする」
「ネルソンさんのおっしゃる通りです。申し訳ありません……」
(ああ、しょんぼりしてる提督もすごくPretty! 今すぐ私の胸で包み込んであげたいわ!)
「やめんか」
“ガシッ”
「チッ……」
「コロラドさん?」
「Hi、どうしたのAdmiral」
「? いま、何か聞こえたような……」
「さぁ、私には聞こえなかったわ。空耳じゃないの?」
「そう、でしょうか……」
「……………………………」
「どうかしたの、ネルソン。私のことをマジマジと見て」
「……いや、あまりの鮮やかさにいっそ称賛の念すら湧いてきたが…気の迷いだ、忘れるがいい。
それで、貴様はそんなものを取って来させてどうするつもりなのだ?」
「………………詳しく調べたわけではないので断定はできませんが、直接見てほぼ確信しました。これは、私が考えていた通りのものです」
「Admiralはその“黒い海水”が何なのか知っているの?」
「それは……」
「下がれ、コロラド」
「えっ、ちょ…引っ張らないでよ! ネルソン!」
「提督よ」
「はい」
「今は話せずとも良い。貴様が口を閉ざすということは、それだけの理由があるのであろうからな。
だが、もしも“話せる範囲”があるのなら教えてくれ。その方が、貴様も些か気が楽であろう」
「…………これが“どこから来た”かは、今はまだ話せません」
「うむ、余は一向に構わん。故に、貴様も気にするな」
「ですが、気を付けてください。傷を負った状態でこれに触れれば、おそらく…“浸食”されます」
「「……」」
「艦娘の身体は艤装から発生するある種の防壁によって保護されています。ですが、艤装が破損すれば当然その守りにも綻びが生じます。そこから体内に侵入し、遺伝子…塩基レベルで支配下に置かれるでしょう」
「それが、深海棲艦か」
「まぁ、見覚えのある顔を見かけることもあるから、そうなんじゃないかなって思ってはいたけど……」
「……少し、違います。おそらくですが、順序が逆なのです」
「逆? 逆とはどういうことだ?」
「艦娘が深海棲艦になっているのではなく、元々は深海棲艦が艦娘に“引き寄せられた”のだと思います。もちろん深海棲艦になった方もいるのでしょうが」
「つまり、“奴らにされた者”と元は“奴らだった者”がいるわけだな。両者の間に違いはあるのか?」
「ほぼないと見ていいと思います。大本の半分は同じな筈ですし、あちらの残る半分は“原初の生命”、本来ならなにものにもなり得る存在ですから、“引き寄せられた”ことで皆さんの残る半分と同じ役割を果たしているのでしょう」
「つまり、倒して
「はい。支配力自体がそれほど強くはないのでしょう。深海棲艦の状態ですと“色々な方と混ざっている状態”ですが、それら余計なものを祓うことで支配も解けると予想されます。元が深海棲艦の場合でも、混ざり合った中から割合や比重の大きな方以外を削ることで同様の結果となるはずです」
「攻撃することで祓うことができるのか?」
「……例えるなら砂と風のようなものです。強い風を当てることで比重の軽いものが飛ばされ、重いものが残る。元々、ある程度の重さがなければこの世界に残ること自体ができません。占める要素が軽いものばかりだと、全て飛ばされて何も残らない…ということもあるかもしれませんが」
「ふむ…………詳しいことはわからんが、とりあえずは戦うしかないということだな」
「まぁ、今までとやることは変わらないものね。実際、それで今までに何人も連れ帰ってるわけだし」
「あるいは、“艤装”の方が“支配の本体”なのかもしれません。今度、可能であれば姫級などに見られる“生物型の艤装”を重点的に狙ってみるのも手かもしれませんね」
「うむ。では、機会があれば試してみるとしよう」
~鎮守府裏日誌~
「黒い海水」
「●●の●」またの名を「●●●●●●●」、あるいは「●●」とも。
艦娘たちは元が“鋼鉄の艦”という概念だからか、相性が悪いこともあってある程度この海水を弾くことができるんだ。まぁ、傷を負った状態だと大なり小なり浸食を受けてしまうみたいだけどね。轟沈すると完全に浸食されて……あとはみんな承知の通りという訳さ。
ただ、縛りそのものはそれほど強くないというか、相性の悪さから“外しやすい”みたいだね。
深海棲艦は無数の要素が混ざり合ったある種の“混沌”のようなものなのに対し、艦娘は要素を単純化した存在だ。けど、艦娘たちの大本はどちらかと言えば前者に近いというんだから皮肉な話さ。まぁ、だからこそ深海棲艦を彼女たち側に“引き寄せる”きっかけになりえたのかもしれないけどね。それが良かったことなのかはわからないけど。なにしろ、“だからこそ”彼女たちも仲間を増やせるわけだし。
とにかく、深海棲艦は艦娘に引き寄せられ、艦娘は深海棲艦に浸食される。彼女たちは相互に影響し合う、まさに“陰”と“陽”の関係なのさ。ただ、色々な要素が混ざり合ったり上乗せされたりしている上に、“黒い海水”からの支配と供給まであるから意識が混濁していたり、何かに強く執着する傾向があったりする反面、出力自体は艦娘を上回るようだけど。
ちなみに、此方の提督はまだある程度情報を得られる立ち位置にいるし、制限も少ないからこれくらいは話せるんだけど、もう片方の方だとそれすら難しいだろうね。気付いていない…ということはなさそうだけど。何しろ、彼も直接本来のそれを見ているんだから。
ネタバレ上等の設定集、いる?
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いる
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いらない
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そんなことより続きはよっ
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全部晒してしまえwww