〈艦これ×FGO〉神機残響海戦 七大洋 ~天地人の狭間~   作:やみなべ

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キャスト:提督、明石


「丸投げじゃないよ?」

「……人員補充、ですか?」

 

「うん。現状、工廠ってほとんど明石一人で回してるでしょ。真面目な話、負担が大きいんじゃないかなって。それに加えて酒保(購買)の管理もあるわけだしさ。人手も増えてきたことだし、そろそろ何とかした方が良いかと思って」

 

「そうですね。普段はそうでもないんですけど、立て込んでる時なんかは結構苦しいものがあります」

 

「でまぁ、明石自身の希望も聞きたいと思ってこうして時間を割いてもらったわけなんだけど、希望の人数とか目星のついてる娘とかっている?」

 

「あ~……人手はいくらあっても困りませんけど、かといって素人さんに来られても困りますねぇ」

 

「やっぱりそうか。いや、一から育てる…って可能性もあるかなと思ったんだけど」

 

「それはそれで“アリ”だとは思いますけど、今必要なのは即戦力ですね。そういう意味で言えば、数より質です」

 

「ふむふむ」

 

「あの、ホントに希望言っていいんですか?」

 

「聞くだけ聞くよ。本人の意向もあるから希望通りにできるかは保証できないけど、できるだけ調整するつもり」

 

「そういうことなら……とりあえず、夕張を貰えますか。まぁ、既に工廠に入り浸ってますけど」

 

「うん、そこは問題ないと思う。夕張自身も“改修やりたい”って言ってたし」

 

「あの娘は実験艦ですからね。新しい装備のデータを取って、“より良いもの”にしていくのが好きですから。あの熱意には私も頭が下がります」

 

「手が足りなくてプライベートの時間を割かせることになってたのは、ホントに悪いことをしたと思ってるよ。

 じゃ、これからは工廠勤務メインで、扱いとしては明石の直属ってことで良い?」

 

「えっ……い、良いんですか?」

 

「? 元々そう言う話じゃなかった?」

 

「ぁ、いや……てっきり人員補充だけなのかと」

 

「責任者が複数ってなると色々ややこしくなるし、動きが鈍ったり混乱したりするからね。それなら一本化した方が効率的だ。工廠の運営に関しては基本明石の裁量に任せるから、そのつもりでね。これからは明石も立派な管理職だから、頑張って」

 

「……そう聞くと、途端にプレッシャーが。あ~、今までは一人で身軽だったのになぁ……あ、でもそういうことなら予算とかも自由に……」

 

「報告書はあげてもらうし、こっちからの要望を優先してもらうことになるけど、それ以外の部分なら。とはいえ、予算には限りがあるから計画的にね。臨時予算は当てにしないこと」

 

「うへぇ…上手くやらないとあっという間に首が回らなくなりそう。あの、秘書というか事務員とか回してもらえません?」

 

「それなら、五月雨とかどう? 確か夕張と仲良かったよね」

 

「お願いします。熱が入ると、どうも色々目に入らなくなるもので……」

 

「さて、これで3人か。他にはだれかいる?」

 

「それなら秋津洲でしょうか」

 

「うちにはいなかったよね?」

 

「はい。ですから“いつか着任したら”になりますが」

 

「ふ~ん、どんな娘なの?」

 

「私も直接の面識はないですけど……開発とか改修よりも“整備”の方が得意らしいです。地味に思えますけど、整備は堅実かつ丁寧な仕事が肝要ですから仕方ない部分ではありますね」

 

(工廠機能なら全般何でもござれな万能型の“明石”、装備の改修がメインの“夕張”、整備に強い“秋津洲”か。なるほど、バランスも悪くない)

 

「あとは……」

 

「あとは?」

 

「北上、でしょうか」

 

「北上って、雷巡の?」

 

「あの娘、戦後は工作艦だったんですよ。なので、いてくれたら助かりますね」

 

「……その割には躊躇いがちだったけど」

 

「いやぁ、アンニュイぶってますけど本人は雷撃に命賭けてますから」

 

「あ~、確かに。実戦から離れるのは嫌がるかも……じゃあ、非常勤扱いかなぁ」

 

「それと、実は不安要素がもう一つ」

 

「?」

 

「大井の反応を考えると……」

 

「……分かった、この件は慎重に行こう」

 

「はい。でも、本当にいいんですか? そこまでの裁量権を与えてしまって」

 

「問題ない…というか、任せられるところは任せて行かないと純粋に手が回りきらないんだ」

 

「提督主導でも十分回っていると思いますが……」

 

「普段はそれでもいいんだけど、いざって時はそれじゃ遅い。各部署が自己判断で迅速に動けるくらいじゃないと。他所の艦隊のフォローは期待できないしね」

 

「そう、ですね、以前のようなことがあった時は、動きは早ければ早いほどいいですし」

 

「そういうこと。だから、これからはどんどんみんなに権限を分けていく。手始めに古株の“工廠”と“食”から進めていくつもりだよ」

 

「ということは、間宮さんもですか?」

 

「うん。まぁ、やり方は違うけど」

 

「そうなんですか?」

 

「こっちは競争原理を取り入れようかなって。食は日々の楽しみであり癒しだけど、だからこそ緊急時とはあんまり関係ない。優先すべきは“速さ”じゃなくて“質”じゃないかな?」

 

「なるほど」

 

「間宮は今まで通り食堂と甘味処の二足の草鞋でいてもらうけど、鳳翔と…大和にも本格的にお店を構えてもらう。他に希望者がいれば都度許可していくよ。まぁ、一応審査はするけど」

 

「面白いですね。ライバルがいればいろいろ工夫していかないといけませんし、場合によっては業務提携もありですか。でも、良く大和さんが引き受けましたね。彼女、“ホテル”とかの呼び方されるの嫌がるでしょうに」

 

「まぁ、そこは何とか宥めすかしてね。コンセプトとしては、鳳翔は定食屋兼居酒屋でリーズナブルに、大和は高級志向の予約制だって」

 

「持ち味活かしてますねぇ。その調子だと、金剛さん辺りが紅茶専門の喫茶店を開くのも遠くはなさそう……」

 

「いいね。色々あった方がうれしいでしょ」

 

「それはまぁ……ですが、大淀にまた小言を言われますよ。“丸投げするつもりですか”って」

 

「“丸投げ”にはしないよ。責任はとるし、必要な管理はしていくつもりだから。それなら大淀も納得するでしょ」

 

(以前は色々任せ過ぎて提督の手から離れそうな所まで行ったけど、その反省を踏まえたってことか。確かに、責任の所在を明確にして、最終的な決定権を握っていれば問題はない。強いて言えば、ちゃんと手綱を握り続けられるかだけど……そこはこれからの頑張り次第ね)

 

「ちなみに、これが上手くいったら執務とかにも取り入れていくつもり」

 

(……まぁ、反対する理由はないかな。その方が負担は減るし、副業の方もやりやすくなる。そこは大淀と間宮さんも同じはず。提督を騙してるみたいで気が引けるけど、管理責任とかで問題を起こせる立場っていうのは“上”からすれば願ったり叶ったりでしょうね)

 

「……明石」

 

「ぁ、はい」

 

「頼りにしてるよ」

 

(……ホント、どこまで本気なのやら。やり辛い人よねぇ、調子が狂うわ)




~鎮守府裏日誌~

提督は一度艦娘たちに権限を放り投げすぎて大淀に叱られたことがあるよ。実際、“昔”の感覚で“丸投げ”するのは上手い手とは言えなかっただろうね。でも、提督も反省して、いろいろ勉強した上で艦娘たちに合ったやり方を考えたんだ。実際、権限を集約したところで提督の処理能力には負担が多すぎるし、緊急時の対応力を考えるならこの方が良いのさ。
その結果、艦娘たちにかなりの裁量権が委ねられることになるよ。信頼して任せられれば、応えようとするのが人情。多くの艦娘の士気は上がるし、一部はちょっと気持ちが揺らいだりもしているみたいだ。まったく、どこまでが提督の狙いなのやら。

ネタバレ上等の設定集、いる?

  • いる
  • いらない
  • そんなことより続きはよっ
  • 全部晒してしまえwww
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