〈艦これ×FGO〉神機残響海戦 七大洋 ~天地人の狭間~   作:やみなべ

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キャスト:提督、鳳翔、大和、ゴーヤ、イムヤ、イク、ハチ、虞美人


「服飾規定」

“ガラガラ”

 

「すみません、まだお店は…あら、提督。どうなさったのですか、こんなお時間に」

 

「ごめん、鳳翔。実は折り入って相談があって」

 

「相談、ですか? 私でよければ、何なりと仰ってください」

 

「実は、先輩に叱られちゃったんだ」

 

「先輩というと…ヒナコさんですか?」

 

「うん」

 

「それで、ヒナコさんはなんと?」

 

「実は……」

 

“ちょっと後輩、アンタ流石にアレは何とかした方が良いわよ”

 

“あれ?”

 

“カルデアだったらアレでも良かったんだろうけど、一般的に考えてアレはないわよ”

 

“先輩が「一般」を語るのもなんか変な感じが……”

 

“混ぜっ返すな! とにかく、さっさと何とかしなさいよ。いくら何でも()()()だっけ? そんな格好でうろつくのは色々不味いでしょ。その上、なぜかセーラー服を着てるのもいるし…まさか、アンタそういう趣味なわけ?”

 

“違いますのことよっ!?”

 

“ま、アンタの趣味嗜好なんて心の底からどうでもいいけど”

 

「……ということがあったんだ」

 

(えっと……今まで違和感がなかったんですか?)

 

「まさか…まさか先輩に常識を説かれる日が来るなんて!!」

 

「そこなんですかっ!?」

 

「いや、俺たちの常識とは一線を引いた向こう側の人だからさぁ…その割に俗っぽいところあるんだけど」

 

「は、はぁ……」

 

「とにかく、よくよく考えてみれば潜水艦組が非番の時までスク水でうろついてるのはやっぱり不味い」

 

「いえ、よく考えなくてもそうだと思います」

 

「俺の性癖が疑われても困るし」

 

「問題はそこではないと思うのですが……ですが、それでどうして私に?」

 

「ほら、島風のことで相談してきたことあったでしょ。アレの問題点に気付けた鳳翔なら適任かと思って」

 

(……まさか、私以外誰も問題視していないのでしょうか?)

 

「そこでとりあえず……スカートを履かせてみようと思うんだけどどうだろう」

 

「なぜそこでスカート!? 任務時以外は普通の服に着替えてもらうのではだめなんですか!?」

 

「いやだって、本人たちのポリシーとか拘りとかあるかもしれないし……鳳翔だって、基本的にいつもそんな感じの服でしょ」

 

「う゛っ! それは……常在戦場と申しましょうか、有事に備えてと言いますか……」

 

「もちろん、それが悪いこととは言わない。ただ、やっぱり切り替えは大事だと思う。なにより、オシャレをする娘たちもいるにはいるけど、“普段着”が“普段使い”になってないのは問題だと思う。まぁ、言われるまで気付かなかった俺が言うのもなんだけど」

 

「そう、ですね。確かに、普段着を着ることが“特別”な状態になっていることは否めません」

 

(まぁ、気持ちはわかるんだ。俺もカルデア時代は基本的にいっつも制服だったし……周りも似たようなものだったから、常に“制服”でいることに違和感がないんだよなぁ。ここでもだいたい軍服だし、まずは俺自身が範を示すべきか)

 

「……ですが、それにしたところで何故いきなりスカートなんですか?」

 

「そこはほら、大きな変化は影響が大きいから小さなところからと思って。上にセーラー服着てるなら、スカート履いちゃえばパッと見は普通っぽいし」

 

(制服一式の下にスクール水着の方が、色々背徳的な気がするのですが……なにより、セーラー服も来ていない人たちはどうするのでしょう。スクール水着のままスカートだけ履くというのは、ちょっと……)

 

「できれば、これをきっかけにみんなも勤務時間外は普段着を着る習慣を持ってくれるといいんだけど……というか、任務の時以外ならそれでいいと思うんだよねぇ」

 

「それは……流石に規律の問題がありますから。ですが、普段の服装の改善というのであれば賛成です。私も、微力ながらお手伝いいたします」

 

「よろしく頼むよ。鳳翔は空母に限らずいろんな娘たちに慕われてるから、正直凄く心強い」

 

「そんなことは……」

 

「じゃ、早速着替えてこようか」

 

「はい?」

 

「まずは発起人が範を示さないとね。大丈夫、俺も極力普段着を着るようにするから。鳳翔も、お店では楽な格好でね」

 

「え、えぇぇぇぇぇぇぇっ!?」

 

 ・

 ・

 ・

 

「提督、失礼いたします。先月の営業報告をお持ちしました」

 

「わかった。急いで目を通すから、少し待っててもらってもいいかな?」

 

「はい。急ぎの用もないので、ごゆっくり」

 

「………………あのさ」

 

「はい」

 

「どうやってこの値段設定で赤字を出さずにやれてるの? 原価ギリギリだし、いくら基本一人で切り盛りしてるから人件費がかからないって言っても、備品とか設備投資とかでもお金は使ってるはずだよね」

 

「そこは“生活の知恵”…というモノでしょうか。案外、色々なところで節約できるものですよ」

 

「大丈夫、無理してない?」

 

「キッカケこそ皆さんに“安くて美味しいものを”と始めたことですが、やりくりしているうちに楽しくなってしまって。それに、お酒関連の方で補ってもいますので、特に無理はしていませんよ」

 

「そっか。ならいいんだけど……苦しくなったら言ってね。俺にできることならするから」

 

「そんな! 提督にはお店の内装や設備のことで相談にも乗っていただきましたし、出資もしてくださったじゃありませんか。もう十分、助けていただきましたよ」

 

「…………まぁ、鳳翔がそう言うなら。しかし、鳳翔はホント“良妻賢母”って感じだよね。みんなが慕う理由がよくわかる」

 

「うふっ、光栄です。ですが、まだ“夢半ば”の未熟者。これからも精進いたします」

 

“テステス、本日は晴天なり、本日は晴天なり……んん。硫黄島鎮守府に所属する全艦娘、およびてーとくに告げるでち!”

 

「な、なんだ!?」

 

「今のはゴーヤちゃんでしょうか?」

 

“ゴーヤたち潜水艦一同は! 邪知暴虐の限りを尽くすてーとくを許さない! てーとくがゴーヤたちの要求を受け入れない限り、一切の出撃を拒否するものである! これは脅しではないでち!!”

 

「これって、ストライキ?」

 

「どうやら、そのようですね」

 

“イクたちは本気なのね! 提督はとんでもない変態さんなの!! イクたちに…イクたちにあんなモノ押し付けるなんて信じられないの!”

 

“はっちゃんも、アレには正直引いちゃいましたぁ”

 

「……提督、いったい何をなさったんですか」

 

「いやいやいやいや! 俺何もしてないよ!?」

 

(確かに、提督はそのようなことをなさる方ではありませんね。むしろ、そうであれば金剛さんや鈴谷さんももう少し気が楽だったでしょうし……でも、なら彼女たちの放送はいったい?)

 

提督(マスター)! 今の放送お聞きになりましたか!」

 

「大和さん!」

 

「鳳翔さんもいらしていたんですね。それで提督(マスター)……」

 

「何もしてないよ!」

 

「……あの、提督。いきなり否定から入るのは、かえって疑念を呼ぶと思います」

 

「だ、大丈夫です。大和は提督(マスター)を信じていますから!」

 

「ですが、提督に心当たりがないとなると……」

 

「……もしかしてアレかな、先月の15連勤」

 

「あるいは、端末の利用限度額を設定した件でしょうか」

 

「ああ、イムヤなら文句の一つもあるかも。あとは……」

 

「それとも……」

 

「そういえば……」

 

「一応、心当たりがないこともないんですね」

 

「「いやぁ……」」

 

「ですが、原因が何であれ、これは大変なことです。潜水艦の娘たちが全員ストライキに参加しているとすれば、鎮守府の運営そのものが立ち行かなくなります」

 

「近海の哨戒、新海域への偵察、物資の獲得……他の艦種でもある程度は何とかなるけど、あの娘たち抜きじゃ著しく効率が落ちるのは間違いないなぁ」

 

「しかし、交渉するにしても原因を明らかにしませんと……」

 

「どれも、あの娘たちがここまでの騒動を起こすほどのこととは思えませんし」

 

「それは確かに……」

 

「ですが、そうなると何が原因なのでしょうか」

 

「「「う~ん……」」」

 

“また、これに伴って鳳翔さんのお店への不買運動も実施するわ。司令官の横暴を諫めるどころか結託するなんて……見損なったわよ!”

 

「えっ、私もですか!?」

 

「鳳翔さんまでとなると、ますます理由がわかりませんね」

 

(俺と鳳翔が結託? まさか!)

 

“てーとくがゴーヤたちにスカート履かせてハァハァする変態さんだったなんて思わなかったでち!!”

 

“スク水の上にスカート履かせるなんて、度し難い変態さんなの!!”

 

“そういう趣味の人がいるのは理解しますが、はっちゃんたちをおかずにされるのはちょっと……”

 

“でも、司令官はイムヤたちにもとってもよくしてくれたわ。こき使う代わりに、色々優遇もしてくれたもの。だから、少しだけ譲歩してあげる。月に一度、スカートをはいたイムヤ達を思う存分見てもいいわ”

 

「そういうつもりで渡したんじゃねぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

 

「提督、急いで誤解を解きに行きましょう!」

 

「そうです。このままだと、提督(マスター)への信頼が地に落ちてしまいます!」

 

「むしろ既に泥まみれだと思うんだぁ!」

 

「ちょっと後輩、またアンタなの? 少しは静かにしなさいよね、落ち着きのない」

 

「…………ねぇ、半分くらいはこの人のせいじゃないかな」

 

「今は責任の所在を争っている場合じゃありませんから」

 

「急ぎましょう!」




~鎮守府裏日誌~

これからしばらくの間、艦娘たちの間で「提督はコスプレ好き」とか「制服フェチ」とか、挙句の果てに「水着の上に服を着せる特殊性癖持ち」なんて言う不名誉極まりない噂が飛び交うことになったよ! 愉しいねw

さらに、一部の艦娘が自前の制服や私服を改造したり、それを見た艦娘が提督を白い目で見たり、某先輩が「こいつ、ちょっと見ない間に……」って汚物を見るような目を向けるようになったよ。凄く愉しいねww

おかげで、提督は頭を抱えてふさぎ込むことになったんだ。彼をここまで追いつめるとは、彼女たちも成長したと思わないかい? とってもメシが旨いよ、メシウマだよwww

ネタバレ上等の設定集、いる?

  • いる
  • いらない
  • そんなことより続きはよっ
  • 全部晒してしまえwww
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