〈艦これ×FGO〉神機残響海戦 七大洋 ~天地人の狭間~ 作:やみなべ
「ん? 比叡、そんな大荷物抱えてどこに行くデース?」
「あ、お姉さま。確か、提督は今日非番でしたよね」
「その筈ネ。ワタシはこの後出撃だから一緒にいられなくて残念ヨ。でも、それがどうかしましたカ?」
「はい。私もこの後は待機なので、日頃の感謝を込めてお夕飯を作ってこようと思います!!」
「…………………………………………What?」
「比叡特製スペシャルカレー…気合! 入れて! いきます!」
「ちょっ、ま、Wait! Wait!!」
「それではお姉さま、比叡出撃します!」
「No!! 待つネ比叡――――――――っ! ちょっとその風呂敷の中身お姉ちゃんに見せるデース!!」
「お姉さま、どうかしましたか?」
「比叡お姉さまでしたら、お出かけになると仰っていましたが」
「霧島! 榛名!」
「「は、はい!」」
「二人はこの後の予定どうなっていますカ!?」
「は、榛名は鳳翔さんのお店のお手伝いに」
「私は新装備の試射を任されています」
「Shit! こうなったら誰かにストッパーになってもらうしか……」
「「? ? ?」」
「……比叡が、テイトクにカレーを作りに行ったネ」
「「なっ!?」」
「それだけならともかく、ベリー気合入ってたね……」
「比叡お姉さまの、料理……」
「普通に作ればまだしも、気合の入ったお姉さまの料理となると……計算に寄れば99%の確率で大惨事になりますよ」
「あの娘は……張り切りすぎると大失敗するからネ」
「お料理の腕前自体は決して悪くはないのですが……」
「拘り過ぎて余計な“おりじなりてぃ~”を入れるのが
「しかし、問題は誰にストッパーになってもらうかです。お姉さまは普通に作ればむしろ料理上手、艦隊の皆さんもそう認識しているはずです。ここでこのことを伝えるのは、お姉さまの名誉に……」
「だ、大丈夫です! 提督は消化できるものなら大抵のものは食べられる方ですから! お姉さまも、さすがに食べられないものは作らない筈……提督なら大丈夫だと、榛名は信じています!!」
「だと良いんだけどネ……」
・
・
・
「提督、比叡入ります!!」
「ど、どうぞ……」
「提督、お夕飯はまだですか? まだですね!」
(いつになく気合が…というか勢いが凄い。って言うかまだ六時、夕食にはちょっと早くない?)
「自慢のレシピ、比叡カレーよ! さぁ、食べて!」
「あ、あぁ、ありがとう。どれどれ……ンンン?」
「ぜひ! 感想を! お願いします!!」
「…………………………青い、ね」
「はい! 他所の国には“グリーンカレー”というモノがあると聞いたので、なら“ブルーカレー”もありだと思い挑戦しました!」
(何を入れればこんな冒涜的な色に……なのに匂いはちゃんとカレーしてるからコワイ!?)
「具は鎮守府の食糧事情を考慮して、島で取れたお野菜とシーフードでまとめています。同じ環境で育ってきた鮮度抜群の食材同士、合わない筈がありません! 〆るところから自分でやりました!」
(重っ………………………いや、そういえばエリちゃんの料理もこんな感じだったな。あっちは赤かったけど、こっちは見た目からしてテロい!?)
「どうぞ、ご賞味ください!」
(メッチャキラキラしてるぅ!! そんな期待に満ちた眼差しでこっち見ないでぇ!?)
“ワクワクドキドキ!!”
(“食べない”という選択肢はない。みんなに“色々なことに挑戦しよう”“応援する”そう言ったのは他でもない俺自身! なら、その責任を取らなければ………南無三!!)
“バンッ!?”
「比叡!? マッハで任務を片付けてきたつもりだったのに……まさか、もう来てたデスか!?」
「あれ、お姉さま? あ、お姉さまもお召し上がりになりますか? まだまだた~くさんありますから、みんなにもおすそ分けしようと思っていたんです」
「テイトク、自棄になっちゃダメデース!」
“ぱくっ”
「…………………」
「どうですか! お味はどうですか!!」
「な、なんてことをしてしまったデス……」
「…………スゴかった」
「どう凄かったですか!」
「まず、
「一からスパイスを調合しましたから!」
(そうじゃなかったらあんな色出るわけねーデス!?)
「続く、カレーならではの刺激的な風味の奥から顔を出す
「やっぱりあの隠し味が決め手ですよね~」
(何入れやがったデスか!?)
「よく煮込まれた
「ふふふっ! よくぞお気付きになりました! 実は、秘密の粉でコーティングしてあったのです。これは企業秘密、特許出願も視野に入れています!」
(対深海棲艦の新兵器として採用される未来しか見えねーデス!?)
「では早速、みんなにも分けてあげましょう!」
「「っ!?」」
「提督権限発動!!」
「ひぇっ!?」
「テイトク、そんなものあったデスか!?」
「今作った! 比叡のカレーは俺専用、異論は認めない!!」
「そんな! それは横暴ですよ、提督!!」
「異論は認めないと言ったよ。なにしろ、俺はここで一番偉いんだからね。ふっ、これくらいの横暴は許されるのさ」
「え~……もう、提督ってば好きなものを独占したがるなんて、子どもなんだから。仕方ありませんね~(テレテレ)」
(テイトク、ワタシいまあなたの中に“真の漢”を見たヨ。涙があふれて止まらないネ!?)
「はい、それじゃ比叡は急いでカレーの鍋を持ってくるように。ハリーハリー!」
「はーい」
“キィ……バタン”
「毒判定は、なかった、か…………がふっ(バタリッ)」
「テイトク――――――ッ! しっかりするね、ワタシを残して死んじゃだめヨ!?」
「そ、壮絶な戦いだった……エリちゃんの手料理を知らなかったら、耐えられなかった」
「誰だか知らないけどサンキュー! でもそれ一体どんな料理ネ!?」
「テロい、そしてドロい」
「ドロい!? もう料理の表現じゃないヨ!」
「あ、でも見た目だけならまだマシだったかも。ひたすら赤くて目が痛かったけど」
「それはつまり…味はこのカレーよりも酷かったってことデスか」
「……うん、壮絶な味だった。ひたすら甘いとか辛いとかそんな次元じゃない、あそこにはただ
「そんなものと比べられるカレー……参考までに、一口舐めても」
“ガシッ”
「テイトク?」
「止めるんだ。俺はエリちゃんの料理を知っていたから耐えられたけど、正直…ここから逃げ出せるなら“一生味覚がなくなってもいい”と思った」
「そ、そんなにデスか……」
「脳髄をぶん殴られるような衝撃、一口ごとに魂が抜けていくかのような虚脱感、やがて視界がブラックアウトして……ドクターの声が聞こえた気がしたよ」
「よくわからないけど、想像を絶する戦いがあったことだけはわかったネ。でも…それじゃ残りのカレーはどうするデース?」
「とっておきの胃薬を使うことも考えたけど…ここは、これを使う」
「……なんデスか、このイラっと来る見た目の人形は? 特に理由もなくぶん殴りたくなりマース!」
「彼は“まるごしシンジ君”、凶悪な真っ赤なシチューも飲み干す、オデュッセウスと一二を争う恐るべき冒険野郎さ」
「………………………テイトクが壊れたデス! やっぱり不味過ぎました!?」
~鎮守府裏日誌~
「比叡特製“ブルーカレー”」
普通に作れば料理上手、それこそ一流コック並なんだけど……気合を入れると余計な“おりじなりてぃ~”を入れて大惨事になってしまう、単純に料理下手な磯風とは別ベクトルの料理テロリスト渾身の逸品さ!!
提督曰く、“人生でワースト2位の冒涜的消化器破壊兵器“……これより下が存在したことに、金剛姉妹は戦慄を禁じ得ないよ。ちなみに、見た目が悪い分こちらの方が味は若干マシらしいね。何の救いもありゃしないけど。
まぁ、少なくとも食べた瞬間に口から大量のエーテルを噴射するようなことはないし…代わりに、胃の内容物をぶちまけることはあるかもしれないけど。いや、一応ちゃんと“料理ができる人”と“全くできない人”の差ということさ、たぶん根本の部分に差はないけども。
余談だけど、提督が感想をオブラートに包んだのは比叡の“真心”と“チャレンジ精神”を尊重したからだ。最初の挑戦は誰しも拙いもの、たった一回の失敗でやる気を削ぐようなマネはすまい、という配慮からだね。普段、艦娘たちが色々なことに挑戦することを推奨している身としての責任感の表れさ。
ところで、今の彼に「毒耐性」があるかどうかはわからないよ。とりあえず、某自称アイドルの料理には適応されなかったけど。
ネタバレ上等の設定集、いる?
-
いる
-
いらない
-
そんなことより続きはよっ
-
全部晒してしまえwww