〈艦これ×FGO〉神機残響海戦 七大洋 ~天地人の狭間~   作:やみなべ

68 / 105
キャスト:提督、妙高、那智、足柄、羽黒、球磨


「前門の狼、後門の熊」

「……あの、那智姉さん。司令官さんって、虐められているのでしょうか?」

 

「なんだ、藪から棒に」

 

「今朝、司令官さんが壺を持って空気椅子しているのを見かけたんです。

チワワみたいにプルプル震えてて……」

 

「いや、お前チワワなんて見たことないだろ」

 

「もし虐められているんだとしたら、私どうしたら……」

 

「…………………………………いや、流石にそれはないはずだが……」

 

「ああ、それはきっと站椿ね」

 

「「タントウ?」」

 

「なになに! 提督、刀振ってるの! ちょっと天龍からナガモノ借りて立ち会ってきてもいいかしら!」

 

「やめんか、馬鹿者。奴を殺す気か」

 

「足柄姉さん、それって多分“短刀”です」

 

「站椿というのは、中国拳法の基礎的な鍛錬法のことよ。提督は中国拳法…八極拳といったかしら。それを修めていらっしゃるから、その鍛錬でしょう」

 

「ふむ……意外という訳ではないが、戦えたのか」

 

「妙高姉さん、八極拳というのはどんな武術なんですか?」

 

「私も詳しくはないのだけれど、確か“无二打(二の打ち要らず)”とも称される流派とか……」

 

「っ!!」

 

「……どうした、足柄。目をギラギラとさせて……」

 

「こうしちゃいられないわ! 勝負が、勝利が私を呼んでいるわ!!」

 

「「「は?」」」

 

 ・

 ・

 ・

 

「さあ、勝負よ提督! “にのうちいらず”? の真髄、この私に見せてちょうだい!!」

 

「……なじぇ?」

 

「準備は良い? 良いわね! いざ、尋常に勝負!」

 

「待った待った待ったぁ!? なにこれ、どういうこと! 説明してプリーズ!」

 

「?」

 

「いや、そんな“何を分かり切ったことを?”みたいな顔されても……」

 

「もう、焦らすんだから。いい、提督。私は自分が強くなる瞬間が一番好きよ」

 

「うん、常々言ってるよね」

 

「強くなる方法は色々よ。艤装の改装、日々の訓練、そして…強敵との命を懸けた勝負!」

 

「……まさか」

 

「妙高姉さんに聞いたわ。提督は“にのうちいらず”? っていう技の使い手なのよね。それを聞いて戦わずにいられようか、いやない(反語)!!」

 

「うろ覚えなのに期待値だけはたっかいなぁ!?」

 

「提督も人が悪いわね。そんなすごいのを隠してたなんて…でも、素晴らしいわ! 漲って来たぁ!!」

 

「よし、ちょっと落ち着こう。冷静になって足柄、仮に俺が所謂“達人”だったとして、それでも足柄の相手が務まると……」

 

「さぁ、いっくわよー!」

 

「聞く耳がないなぁ、この餓えた狼は!?」

 

「打て! 打てー!」

 

(あ、死ぬ……)

 

「提督を殺すつもりクマ? やめるクマ」

 

“メキョッ!!!”

 

「んにゃっ!?」

 

“ドサッ”

 

「球磨?」

 

「クマー。提督、怪我はないクマ?」

 

「……助かった。危うく死ぬところだったよ」

 

「実際、もう少しで死ぬところだったクマー。足柄が目を輝かせて突っ走ってるのを見て追っかけてきてよかったクマ」

 

「ところで、足柄大丈夫? 鈍い音したし、白目剥いてるけど……」

 

「延髄に一撃、確実に意識を刈り取ったクマ」

 

「それ、下手したら死ぬんじゃ……っていうか、泡吹いてない?」

 

「意外に優秀な球磨ちゃんって、よく言われるクマ♪」

 

「…………………まぁ、助かったよ」

 

「でも、見てた感じギリ避けられたっぽいクマ?」

 

「初撃はね。体勢とか二の次にして辛うじてって感じだから、次が来たら一巻の終わりだけど」

 

「提督、案外凄いクマ? 素手とはいえ、普通人間が艦娘の割とマジの攻撃を避けられるもんじゃないと思うクマよ?」

 

「まぁ、昔取った杵柄ってやつだよ」

 

「ほほぉ~」

 

(とりあえず、初撃さえ避ければみんなが助けてくれるって言う前提だからね。後先考えて避けられるほどスペック高くないし……とにかく致命傷だけは受けない、が基本なんだよなぁ)

 

「でも、次の動きにつながらない回避はお薦めできないクマ……よし! ここは球磨の出番クマ!」

 

「は?」

 

「重巡の足柄と違って球磨は軽巡、パワーはそこまでじゃないクマ」

 

「まぁ、そうか……」

 

「それじゃ、早速球磨と回避訓練クマ!」

 

(なんだろう、項の辺りがゾワゾワと……この感覚は確か。ん? あれは…木曾?)

 

“ブンブンブンブン!”

 

(腕でバッテンしながら全力で首を振っている……)

 

「ふっふっふ~。まぁ、気楽にいくクマ。ゆとりの行動を心掛けるクマ」

 

(笑顔も仕草も至って可愛らしいんだけど……………………背後に鬼熊童子が見える気がする。もしかして、相変わらずここは死地なのでは?)




~鎮守府裏日誌~

提督の八極拳歴はかれこれ十年近くになるね。技量そのものは程々だけど、基礎の練度だけは妙に高いんだ。やろうと思えば、多分それなり以上の指導はできるだろうね。
ただ、いくら海上を移動できるとはいえ“踏み込み”とかには不向きだからね。“相性悪そう”ということで艦娘たちに敢えて教えようとはしなかったんだ。まぁ、この件がきっかけになって興味を持った艦娘には教えるようになったらしいよ。

ネタバレ上等の設定集、いる?

  • いる
  • いらない
  • そんなことより続きはよっ
  • 全部晒してしまえwww
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。