〈艦これ×FGO〉神機残響海戦 七大洋 ~天地人の狭間~   作:やみなべ

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キャスト:提督、電、迅鯨、大鯨、間宮


「初級認定」

「ええっと、これで重巡寮の風呂のボイラー修繕確認は良し、と。次は……」

 

「お昼を挟んで、由良さんから面談の申請が来ているのです」

 

“ジー……”

 

「了解。ところでさ、確認が必要なのはわかるんだけど良かったの?」

 

「何がです?」

 

「いや、寮に入る……のはまぁいいとして、ボイラーの確認がてら寮の風呂まで見てきちゃったけど、そういうのって嫌なんじゃないかなぁって」

 

「気にし過ぎなのです。まぁ、お風呂に入っているところに来られたらちょっと恥ずかしいですけど……まさか、変なことでもしたのです?」

 

「してないしてない」

 

「なら問題ないのです」

 

(………………すごく良い匂いがしたのは黙っておこう。それよりも)

 

“ジ―――――ッ!”

 

(この背筋のゾワゾワ感、めっちゃ覚えがあるんだよなぁ……)

 

「どうかしたのです?」

 

「ああ、いや…こっちの話だからというか、こっちの話でとどめておきたいというか…とりあえず気にしないで」

 

「はぁ……ちょっと顔色が悪いのです。大丈夫ですか?」

 

「大丈夫大丈夫、慣れてるから」

 

「? 具合が悪くなりそうならすぐに言ってくださいね」

 

(提督……どうして他の艦とばっかり……ううん、任務ですもの。仕方がないわ。ん……私のこと、好きって言ったのに……!)

 

「あれ、どうしたもんかなぁ……」

 

 ・

 ・

 ・

 

「ごめんなさい、遅くなりました!」

 

「ごめんね、忙しいのに呼びつけちゃって」

 

「大鯨さん、まずはお水をどうぞ」

 

「ありがとうございます、間宮さん。ん……はぁ、美味しい」

 

「それで、今日はどうなさったんですか提督。大鯨さんだけでなく私までとなると、任務や作戦というわけでもなさそうですけど……」

 

「間宮もごめん。この時間はかき入れ時だろうに……」

 

「夜はどちらかというと鳳翔さんの時間ですから。それに、お店は伊良湖ちゃんが回してくれるので大丈夫ですよ」

 

「うん、ありがとう。それじゃ早速で悪いんだけど…二人に折り入って相談があるんだ」

 

「提督からの相談ですか、私でよければ何なりと仰ってください」

 

「わ、私もできる限りお力になりますから!」

 

「……実は、迅鯨のことなんだけど」

 

「「迅鯨さん?」」

 

「大鯨は同じ潜水母艦だし」

 

「は、はい。最近は、良くお話させてもらってます」

 

「うん。イク達のことは俺も相談に乗るから、何かあったら言って。で、間宮は艦の頃からの付き合いなんだよね」

 

「そうですね。付き合い…というか、お世話になったことがありまして。その縁もあって、今でも良くしていただいていますよ」

 

「多分、二人が一番公私両面で迅鯨のことをよく知ってると思うから話すんだけど……最近、迅鯨の目が怖いんだ」

 

「「え……」」

 

「誰かと話してると視線を感じたり、物陰からやけに暗い表情で顔をのぞかせてたり、その日誰と会ったか聞かれたり、食い入るように包丁を見ていたかと思ったらブツブツ呟きだしたり……幸いまだ誰も気づいていないみたいなんだけど、どう思う?」

 

「「それ絶対ヤヴァイやつですよ!?」」

 

「やっぱりかぁ……。まだそんなでもなさそうだからしばらくは様子見でいいと思うんだけど、念のため二人にはそれとなく気にしておいてもらった方が良いかなって」

 

「提督、危機感が薄いです!」

 

「既に割と末期ではないでしょうか!?」

 

「え? だって、別にマイルーム(私室)の寝床に勝手に入り込んでくるわけじゃないし、“愛の前では溶岩なんて水”とか言い出さないし、地雷踏んだら即暴走ってわけでもないし、そもそも“愛故に”って言えば何でも許されると思ってないだけ全然マシというか……」

 

「ハード過ぎませんかそれ!?」

 

「というか、溶岩が水っていったい…愛、怖い……」

 

「そう、愛は最強だけど、だからこそ怖いものなのさ」

 

「なんですかそれ? それだと金剛さんが…いえ、色々気になりますけど一旦それらは置いておきましょう。そもそも、どうしてそんなことに?」

 

「あの、提督。私もあまり人のことは言えませんけど、その、気を持たせるようなことをおっしゃるのはちょっと……」

 

「罪作りなことばかりされていますと、そのうち背中からブスッとされちゃいますよ」

 

「アゾられるのはちょっとなぁ……まぁ、“これかな”って言う心当たりはないこともない」

 

「「…………」」

 

「いや、そんな冷たい目で見ないで。というか、アレって“気を持たせる”うちに入るのかなぁ? でも、確かに昔なら十分あり得たか。う~ん、確かにちょっと危機感が薄かったかも」

 

「……間宮さん、なんだか提督と私たちの間に“危機感”に対する認識の齟齬があるような」

 

「そうですね。そのあたりも、ちょっと掘り下げた方が良いかもしれませんが…とりあえず、今はその“心当たり”からですね」

 

「はい。それで、いったい何をなさったんですか?」

 

「ああ、着任して間もない頃に夜食を作ってくれたことがあってさ。純和風の“The家庭料理”って感じのやつだったんだけど……」

 

「確かに、迅鯨さんは和食がお上手ですね。派手さはありませんが、ホッとする献立で」

 

「うん。それで感想を聞かれたから“安心する”、“好きだなぁ”って答えた」

 

「……………………どう思います、間宮さん」

 

「提督、何か他に言いませんでしたか。もっとこう…誤解を招くようなことを」

 

「失敬な、自分の言動くらい気を付けてるよ。……下手なこと言うとバッドエンドまっしぐらだったからね、染み付いてるんだ。まぁ、最近はちょっと気が抜けてたみたいだけど。

 たぶん、迅鯨の中では“安心する”と“好きだなぁ”が分かれてるんだ」

 

「つまり料理に“安心”して、それを作った迅鯨さんのことを“好き”と言ったと思っていると? ちょっと無理があるような……」

 

「確かに、そう捉えようと思えばできなくもないですけど……」

 

「甘い。世の中には、初対面で“旦那様”認定してくる相手もいる。なんなら、ちょっとでも要素が近ければ“愛する人”認定して殺しにかかってくるのとか、言葉は通じるのに話が通じない相手なんて割とざらだ。

 そういうのに比べれば、迅鯨は全然序の口だよ。まぁ、やんわりなんとかしたいところだし、時々協力してくれると助かります」

 

「まぁ、迅鯨さんのことは私たちも心配ですし……」

 

「お手伝いは吝かではありませんけど……」

 

「じゃ、お願いね!」

 

(軽い……)

 

(提督は何でこんなに余裕なんでしょうか)




~鎮守府裏日誌~

地味に“熟練のストーカー被害者”な提督だからね、アサシンレベルのストーキングじゃなければ割と気付くのさ。ただ、昔の経験故に“命の危機”の水準が高すぎて、今の迅鯨くらいだと「しばらく様子を見るか」になるんだけど。
いや、実際迅鯨は本当の意味での「末期」じゃないから、今後状況が改善していく可能性は十分あるね。いやぁ、行き着くところまで行きついて“溶岩水泳部”入りする未来も見てみたかったなぁ…「シスベシフォウッ!!」アイタッ!?

ネタバレ上等の設定集、いる?

  • いる
  • いらない
  • そんなことより続きはよっ
  • 全部晒してしまえwww
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