〈艦これ×FGO〉神機残響海戦 七大洋 ~天地人の狭間~   作:やみなべ

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キャスト:提督、グレカーレ、リシュリュー、ビスマルク、プリンツ・オイゲン



「だが、テメーはダメだ」

「テートク、Ciao♪」

 

「こんにちは、グレカーレさん。今日もお元気そうですね」

 

「うん、朝からテートクと会えたんだもの、すっごく元気になっちゃうよ!」

 

「私と、ですか?」

 

「ふふっ、そういうところ。ちっちゃい動物みたいで本当かわいい♪ ねぇ、テートク。ほら、ひーらひら♪」

 

「グ、グレカーレさん!? そんなにスカートを揺らしてはダメです! み、見え……!」

 

「あ、見た? 見たでしょ♪ もーエッチなんだから♪」

 

「グレカーレさん! 今日は風が強いんですから、そんなに動いては本当に見えて……」

 

「いい北東の風、吹いちゃうかもね♪ どーするのテートク、ねぇどーしてほしい?」

 

「お願しますから、それ以上は……!」

 

「慌てちゃってかわいいんだぁ♪ じゃあ、ゲームしようテートク。それであたしに勝てたらやめてあげる♪」

 

「ゲーム、ですか?」

 

「十回クイズって、テートク知ってる?」

 

「はい。同じ言葉を十回言い、その後に出すクイズに答える…というモノですね」

 

「そうそう♪ お題はね……」

 

 ・

 ・

 ・

 

「あ、リ…リシュリューさん。こ、こんにちは」

 

「Amiral? どうしたの、なんだか顔が赤いようだけど……もしかして熱? ダメよ、ちゃんと休まないと」

 

「い、いえ! 熱はありません! ただちょっと、今日は暑いので……」

 

「そうかしら? 日差しは強いけど、気持ちのいい風が吹いているからそれほどでもないと思うのだけれど……」

 

「いえ、暑いです! リシュリューさんも熱中症に気を付けてください!」

 

「そ、そう? あなたがそう言うのなら……」

 

「ところで唐突ですが、十回クイズをしませんか!」

 

「へ?」

 

「“好き”と十回言っていただき、その後に出すクイズに答えてください!」

 

(え…ええっ!? “好き”って、“好き”のこと!? そんなの十回と言わず、いくらでも言いたくらいなのだけれど…いえ、落ち着きなさいRichelieu。何が何やらまったくわからないけど、これはまたとないチャンス! 普段なら下手に口にすれば袋叩きにされてしまうけど、これはあくまでもゲーム! そう、ゲームだから何も問題はありません。なら、この機を逃す手はない!!)

 

「それでは、始めてください」

 

「……Amiral、好きよ。好き、好き、好き、好き、好き、好き、好き、好き…大好きよ、私の大切なAmiral」

 

「はい、私も大好きです」

 

「ぴゃああああああああああっ!? ……あふんっ」

 

「なんて……リシュリューさん!? 鼻から滝のように血が!? 大丈夫ですか、一体何が……」

 

「だ、大丈夫。Richelieuはこんなことでは沈まないから……」

 

“ダバダバと鼻血を流しながらもキメ顔で微笑む”

 

「……グレカーレさんから皆さんが喜ぶとお聞きしたのですが、まさかこんなことになるなんて。まさか、艦娘のみに発動する特殊な魔術の類では!?」

 

(Amiral、こんな時まで天然さん。まぁ、そこがかわいいのですけど。それにしても、グレカーレの仕業だったのね。なんて恐ろしいことを思いつくの、あの娘ったら…Merci!! 今度フルコースを振る舞ってあげます!)

 

「だ、大丈夫ですか? 首をトントンしましょうか?」

 

「Merci Amiral。でも、これは他の娘たちにはしてはダメよ、被害が大きくなってしまうから」

 

「やはり何かの魔術なのですね!? わかりました。このマシュ・キリエライト、このような軽率な真似は二度としないと誓います」

 

「魔術? あ、でも私とならいくらやっても問題ありません。むしろ、毎日やりましょう。それで慣らしていって、いずれはみんなにもやってあげると良いわ。喜んでもらいたいのでしょう?」

 

「それは…ですが、リシュリューさんの負担になるのでは?」

 

「あなたのためなら、私は何も怖いものなどありません。でも、心配してくれて嬉しいわ」

 

「リシュリューさん……」

 

(まぁ、絶対に許可を出すつもりはないのだけど)

 

 ・

 ・

 ・

 

「これより! 神聖な誓いを破ったリシュリューの断罪裁判を開廷する! 被告人を弁護する者はいる?」

 

「「「……」」」

 

「いないわね! 有罪確定、これより量刑の検討に移る!」

 

「ちょっ、待ちなさいビスマルク! 有罪確定の裁判とか魔女裁判も良い所じゃない! 公正な裁判と弁護士を呼ぶ権利を求めます!」

 

「だが許さん!」

 

「はぁっ!? 何の権利があって……!」

 

「これが当法廷参加者の総意だからよ! あなたは私たち全員を…なによりAdmiralへの誓いを裏切った。その罪、万死に値するものと知りなさい!」

 

「な、なにを言っているのか……」

 

「シラを切るのはやめることね、証拠は上がっているわ。プリンツ!」

 

「はい、お姉さま! リシュリューさん、あなたがゲームを口実にAdmiralに告白し、あまつさえルールを悪用して“大好き”と言わせるという羨ま…もとい許し難い暴挙に出たことはすべて丸っと御見通しなのです。具体的には、妖精さんたちにお菓子を上げたら全部ゲロッてくれました」

 

「その上、聞けばあなた…その至福の時間を独占しようとAdmiralに色々吹き込んだそうね。純朴なAdmiralを騙すだなんて、まさかあなたがそんな卑劣な女だったとは…見損なったわよリシュリュー! 何故私たちにも分けてくれないの、ズルいじゃない!?」

 

「お姉さま、本音が駄々漏れです」

 

「っとと。というわけで、あなたの有罪は確定。既に焦点は“どれだけの刑を科すか”という点よ。これは無断でAdiralを“Honey”呼びしたイントレピッドに匹敵するわ。覚悟なさい、少なくとも向こう一ヶ月の半径100m以内への接近禁止令は確定、場合によってはAdmiralコレクションの没収もあり得るわ」

 

「い、いやぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」




~鎮守府裏日誌~

「淑女協定 三大裁判」

提督を巡って日々水面下で火花を散らす艦娘たち。だが致命的な破局、表立っての全面戦争は悪手と考えた彼女たちは一定のルールを定めた「淑女協定」を結んだわけなんだけど…まぁ、元々出し抜く気満々だったから割と頻繁に誰かしらが被告人席に引っ張り出されているんだよ。ただ、その中でも特に大きな問題になったものを「三大裁判」と呼ぶんだ。
で、そのうちの一つがこの「リシュリュー独占禁止法違反」というわけなのさ。残る二つのうち一つが「イントレピッド抜け駆け事件」で、もう一つは「ジャーヴィス脱法疑惑」だよ。前者はビスマルクが言っていたように抜け駆けして提督を“Honey(ハニー)”と呼んだことに対するもの。後者も似た様なもので、ジャーヴィスが提督を“Darling(ダーリン)”と呼んだことが問題になったんだ。ただし、前者と後者では下された裁定が大きく違う。前者は問答無用の有罪(ギルティ)、イントレピッドはそれはそれは辛い一ヶ月を過ごしたのさ。なにしろ、提督不足で禁断症状が出て幻覚まで見たって言うんだから相当だね。
だけど、後者は無罪放免になったんだ。なにしろ、ジャーヴィスのアレは単純に人懐っこさの表れだし、なにより彼女は淑女協定に参加していなかったからね。まぁ、その結論に至るまでに、一ヶ月以上にわたって議論が紛糾したわけだけど……。

ネタバレ上等の設定集、いる?

  • いる
  • いらない
  • そんなことより続きはよっ
  • 全部晒してしまえwww

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