〈艦これ×FGO〉神機残響海戦 七大洋 ~天地人の狭間~ 作:やみなべ
「
「そう、どうだった?」
「……正直、状況は芳しくありません。大半の施設が半壊、無傷なものは無いに等しいでしょう。寮も、庁舎も、全壊ではありませんがいつ倒壊してもおかしくありません。立ち入り禁止にしていますが、いずれなんらかの処置が必要かと」
「まぁ、
「一応、工廠はまだ被害が少ないので辛うじて入渠は行えます。ただ、建造となると……」
「やっぱり厳しい?」
「明石の見立てでは、一回が限界とのことです」
「そうか……電は?」
「いまは間宮さんたちと負傷者の手当てをしています。なにぶん、入渠の順番待ちが大勢いますから。比較的軽傷な娘たちには、それでしばらく待ってもらうことになります。
「なら、やっぱり俺も……」
「
「ちょっと額が割れただけなんだけど……そりゃ血は結構出たけど、そういうものだよ?」
「頭の怪我を甘く見てはいけません! 気付いていないだけで、もしかしたら脳に何らかのダメージがあるかもしれないんですよ! しばらくの間は大人しく様子を見てください…私たちと違って、
「むぅ……」
「いいですか、くれぐれも安静になさってください! 決して無理をしてはいけません!
もしも気分が悪くなったり吐き気を覚えたりした時は……」
「わかってるよ。その時はちゃんと連絡する」
「……約束ですよ」
「大和はこれから?」
「とりあえず、使えそうな施設周りの瓦礫の撤去を進めます。地下シェルターを発掘して物資を確保するのも大切ですが、何分保管場所すらない有様ですから」
「……わかった。そのあたりについては俺の方でも考えておく」
“ジ~ッ”
「大丈夫、無理はしないから。あくまでも頭脳労働だけ、それならいいでしょ」
「……わかりました。くれぐれも忘れないでくださいね」
(……さて、上に支援してもらうって言うのが一番ではあるんだろうけど…今までのことを考えると、望み薄だからなぁ。やっぱり、いつも通り自力で何とかするしかないか……。なら、せっかくだし……)
“じわっ……”
「……ああ、もう。何度経験しても、慣れないなぁ。そこにいたはずの人が、いなくなるっていうのは……」
・
・
・
「……これから、どうなるのかしら」
「どうって……どういう意味だい、雷」
「だって、鎮守府は壊れちゃったし、みんな傷だらけだし……こんな状態で、今更なにができるのよ」
「らしくないね」
「……らしくないって、なにが?」
「確かに今私たちが置かれた状況はのっぴきならない一大事だ。鎮守府は半壊し、仲間を失い、そのくせ救援も支援も望めない。四面楚歌、というやつだ」
「…………」
「だけど、こんな時でも司令官はなにも諦めていない。失くしたものを悼みながらも、残ったモノを見て“まだやれることがある”と前に進もうとしている。タフだタフだとは思っていたけど、私たちはまだ思い違いをしていたようだ。あの人は、私たちが思うよりもずっと打たれ強いよ。電もだ、現実逃避だろうと何だろうとできることをやろうと走り回っている」
「……うん」
「なら、私たちも諦めるわけはいかない。司令官の指示に従い、願いに応える。それが
「響は、こんな時でも冷静なのね」
「“不死鳥”の通り名は伊達じゃないよ。それにこの状況も、見方によっては悪いことばかりとも言えないさ」
「どういうこと?」
「こんな時だからこそ、司令官に頼ってもらうチャンスじゃないかな? この機会を逃すと、次はいつ…いや、それこそいつまで経っても頼ってもらえないかもしれないよ?」
「……もうっ! 響は雷のことなんだと思ってるのよ!」
「ダメ提督製造機? 鳳翔さんが、雷にはそんな噂が立ってるって言ってたよ」
「本当に失礼しちゃうわ! 雷はただ司令官を助けたいだけなのに!」
(……雷の場合、そこから際限なく甘やかすから質が悪いんだけど…自覚なしか、重症だね。だけど、司令官は妙に甘やかされ慣れているというか、キチンと一線を守っているというか…妙に手馴れているんだよね)
「なによ、胡乱そうな目でこっち見て……」
「いや、案外悪くない組み合わせなのかと思ってね」
「? ? ?」
「いや、気にしないでくれ。とりあえず、少なくともさっきまでよりはいい顔をするようになって一安心だ」
「……そう言えば、暁は?」
「暁なら……」
「響! 雷! 二人ともいつまでそうやってウジウジしているの! 大変な時にこそレディの真価を問われるのよ! やらなきゃいけないことはいーっぱいあるんだから!!」
「……暁はこんな時でも暁なのね」
「そうだね。だけど、頼もしい限りじゃないか。それでこそ、私たち“暁型”のネームシップだよ」
「? よくわからないけど…暁が一番ってことよね!」
「むっ、暁にばっかり活躍させないんだから。ただめげないだけじゃ駄目だと思うの、司令官のことは雷が助けるわ!」
(こういう場の空気を明るくする力は、私にはないものだ。本当に……敵わないな)
“あ~、テステス。業務連絡、業務連絡”
「「「司令官?」」」
“みんな、まだ傷も癒えていないところ悪いんだけど、少し耳を傾けてほしい。ああ、姿勢は楽に、緊張せずに聞いて。大切な話ではあるけど、深刻だったり緊急だったりはしないからね”
「暁、電から何か聞いているかい?」
「え、ううん」
“現在、鎮守府の機能は大半が停止している。庁舎や寮といった施設の大半が使用不能、復旧の目途も立たないのが実情だ。正直、復元するよりも建て直しちゃった方が早い有様だね”
「そんな……」
(これを深刻じゃないと言うあたり、感覚がズレているのか大物なのか……)
“そんなわけで、みんなにお願いがある。…………再建する「新鎮守府」のデザイン案を募集します。見事採用された娘には、金一封と豪華報酬! あと、副賞としてできる範囲で俺に
(((…………また司令官が妙な事始めた)))
・
・
・
「建材の手配はこれで良し、と。次は……」
「輸送任務の編成なのです。正直、資材の余裕もないのでできる限り効率よくいく必要があります。それと並行して、周辺海域の哨戒もなのです。新しい海域の攻略は無理でも、せめて今私たちの勢力圏にある海域だけでも守らないと」
「……そのことだけど」
「はい」
「当面は、哨戒は近海と輸送航路に限定しようと思う」
「なっ、何を言っているのです!? そんなことをしたら、せっかく勝ち取った海域が……!」
「奪われるだろうね」
「それがわかっているのになぜ!」
「今の俺たちに、そこまで守れるだけの余裕が本当にある?」
「そ、それは……」
「何とか傷を癒しても、態勢は万全からは程遠い。施設の大半が半壊して、ほとんど野営状態。備蓄していた資材の4割も吹き飛んだ。金剛の建造でそっちは完全に機能停止、明石が頑張って修復してくれているけど船渠も半数が使用不能。とてもじゃないけど、そこまでは手が回らない。
ここで無理をしても、かえってリスクが増すだけだ。なら、被害を出す前にすっぱり諦めてしまった方がいい」
「悔しいのです。みんなが必死に戦って手に入れた海なのに……」
「……本当、顔向けできないよね。だけど、払った犠牲を無駄にするわけにはいかない」
「……了解なのです。大淀さんと建材・物資輸送のために必須の航路を選定して、哨戒範囲を限定するのです」
「うん。あと、範囲を狭めればこっちの弱体化を察知されるだろうし、その分頻度を密にね。軽巡以上を必ず二隻は編成して、不測の事態にも対処できるようにした方がいいか」
「資材のやりくりは任せてください。なんとかして見せるのです」
「お願いね」
「おう、提督。例の奴、それなりに数が集まったから持ってきたぞ」
「へぇ、どれどれ……ははっ、みんなノリが良くなったなぁ。正直、3日でここまで集まるとは思わなかった」
「うわぁ…この調子だとまだまだ集まりそうなのです」
「つっても、ざっと目を通したがピンキリだぞ? 図面っぽく見えるのもあれば落書きみてぇのまで…適当に削っとくか?」
「ん? いや、全部目を通すよ。元々みんな建築に関しては素人同然なんだしさ。それに、落書きっぽいのが案外傑作だったりするかもよ?」
「そんなもんかぁ? あ、そうだ。お前、あの報酬とかって本気か?」
「? とりあえず嘘を言ったつもりはないけど……」
「何かあったのです?」
「いや、龍田がなぁ…妙にノリ気でよ。アイツ、お前に相当無茶なこと要求するつもりだぞ」
「龍田さんの本気……普段捉えどころのない人だけに、一抹の不安があるのです」
「オレが言うのもなんだけどよぉ…保険は掛けといた方がよくねぇか?」
「大丈夫じゃない? 無茶って言っても、龍田はアレでちゃんと弁えてるタイプだし」
「……信頼してんだな。しょっちゅう脅されてるってのに」
「え? 龍田のアレってこっちのリアクション見るためのコミュニケーションでしょ。悪戯好きというか、相手の反応見て楽しんでるし」
「……そうなのです?」
「わからん。だが、確かに俺も結構標的にされる。反応するとスゲェ楽しそうにしてんだよなぁ」
「でしょ。だからまぁ、精々“ちょっと困らせてやろう”位だろうから大丈夫大丈夫。そういうのには慣れてるから」
「なににだよ。まぁ、お前がそう言うならいいけどよ」
「それにしても、本当にたくさんあるのです……軽く百枚以上でしょうか?」
「ああ、いや…量は多いけど実際に寄越したのは10人くらいだぞ」
「その割には紙の量多くない?」
「見てみりゃわかる」
「? どれどれ……」
「電にも見せてほしいのです」
~提督と秘書艦、熟読中~
「前々から思ってたのですけど………明石さんって時々すっげぇ頭悪くなりますよね」
「だろ?」
「アッハッハッハッハッハッハッ! うわ、なにこの“鎮守府地下秘密基地化計画”って……あったまわる~い! サイコーッ!」
「大喜びじゃねぇか」
「司令官、こういうの大好きですから」
「よし、キープ」
「本気かよ!?」
「地下にも施設を作るのは賛成ですが、全ての機能を地下に移すのはどうかと……」
「それもだけど、もっとよく読め! 隅の方にちっこく“自爆装置の仕様”とか書いてあんだろぉがぁ!」
「? 秘密基地に自爆装置はデフォじゃないの?」
「ダメだコイツ、早く何とかしないと」
「秘密基地に目が眩んでちょっとトリップしているのです」
“ガチャ”
「……おい、電。なんでお前、錨持ってんだ?」
「大丈夫なのです。ちょっと頭どついて正気に戻すだけなのです」
“ブオン!!”
「割とヤベェ風斬り音鳴らして何言ってんだ!? んなもんで殴ったらそいつ死ぬぞ!」
「司令官は無闇に頑丈なので多分大丈夫なのです」
「ヤメロ! 大丈夫なわけあるか、バカ!!」
・
・
・
「……………………………………………………………イタイ」
「あれ食らってどうして“イタイ”で済むんだよ……」
「でも、こうしてみると案外皆さんちゃんと考えてくれていて一安心なのです」
「まぁ、普通明石みたいなアホなこと考える奴の方が少ねぇだろ。実際に自分たちで使うかもしれないんだぞ」
「え~、そもそもデザイン案の募集だったはずなんだけどなぁ……みんな当たり障りのない箱ものばっかりでちょっと残念」
「普通が一番なのです」
「代わりに欲しい施設とか機材のリクエストが多いな。なんだよこの“ジュークボックス”とか“バーカウンター”とか」
「それくらいならまだ可愛い方なのです。これ見てください、“コンサートホール”に“映画館”、“温泉”なんてものまであるのです」
「図々しいなんてもんじゃねぇだろ」
「え、良い傾向じゃない? 明日への活力が戻って来たってことじゃないか」
「これだよ……」
「確かに間違ってはいないのですが、程度というモノがあるのですよ。あれ、これって……響ちゃんも応募してたのです?」
「先に言っておくが、気をしっかり持てよ。最初に見た時は俺も目を疑った」
「へぇ、どれど……(ピシッ)」
“
「司令官?」
「は」
「「は?」」
「ハロウィンの匂いがするっ!?」
「「これのどこにハロウィン要素があるん(だよ/ですか)!?」」
「いや、違う! これはチェイテピラミッド姫路城じゃない!」
「おい、なんだそのチェイテ何とか城ってのは」
「でも、それならユニバース案件?」
「司令官、しっかりするのです!」
「あるいはぐだぐだ? まさか、追いかけてきたのか!?」
「ダメだ、正気を失ってやがる」
「確かに出鱈目なデザインなのですが……いったい何が司令官をここまで追いつめたのです?」
「つーかよ…改めて見るとホントひでぇな。そもそもなんで軍艦が陸にあがってんだよ…しかもこれ、大和じゃねぇか」
「でも、どうしてハロウィンなのでしょう?」
「そこだよなぁ。コイツをここまで錯乱させるって……何があった?」
~鎮守府裏日誌~
まぁ、所謂自業自得というやつだねwww
デザインとしては彼の禍々しい混沌の城塞、狂気の産物、“チェイテピラミッド姫路城”とは似ても似つかない代物だ。だが、提督はそこに似たなにかを感じたのかもしれない。まぁ、単純に“西洋/中東/東洋の建物全部乗せ”だからかな。とはいえ、流石にそこに軍艦をぶっ刺すとは……彼女、中々素質があるんじゃないかな?
ちなみに、こっちはあくまでも庁舎のデザインで、周囲にはそれぞれ空母や重巡なんかがやっぱり地面に突き刺さっているぞ。なにしろ、元は“鎮守府のデザイン”を募集していたわけだし、これらは工廠や寮のことなわけだね。
本人曰く「インスピレーションの赴くままやった。愉しかったから別に反省はしていないよ」だってさ。
以来、アウラードたちは響と大和を見かけると気付かれないようにコッソリと逃げるようになったそうだよ。大和はとんだとばっちりだよねwww
これには流石の提督も己の浅慮を深く反省したそうな……おかげで、新鎮守府は割と穏当なデザインに収まったぞ。
ネタバレ上等の設定集、いる?
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いる
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いらない
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そんなことより続きはよっ
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全部晒してしまえwww