〈艦これ×FGO〉神機残響海戦 七大洋 ~天地人の狭間~ 作:やみなべ
「司令官の所感?」
「ああ、貴様にあの男はどう見えている、同志ちっこいの」
「……意外だね、君が他人に意見を求めるなんて」
「ほぉ……ヴェールヌイ、貴様は私がそんなにも了見が狭いと思っていたのか?」
「今の私は“響”だよ。艦名は違っても、そう在りたいと思っている。昔と違って、今は姉妹たちも健在だ。それ位の義理立ては、許されるんじゃないかい?」
「ふむ……いいだろう。姉妹が揃っているのなら、大切にすべきだな」
「スパシーバ、同志でっかいの」
「気安いな。だが、そのくらい肩の力を抜いたほうが丁度いい」
「それと、さっきの言葉で気分を害したのなら謝るよ。私も言葉選びが上手くなかった。
任務、あるいは未知の事柄なんか…そうだね、例えば“生き方”とかかな? そういうことであれば、君は他人の意見も柔軟に取り入れるだろうね。プライドは高くても決して狭量な人じゃない。なんだかんだ、面倒見も付き合いもいいことだしね」
「謝罪を受け取ろう。しかし、では何が意外だと?」
「相手がどういう人間なのか、なんていうのは結局のところ自分自身で判断するしかない。確かに他人の見解も参考にはなるさ。だけど、さっきの君の発言はそれとは少し違う意図を感じた。自分の答えを出すための参考としてではなく、“私自身の
「ハッ! ハハハハハハ……いや、すまなかった。やはり、慣れん腹芸などするものではないな」
「酒匂がプリンツ・オイゲンやサラトガに司令官のことを色々聞かれたって言っていたけど、それと関係があるのかな?」
「なんだ、知っていたのか」
「まぁね、本人は司令官と打ち解けようとしていると思っていたみたいだし、私もそこまで深くは考えてはいなかったよ。君が、わざわざこうして聞いてこなければね」
「なるほど、どうやらいらん警戒をさせたらしい。案ずるな、別段奴をどうこうしようとは思っていない」
「……君以外は?」
「保証しよう。我ら第二艦隊一同、司令に対し一切の叛意も害意もない。提督に不利益をもたらすならば、その限りではないがな」
「逆に言えば、二人の仲が悪くならなければ問題ない、そういう理解でいいかい?」
「ああ」
「……それを聞いて安心したよ」
「警戒しすぎ…とは言えんな。あんなことがあった後では特に」
「そういうことさ。まだピリピリしている人は少なくないし、少し気を付けてもらえると助かる。私の方からもフォローは入れておくけどね」
「それは有難いな。これから共に戦う同志だというのに、早々に軋轢を生むというのは望ましくない」
「でも、一応聞かせてくれないかい。どうして、司令官のことをそんなに聞きたがるんだい?」
「……………」
「ガングート」
「……まぁ、なんだ。私のところの提督は少々天然というか、世間知らずなところがあってな。放っておけないというか、危なっかしいというか、妙な男に引っかかってはことだからな……そう、これは艦隊のためだ!」
「……理解したよ。要は、君を含めて第二艦隊は副司令大好きっ娘の集まりなんだね」
「だ、誰もそこまでは言っていないぞ! 西側の連中は色々拗らせているが、私は違う! 妙な勘違いはするな、銃殺刑にしてやってもいいのだぞ!」
(顔を真っ赤にしながら言われてもね……)
「ま、まぁ、奴の下で戦うのは悪くない。少々頑張りすぎるところが玉に瑕だからな、私がしっかり監督してやらねば……それが永遠であっても、別に構わんが」
「ちなみに、拗らせているって言うのは具体的にいうとどう拗らせているんだい?」
「そうだな……例えば、やたらと提督とのスキンシップを取りたがる、アメリカとイタリアが顕著だな。抱擁や頬・額への接吻、外出時に腕を組んで歩くくらいならまだ軽い。胸に顔を埋める、指を絡めて見つめ合いそのままキスしようとする、後ろから抱きついての胸や尻への接触……女同士なのをいいことに、男がやれば即セクハラ案件な振る舞いが後を絶たん。他にも、愛を囁いたり歯の浮くようなことを抜かしたりと…まったくもって節度が足りん!」
「…………なるほど、ガチ勢か。よく副司令の貞操が今まで無事だったね」
「私が守っていたからな(フンスッ! フンスッ!)」
(ガングートも決して安牌じゃないと思うんだけどなぁ……多分、本当の意味でのブレーキが他にいると見た)
「あとはまぁ…ドイツ連中もか。特に油断ならんのがビスマルクでな、初期艦でこそないもののまとめ役のようなもので影響力が大きい。アークロイヤルでなければ、奴の掣肘は少々厳しいと言わざるを得ん」
(なんだかとっても愉しそうだね! 是非お目にかかりたいよ!)
「まったく、何のための不戦条約だと思っているのか」
「不戦条約?」
「む? ああ、何事にも限度があるからな。要は、円滑な艦隊運営のための取り決めだ」
(まぁ、その手の約束事なんて表向きだけ、裏でコソコソやるためのカモフラージュと相場が決まっているわけだけど……策を練っているのは一人や二人じゃないね。ここは、それとなく情報を流して青葉に探ってもらおうかな?)
「む? 待て、そもそもなぜ私ばかり話をしている」
「うん? ああ、そうだ。元は提督に対する所感の話だったね。すっかり忘れてた。今日は肴が良いからウォッカが一段と美味しいよ。グラスを運ぶ手が進む進む、最高にハラショーさ」
「そうだろうそうだろう。この(黒い)イクラは特に絶品だぞ」
「そう言うところだよ、同志」
「どういうところだ?」
「まぁいいさ。これだけもてなされておいて話を聞いてばかりというのも悪い。提督の所感か、そうだね…………一言で言うのなら、“流木”のような人さ」
「流木?」
「よく“運命”を嵐や大波に例えるだろ? そんなものを前にした時、提督にできることは少ない。飲み込まれて、翻弄される。無力なあの人には、自分で荒波を掻き分けて進むような真似はできない」
「あっははは、辛辣だな」
「そうかい? むしろ、とても好意的に評しているつもりだよ」
「……どこがだ?」
「考えてもごらんよ。どれほどの嵐に見舞われ。どんな大波に飲み込まれても、過ぎ去った後には浮き上がってあの人は海の上をプカプカ浮いているんだ。そうして、最終的にはどこかの岸に漂着する。それはある意味、とてもすごいことなんじゃないかな?」
「……なるほど。流木は流木でも“決して沈まず壊れない流木”、あるいは“必ず漂着する流木”か」
「司令官の半生はまさにそれそのものだったと思うよ。本来、彼の力では絶対に乗り切れなかったはずの嵐を、なんだかんだで司令官は乗り越えたんだからね」
「確かに、一理あるか。しかし、随分と面白い表現をする。まるで、こんな日を予想して練り上げていたかのようだぞ」
「それは流石に買い被りさ。まぁ、結果的に司令官の人物像を練り上げることになったのは確かだけどね」
「ほぉ?」
「しばらく前に、
「……そうか。聞きたかった内容とは些か違うが、良い話を聞かせてもらった。少なくとも、奴とも長い付き合いになりそうだ。軟弱者であれば追い出してやることも視野に入れていたが、その必要はなさそうだからな」
「ちなみに」
「?」
「副司令との関係については“よくわからない”が回答だよ。君も知っての通り、距離感が近いしお互いを深く信頼し合っている。
……ただ、“男女の仲”ってなるとどうかな。強い絆で結ばれてこそいるけど、だからこそそういう“浮いた関係”を通り過ぎている感じがする。一周回って、色恋から離れちゃってるように見えるな」
「……」
「同志、そんな真剣に聞かなくてもいんじゃないかい?」
「む、そうか。いや、すまん。非常に興味深い話だったのでな。よし、ここは私のおごりだ。遠慮なく飲め、同志ちっこいの」
「もちろんさ、同志でっかいの。財布の貯蔵は十分かい?」
~鎮守府裏日誌~
硫黄島鎮守府時代の所感はこんなところだね。まぁ、彼の経歴を知った後は「文句なしに艦隊最弱」「でも多分一番タフで頭がオカシイ」「そして艦隊一の危険物」というのが第一・第二艦隊問わず艦娘たちの共通認識になったようだけど。
ネタバレ上等の設定集、いる?
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いる
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いらない
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そんなことより続きはよっ
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全部晒してしまえwww