11話のifとなっております
歩夢に押し倒されて、歩夢は私を見つめながら……
「私だけの侑ちゃんでいて……」
歩夢の言葉に私は何も言えなかった……ううん、どう答えればわからないでいた。だから私は思い浮かんだ言葉を告げた
「ごめん……私は歩夢のだけになれない……」
「あ……」
歩夢からしてみればそれは拒絶の言葉だった。
「そう……だよね……侑ちゃんはみんなの侑ちゃんでいたいよね……」
歩夢は涙を流しながら……私に気を遣わせないように笑顔を向けていた。
「私……帰るね……」
歩夢は落ちたスマホを拾い、帰ろうとした。だけど私はそんな歩夢の腕を掴んだ。
「待って……」
「……離して……」
「離さない!」
「お願いだから……離して……」
私の手を振り払おうとする歩夢だけど私は歩夢を抱き寄せた。
「侑ちゃん……お願いだから……」
「私は歩夢だけの私ではいられない。私はみんなを応援したいから……みんなの私でいたい!」
「お願いだから……それ以上言わないで……今、侑ちゃんの言葉は……聞いてるだけで辛いよ……」
「辛くても聞いて……」
私は歩夢に優しい言葉遣いで話を続けた。
「私は歩夢だけの私にはなれない。だから……歩夢……私だけの歩夢でいてほしい!」
「えっ?」
「歩夢が私の事が好きだって気持ちは……さっきの言葉で気付いた……そして私は歩夢のことが大好きだって事に気がついたんだ!だから…………私だけの歩夢でいてほしいの!」
「侑ちゃ……ん……」
歩夢は私を抱き締める。きっと歩夢からしてみれば辛かったから……今回みたいなことになってしまったのかもしれない。歩夢は昔から自分の想いをはっきり伝えられずに溜め込んでしまう。だから……こそ、私が気づいてあげなきゃいけないことだったんだよね
「ごめんね……歩夢……辛い想いをさせて……」
「私も……私もごめんなさい……」
歩夢の泣きながら謝る言葉が部屋に響くのであった。そして私も歩夢に謝り続けた。
気がついたら、歩夢と私は一緒に寝ていた。お互いに泣きつかれてしまったのかな?
「歩夢……」
私だけの歩夢でいてほしい……それは紛れもない私の本心だ。だから……
「頑張ろう……」
歩夢に言いかけた未来の話……いつか歩夢に私が作った歌を歌ってほしい。そのために頑張らないと…………
だから待っててね。歩夢
出来ればフェスまでに作るから……歩夢だけの……歌を!
大好きな歩夢のために……
朝になり、目を覚ますと歩夢が既に起きていたけど……
「どうしたの?顔真っ赤だけど?」
「えっと……昨日は……その……夢じゃないよね」
「うん、夢じゃないよ」
「じゃあ……あの時の言葉は……」
「私だけの歩夢でいてほしい……いいよね?」
「うん!」
昨日の夜の事が夢だと思っていたのか……でも私もあんな歩夢を見たのは初めてだったから夢かと思っていた
「そ、そういえば……合宿の時にせつ菜ちゃんに抱き合っていたのは?」
「あーあれ?せつ菜ちゃんが転びそうになって支えていただけだよ」
「ピアノの事を秘密にしていたのは?」
「それは……歩夢を驚かせたかったんだよね……」
「私を?」
「うん……まだ未完成だし、下手くそだけど……聞いて……歩夢のために作ったこの曲を……」