ボクっ娘幼馴染に配信チャンネル乗っ取られたらバズり倒した 作:世嗣
元気な紺野姉妹が見たいって話。
原作で「木綿季君は周囲から孤立したことが最後のダメ押しになった」とあったので、じゃあその時側にいてくれる誰かがいたならまた違ったんじゃないか?ってやつです。
炎の如くチャンネル燃やす戦士あり
ガキの頃ヒーローに憧れたことあるか?
俺はある。
仮面ライダースーパー戦隊ウルトラマンプリキュアそれにアニメや漫画の主人公。
いつだって誰かのために頑張れて、最後はみんなの笑顔とハッピーエンドを持ってくる。
めちゃくちゃかっこよかった。痺れたね。
俺仮面ライダー特に好き。今でも見てる。
あんなふうに自分もなりてえって思って、そうなれたらって思って過ごしてた。
まあでも、現実はそう上手くいくもんでもないもんで。
倒すべき悪はいないし、ガキの頃の全能感も大きくなるにつれ薄れていって、だんだんありふれた大人ってやつに近づいていく。
主人公から程遠い、いいとこ怪人がやって来た時悲鳴を上げながら逃げるくらいのモブCみたいな俺に、なっていく。
たぶんヒーローになるには色々足りてなかったんだろう。
何って、まあそりゃ、なんだ、愛とか勇気じゃねえの?
まあそんなありふれたどこにでもいるモブCである俺だって向き合わなきゃいけない現実はある。
さて、長ったらしい前口上になったが逃避をやめて結論を述べよう。
──炎上した。
それはもう盛大にな。
何がって? そりゃ俺のチャンネルよ。
発端は些細な一言。
「で、でもゆーてあのライバーやってるのアレだよね、姫様プレイ。あれでトップライバーなんだもんな。俺の方が上手く立ち回れそう。あ、あと見た目もあんまり……これは俺が超美人の幼馴染いるせいからかもしれないけど。……にしても、あのアバターの見た目は他にもできることありそう。俺だったらもうちょい服のとこで差別化するけど、ってこれ聞かれたらやべーな、今のなしね、ナシ。頼みます」
全然一言じゃねえな。こいつ馬鹿なのか? 燃えるに決まってんだろ。
たぶん途中で思わず小声で言っちゃった「……ネットも満足に使えないやつがSNSやるなよ」もまずかったんだと思う。めっちゃマイク拾ってたらしいし。
まあそんなこんなで一度火がついたそれはあっという間に燃え広がり、油に浸かった藁につけられた火の如く、そりゃもメラメラと尋常じゃない速さで燃え広がっていった。
火って不思議。一瞬で点けられるのに一瞬では消せないんだもん。
時間がかかっても消えない時だってある、消火活動困難状態ってやつ? まぁ今の俺は消火活動不可状態なんだけど。
これ何度目だっけな……。
「チャンネルみるのこえーな……」
まあでも見る。
恐る恐るオーグマーを起動させて視界に俺のチャンネルの動画を引っ張ってくる。
こいつまたやったのか?
見るからにガキ
普通に考えれば登録者十倍以上の相手貶して燃えんはずがないとわかるだろうに
普段ちゃんと話せないの段々慣れてくると早口になるオタク
名誉本能寺
この失言癖がなけりゃなぁ
なくても性格がカス
再三やらかしてるけど治る気配ないンゴ
祝 二 十 三 回 目
3Dモデル作れるって豪語してましたけどそれだけで煽ったら死ねほど炎上した気分はどうですか?
はよやめろ。謝れ
せっちゃんかわいそう。
このオタクくん気持ちよくなると口悪くなる
ま、所詮SAOもしてないイキりの戯言よ
SAOは楽しいゲームだったよなあ
うわー、燃えてるなー。
いつもは概ね好意的なコメント欄もいつものようにあっという間に掌を返し、燃え盛る火にじゃんじゃか油を注いでいく。
うん、今すげー明智光秀に裏切られた織田信長の気持ち。
こりゃ織田信長も諦めて泡盛踊るわ。ん? 敦盛だっけ?
信長、燃えて死んだんだよな……。
「よし、死のう」
うわああああああもうやってられるかあああああああっ!
耳に引っ掛けるようにつけているオーグマーを引き剥がすとベッドに投げ捨てる。
なんかビキって音鳴ったけどもう知らん。
「飛び降りてやる! そんで明日のニュースに載って俺を炎上させた奴らにほんの少しの薄暗い気持ちを与えてその日常をぼんやりと濁らせてやる!」
窓を開けるとバカみてえに青い空がのぞいている。もうすぐ夏だなあ。
ふっ、死ぬには良すぎる天気だぜ──!
俺が窓のサッシに足をかけ身を乗り出した時、がちゃっと扉が開いた。
現れたのは俺参上とでかでかとプリントされたTシャツ(たぶん俺の。貸した覚えはない)を着た
双子の姉の藍子共々ウチのお隣さんでそこそこの長さの付き合いになる幼馴染である。
シャツが少し大きいのか襟がずり下がって大胆に鎖骨となまっちろい肩が本邦初公開とあいなっている。
「ねーヒロー、冷蔵庫に入ってたボクのプリン知らない? あとよかったらこの前買ってたゲーム──って何してんの?!」
「止めるな木綿季! 俺みたいなのはこの世界からいない方がいいんだ!」
「ちょ、やめなよ! どうせ後になって頭が冷えたら後悔するんだから!」
「離せ! 俺は名護だぞ!! ウワ~!」
「君はヒロだよ!」
ジタバタと窓から身を乗り出す俺を木綿季がしがみついて部屋の中に引き戻そうとする。
こらっやめろ! 最近のお前はあちこち柔らかくて俺は気が気じゃねえんだよ!
「ママー、あのお兄ちゃんたちまたやってるよー」
「こら見ちゃいけません。あのお兄ちゃんは現代社会の生んだインターネットのモンスターなんだから」
「いきはじー?」
「こ、こらそんな言葉どこで覚えてくるの」
「あのお兄ちゃんー」
お母さんからめっちゃ睨まれた。すんません。
流石にちょっと頭冷えてきたな。
子どもに悪影響与えてんのはかなりアウト。
ま、炎上なんて今更だ。死ぬほどじゃない。木綿季にも悪いしそろそろ部屋に戻るとすっか。
俺の身体から力が抜けたことを感じ取ってか、木綿季が安心したように息を漏らす。
「落ち着いた?」
「まあ、はい、それなりに」
「カッとなったら後先考えない癖早く治さない?」
「善処する」
「それ絶対治らないやつじゃん」
いや治そうとはしてるんですけどね。藍子とも毎回「次から気を付けます」って約束してるし。
「それ毎回約束してるってことは毎回姉ちゃんとの約束破ってるってことだからね」
ぐうの音もでねえ。
「まったく、こんなに困ったさんな君と一緒にいられるのボクと姉ちゃんくらいなんだから反省しつつ感謝するよーに!」
「……うっす」
「ん、わかったならよろしい!」
木綿季が満足したようにムフーと息を漏らした。
そして、今まで俺を部屋に引き止めようとしていた腕から力がゆっくり抜けていく。
「──! 待て木綿季!」
「えっ、あっ、はい!」
「俺がいいと言うまでその手を離すな!」
「そ、それは別にいいけどなんで?」
なんでだと? お前ともあろう奴がそんなことを言わなきゃわからんのか。
いいか、よく聞け。
「ここ、思ったよりも高い。怖い」
「手離すねー」
「ヤメロォ!」
冷たくない?
「おま、ここがどこかわかってんのか?! 二階だぞ?! こんなところでユウキが手を離してバランス崩した俺が地面に叩きつけられたらどうなると思ってんだ?!」
「今まで死ぬとか言ってた人のセリフとは思えないなって思ってるよ」
「高所恐怖症の俺をここに残してどうしたいんだ!?」
「もう一生そこにいればいいんじゃないかな」
「困ったさんな俺を見捨てない木綿季はどこに」
「そのユウキちゃんならさっき冷蔵庫のプリン取りに出て行ったよ」
「返せよ俺の木綿季ゼクター……!」
「ボクの方が君への心配の気持ちを返して欲しいくらいなんですが」
俺と木綿季が窓際でわちゃわちゃしてると階下から木綿季とよく似た──けどそれよりも少し落ち着いた声が届いた。
「ヒロー、ユウー、お昼ご飯できたよー、早くおりてきてー」
「あ、姉ちゃんだ。はーい、今行くよー」
ちょ木綿季今手を離したらマジで俺落ち──。
「あっ」
ふっ。
―――もうすぐ、夏だな。
「ね、姉ちゃーん! ヒロが窓から落ちたー!」
これが俺、
なんやかんや受け身をとることでほぼ無傷で生還した俺は昼飯のうどんを啜っていた。
「で、どうするの?」
そう言ったのは藍子。
木綿季とは双子の姉妹であるため顔もよく似ている、というか全く同じ。
唯一違うところを挙げるとするならば藍子はダークブラウンの髪をロングに、ユウキはショートボブにしている。
あとはユウキが赤のリボンしてるくらい?
まだ藍子が髪が短い頃は木綿季とはリボンで見分けられてたっけか。
まあ俺はそんなものなくてもわかるんだが。
「どうとは」
「とぼけないの。またヒロのチャンネル炎上したんでしょう。知ってるんだから」
「気のせいじゃないか?」
「ヒロ、私の目を見てみよっか」
「……」
「……」
「……このうどん美味いなあ! さすが藍子料理上手だ!」
「あ、目逸らした」
「ヒロのチャンネル名で立ったアンチスレ見たい?」
「すみませんまた燃やしました」
だよね、と軽くため息を吐く藍子。
「なんで君普段は挨拶すらカミカミなのにテンション上がったらああいうこと口走っちゃうかな」
「き、緊張が一周回っちゃって……」
「でもボクとか地域の子どもとかには普通に話せるよね」
まあそれはお前たちのおかげというか、お前たちだからというか。
「じゃあとりあえず、ヒロはちゃーんとSNSアカウントの方でも謝罪ツイートを呟いたあと、配信の方でもリスナーと相手方にも謝っておくこと。
ありがたいことに相手の方は気にしないよ〜って言ってくれているからそっちへの感謝も忘れないように。……できるよね?」
「え、まあ、明日までには……」
「ヒロ?」
「今日やります」
「よろしい」
どうにも藍子のこのじとっとした半目には弱い。なんか長年に渡って染み付いた苦手意識みたいなのが掘り起こされる。
「それにしても、はあ……」
藍子の今日何度目かのため息に俺と木綿季の視線が集まる。
「ヒロ、もうこれがいい機会だし配信やめてもいいんじゃない?」
「え、嫌だが」
「再生回数だって最近は伸び悩んでるって言ってたよね」
「いやだいやだ! 俺はこの巨大な自己承認欲求を慰める手段としての実況配信を愛してるんだ〜〜」
「生み出すプラスとマイナスが釣り合ってないと思うんだけど……」
いや褒めてくれる時もあるんですよ。まあ最近炎上続きすぎてかなり呆れられて来てる面もあるんだが。
「ネタだって最近はマンネリみたいだし……」
「う」
「炎上しても以前ほど話題にもならなくなってきてるし」
「ぐ、ぐううっ」
パンチ強いって。これ以上は死んでしまう。
「そういえばヒロってライダー好きなのに配信では全然そういうネタとか使わないよね。ボクら相手にはよく言うのに」
「言われてみれば、なんでやらないの?」
「だ、だって、は、恥ずかしいだろ……もう高校生なのに」
「一年で20回近く炎上してる方が100倍恥ずかしいと思うよ」
だからパンチ強いって。
「私はそんな無理してやる必要ないと思うけどなあ。ね、ユウもそう思わない?」
「ボク?」
尋ねられた木綿季が俺と藍子の顔を順番に見つつちゅるんとうどんをすする。
こらっやめろ! うどんのつゆがこっちにとんだ!
「んー、ボクは別に辞めなくてはいいかなあって思うけどな」
「でも」
「だってボクヒロの配信好きだし! 全部は見てないけどたのしそーなのがいいよね」
そう言ってニパッと木綿季が笑った。
木綿季……。
「お前……わかってんなあ〜〜!」
「ふっふーん、頭撫でてくれてもいいよ」
撫でちゃる撫でちゃる。うどんのつゆがかかったのも許しちゃる。俺は俺のファンには優しいのだ。ただでさえ最近減少傾向にあるからな……。
手を伸ばして隣に座っていた木綿季の頭を撫でる。
わしゃわしゃ。
うむ、撫で心地がいい。なんか大型犬触ってる感じ。
「……私だって、別に……」
「ん、姉ちゃんなんか言った?」
「べーつに。ごちそうさま」
藍子が十字を切って食後の祈りを捧げる。
木綿季と藍子は敬虔なクリスチャンである。
だからこうして食事の前と後にはお祈りを捧げる。
かく言う俺はバリバリの仏教徒なので特にお祈りとかはない。ごちそうさまはちゃんと言うようにしてるけどな。
「ごちそうさん、よっこいせっと」
じゃあ今のうち洗い物だな。木綿季はまだ食ってるし藍子のだけでいいか。
「あ、自分でするよ」
「飯作ってもらったしいーよ。ほれ器」
「でも料理はヒロのお母さんに頼まれてるからだし……」
「ったく、真面目なやつだな、俺がいいって言ってんだからいいんだよ」
ひょいっと藍子の前から器を取るとスポンジを手に洗い始める。
俺は母子家庭も長い。この程度のことは訳ないぜ。
台所に立つ俺……いい……天の道生きれそう。あとは割烹着だな。
俺がうどんの器を洗い終わり後で拭こうとシンクに立てかけようとすると、いつのまにか隣にいた藍子が布巾片手にこちらに手を伸ばしていた。
「ん」
「ん」
洗い終わった皿を渡すと、それを藍子が布巾で拭く。
まあ二人でやった方が早いからな。
ざばざばと俺がうどんをゆでた鍋を洗っているとき、横合いからそーっと器がシンクに置かれる。その手が途中でぺちん、と藍子に叩き落とされた。
「あいたっ」
「こらユウ、どさくさに紛れてヒロにお皿洗わせようとしない」
「あー、バレちゃった?」
「いや見えてたからなバリバリ」
「ヒロのおかーさんの時はバレなかったのに……」
それはたぶん見逃してくれてんだよ。
悪戯がばれた子供のようにてへっと舌を出す木綿季。
「ったく、しょうがねえなあ。ほれ、皿かせ。洗ってやる」
「あ、やりぃっ、ヒロ愛してるっ」
「はいはい俺もだよ」
「もう、ユウったら」
「ヒロが洗ってくれるっていったんだもーん」
「その代わり夜の皿洗いは木綿季な」
「えぇぇ~~」
ブーブー言いながらも、木綿季はそれ以上は文句は言ってこない。いつものノリで行けば夜になったらなんだかんだいいつつ誰かが手伝ってくれることを知っているのだ。
それはもちろん俺も藍子もわかっているので今のは半ばじゃれあいみたいなものってこと。
しばらくリビングの椅子に座ってぼーっと俺たちが皿を洗うの見ていた木綿季が、あれ、と声を漏らした。
「ヒロ、オーグマーは?」
オーグマー? それならいつものように耳に……ねえな。
「はいタオル」
「あ、サンキュ」
丁度洗い物が終わり、藍子から受け取ったタオルで手を拭きつつ左耳あたりに手を伸ばすが、いつもの硬質な感触は帰ってこず代わりに少し硬めの髪の感触。
「あっれ、どうしたかな……」
とんとんとこめかみを叩くが特に思い出せない。えーと、最後に着けてたのいつだっけ。
「また無くしたの? もう、あれ安くはないのに」
「いや、そういうなよ藍子、こう、朝枕元にあったのは覚えてるんだが……」
「週一でそれ言ってるよ? いつも過去の自分と心理戦してるじゃない」
「面目ない……」
今日はやたらと藍子に叱られる日だ。
「まったく、ヒロはほんとに仕方ないんだから」
「そーだそーだー、姉ちゃんもっと言ってやれー、ボクはまだオーグマー持ってないのにずるいぞー」
「お前は誕生日でゲームしたさにアミュスフィア選んだから仕方ないだろ」
藍子は便利さの面からオーグマー買ってもらってるわけだし。
『オーグマー』。
これは大企業『カムラ』から発売されている拡張現実型端末の名前だ。
耳に引っ掛けるイヤホンみたいなやつで、これを付けると現実が拡張……簡単に言うと虚空で指を滑らせるだけでネットとか使えたりする。めっちゃ便利。
発売当初はすげえ高かったけどそれも企業努力とその技術に目を付けた政府の後押しを受けてかーなーり手ごろに。
今では子どもからお年寄りまで随分普及し、木綿季みたいにスマホみたいにモニタのあるデバイスしか持ってない人の方が少ないかもしれない。
聞いただけだともう骨とう品になってるナーヴギアやアミュスフィアに似てるかもしれないけど、半ばゲーム専用となってる二つに比べるとオーグマーは日常生活に根付いた。自分の視界をそのまま録画する機能もあるから俺みたいな配信者には必需品だ。
一部のゲーマーなんかはその情報が出た時には新しいゲームハードとして期待してたみたいだけど、まあそれもあんまり振るわなかったんだよな。
……まあ、それも
ん、というか配信?
「あっ、部屋だ!」
そういや炎上してキレた時に投げ捨てた気がする!
壊れてなければいいなあ……。
「俺今から部屋に戻ってオーグマーとってからそのまま配信すっから」
「ん、OK。あ、あとで買い物行くんだけど鍵はどうしたらいい?」
「あー、木綿季このまま俺んちいる?」
「いやあとでアミュスフィアでアスカ潜るから家に帰るかなー」
アスカ……アスカエンパイアか。確か最近木綿季がしてるVRMMOだ。
「んー、じゃあ俺の持って行っていいぞ。ほい」
「ん、じゃあ預かるね」
藍子にキーケースから出した俺の鍵を渡すと、二階の自室に戻る。後ろから木綿季もついて来る。
何で?
「俺今から配信するって言ったよね?」
「見てちゃダメ?」
いいわけないんだが。
アスカエンパイアやるんじゃなかったのかよ。
「はいはい、帰った帰った」
「あ、じゃあ配信LIVEでやるんだよね? それは見てもいい?」
「ダメだ」
「えー、なんで~~」
だって、カッコ悪いし……それを木綿季や藍子に見られるのは、なんか、いやだ。
見ていいやつは見ていいっていうから我慢しなさい。
「とにかくダメなものは駄目だ」
「ええ~、なんでさ~~」
「ええい、俺に質問するな!!!!」
「突然キレるじゃん……」
特オタの定めだ諦めろ。
ぶつくさ文句を言う木綿季が、入ってきた扉ではなく、その反対の窓(俺が飛び降りようとした方でもない)を開ける。
そこに広がるのは視界一杯の青空―――ではなく、隣りの家の白い壁、そして窓。
木綿季はその窓に手を伸ばすと手慣れた様子で外側から開けた。
お前なあ……。
「い、いいじゃん! だって下に降りるより近いし、お隣さんなんだから」
「落ちたら危ないだろ。最近は確かに調子いいけどお前は―――」
「あーもう心配性だなーっと!」
ぴょんっと木綿季が窓枠に足をかけると一跳びで窓を飛び越えて隣の家の窓の向こうの自室に着地した。
「木綿季選手、10点」
そして俺にサムズアップ。こいつサムズアップよく似合うなぁ。
「……今に始まったことじゃねえからもう強くは言わねえけど、俺が窓開けてそっちに来たらーとか考えないわけ?」
「特に?」
こいつ俺のことを男として見てねえな。
「あ、それにもしヒロがこっちに来て変なことしたらじつりょくこーしに出るかな。ボクつよいよー、なにせアスカのPvPでは負けなしだからね」
「ちなみにどのような?」
「んー、まず股の間に蹴りを入れて……」
「もういいです、そっちには絶対入らないことにします」
しゅっしゅっとシャドーボクシングをする木綿季の言葉を遮る。
たぶん冗談じゃないからな、これ。
じゃあねと手を振ってくる木綿季に手を振り返すと窓を閉じる。
オーグマーは……あ、やっぱベッドの下にあったな。なけなしの理性でベッドに投げててよかった。
さてさて壊れてないか。
げ、ちょっと外装が割れてんな。中身は無事なことを祈る。
「耳に装着して少し長めに瞬き二回……お、ついた」
耳に機械音が響いたのは一瞬。瞬き二つの間にAR技術の粋であるオーグマーは起動し、俺の視界に無数の画面が広がった。
「んー、システム面に変わりはねえ、か?」
ついついと虚空に指を滑らせつつこめかみを叩く。
正直こういう難しいシステム面は俺にはどうにもできんからな。
視界に浮かぶアイコンをいくつか触って機動と動作を確かめていく。
「3Dモデリングソフトとデータの方も大丈夫そうだな」
うん、あれもこれも消えてないな。
これ消えてたら割とマジで泣く。冗談抜きで俺のここ二、三年の全てですからね。
「じゃあSNSに謝罪ツイートでも載せるか……」
こういうのはその後の対応めちゃ大事だからな……これにミスったら種火増えていくからマジで大事よ、マジで(切実)。
いつものように謝罪文を載せた後は次回の配信の予定も呟く。本当は少し時間を空けた方がいいんだが俺のチャンネルに関しては初めてのことでもないし、何より炎上相手が今回のことはネタとして流してくれている。
なら俺もそれにのっかたっ方がいいだろう。
でも、俺が悪かった、迷惑をかけてしまったってスタンスは崩さない。
なにせ120%俺が悪いですからね……。
俺の罪を数えろ。
まあとりあえず配信準備だ。内容は……そうだなあ、次はなるべく穏便に終わらせるためにゲーム配信にでもするか。適当なところで切り上げられるし。ゲームは最近買ったアクションゲームとかにしとくか。
んじゃあ俺手製の3Dモデル取り出して、ポチポチっと。対面にカメラ置いて、よし。
最近導入した顔認証の3Dモデル選択も問題なさそう。オーグマー様様だ。
「あーあー、よし、挙動に問題はないな」
ぐっぱぐっぱしてみると、拡張された俺の視界の端で、同じように銀髪でオッドアイのバチクソなイケメンが同じ動作をする。
これが俺のアバターである。何度見ても顔がいい。ガキの頃からコツコツ3Dモデル作成の勉強をしていたのだが、こういったことに役立つのは嬉しい誤算だった。
まず話す内容をまとめよう。まず謝罪と、そしてこれからの方針だ。
謝罪に関してはさっきSNSに載せたのを基本にして、そして付け加えつつ、ええいもう書き起こそう。そっちの方が確実だ。俺のことは基本信用ならんからな。
「……っとやべえ、告知時間まで後少しだな」
少し書きすぎた感じもあるが、まあ問題ないだろう。
ちょっと滑舌練習しておこう。あえいうえおあおおあいえういえあ。よし、悪くない調子だ。
「配信準備完了」
オーグマーよし! アバターよし! カンペよし!
うっし、行くぞ!
「え、えと、こ、こんばんわ、あーー、あっ、ヒロです」
待ってたゾ。
親の顔より見た炎上。
もっと親の炎上見ろ。
親の炎上ってなんだよ。
「あ、は、はい、えーと、今回、はい、今回は俺の軽率な発言で相手方に大変なご迷惑、そしてそのファンの皆さんに不快な思いをさせてしまったことを謝罪させていただきます」
今日はいつにもましてカミカミ
ここまでは普通
銀髪オッドアイ(笑)やけどな
「以後こういったことがないように気を付けたいと思います。すみませんでした」
月に一回この謝罪聞かないとやってられねえな
今回はよく燃えたよな
相手も大手だったからナー
「じゃあ気を取り直して……おっすおっす俺参上、配信者のヒロです。というわけで、今日はこのゲーム配信していこうと思います」
おっすおっす
惨状の後に参上
それライバーのシリカとかもやってたよな
「キャラは、今日はこいつで」
玄人好みのやつ行くな
まあヒロ下手ではないからな
「―――っし」
お、ナイスプレイ
綺麗にコンボ決めたな
炎上せんければ人来んなー
「──っ、はい、じゃあここでパンチを、あっ、くそっ、見えてんのに」
コメントどのタイミングで見たかわかりやすくて草
人の目気にしすぎなんだヨ
「あーーーー屈伸煽りしやがって! 腹立つ!」
お、エンジンあったまってきたか
まあ昨日の今日だしそこは気にしてるやろ
「…………」
喋らなくなって草
今日は集中しちゃうと話さなくなる日かあ
気持ちはわかる
20戦目終わりか
「ふー、今日は最後に勝てたのでこれで終わりにします」
gg
乙乙
「じゃあ今日も配信を見に来てくださってありがとうございました」
はーい
お疲れー
ん? 配信切れてなくね?
気づいてなさそう
「あーーーーーー、ありがとうございましたじゃないが? もっと気の利いたこと言えや……向いてねえ……人間に向いてねえ……人類に必要な能力全部落としてきた……」
wwwww
音声切れてないよー!
普段こんなこと言ってんのかw
これは草を禁じ得ない
「オーグマー耳に付けてると痛いな……外しとこ。んー、ついでに散歩にでも行くか」
あれいなくなった?
おーい
もしかして配信機材そのままで外出た?
じゃあさっきの音扉の音?
そんなことある??????
まあだれにでもうっかりはあるから(震え声)
今回は割と参ってたんやろなあ
……これいつ終わるんだろ
さあ、ヒロが家に帰ってくるまでだから一時間とか?
ん? なんか声しね?
「おーいヒロー、そういえばゲーム借りたかったんだけどーってあれ、いないや」
女の子の声?
彼女か?
「オーグマー落ちてる。配信もう終わったのかな」
終わってません
終わってないんだなあ
「こっそりつけちゃお」
!?
!?
アイエエ美少女アバター?! 美少女アバターナンデ!?
なんでアバター切り替わってるの?
紫ロングの……なんか雰囲気アスカっぽい?
「えへへー憧れてたんだー……ってわ、何この画面!?」
こんにちわー
声かわいいね? 何歳? どこ住み? てかSNSやってる?
「わ、わ、文字が流れてる……は、早くて目が回りそう」
なんか初々しいな
てか普通に声だけじゃなくてアバターもかわいいな
ヒロ口だけじゃなかったんやな
昔一回やった3Dモデル作成配信めちゃめちゃ指示厨湧いてやらなくなったもんなあ
「え? ヒロのこと知ってるの?」
まあここのチャンネル主だし
たぶんオーグマーの人物認証システム使ってるんダロ。あれカメラ内にいる顔を認証して設定しといたアバター割り当てる奴だから。この子が入ったときに自動的に切り替わったんだと思う。遅レスすまんナ。
解説助かる
「あ、じゃあこれがいつもヒロがやってる配信なんだ? へえ~、すごいなー」
お目目キラッキラ
やだこの子かわいい
なあもしかしてだけど、君ヒロの幼馴染?
「あ、ボクのこと知ってるんだね。ヒロ時々口滑らせるもんね」
ボクっ娘幼馴染!?!?!?!?
実在したのか(戦慄)
幼馴染って現実にいるんだ
というかどうやって入ってきたの?
それ
扉の音しなかったよね
「どう……? 窓から?」
もしもしポリスメン?
マックスダイソウゲン
「いや違うって! お隣さんなの! それでボクとヒロの部屋は窓が隣り合ってて、そこを、ぴょーんと」
窓越しに自分の部屋に来るボクっ娘幼馴染!?!?!?!
属性過多すぎる
宇宙猫顔
ただの炎上野郎だと思ってたのにひでえ裏切りだ
24回目の炎上かと思ってたがなんかものすごいことになってきたな
同時接続者増えてるね
幼馴染と聞いてきました
「あ、この増えてる数が今見てくれてる人なの?」
せやで
「はえ~、こんなにたくさん。いまこんなにたくさんの人に見られてるって思うと緊張しちゃうや」
それにしては堂々としてる
配信者向いてるんじゃない?
「あー、ボク割と学校でもどんどん発表しちゃうからそれのせいかも。あ、そうだ! ね、ちょっとやってみたかったことあるんだけど今やってみていい?」
いいよ
なにかな
ワクワク
「こほん」
咳払い助かる
既にいい
「おっすおっすボク参上! 配信者のヒロでーす! 今日は来てくれたみんな楽しんで行ってね! ……えへ、おわり! これ一回やってみたかったんだ。みんなきいてくれてありがとっ」
かわいい
かわいい
かわいい
かわいい
「か、かわいい、ってボクが? もうお世辞はやめてよ~」
にっこにこで草
くぁわええ
ほんとうやで
おじさんスパチャしちゃうぞー
ヒロが収益化とおしてないのが悔やまれる
「あ、そういえばみんなはヒロのチャンネルのふぉろわー? なんだよね」
そうだよー
俺は違うけど君がこれからも出るならチャンネル登録します
俺はもうした
ヒロより君が話した方が人気出るよ
煽り耐性が低すぎる
「まあ、確かにヒロは困ったことも多いけど……でもいいところはいっぱいあるんだよ、今日も昼ごはんのお皿洗ってくれたし」
当然のように昼ご飯一緒に食べてる
まあ根は悪いやつじゃないのはわかるんだけどネ
ゲームの腕は割といい
そうなん? 切り抜きでしか知らん
何する人?
好きなものの話の時は割と饒舌
「あ、だよね! こっちじゃあんまりうまく話せてないけど面と向かって話せば明るくて面白いよ!」
えぇ~ほんとにござるかぁ~
ウソダドンドコドーン
「ほんとだってば。ボクもねー、ヒロがライダーの話とかしてるのは結構好き。楽しそうだしね。あー、好きなんだなーってわかるとこっちの胸までほんわかしちゃうよね」
こっちまでほんわかしてくる
ええ子や
飴ちゃん食べな
ああ、いつもの俺参上ってそういう
「……あ、これ配信では隠したいって言ってたんだった! ナイショね、ナイショ!」
さらっとばらされてて草
いやまあなんとなく察してた
特オタの気持ち悪さはにじんでたもん
ン我が魔王
「あ、君たちもそう思う? ヒロ小さいころから特撮にどっぷりだったせいか配信の時もちょくちょくそういうセリフでてくるよね、ふふっ」
隠してた秘密がどんどんばらされていく
君もこのチャンネル見てたんだ
「ふふーん、もちろん! なにせヒロのチャンネルの登録者の一番と二番は僕と姉ちゃんだからね!」
思いのほか古参
先輩靴舐めます
お姉さんもいるだって!?
「……まあ、全部は見れてはないんだけど」
しゃーない
ヒロ結構投稿頻度高めだもんな
まあノリに乗ってるジャンルだしちょくちょく出しときたい気持ちもわかる
でもユナちゃんという絶対王者いるからな・・・
「あー、ユナちゃん。昔ヒロめちゃくちゃ好きだった子だ」
へえ
初耳ダナ
てか同接すごくね?
「いやもうきいてよ~、昔はヒロはね―――」
「ありがとうねえ、道が分からなくなっちゃって」
「あー、いいんすよこんくらい。人間は助け合いっすからね」
はいおばあちゃん荷物。お孫さんにそのおはぎたくさん食わせてやってくれよ。
「そろそろ家帰るかあ」
ぼちぼち木綿季が薬飲む時間だしな。大丈夫だと思うけど一応近くにはいておきたい。
体を軽く動かしたおかげで腹も空いてる。夕飯がおいしいぜ、こりゃ。
ん? あそこにいるのは藍子か?
なんで外に……そういや買い物に行くって言ってたか。
声かけて荷物持ちでもやるか。
「おーい、藍子ー」
あ、目あった。
「ヒロ!?」
え何めっちゃずんずんこっちに来る。何かしたか俺? もしかしてこの前洗濯機に靴下裏返しでいれた事? それとも藍子の本読んでるときにチョコとんで染みになったこと? うぎゃーごめんなさ―――。
「ヒロ自分のチャンネルがどうなってるか知ってるの!?」
はへ、チャンネル? いや、その燃えたって話なら、申し訳ないというか。
「その顔、本当に知らないんだね。ほら、見て!」
ずいっと俺の目の前に藍子が携帯端末の画面を押し付けてきた。
『あの大人気ゲームSAOの終了から一年! SAO次の舞台は──』
CMを見ろってことでもないだろうし、ほいスキップ。
そしてスマホの画面には、いつものように閑散とした俺のチャンネルが……俺の……チャンネル……。
「はああああああ!?!?!?」
見たとたん頭が真っ白になって俺は自宅まで走る。
何何何何何何何が起きてんの!?
家だ。家が見える。玄関を手で開けるのもまどろっこしく扉をけ破るように中に入ると自室まで駆け上がっていく。
何がどうなってあんなことになってんだ―――!
「木綿季ィィィィィィイイイイイイ!」
「わ、ひ、ヒロ!? な、なんで」
「ここが俺の部屋だからですが!? てかなんでお前俺のオーグマーで配信してるんだよ!」
「ぼ、ボク悪くないもん! これ付けたらなんかすごい文字とか流れててみんな話しかけてくるから」
なんで配信切れてないんだ!? 。押し損ね……いややっぱシステムのどっか壊れてたのか?
あーもうそれより!
「返してもらうぞ」
「あっ」
木綿季の頭からオーグマーを引っこ抜くと自分に付け直す。
よっ
おかえり
かわいい幼馴染ちゃんですね
炎上(ガチ)から炎上(バズ)になった男
女の子のアバター作るの上手いね
まさか炎上後復帰配信にこんな隠し玉があったとはこの李白の目をもってしても見破れなんだ
ライダーオタクらしいな
その子マジで幼馴染?
「どどどど、同時接続者、いつもの五倍以上……」
俺のチャンネル登録者数三桁とかだぞ……?
「嘘だろ。え? マジ? 何が起きたんだ?」
俺に質問するな!
戸惑ってて草
そうなるわな
一時間前の三つの出来事!
祝え! 炎上魔王の誕生を!
「なあ、なんかこう、ライダーネタ多くない……?」
でも好きやろ?
今も玩具買ってるんでそ?
こっそり部屋で変身してるって
変な汗が出てくる。俺が特オタだということは隠していたはず。
「……木綿季、お前何話したの」
「ひゅ、ひゅー、ひゅひゅー」
「へったくそな口笛でごまかすなァ!」
「いひゃいいひゃい別に普通だよお~、今日のお昼ご飯のこととかゲームのこととか~、あ、あとヒロが仮面ライダー好きなこととか?」
「それが問題なんだよおおおおおおおおおお」
くさ
魂からの叫び
頭抱えちゃったゾ
「でも好きでしょ、ライダー」
「大好きだけど!!!」
「ならいいじゃん」
「俺はここじゃちょっと強いクールな配信者で通してんだよ!」
「ぷっ、君がクール(笑)とか」
「やかましいわい! お前のせいで俺の評判はボドボドだ!」
無口で配信してた人間だと思えないキレキレのレス
炎上野郎からの変身
特オタだけに変身が得意ってか
まああの子の話聞く限りこっちが素なんちゃう?
「いやそれにしても多いって!」
木綿季のかわいさだけで超えられるレベルじゃないから!
きづいてないん?
SNS見てみなよ
「SNS……?」
「! ひ、ヒロ! こ、これ! み、みて!」
おいこらスマホを押し付けるな。近くて何も見えやしないんだよ。
なんとか木綿季を引きはがしつつスマホを受け取る。
これは……茅場晶彦の公式アカウント? あの、SNS始めましたしか呟いて……な……い……。
| 茅場晶彦さんがリツイート ヒロ@配信者/@hero-sannjyou 本日15:00からゲーム実況します。その前にいろいろお話なども。 #配信 #配信者とつながりたい
|
| @ ↺281 ♡651 …
|
| Reply to @hero-sannjyou |
「ほ?」
えと、あのあのあのあのあのあのあの、見間違えじゃなければ、その、俺の配信開始ツイートの通知画面、「茅場晶彦さんがリツイート」って書いてあるんですけど。
え? 見てんの、茅場晶彦?
「……もう考えるのはやーーーーめたっ」
思考放棄してて草
これ、現実ですよ
ちゃんとエンジンいれろ
ええい、もういんだよ! それより。
「えーと、今日は来てくれてありがとうございます!! 今日の配信は終わりです!! 今後のことはまた公式アカウントの方からアナウンスします!!」
やけくそで草
またその子出してね
むしろヒロはもうでなくてもいい
「うるさい! 解散! 解散だこの野次馬ども! ぶぶ漬け!」
今度こそ完全に配信停止ボタンを押す。
そしてチャンネルを確認。よし、終わってる。
「あああああぁぁぁあぁぁぁあぁぁぁあああ」
え? どうする? まあ俺の特オタばれはいい。俺だし。でも木綿季はアウトだ。
オーグマーの視界に固定してあるカメラからの映像は今も俺の銀髪オッドアイのアバターと、
ぐむむ、木綿季のリアルの顔が出てないのは不幸中の幸いだけど、これもう絶対録画して切り抜かれてるよな……。
ぬおおおお、絶対次から木綿季出せって言われるぅぅぅううう。
「ねえ、ヒロ」
「なんだよ木綿季俺は今この事態をどうするべきかモーレツに悩んでる最中でだな」
「あ、やっぱそのことで悩んでたんだ。でもその心配ならいらないよ! ボクいーこと思いついちゃった!」
とんとん、と指で肩を叩かれ、顔を上げて、悟る。
このキラッキラの顔。
はあ、だよな、そうなるよな。
「ボクもヒロと一緒にやりたい! 配信者!」
──これは大人気VRMMOソードアート・オンラインのサービス終了から一年が経ち、緋彩英雄、紺野木綿季、紺野藍子が16歳となる、とある夏の日の思い出だった。
「緋彩英雄」 ひいろひろ
高校一年生。英雄でヒロ。生粋のラオタで炎上常習犯。
最近の自慢はやってるソシャゲで最高レアが単発で出たこと。SNSで呟いたところプチ炎上した。
「紺野木綿季」 こんのゆうき
同じく一年生。双子の妹の方。
最近の自慢はやってるVRゲームで組み手百人斬りを達成したこと。
「紺野藍子」 こんのあいこ
同じく一年生。双子の姉の方。
最近の自慢は玉子焼きが上手に作れるようになったこと。