ボクっ娘幼馴染に配信チャンネル乗っ取られたらバズり倒した 作:世嗣
後編2を同時に更新してます。まだ読んでない方は気をつけてください。
言うべきことはもうないとばかりにざばばっと波に乗って俺たちの前から消えるボス。
「あのー、これって攻撃したら外れないのかな」
「どうなんすかね……ちょっとやってみますか」
俺の左腕とユージオさんの右腕を傷つけないようにぷるぷるした水の手錠のようなものに剣を振り下ろす。
うーん、だめだな。明らかに硬さとかはないのに剣が通らない。これはシステム的な防御だな。
「ダメっすね。たぶんこれあの馬を倒さないとどうにもならないっすね」
「そうか……」
ユージオさんが表情を少し陰らせる。そ、そんなに俺とつながったままは嫌っすか……そりゃ嫌だろうけど……。あ、そうではない? そうっすか。
そういえばユージオさんは騎士だから一応こういうのは慣れてるけどシスターセルカはどうだろう。
「な、なんで、私が……もしかして、昨日の晩一人でここに来たから……」
シスターセルカは震えてる。
まあ、そうだよな。シスターセルカは明らかに戦える人じゃない。包丁以外の刃物も持ったことはなさそうだし。
困ったな、これじゃあ腕がつながったユウキはさっきまでみたいに戦えないだろう。
どうしたもんか……ユウキ?
「大丈夫だよ」
ユウキがシスターセルカの両手をきゅっと握った。
そしていつも通り朗らかに、太陽のように笑顔を咲かせる。
「シスターさんのことはボクが守るよ。言ったでしょ、ボクらけっこう強いんだよ?」
「で、でもそしたら放浪者さまが戦えないんじゃ」
「だいじょうぶだいじょうぶ。ボクが戦えなくてもだいたいヒロが何とかするから」
はい?
「できるでしょ? ヒロなら」
なんでこいつはいつも俺にそんなに真っ直ぐな目を向けてくるんだろう。
俺なら何とかするって本気で信じてる目。信頼。もしかしたらそれよりもっと重いもの。そんな目で見られたら否定できない。したくなくなる。
ユウキの想いに応えたくなる。俺の心の小さな種火を熱く、大きく燃え上がらせる。
……ったく、俺もいまユージオさんと手がつながれてるんだがね。
「わかった。なんとかする。任せとけ」
だから、お前はちゃーんとシスターセルカを守れよ? この人マジで突然呼び出されただけの被害者だからな。
「おーい、ヒロいつまでぼんやりして―――どなた?」
「ラン、紹介しよう。こちら俺の友だちのユージオさん。んで、ユウキの手とくっついてるのがさっきも会ったシスターさん。シスターセルカって言うらしい。俺たちは誤答のペナルティで一心同体になった」
「うん、全然わからない」
でしょうね。
「とりあえずユウキにはシスターセルカを守りながら戦ってもらうことになったからランは俺よりもユウキに目を配ってくれ。あ、でも俺がやばかったら助けてくれ。あとボスの攻撃もやばそうだったら牽制をしてくれ」
「私に求めるハードル高いね」
「できるだろ?」
「まあそりゃできますけど」
できるんだ……
やさしい
団長のランちゃんへの信頼が厚すぎる
まあでもランちゃんなら何とかするやろ・・・
団員もまあまあランへの信頼デカいナ
あん?
体に負担がかかるとか、無理なことなら頼まねえけどさ。
「ユージオさん、俺はこれからシスターセルカとユウキをボスから離すためにもう少し中央に寄ったところで戦いたいんすけど大丈夫っすか?」
「―――ああ。構わない。セルカの安全のためなんだろう」
「はい。ありがとうございます」
じゃあ次は―――おっと、もうこっち岸にボスが来たな。
「ユージオさん、少し動きます。たぶんかなり引きずっちまうと思いますが……」
「動きは片手剣だね。それはバスタードソードだけど両手剣の剣技は出すのかな?」
「へ? あ、あー、普段は使うんすけど、いまからはユージオさんがいるので片手剣だけで戦おうかと思ってるっす」
「そうか。なら君は好きに動いてくれ、
合わせる?
「僕のことは気にしなくていいってこと。ほら、来るよ!」
「お、押忍!」
ユウキたちを下がらせつつ、前に出て蹄の踏み付けをかわし、巻き起こる波の槍を剣の腹で受け止める。
とりあえず片手剣の横薙ぎ、いやユージオさんがいるから縦で―――やべ、ボスから飛んできた水の槍が!
「―――ふっ!」
寸前、ユージオさんの左拳が水の槍を殴り散らした。
ユージオさんはそのままの流れで二発目の拳をボスの伸びた足に叩き込む―――が、あれ、体力が減らないな。
「やっぱり、か。ヒロ君横薙ぎ! 振って!」
「―――は、はい!」
さきほどの俺の思考を読み取ったようなその声のままに剣を薙ぎ―――その動きにシンクロするようにユージオさんが体を運んだ。
剣は二人がつながっているというペナルティを感じさせないほど鮮やかに一文字を描き、腹に斬撃をくらったボスが吠える。
「ヒロ! 頭左!」
さっきとは違う高い声。その声に逆らわず反射的に頭を左に振ると、視界の端をランの矢が駆け抜けていく。
ナイスフォロー!
蒼弓ちゃんの援護が前にもまして光る
NPCさんかなり動けるな……
そうだ、戦いやすい。てかいまさっきユージオさん俺の動き読んでたよな? どうなってんだ。
「僕は片手剣士だからね。あいにく今の僕は丸腰だけど、
「さらっといってますけどかなりすごくないっすか!?」
「そうかな……先代騎士長と僕の剣の師匠もこれくらいはできると思うけど……」
「ええ……」
バケモンすぎだろ……。
今度はボスが右から真ん中に行った
だいたい二本目の半部くらいか。悪くないペースだナ
てか右側になかなかのダメージディーラーいるな。減りが早い
むしろ団長側がユウキちゃんいなくなってダメージ減った感
こっち側にボスは来ていないが油断はできない。
ボスの巻き起こす波はただでさえ足元をすくわれそうになるし、水の散弾銃のような威力は強くはないが避けにくい攻撃も飛んでくる。
なるべく攻撃を当らないようにしつつ立ち回らないといけない。
「……すまない」
攻撃をかわすために走り回る中、ぽつりとユージオさんが言葉をこぼした。
「僕のせいで君に余計な手間をかけさせてしまっている。僕が、あいつと戦えなかったばっかりに……」
水にぬれた亜麻色の髪が額に張り付き、ユージオさんの翠の瞳を覆い隠す。
でも、白くなるほど強く嚙み締められた唇までは隠すことができない。
「ユージオさんは戦いに行ったんすね、あいつと」
「……うん。ただ僕ではあのモンスターを倒すことはできなかった。いや、傷つけることができなかった、ということが正しいかな」
「?」
「
なるほどナ。ボスモンスターの「なぞなぞと力比べでどちらも自分を倒せ」ってのを、ひっくり返して「なぞなぞを組み込んだ戦いでしか傷つけられない」ってことにしてるってわけカ
で、間違ったらペナルティを科してくる、と。めんどくさ~
でも正解したらバフかかるし平等にいろんな人が活躍できるシステムではあるだろ
クイズあるのは普通に楽しそう
なるほど。たぶんこの言い方だとたぶんユージオさんは……。
「僕は乗らなかった……いや、正確には
ヤツが僕と戦いの場に上がることはなく、焦れた僕がそのまま戦いを挑んだら
そのせいでここに丸腰で呼び寄せられた。しかも僕はこの戦いに初めからいなかったからヤツの『なぞなぞに答えた相手からは攻撃が当たる』という条件も適応されない」
そうか、だからさっきユージオさんの拳は全くボスにダメージを与えられていなかったのか。
「……まあ、僕がやつと戦えなかったのはほかにも理由があるかもしれないけど」
ふ、とユージオさんが力なく笑う。
「ふがいないよ。これは僕らアンダーワールドの人間で向き合う問題なのに」
アンダーワールドの人間、か。
「ユージオさん、俺とユージオさんってどんな関係でしたっけ」
「……友だち?」
そうっすね。あってますからそんな「急に何を言い出したんだこの子?」みたいな顔しないで。
「ついでに言えば今俺とユージオさんの腕は繋がってて一心同体とも言えますね」
言うなれば仮面ライダーWだ。フォーゼフュージョンステイツ、クローズビルドビーザワンでもいい。
「俺、
最初に困ってたらシスターセルカが話しかけていろいろ説明してくれた。
軽食を食いに行った売店では気のよさそうなおばちゃんがポーションをくれた。
スタンプを全部集めたら衛兵さんが「すごいな、さすが放浪者さまだ」ってほめてくれた。
肝試しの滝に行ったら筋肉もりもりのおっちゃんがハッパをかけてくれた。
そして、道に迷った俺に「幼なじみのところまで案内するよ」と言ってくれたのはあんただ、ユージオさん。
「そりゃ俺はよそ者ですけど……今日会ったアンダーワールドの人たちが困ってるなら俺も助けたいっすよ」
たとえそれがAIなんだとしても、さ。
「俺はこの街の人間じゃないっすけど、でもそんなこと区別してどうすんすか。
いーじゃないっすか、俺の戦いはユージオさんの戦いで、ユージオさんの戦いは俺の戦いで」
だって、さ。
「俺たちはいまこうして手がつながった一心同体で、友だちじゃないっすか」
「―――――」
ユージオさんが懐かしいものを見るように、ぼんやりと俺を見ている。
深く、美しい翠の瞳。それはどこか俺ではなく、俺の向こうに誰かを重ねて見ているようでもあった。
だがしばらくするとゆるゆると首を振り、微笑む。
「ああ、そうだね。そうだ。僕らに違いなんてない。そう教えてくれた人がいたのにな、忘れてたよ」
「何か思い出したんすか?」
「ああ。少し、幼なじみのことをね」
幼なじみ……俺と少し似てるって言ってた人か。
「ありがとう、ヒロ君。君の言葉は嬉しかった。僕が戦えたら君に今すぐにでも貸したいところだ」
「へへ、ならそれはいつか返してもらうとしますかね。いまはあのボスを倒しましょう!」
団長、たまーになんか深いこと言うよな、ラオタなのに
ラオタなのに
ライダーは助け合いでしょ!
NPCと人間が同じはさすがに言いすぎな感もあるわ
まあオリジンのはリアルだから時々びびるときはある
おっと、いつの間にか二本目の体力ゲージなくなりかけてないカ?
うっそだろ
は? さっき半分になったところ……ってマジじゃん。もうラスト一本になりそうじゃん。
ずいぶん強い人が向こう側にいるみたいだな。
「ヒロの字―! もうすぐラス1だー! 行動変化に注意しろよー!」
「あ、うーっす! クラインさんも気を付けて!」
「ハッ! 俺たちを心配するなんて100年はえーよ!」
それもそうか、SAOサバイバーだもんな。俺が心配するまでもなかったか。
とか言ってたら体力バーもラスト一本。ここからが正念場だ。気合い入れなおせ。
『許さぬ。人の子でありながら、ここまで我を傷つけるとは―――最早、容赦はできぬ』
すう、とボスが大きく息を吸う。
なんだ、まるで今から深く潜るみたいに……?
『ブルォォォオオオオオオオオオオオオオオオ!』
嘶き、絶叫、そして前2回までのように体力を消費して作られたバリアが生み出され―――シスターセルカを守るためにプールの一番端、壁を背にしていた
『第三問、閉じると見えなくなって、開けると見えるようになるものってなーんだ?』
そして、さらなる質問を二人へと投げかけ―――同時に、無数の水の槍をユウキたちに打ち出した。
「セルカ!」
ユージオさんが叫び、ちょうど俺たちの目の前にあった半透明の壁を叩く。だが壁はびくともしない。当たり前だ。この壁はボスが消費した体力分のダメージを与えるまで壊れないのだ。
そして、水の槍がユウキたちに殺到する。
アカーン!
ユウキちゃん逃げてー!
だめだって手の先にNPCいるから避けれない
「ユウキ──!」
波と水が弾ける。飛沫が視界を埋め尽くし──そして、その中からほんの少し体力を減らしたユウキと、無傷のシスターさんが現れる。
「っぶなー、急に攻撃してこないでよ。いまなぞなぞの時間じゃないの? 大丈夫、シスターさん」
「だ、大丈夫です。放浪者さまは……」
「だいじょぶだいじょぶ。あ、あとユウキでいいよ。さま~とか肩こっちゃうし」
こ、こいつ、ほんとにさあ。
「いやでもユウキよくやった! そのまましばらく攻撃防いでてくれ! なぞなぞは……」
「さすがに無理! 攻撃防ぐだけで精一杯!」
だよな。
なら次は……おいこの馬野郎。
「おいこらなにやってんだてめえ! シスターセルカとユウキだけ隔離して何のつもりだ!」
『なぞなぞである。我らにあった取り決めであっただろう』
「いやでもわざわざロクに動けねえユウキとシスターセルカを狙うのは根性悪すぎだろーが! あと攻撃すんな! 回答に集中できねーだろ! ルール違反だ!」
『我は
我は一度も規則の提示の際に回答中に攻撃しない、とは言っていない。ならば今汝らに攻撃することは理屈の通らぬことか?』
「ああ、ああ! 通るとも屁理屈がな!」
『ならば、不公平はなくそう。汝らすべてが、我らの敵だ』
ボスが嘶き、今度はユウキたちだけではない、俺たちすべてのプレイヤーに水の槍が、飛沫の散弾銃が打ち出された。
くそ、いまは少しランのとこまで下がるしかねえ! ユージオさん!
「……くっ、ああっ」
ボスの攻撃をかわして、転がるように後ろへと走る。
はあ、はあ、やっぱSA:Oのボスのモーション変更はちょっと意地悪だな。
と、ランどうしたそんな悔しそうな顔で。
「ごめん、私二人に声かけるの遅れちゃって……そのせいで……」
……なんだ、そんなことかよ。あのなあラン。
「あの海馬の攻撃は迅速かつ、僕たち全員の不意を突いていた。対応できなくても仕方ないよ。そう自分を責めないでいいとも」
ユージオさん……。
「は、はい……あの、すみません……」
「なんで君が謝るんだい。悪いのはああいう方法をとったあの海馬の方だろう?」
シスターセルカはユージオさんを「にいさん」と呼んでいた。
さっきシスターセルカが閉じ込められたときの焦りようから考えても、きっと浅からぬ仲だろう。
本当は心配でたまらねえはずだ。
俺だってお兄ちゃん歴は一ヶ月ねえが、ユイが危険な目にあってるって思うとめちゃくちゃ辛い。
なのにこうしてランに慰めの言葉までかけてくれる。なんつーか、人間ができてる。
……助けてえ、ユウキとシスターセルカを。この優しい人に報いたい。
ユージオさん!
「わ、な、なんだい急に手なんか握って」
「なんとかしてユウキとシスターセルカを助けましょう。きっと俺たちならできます」
「あ、ああ。もちろんそうしたいけど……」
ユージオさんが俺に握られた手にたじろぎつつ、咳払い。表情を引き締める。
「でもどうする。確かあの壁を攻撃し続ければいつかは割れると君は言っていたけど、悠長にそんなことをできるほど時間はなさそうだよ」
それは……そうなんすけど……。
「私が見る限りユウはたぶんあと二分くらいは耐えられるけど、それ以上は厳しいかも。壁を壊すのは、正直何とも言えないかも。たぶんうまくいけば三分あれば壊せるとは思うけど……」
「ユウキとシスターセルカはそんなに耐えられない、か」
クソ、詰んでんな。
いや諦めるな。俺はユウキとシスターセルカに何とかするって言ったろ。なら何とかするんだ。
「あの壁が厄介だね。いまセルカたちが出られないのは答える余裕がないからだ。もしに誰かが代わりにあの空間の封鎖を解くことができるなら……」
「解くって、そうなぞなぞみたいに簡単には、いか、ない……」
なにか、いま、引っかかって―――。
―――確か姉ちゃんは問題文をちゃんと読むことが大事って言ってたよ。もっかい問題文思い出してみよ―よ。
読む、もう一度、正しく問題を―――状況を読み解く。
団長?
これは来たか「肝心な時に頼りになる」モード
ここは湖だ。周囲は木々。近くには救護施設。湖の水は街の方にも引かれてる。
そして、その湖の水はもっと奥にある―――滝から、流れて来てる。
そうだ。そうだ! そうだ!!
滝と言えば、俺たちは一度似たもんを経験してるじゃねえか!
「ユージオさん、二人を助けに行きましょう! 俺たちがあの空間の内側に入って答えるんす!」
「? でもあいつの規則は破れないはずだよ。僕らがあそこに入るにはあの壁を壊すしかないはずだ」
いや別にそうでもないんすよ。まあそれは俺を信じてもらうとして……ラン!
「俺たちちょっと抜けるから、クラインさんたちと話して壁は攻撃しといてくれ。俺たちがダメだった時の次善の策として」
「……何か思いついたんだね?」
「ああ。うまくいくかはわからないけど、ここからちまちま壁を攻撃するよりは可能性はある」
「うん。わかった。じゃあ任せる。いってらっしゃい」
ありがとよ。
いつも通りの笑顔だ。
この笑顔には応えなくちゃな。じゃあユージオさん行きますよ! とりあえずついてきて!
団長どこ行ってんの?このままじゃボスエリアから出ちゃわない?
迷いない足取り
マジでボスエリアから出ちゃったぞ
逃げるの?
「ヒロ君いったいどこに……」
「ユージオさん、この辺り少し進んだあたりに肝試しの滝がありますよね」
「え、ああ、フットイキモの滝か。確かにあるけれどそれが何なんだい?」
「あそこの滝はいまは肝試しに使われてますけど、一年中そうってわけじゃありませんよね。一部の下流はそのまま街への方へ引かれてたりするんじゃないんすか?」
「その通りだけど……まさか」
そうだよ、ユージオさん。俺たちはいまからあの滝を滑って、波のプールのエリアの裏側に出る。
あのエリアの奥の方には滝があった。そこから流れてきた水が溜まっていまの戦闘エリアである湖になっている。現実では波のプールの場所だ。
そして、カムラパークで滝と言えば『ウォータースライダー』だ。
この二つの共通点が偶然だとは思えない。これは何かしらの意味があるんじゃないか?
そう
だって俺たちはスタンプ集めでわざわざ全エリアを回らされたんだぞ?
あれに何も意味がなかったとは考えづらいだろ、普通。
「あるんじゃないっすかユージオさん、あの滝の先、湖に流れていく支流みたいなもんが」
「……ある。肝試しには向かないからきみたち放浪者に紹介されていない細いものが」
「ビンゴ!」
おおマジ!?
あー、オーグマーをつけてたら視界はゲームエリア専用になるもんナ。おもしれー仕掛けダ
ほんとだ、いま軽くググったけど施設紹介に四つのエリアにつながるウォータースライダーってあるぞ!
ユージオさんとつながれたままスライダーの方まで走る。……と、言ってもプールサイドは走ったら危ないので限りなく走るに近い早歩きだけど。
「……どうして」
ん?
「どうして滝がつながってるってわかったんだい? 君はこの街のことなんて知らなかったんだろう?」
「なぞなぞっすね」
なぞなぞ?とユージオさんが首をかしげる。
「ユウキが―――正確にはランが言ったことみたいですが、『なぞなぞは問題文に仕掛けがあることが多い』って言ってました。ならあいつが作り出す空間にも何か穴があるんじゃないかって、正攻法ではない何か思考の転換で解決できる方法があるんじゃないかって思ったんすよ」
スライダーへの道を二人で進む。
「『俺のルールで相手をぶっ潰す! それが仮面ライダーバルカンだ!』。俺の好きな作品の、自分の生き方がすべて仕組まれてて、それでも自分の生き方を決めた男のセリフです。
俺たちは自分で決めていいんすよ、何に従うかも、何をルールにするかも。だって、生きていくってそういうもんでしょう?」
「……決められていても、自分で決めていい」
ユージオさんが噛み締めるように、俺の言葉を繰り返す。
もしかしたらこの人も何かに縛られた人だったのだろうか。いままでも、ずっと。
「―――! ユージオさんそろそろ滝ですよ!」
「お、おお! さっき森の主と一緒に落ちていったニイちゃんじゃねえか! 無事でよかったぞ!」
「悪いおっちゃんそういう話してる暇ないんだわ。俺たち急いでるんだ」
「たち……って、あ、あんたは整合っ!」
「いまは非番ですし戦うすべも持ちません。
ですから要件だけを伝えます。ここにロービアにつながる湖へとつながる支流の滝がありますね、そこを使わせてもらいたい」
「使うって、いやあるにはあるが……」
なんだ言いたくないのか。
でもおっちゃんちらっとこの辺見たな。ならここら辺の草むらに、お、あんじゃんあんじゃん、それっぽい川が。
一応オーグマーを外して確認して……うし、やっぱりあるな。これがオーグマーつけてた人には最初から見えてたんだろうが、俺たちはずっとつけてたからすっかり騙されたぜ。
「しかし……」
高いな。いやでも降りるんだ。この先に行くしか道はない。
怖い。けど絞り出せ、俺の心の中の勇気の炎を。
「ヒロ君、大丈夫かい? 膝がずいぶん震えているけれど」
「だ、だいじょうびですよ」
「全然だいじょうばなさそうだけど……」
何言ってんだ大丈夫なんすよ俺は! ユウキとランのためなら俺はいくらだって大丈夫になれる! いくぞ!
「ニイちゃんやめておけそっちの傾斜は残り三つとは比べ物にならな―――」
「大丈夫です! はい! 行きます! 行けます! 変身!」
「あ、待ってくれいま僕ら手がつながってるから―――」
っしゃああああああああああああああああたっけえええええええええええええええええ!
だ、団長ダイーン!
団長とNPCの人が転がりながら滝を落ちていく……
溺れない?
いやウォータースライダーの安全設計はちゃんと計算されてるからナ……
じゃあこの死ぬ前のセミみたいな動きしてるのは団長がビビりまくってるだけなんだな
団長ぉ・・・
あばばばば、溺れ……あ、終わった。
スライダーを滑り切った先に、俺とユージオさんの体がプールに受け止められる。
「ゆ、ユージオさん、生きてますか……」
「ああ……たぶん君よりは生きてるかな……顔色すごいことになってるよ」
なら大丈夫です。たぶん。
それでボスとユウキたちは―――やべ、早く助けに行かねえと!
ボスの作り出した結界の奥から手前の方へ、ユウキとシスターセルカのいる方へと走る。そして、いままさにボスと一対一の戦いを押し付けられているユウキたちの前に割り込んだ。
押し付けられたルールを、ユウキたちに襲い掛かっていた波を切り裂いて、そこに立つ。
「よお、待たせたなユウキ」
ニッと笑ってやると、一瞬ユウキが目を丸くして、すぐに少し頬を膨らませる。
「遅いよ。もうボクへとへと」
でも、とユウキが濡れて頬に張り付いた髪を耳にかけて微笑んだ。
「信じてた。ヒロは一番いいとこでボクらを助けに来るってさ」
そりゃ、期待に応えられてよかったよ。
「すまないセルカ、危険な目に合わせてしまって」
「いえ、そんなユージオ義兄さま! で、でもどうやってここに」
シスターセルカが祈るように手を組んだまま、困惑したように目を揺らがせる。
その揺らぎに重ねるように、いまもまだ攻撃の手を止めないボスも声を上げた。
『そうだ。汝ら、ここにどうやって入って来た。我の結界は完璧のはず。ほころびなどあろうはずもない。一度結界が閉じれば何人も行き来できぬという
「前からは、だろ? お前前面に広げるだけで裏側があきっぱだったじゃねえか。あ、でも別にルール違反はしてねえぞ。ただ
つーかだいたいだな。
「こーんな女の子たちを二人だけ閉じ込めて考える暇もないほど攻撃しまくってるやつが偉そうにルールを守れとかいろいろ言うんじゃねえよ! 性格悪いんだよ! お前友達いないだろ!」
『は、ハア? いるが?』
「いーやいないね、お前は友だちがいない。見てわかる。お前賢さ自慢して『あいつマジないわ……』って言われてるの聞いちゃって夜一人家で後悔するタイプだろ」
『面の汝、我を監視しているのか?』
図星なのかよwwwww
まーた先に口が出る……
なんでボス煽ってるんだよこの人
子どものケンカかな?
『ええい、そこまで言ったのだ。汝はもちろん我のなぞなぞはわかってるのであろうな』
なぞなぞ、だと。馬鹿野郎そんなの、そんなの…………。
「ヒロ?」
「やばいユウキ俺全然なぞなぞの答え考えてなかった! どうしよう!」
「なんで答え考えずにここにきてそのうえボスまで煽っちゃったの?!」
「つい……」
「ついで言っちゃうレベルを超えたあおりだった気がするけどぉ!? どうすんのさ!」
「どうしようか……」
頼りにならないモードの団長に戻ったな
うーん、安定
『ふ、汝は口先だけだったようだな。さあ、そろそろ答えを―――』
「その答えは、僕が言おう」
『聞こう―――何?』
ボスに声に一つの凛とした音が割り込んだ。それは、俺の隣にいるユージオさんのもの。
彼の声は大きくなかったにもかかわらず、まるで真冬に咲く一輪の花のように、その存在を静かに示した。
「僕は、見えていなかった。いや、この世界を一面的にしか見れていなかった」
両の足で立って、ボスを、ルールを押し付ける誰かを前に彼は高らかに叫ぶ。
「僕の目はずっと見るべきものが見えていなかった。『彼』と別れたあの日から、どうするべきかわかっていなかった。自分に課せられた
それは宣誓だった。覚悟だった。一人の人間の決意に満ちた言葉だった。
「ルールは守るもの。それはそうだ! でもそれは自分の生き方を強制されるべきものではなく、自分がどう生きるかを定めるべきもの!」
ユージオさんが片手を掲げる。
「閉じると見えなくなって、開けると見えるようになるもの。その答えは、『目蓋』。それは閉じると暗闇に、開ければ光へと導くもの。僕の視界を狭めていたもの。けれど、いまはもう違う!」
俺たちの周囲の壁が砕け、雪の結晶のように散った。
「いまこそ再び名乗ろう!
我が名はユージオ・ハーレンツ・ワン!
公理教会所属整合騎士団騎士長にして、いまここで我が友に手を貸す、一人の騎士だ!」
ユージオさんの姿が変わっていく。いままでの木こりのような服装から、青と銀、白に彩られた騎士鎧に。
そしてその手には―――。
「来い、青薔薇!」
どこからか現れた青と、白の片手剣が握られる。
は????!!!
整合騎士!? 整合騎士ってあの!?
間違いない!アンダーワールド最強の武装集団ダ!あいつらがプレイヤーに手を貸してくれることとかあんのかヨ!?
しかも今この人騎士長とか……え、どういうこと?
あの片手剣見たことあるぞ!央都セントリアに飾られてた整合騎士長の『神具』だ!レジェンダリーウェポンだよ!やべー!
NPCがなんか言ってたな、アンダーワールドの最強を決めるとしたら間違いなく整合騎士の中にいるって
なんかめちゃくちゃ団員が困惑しつつテンション上がってる。
え、もしかしてユージオさんって俺が思う百倍くらいすごい人だったりします?
「いまはヒロ君の友人の一人さ。かしこまらないでほしいな」
そ、そうは言いましても……俺のアンダーワールドの友だち第一号世界最強なの? マジで?
『整合騎士……しかし、汝はいまだ我の
「できないだろうね。だけど、それならそれでやりようはある。だってルールを馬鹿正直に鵜呑みにすることはない、らしいからね」
とん、とユージオさんが片手剣で水面に触れる。
「エンハンス・アーマメント!」
瞬間、片手剣を中心に水面が氷結し、ボスの足をがっちりと固めた。
『これ、は、我の動きが止まって―――!』
「ルールは破ってない。ただ。お前の足元を固めただけだ。でも、もうさっきまでのように湖を動き回ることはできない」
ひゅん、とユージオさんが剣を振って腰に佩いた鞘へとしまう。
なんだいまの!?
SAOの前の時代だから多少は魔法が残ってるって聞いてたけど、これは、やべえな……
整合騎士ってのはみんなこんなことができるんか?
やば~
「ユージオさん、いまのは」
「ちょっとしたおまじないさ。放浪者のきみたちにはできないらしいけど、僕たちにはこういう力が残されていてね。そうだ、攻撃でないものが効くというなら―――」
とん、とユージオさんが俺とユウキの水の手枷を叩くとスライムのようだった水がカチコチに固まる。そしてその氷の手枷は軽く力を入れただけで砕けてしまった。
「あ! こうすりゃよかったのか!」
「みたいだ。あの海馬の体力がずいぶん消耗したから効いた、というのもありそうだけれどね」
さて、とユージオさんが目を滑らせる。
「いまなら攻撃できる。さっきまでのように戦力を散らすことなく、全員で」
「―――!」
声が、聞こえる。背後からの無数の足元も一緒に。
「ヒロの字よくバリア壊してくれたぁ! オメーら全員でボスに突っ込むぞ! いくぞおおお!」
「うおおおおおお!!」
クラインさんの叫びで風林火山の面々が、そのほかのプレイヤーたちも続く。
『ブルォォォオオオオオオオ!』
波のプールの手前側、脛ほどの深さで氷に固められたボスへと次々に攻撃が叩き込まれる。
「ユウ! よかった大丈夫だったんだね」
「姉ちゃん!」
俺たちのもとにランが走ってきて、安心したように息をついた。
「それにヒロも、考えはうまくいったんだね」
「おう、あたりめーだろ! 俺がお前との約束破ったことあるか?」
「うん、ないね。『もう炎上しないように気を付けて配信します』って約束だけは守ってくれたことないけど」
「それはマジすいません」
「姉ちゃん姉ちゃん、それにヒロなぞなぞの答え考えてなかったから、ユージオさんがいなかったらやばかったんだよ」
「あ、コラばらすなよ!」
草
うーん、いつもの流れ
さてそろそろあれですね
あれですねえ
「セルカのことは僕がここで守る。君たちは」
「はい、俺たちはあいつを倒します。ユージオさんの代わりに」
視線が交わるだけで、それ以上お互い何も言わなかった。
それだけで十分だったからだ。俺も、ユージオさんも。
「──よし」
右隣にユウキが並び、左拳を上げた。
左隣にランが並び、右拳を上げた。
俺は両拳を上げてそれにぶつけ合わせた。
「行くぞ、ここからが俺たちのクライマックスだ」
「おっけー!」
「うん!」
そして、ユウキと並んでボスのもとまで走り出―――せねえ! 水おもっ! めっちゃまとわりついてのろのろしか進めねえ!
『ブルォォォォォォオオオオ!』
嘶き、そして攻撃。
足は止まっても尚ボスの攻撃はやむことはなく、凍ってない場所の水を槍にして、口からブレスを吐いて俺たちを狙う。
「ユウキスイッチ!」
「はぁぁああ! ホリゾンタル・アーク!」
だけど、さっきまでの波に乗ってのあばれ周りに比べりゃかわいいもんだ。
それにやっぱクラインさんたちがつええわこれ。スイッチの瞬間の無駄がない。指示なんかも最低限、ほとんど一言でコミュニケーションが完了してる。
師匠はもっぱら一人で戦ってたからこういう連携のテクはあんま見えなかったんだよな。
『ブル、オオオオオオオオオ!』
「―――っ!」
この状況でなぞなぞ出すか!
プレイヤーほとんどエリアに巻き込まれたな
こんだけの数のプレイヤーいたら回答される確率も上がるよね
それだけ苦肉の策なんだろうサ。ここが分水嶺だネ
『最終問題、勇者になれない者ならば誰しもがみなかかりうる病気と言えば何か!』
ボスの問題に少し周囲がざわついた。
「ゆ、勇者になれない人? それがかかる病気……ヒロ?」
勇者になれない人がかかる病気。勇気がない人、その病気。
は、簡単じゃねえか。そういう気持ちは痛いほどわかるしな。
「『臆病』。なんだよ、苦し紛れの問題で精度が下がってるんじゃねえか?」
『ぐ、ぐ、正解、で、ある……!』
空間が砕け、欠片がバフとなって降り注ぐ。
息をするように煽っていくゥ!
これが20回を超える炎上をした男の実力……
『ブオオォォォォ―――!』
ボスが口の中に俺たちを攻撃するための水球を溜める―――が。
「させない」
後方からのランの射撃がそれを砕いた。正確に水球の核になる場所を打ち抜く、曲芸のような援護。
だが、まだボスはあきらめない。今度は首を鞭のようにしならせて俺とユウキにたたきつけてくる。
「させっかよ! ユウキ!」
けど、いくらなんでもその攻撃は見え見えだ! 十分俺でも受け止められる!
HPのこり少し!
ユウキちゃんLA行けるよ!
削り切るには四連撃……いや五いるか?
『オ、オオオオ―――!』
至近距離でボスと目が合った。
ああ、せっかくだこれだけは言っとく。
「さっきのなぞなぞの話だけどな、俺は臆病になったりしねえよ」
なにせ俺の『勇気』はずっとそばにいるからな。
「片手剣四連撃技―――バーチカル・スクエア!」
深緑の閃光がボスの体に鋭い斬撃を刻み込む。
やったか!?
はいフラグ
ドット残ってるな
アニブレやっぱそろそろきちぃか?!
あと一撃だれか~
『ブルォォォォオオオオオオオオオオオオオオオン!』
やべ、氷が砕けてめちゃくちゃ強い波が、おわわっ!
「やべ、うおっ!」
「ヒロぉ! 波に流されちゃう!」
「あこら抱き着くな、あ、立ってられねえ!」
しまった最後の最後に波で流された! まだボスの体力を削り切ってないのに―――。
「大丈夫。あとはやる」
え?
断ってられないほどの波に、ほとんどのプレイヤーが流され、クラインさんたちでも転びかけている中一人だけびくともせず立っている人がいた。
その人は剣を構え、踏み込んだ。瞬間、踏み込んだ周囲の水が一瞬吹き飛ぶ。
は?
水が吹き飛んだ?!
おまけにそのまま走ったぞ?!
うっそだろ、地上の何倍の負荷だと思ってるんだ
剣士は、踏み込みでボスとの距離を縮めると、剣を上段に構え、振り下ろした。
「―――ホリゾンタル」
鋭い剣閃がボスを両断し、ついにそのHPバーを完全にゼロにする。
『ブルォォォォォォオオオオ!』
絶叫。
ボスの体が弾け、周囲にポリゴンのかけらが散って……ん?
いまなんかポリゴンのかけらの中から小指みたいなサイズのタツノオトシゴみたいなやつが出てきた。えいや。
「なんだお前」
「あ、やめて! 大声を出さないで! ワイの存在を周囲に悟られないで! バレたら潰されちまいやす!
あ、やめてくださいあんさん。ワイはこんなちっちゃいんでっせ」
「ヒロなに見てるの? なにこれ?」
「うーん、たぶんあのボスの……中身?」
うん、そんな顔になるよな。なんだこいつ。
「えーと、きみが操ってたの? あのスフィンクスみたいなお馬さん」
「は、はい……」
「じゃあ完全無欠に悪いヤツじゃねえか」
「旦那ぁ! 許してください! あの馬の体はワイが何十年とかけて作った神聖力の塊なんですぅ! ちょっと強くなったからって調子に乗ってました! すみません! 見逃してください!」
「えー……おまえスフィンクスがどうとか言ってなかった?」
「完全なフカシです! そういった方が怖がられるかなって! へへ、旦那たちも現に結構ビビってましたしね」
「……」
「あ、あ! 無言で手の中で転がさないで! ごめんなさい〜〜! 見逃してくださいぃ~!」
「でもお前見逃したらまた悪さするだろ」
「しません! ステイシア神……とかいう人間どもの信じる神はともかくワイの祖先に誓います! もう悪いことしないで細々と海で泳いでます!」
「ヒロ、いいんじゃない? ここまで言ってるんだし」
……ま、そうだな。悪いことはしないって言ってるんだし、信じてやるか。
それにこんなサイズのやつ、できることもないだろ。
「ほらよ。もう悪さすんなよ」
「あ、ありがとうございます! この恩は忘れません!」
「はいはい、どっちかっていうと恩よりは俺たちとした約束の方を忘れるなよ」
ぽいっと湖の中にボス(だったもの)を投げると、そいつはそのまま奥の方に潜って、消えていった。
ファンファーレと一緒に紙吹雪が舞った。どうやらこれで完璧にボスを倒せたみたいだな。
ランがこっち来た。おーす、おつかれー。今日もナイス援護ー。
「ヒロ、さっきの最後の人!」
「最後の? ああ、あのすごい一撃の。それがどうしたんだ?」
「どうしたじゃないよ! 私たちが何のためにここに来たか忘れたの!?」
なんのため―――あ、黒の剣士!
最後の最後、俺たちがトドメをさせなかったとき走ってきた人!
まだ近くにいるはずだ、近くに―――いた!
あ、あれ『黒の剣士』じゃねえか?
マジ?
おお、ほんとだナ。あの綺麗な黒髪、間違いなく噂になってた『黒の剣士』だナ
ファンファーレが響き、水飛沫が舞う中、鮮やかな剣閃でボスにとどめを刺したのは濡れた『黒髪』をかき上げる、
「あなたが……黒の剣士?」
自然と言葉が出ていた。そして、その質問に対する答えは意外な方向から聞えた。
「あ、黒の剣士? キリトのことか?」
へ? クラインさん? キリトってなんす―――おわっ!?
「いまキミ黒の剣士って言った?! 黒の剣士を知ってるの!?」
な、なんだなんださっきの黒髪の子が一気に近づいて―――いや胸でけえ! さっき遠かったからわかんなかったけどこの人無茶苦茶スタイルいいぞ!? 大学生か!?
って、そうじゃなくて!
「いや、あなたが黒の剣士なんじゃ、団員はみんなそう言ってるんすけど……」
「は? こいつがキリト? おいおいヒロの字、キリトは
「私が黒の剣士? なんで? 私の方が探してるのに。というか、そっちのおじさんは『キリト』と知り合いなんですか?」
「おじっ、お、俺はまだ28だぞぉ!?」
ちょ、俺越しに、俺越しに、話さないで! 俺がつぶされるから!
「あたしは『リーファ』。あなたが言う『黒の剣士』の妹よ。いま私はお兄ちゃんを探してて―――」
「ちょ、ちょーっと待って! ボクらあなたの話はちょー気になるんだけど、それよりもいったんヒロから離れて! 息できてないから!」
「あ」
で、デカパイに溺れる……。ぐう。
『ヒロ』
水には溺れなかったがデカパイに溺れた。
『ユウキ』
シスターセルカに傷一つ負わせなかった。
『ラン』
結局私なぞなぞ答えられてなくない?
『ユイ』
やっぱりお兄ちゃんは誰かの心に寄り添える人です。
『ユージオ』
ルールの穴をつくことを覚えた。19歳。
『シスターセルカ』
怪我しなかったのでめちゃくちゃユウキに感謝してる。16歳。
『クライン』
おじさんではない。
『リーファ』
本名「
スタイルが非常にいい高校三年生。
「キリト」を探しているらしい。
ヒロインの中でいまのところ誰が好き?
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ユウキ
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ラン
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ユイ