稲荷神様に出会ってTS転生したは良いけど、ここは本当に未来の日本!?   作:エリム

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前話を投稿して1時間でUA100もあって「え?」っとなった作者です。
皆さんはクリスマスのご予定はありますでしょうか?
私は某14歳神のwikiにFrohe Weihnachtenと書き込むしか予定がありません。
それでは、どうぞ


1歳の誕生日 夜

 お父さんを見送った後は特に特筆することはなく、いつも通りの日常だった。

 お母さんが朝ごはんの片づけを終えるまでは、椅子に座ってニュース鑑賞という名の情報収集。

 それが終われば、お母さんの家事の邪魔にならないようにリビングの端に片付いて本を読む。

 できれば俺が死んだ後の歴史が書かれた参考書なんかを読みたいんだけど、さすがに幼児がそんなものを読みたがるのは不自然なのでなにかきっかけがない限り三歳になるまでは自重しようと思ってる。

 だから読むのは専ら幼児向けの絵本なんだけど、どうも昔話系が俺のころの一般的なものだった巖谷 小波氏によって書き改められたものの系譜じゃなく本来の伝承をできるがけ忠実に記しつつ、幼児向けにぼかしたり簡略化したものが多い。

 たとえば桃太郎は「これ最初の方は子ども向けにしては攻めてるなー」て感じだったし、浦島太郎は幼児向けにあいまいにした結果、乙姫が腹黒のメンヘラ女に見えた。正直あれは改悪だと思う。

 勿論、よく知るストーリーのタイプの奴もあったけど、それらのほとんどには「近編」とか「改」とかが題名に入っているのが多かった。

 ちなみに、このボクの本はボクがねだりまくったことでそれなりにある。正直、0歳児が意味ある会話をこなすのはギリギリ許容範囲ではあるだろうけど、さすがに文字をある程度読めて本のストーリーを理解するというのは異常だとは思う。けれど、これをお母さんたちはこれを異常だとは多分思っていない。いや、普通とは違うとは思っているんだろうけど、それはそれと考えているんだと思う。

 お父さんとお母さんの見た目の若さから考えて、ボクはまずこの両親の間に生まれた第一子のはず。だから、二人の中では「子ども」の基準がボクになっているんだろうし、手加減というか順序も手探り状態なんだと思う。

 実際ボクが単語を発するようになったらすぐに読み聞かせを始めたし、これ幸いと文字に興味を示せば三日後には平仮名の教育絵本を買ってきて、1週間後には何故かカルタを教え始めたのだから。

 ・・・もっとも調子に乗ってそれに答えた上、さらにを求めたボクも悪いんだけど。もし将来妹か弟ができたらきちんとフォローしよう。

 なお、この時お母さんは家事に付きっきりというわけじゃなく、それとなく様子を見たり、手が空けば「これはどこが面白いの?」という感じでボクに構ってくる。多分、俺のころと比べれば家事もだいぶ楽にはなっているんだろうけど、それでもすることが無くなったわけではないしお母さんのこの子供に対する姿勢には尊敬する。正直、ボクが子どもを作るっていうのは想像できないけど、もしその時が来たらできるだけお母さんのようになろうと思う。

 その後はお母さんと二人で軽く散歩をしてお昼ご飯。

 昼食後は夕方までのお母さんは「ごめんね。お仕事しないといけないの」と申し訳なさそうにしながら、わらしにボクの面倒を見るように頼んでいる。この時、わらしは外部端末として結構リアルな猫型ロボット(多分)を使っていて、一回外で猫を見た時にふざけて「あ!わらし!」と言ったら苦笑されつつ「あれはわらしが入ってない、普通のネコさんよ」とマジレスされたのは今世での黒歴史第一号だ。

 

 さて、そんなここ二ヶ月ほどの日常通りだった昼間と違い、夕方からはお父さんが帰ってくるまで怒涛の勢いだった。

 まずは「おめかししなくちゃね」とお母さんに着せ替え人形(この衣装いつの間に買ってたの!?)にされ、何枚も記録を撮られた。

 その次は「やっぱりこれね!」と着せられた、派手ではあるけど品のある着物姿で両祖父母にビデオ電話で挨拶。どちらからも絶賛され、「次に会えるのが楽しみだ」といわれた。

 それが済めば、さあ飾りつけだと言わんばかりにプロジェクションマッピングによる壁の模様替え(ここは未来をものすごく感じた)とインテリアの変更、そして一番驚いたのはお母さんによる文字通り()()のアイスアートだった。この時お母さんが「『()()()()()()()()()()()()()()()()()、つむちゃんが喜んでくれるならやっていた甲斐があったわね」と呟いていたのだけど、初めてまともに見る魔法ー魔術ーに驚いていたボクはその呟きをスルーしてしまっていた。

 そんなこんなで19時過ぎ、そこそこの料理と荷物を持って帰ってきたお父さんを迎えて、ボクの誕生日会が始まった。

 

 「「『ハッピーバースデー!紬(ちゃん)!』」」

 「あ、ありがと?」

 

 目の前には『つむぎちゃん お誕生日おめでとう!』と書かれたチョコプレートの載った小ぶりのホールショートケーキに、大人用と子供用で分けられたオードブルセット。ちらし寿司にサラダが並び両親が笑顔で祝福している。

 それは確かにうれしいし感謝もしているんだけど、それらの中でひときわ目立つお母さん作のアイスアートー形はデフォルメされたボクーにどうしてもボクは気圧されていた。

 

 「つむちゃん?もしかして緊張してる?落ち着かない?」

 「やっぱり土曜日の紬のお披露目は延期するか?どうせうちの奴らは騒ぐ口実が欲しいだけだろうしな」

 「ううん!ちがう!ただ、このこーりがきになって・・・」

 

 心配そうに見てくる両親に、ボクは慌てて理由を言った。

 ていうかお父さん?土曜日のお披露目って何?知らないよボク!?

 

 「あーまあ、確かにすごいもんな。これは今回も香織作か?」

 「うん、そうよ。けど、つむちゃんが気になるなら消しちゃいましょうか」

 

 そう言うとお母さんは徐にアイスアートにデコピンをした。-瞬間、アイスアートは粉雪状になって舞い上がり、リビング中に広がって消えてしまった。

 

 「きれー・・・」

 「相変わらずの魔術制御、さすが」

 「もー褒めても何も出さないわよ?」

 「そこは何も出ないじゃないのか」

 

 少し照れてボケをかますお母さんに突っ込みを入れるお父さん。こういう夫婦漫才はいつものことで見ていてボクも楽しい。

 けど、今はこの一年気になっていたことを聞く絶好のチャンスではないだろうか?

 

 「おかーさ、いまのどーやったの?」

 

 まずは今に出来事に関する疑問。どう考えても手品とかじゃないし、幼い子どもの純粋な疑問としても全然おかしくない、むしろ当然の質問。

 

 「んー?ちょっと氷の魔術で崩して風魔術で広げただけだよ。って、これじゃまだつむちゃんじゃわからないか」

 

 ぽかんとしたボクを見て「あっ」っという表情をしたお母さんは、「おいでー」と椅子を引いて太ももをポンポンと示した。

 とりあえず自分の椅子から降りてトテトテとお母さんの下に向かったボクを、お母さんは太ももの上に乗せ「よしよし」と頭をなでながら「えーとね?」と話し始めた。

 

 「つむちゃんは「魔法」ってわかるかな?」

 「にんぎょひめにいじわるなおばあさんがかけたやつ?」

 

 聞かれたから素直に答えたけど真っ先に人魚姫が出てくるあたり、ボクもなかなかアレだな。シンデレラとか魔法が出てくるのなんて他にもあるっていうのに。

 

 「ん~どっちかって言ったらそれは呪いだけど・・・まあそうだね。人魚姫に声を出せなくしたり、後はシンデレラを舞踏会に乗せてったかぼちゃの馬車とか。そういう「魔法」はね?本当は魔術って言うの」

 「まじゅつ?」

 

 おうむ返しに聞くボクに「そう。魔術」と答えてまた頭をなでなでした後、「わらし。私のフォルダにあるストライクウィ○チーズを流して」と頼んだ。

 そして流れ始めたストライクウ○ッチーズにお父さんが「出た。香織の旧世代アニメコレクション」と苦笑している。

 まあ、今からすれば100年近く昔のアニメだもんね。てか、まだ映像データ出回っているの?他にも何かないかそのうち聞こう。

 

 「ほら、こんな風に空を飛んだりもするの」

 

 「ストライカーユニ○トはいらないけどね」と言いつつ説明を続けるお母さん。

 

 「お母さんがやったのもおんなじ。まあ、お母さんは他の人よりもちょっと上手いけどね」

 

 その言葉にお父さんが「香織がちょっと上手いなら、ほとんどの奴は下手くそだぞ・・・」と言っているけど、そこはきれいにお母さんはスルーし「簡単に言えばこういう感じだけど、どう?わかった?」ときいてきた。

 

 「ん~たぶん・・・」

 「まあ詳しく説明すると難しいからな。要は不思議な力ってわけだ。紬」

 

 納得がいってない顔のボクを見たお父さんがこう締めくくった。そうじゃない、そうじゃないんだよなー。

 とはいえ、ここで引き延ばしてもしょうがないし、次に行こう。

 

 「じゃーもういっこ!なんでおとーさは、ボクとかおかーさとかあの人みたいにつのとかしっぽとかないの?」

 

 お母さんの角や画面の・・・・えーと・・・女の子キャラを指さして聞いてみる。

 これも自分との違いっていう子どもらしい単純な質問でもある。同時にボクがここが未来の日本だと思えなかった原初の疑問でもある。

 ・・・ストラ○クウィッチーズ・・・朧気には覚えてるんだけどな・・・まあこれはいっか。

 

 「それは俺に妖魔の血が流れてないか、影響が出ないほど薄くて活性化してないからってあー・・・俺も香織と同じことしてるな・・・」

 

 ポリポリと頭を掻くお父さんに「しっかりしてよ。お・と・う・さ・ん?」と茶々を入れるお母さん。

 こっちとしては初めての単語にプチ混乱中だから両親二人は一旦横に置いといて、「ようま」って多分字は「妖魔」だよね。てかそれ以外思い浮かばない。

 いや、ド直球ではあるけどさ。じゃあ妖魔って何?それに血が入ってないか薄いからってつまり、実際どうなのかお父さん自身もわかってないってこと?そんなの言い伝えぐらい残ってそうなものだけど・・・

 

 「あー、まあそういうもんだってことだ。紬にはまだ早い!以上!

 「えー?お父さんそれだけ?ほら、つむちゃんも納得してないじゃない。お母さん、お父さんの説明聞きたいなー」

 「ここぞとばかりに煽るな香織!?実際まだ紬には難しいだろ!?」

 「まあ、確かにそうだけど~?つむちゃんはどう?これでお父さん許す?」

 

 お母さんの尋ねに思考を二人の方に戻して考える。

 まあ正直ほとんど説明になってないし、望んだ答えは得られなかった。多分二人にとってこれらは常識過ぎて説明が難しいんだと思う。それこそ「なんでご飯を食べるのか」みたいになぜ?なぜ?を繰り返すと段々と簡単な説明が難しいのと一緒だ。

 だから

 

 「うん。こんどのおやすみにあそびにつれてってくれるならゆるしてあげる!」

 

 ということで手を打つ」。

 実際、今世で今の所旅行というものはしたことがない。無論、ボクが幼すぎることが原因の一つだとは思うけど、祖父母の家にすら行ったことが無い。というかあまりにも出なさ過ぎて、今住んでいるここがどこなのかも、地域天気予報的に関東圏だということしかわかってない。いい加減、この状況は打破したいし何より今この世界をこの目で見てみたい。

 

 「あら?ちなみにつむちゃんはどこに行ってみたいの?」

 「んーとね!おーやまってところ!」

 「大山?阿夫利神社の大山か?なんでまた・・・」

 「このまえてれびできれーだったから!」

 

 噓だ。

 確かに4日前テレビで見たのが理由ではあるけど、断じて綺麗だったからではない。

 俺の記憶に残っているからだ。

 虫食い状でおぼろげなとうに名前すら忘れ去った記憶。

 それでもその地の名を聞いた瞬間、思わず泣いてしまった程にしっかりと熱を持って沸き上がった鮮やかな記憶(ソレ)はつまりよほど大事な記憶なんだろう。

 なら、それを拾いに行こう。

 これは供養だ。ボクが俺に対してできる唯一のお礼。

 

 「まあいいじゃない。あそこなら日帰りで行けるし、それに()()に行っておいて損はないわ」

 「そうか、そうだな!じゃあ今度行くか!」

 

 ボクと俺は本質的には同一人物だ。

 けれど俺の旅路はとっくに終わっていて、今はどうしようもなくボクの旅路でしかない。

 なら、俺の旅路を背負いはしても、引きずられちゃだめだと思う。

 だから拾う。友達も家族も自分の名前すら失くしても失くさなかったソレを拾って上書きしてボクのものにする。

 俺のことは決して忘れない。時には懐かしむし、感傷にも浸ると思う。けど、ボクはボクだ。守上 紬(もりかみ つむぎ)だ。

 もう1年たった。そろそろ受け入れるべきだろう。ここが本当に未来なのか、それともよく似た平行世界なのか。それは気にはなるけど気にしすぎることでもない。

 だからこれはその一環。

 

 「ねえ、おかーさ」

 「なに?つむちゃん?」

 「さっきのまじゅつって、ボクにもできる?」

 「うん。今は無理だろうけど、練習して大きくなれば絶対できるようになるよ」

 「じゃあおしえて!」

 「え?」

 「おかーさのせつめーも、なっとく、できなかった!だからまじゅつ、おしえて、くれないと、ゆるさない!」

 

 お母さんを見上げていったボクの言葉に、二人はきょとんとして顔を見合わせ、そして

 

 「ブッ・・・ははははは!」

 「うふ・・・うふふふふふ!」

 

 二人同時に笑い始めた。

 

 「こりゃ、今の論法でいくなら香織の負けだろ!」

 「そうね。確かに私の説明もつむちゃんはなっとくできなかったみたいだし、そのとおりね。けど、まさか私に魔術を教えて欲しいだなんて・・・ふふふふふ」

 「いいじゃん!神すら震える「冷徹の夜叉姫」の後継者!しっかりと育てないとな!ははははは!」

 「むー、なにが、おもしろいの!」

 

 ボクはただ、お母さんに魔術を教えて欲しい…だけ・・・ってんん?神すら震える?冷徹の夜叉姫?

 

 「うん。そのとおりね。ところでお父さん、いえ、怜弥さん?私、その「冷徹の」って知らないんだけど・・・今度、ゆっくり、OHANASHI、しましょうか」

 「はははは・・・はい、その、自分が広めたわけじゃないので、お手柔らかにお願いします」

 

 うん、ボクは何も見てない。

 お母さんの角が光っていたりとか、知らないったら知らない!

 

 「あ!ねえ、おかーさ!あのとんでるのなに?」

 「うん?ああ、あれはゼロ戦って言って・・・」

 

 とりあえず、この後はご飯とストウィ鑑賞になった。

 お父さんが小さく としてるのはスルーした。

 

 




最近一段と寒くなってきて、通勤用に耳当てが欲しくなってきました。(誰も聞いてない)
さて、作者は承認欲求が強い方なのだと思います。寒くなってきたからなのか、毎夜電気を消して毛布にくるまると「寂しいよう・・・抱きしめてよう・・・」とか言ってマジで泣いてます。端から見るとキモいだけなんですが(笑)
なので、UAが何十もあったりとかお気に入り登録とかされるだけで認められてる気がしてとても嬉しいです。ですのでこんな拙い作品を読んでくださる読者の方には本当に感謝しています。
ちなみに今回登場させた大山、個人的には豆腐シフォンケーキが大好きです。まだあるのかは知りませんが・・・ハイキングにちょうどいいのでコロナがある程度収まったらまた久しぶりに行きたいな。と思っています。
それではまた次回、お会いできたらうれしいです。
感想、誤字報告などお気軽にお寄せください。よろしくお願いします。
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