シスコンな双子の兄が姉になりたい妹のために弟になった話 作:名も無き二次創作家
よくある本編前の人物紹介
ココア:双子の姉。本当は妹だが姉。他に姉1人と兄2人がいる。弟といっしょに木組みの街の高校に通っている。ブラコンのシスコン。
ジュン:双子の弟。本当は兄だが弟。1つの学年に1つしか無い男子だけのクラスに通っている。いちおう主人公。シスコン。
千夜(ちや):ココアの親友。出会って数週間だが波長がどちゃくそ合う。ジュンとはお友達。たまにドキッとすることはあっても付き合うとかは絶対無い。
チノ:ココアとジュンの下宿先の一人娘。双子から”妹”としてロックオンされているが本人は二人を姉(もしくは兄)と呼ぶ気が(今のところ)ない模様。
ココアのクラスの友人達:出会って3秒で友達がモットーのココアは既にクラス全員と友達だがとくに仲の良い7人のこと。千夜は親友枠なので除く。※それぞれ名前はあるけど知らない人には逆にわかりにくそうだしあんまり出さない予定。
きゃあきゃあと、観客の少女達の歓声が響くとある高校の体育館。
現在時刻、午後12時50分。
昼休み終盤。
本来静まりかえっているはずのここでは、男子の体育の授業の延長戦が行われていた。
「リバウンドォッ!」
リングに弾かれたバスケットボールが落下する。
それに食らいつく2つの人影。
緑のゼッケンを着たディフェンスと、赤のゼッケンを着たオフェンスの生徒だ。
ディフェンス側(緑)の男子生徒がなんとかボールをキープするが、オフェンスチーム(赤)に取り囲まれてしまう。
「ジュン、こっちだ!」
鋭い呼び声に応えるような、切れのあるパスが回された。
そのまま反対側のゴールに運ばれるボール。
緑チームが攻撃に回ったのだ。
現在2点差で赤優勢。
しかし、反撃のチャンスである攻守逆転に浮き足だったのかパスが上手く回らずに、緑のボール保持者がバスケ経験者の赤に捕まってしまう。
足下にはちょうど3ポイントのラインが引かれている。
やけくそ気味に放たれたシュートは、案の定外れた。
シュートを打った彼は運動が出来ることに定評があるが未経験者。
流石に無理があった。
再び始まるゴール下の攻防。
緑も赤も入り乱れてボールを取り合いシュートを打ちパスを回しパスカットが横行する。
完全な乱戦である。
本来の競技バスケならポジションがきめられているためこのような団子状態にはならないが、体育の授業にそんなものはないため沢山の生徒がボールに吸い寄せられる。
そしてその乱戦の中、最終的にゴールの真下にいた緑チームの生徒にボールが渡る。
経験者なら絶好のシュートチャンスだが、未経験者の彼には難しい角度だ。
迫る赤チーム。
焦る男子生徒。
そのとき彼の視界に一本の線が見えた。
たまたま通っただけだが、それでも彼にとっては救世主のごときパスライン。
そこに夢中で投げられたボールは、センターラインを踏み越えてやってきたジュンの手の中に収まる。
点差は2点。
このまま緑チームがシュートまでつないでゴールを決められれば引き分け。
決められなければ赤の勝ち。
意を決してドリブルを開始したジュンの前に赤のバスケ経験者が立ち塞がる。
もうだめだ。
緑チームも観客の少女達もみなそう思った。
ジュン本人でさえそう思った。
しかし、ただ一人例外がいた。
「ジュンくーん!頑張ってー!!」
ジュンの双子の姉、保登ココアの声援が響く。
瞬間
既に赤チームの経験者を抜いていたジュンが空中にいた。
超速ドライブからの3ポイントシュート。
人間の意識の空隙を突いたその動きは、その場にいたほぼすべての人間にとってまるで瞬間移動であった。
ふわっ
と。
ボールが綺麗に放物線を描いた。
静寂の中、ボールがネットを貫いた音が体育館に響く。
観客の少女達の黄色い声が最高潮に達した。
◇◇
五限目は担当教師がお休みのため自習時間。
それを良いことに、友達どうしで集り各地でお喋りが始まっていた。
「今日の昼休み、最高に熱かったな!」
「あれココアの双子の弟なんでしょ?」
「そっくりだったね」
「かっこよかった~」
彼女たちの話題は勿論昼休みの男子バスケである。
年頃の乙女の関心を引く出来事としては充分だろう。
その証拠に、彼女たちだけで無く教室のほぼすべての女子生徒達がその話をしている。
「ジュンくんはなんでもできるんだよ! 自慢の弟なの。凄いでしょ」
我が子とのように誇らしげにふんぞり返っているのは保登
保登
戸籍上は妹なのだが、幼い彼女の「お姉ちゃんになりたい」という願いを叶えるためにジュンが自ら弟になったのだ。
それ以来彼女たちの中で兄・妹が姉・弟の関係になったのだ。
しかし、ココアはうっかりミスやポンコツなところが多々ありそのフォローをするのがジュンなのだ。
また、理系科目以外が壊滅的で運動も苦手なココアと比べてジュンは文武両道スポーツ万能で基本的に隙が無い。
そのため端から見たらジュンが兄に見えてしまう。
今もふんぞり返っているその姿から、ほのかにポンコツ臭を漂わせていた。
「千夜も仲いいんでしょ?羨ましいなあ……あ、そうだ。紹介してよ」
「そんな、確かにココアちゃんと3人で一緒に帰ったり交流はあるけど……。まだ知り合って数週間よ?そんな、紹介できるような深い仲じゃ……」
「いいじゃんいいじゃん。話だけでもさあ」
「ダメー!!」
友人たちの会話に割って入ったのは勿論ココアだ。
「私の弟とっちゃダメー! ジュンくんは私の弟なの!」
「いや……、私たちは別に姉の座が欲しいわけじゃないんだけど」
「むしろココアのことは
「お姉さま!? あたしの妹になりたいんだね! いいよ!」
「「「「「「「「(明らかに姉の意味が違う)」」」」」」」」
言葉は通じるのに話が噛み合わないとはこのことか。
そう感じた友人達だった。
「まあ、おバカは置いといて。千夜はどう思ってんの?」
「どう?」
「彼のこと好きかどうか、てことじゃないかな」
「確かに気になる」
突然おばか呼ばわりされて騒ぎ始めたココアを無視して、千夜に探りが入る。
「た、たしかにジュンくんは格好いい男の子だと思うけど……」
「けど?」
「言いにくいんだけど、その、ね? ……ちょっとユニークよね。例えばココアちゃん関連のこととか」
「「「「「「「あー」」」」」」」
保登
だが例外として、唯一にして最大の欠点があった。
度が過ぎた超ドシスコンなのである。
数の上では1つだけだが、彼と共にいるといたるところでそのシスコンっぷりを見せつけられるので正直すべてのプラス要素を打ち消しているように感じる。
ジュンはそういう残念な人間なのだ。
「結局、遠くからみてきゃーきゃー言っとくだけの距離感が一番ってわけか」
「富士山と同じだね」
「遠くから見れば綺麗だけど実際に登ってみるとゴミの山ってやつ?」
「なるほどねえ」
散々な良いようである。
この言い草にココアが少し怒り、みんなすぐに謝った。
ココアは怒ってもまったく怖くないのだが、なんとなく子供を泣かせてしまったような後味の悪さがあるので大抵の人は彼女をなだめるように謝罪することになるのだ。
「でも学校外の弟くんの様子は気になるねえ」
「たしかに。聞かせて聞かせて~」
「お得意の弟自慢よろしくう!」
大好きな弟が人気なのが嬉しいココアは、先程の軽い怒りもすっかり忘れて弟との普段の様子を語りだした。
「えっとね、昨日の夕飯はデミグラスハンバーグだったんだけど」
「ふんふん」
「おしゃれだねえ」
「ジュンくんが作ってくれたの」
「まじか!」
「料理も作れるなんて、やるじゃん」
「でもチノちゃん、私の妹なんだけどね。その子がにんじん嫌いなの。だからチノちゃんのお皿だけにんじんが乗ってなかったの。お姉ちゃんとして「好き嫌いはいけないよ」って言ったんだけど、そしたらジュンくんが「わからないようにハンバーグに入れてあるから大丈夫。まずは成功体験を得てから徐々に克服していこう」ってチノちゃんに言ったの」
「なるほど。“にんじんを食べた”という結果をまず作る作戦か」
「それで徐々に苦手意識をなくしていく、てこと?」
「へー、よく分からん。上手くいくの?」
「ジュンくんが立てた作戦だからきっと成功するよ。実は私も昔は好き嫌いちょっとだけあったんだけどジュンくんに直してもらったの」
「へえ」
「実績があるってわけだ」
「そこから成長の話になってね、今度チノちゃんのブラを3人で買いに行くことになったの」
「ふーん……、ん?」
「「「は?」」」
「「「え?」」」
相づちを打っていた友人は勿論、静かに話を聞いていた友人達まで驚きの声をあげる。
「………ねえココア。参考までにききたいんだけど、そのチノちゃんって幾つ?」
「チノちゃん?中学2年生だけど?」
ドン引きする一同。
それもそのはず。
女子中学生のブラを一緒に選びに行く高校生男子などただの変態だ。
「中学2年生の下着を買いに行くのに男同伴はないよ……」
「え、でも私たちもう家族だし」
「いやいや、家族だからって普通男とブラジャー買いに行かないでしょ」
「えー、家族なら普通だよ」
「家族って、一緒に買いにいったのは小さいときの話でしょ」
「え?今も一緒に行ってるよ?」
その時クラス中の空気が凍り付いた。
いつの間にかクラスの全員が聞き耳を立てており、保登家の特殊ぶりにドン引きした。
「え、なにその反応……。お姉ちゃんもお兄ちゃんたちのパンツ買ってくるし、私もジュンくんのパンツ一緒に買いに行ったり私だけで買いに行ったりするよ?」
「ええ……」
「家庭によっては女が男のパンツ買ってくることはあっても、男が女の下着買いにはいかんでしょ」
「ていうかココアは恥ずかしくないのかよ」
「全然?むしろ選んでもらえてうれしいよ。それに、ジュンくんがいないと試着しないとサイズわかんなくて時間かかっちゃうんだよね」
「えっと?すまん誰か解説してくれ」
「目視だけでココアにぴったりなブラのサイズを見分けられるってこと?」
「そうとうの手練れだね……」
「弟はおまえの胸のサイズを把握しているのか!?」
「──うん。その、ね? 実は毎日お風呂でバストアップマッサージしてもらってるの」
『誰に?』とは聞くまでもないだろう。
先ほどのブラを一緒に買いに行く云々の爆弾が霞むような超弩級の爆弾が降ってきた。
しかも先ほどのブラとは違うココアの表情の変化がそのヤバさに拍車をかけている。
頬に朱が差し視線は逸らされ、どことなく女を漂わせている。
いや、クラスではいつもみんなの妹ポジションだからそのギャップで勘ぐってしまっているだけで実際はただの気のせい! なはず!!!
寒気とともにそう願うクラスメイト一同だった。
「……おい、親友のおまえからもなんか言ってやれよ」
「そうだよ。親友でしょ」
「この闇に踏み込む勇気はないけどちょっと気になるのも事実」
肉親での禁断の愛(かもしれない?)に寒気4割の年頃少女たち。
残り6割の無責任な好奇心で千夜をけしかけようとする。
たしかに千夜は希に無遠慮な発言もする。
しかし彼女とて10代の小娘。
さすがにこのブラックボックスは荷が重すぎた。
「でもほら、効果は確かみたいよ……?」
結局曖昧な言葉でお茶を濁した。
しかし、あながち的外れの発言でも無い。
クラスメイトたちの視線が集中したその先では、平均よりだいぶ大きい確かな膨らみがあった。
メタ的なことを言えば原作の1.3倍で、隠れ巨乳ではなく普通に巨乳だった。
「ね? ジュンくんはココアちゃんのために純粋な気持ちでやってるだけだと思うの」
純粋ならいいのか。
そう突っ込みたい友人達だったが当の本人がまんざらでもなさそうだし野暮なのかいやだからこそ倫理的に止めるべきだろうと心の中で葛藤が繰り広げられる。
「姉さん。朝話してた現代文の教科書を持ってきたよ」
「あ! ありがとねジュンくん」
「「「「「「「「!?」」」」」」」」
突如現れた話題の人物に驚く彼女たち。
なんで違うクラスのはずの彼がこんなところにいるのか。
その疑問はすぐに解消されることになる。
「姉さんのクラスはさっきまで自習だったんだね。姉さんの綺麗な声が廊下まで届いてたよ。それと顔が赤いみたいだけど大丈夫?」
「だいじょうぶだいじょうぶ。なんでもないから」
時計を見ると五限目が終わって、次の授業に備えるための小休憩タイムになっていた。
ちなみにココアの声はそこまで大きくなかった。
ジュンの耳がココアの声だけ無駄にしっかりと拾っていただけだ。
「どうも、初めまして。このクラスの委員長です。クラスを代表してあなたに聞きたいことがあるのですが、よろしいですか?」
「姉さんがいつもお世話になっています。双子の弟のジュンです。なんでしょうか?」
クラスの女生徒全委員が固唾をのんで見守る中、委員長が切り出す。
「ココアと毎晩一緒にお風呂に入って胸を揉んでるって本当ですか……?」
「まあ、はい」
瞬間、金切り声が教室のそこかしこで上がった。
年頃の少女達にとっては大スクープだ。
特にジュンに淡い思いを寄せていた数人にはショックが大きすぎた。
「しかしその言い方は語弊があります。バストアップマッサージと言って欲しいです」
そんなことは少女達にとって些事だ。
どちらでもあまりかわらない。
「なにをそんなに……。家族なら普通のことですよ?」
「いやいやいや」
「うちにも兄がいるけど想像しただけで寒気するわ」
「弟いるけどありえない……」
様々な否定の言葉が上がるが……
「そうなんですか……。家族仲がよくない方も以外と多いんですね。あ、すみません、いきなり失礼でしたね」
ここまで素で言われると、もはや誰も言い返せない。
「まあ、あんたらの仲が良いのはわかったけどさ。きっかけとかあんの?」
「マッサージのきっかけですか?姉さんが小学校高学年くらいのときにテレビでやっていたバストアップマッサージに興味を示したんです。それで僕も軽く調べてみたら、効果が無いどころか逆に小さくなったという実例もあるみたいなんですよ。あとはホルモンバランスが崩れて体調が悪くなったりなどの実例も。これは半端な知識でやったら不味いと思った僕は知り合いの医師などを総当たりして正しい知識をかき集めたんですよ」
「お、おう」
「なぜそこでベストを尽くしてしまったのか……」
「姉さんのためです。当然でしょう」
「も、もうその辺でおしまい~ッ!」
後ろでもじもじしながら黙って聞いていたがココアがストップをかけた。
恥ずかしさが限界を超えたようだ。
ココアに止められればジュンはもうテコでも続きを話さない。
そのことを理解している委員長たちは、もっと深掘りしたい気持ちを断念した。
「じゃあそろそろ次の授業が始まるから戻るね、姉さん。体調には気をつけて少しでも気分が悪くなったらすぐに保健室に行ってね? なんなら僕を呼んでくれれば飛んでいくし。では失礼しますみなさん」
すっかり話し込んでしまったようで、あと数分で6限が始まってしまうような時間であった。
各々が席に戻っていくが、ココアの席の近くの友人達はまだまだ話したりないようだ。
席に座りながらも目線と話題がココアに集まる。
「あの様子だとマッサージだけじゃ無いでしょ。他になにやってもらってるの?」
「そ、そんなには無いよ!? 確かにこっち来てからはお料理とかも任せちゃってるけど……」
「おまえ……。それでいいのか姉として」
「で、でも弟をこき使うのも姉らしいと言えば姉らしいんじゃないかしら」
「んー、まあそうなのか?」
「千夜の言うことも一理ある」
「ちがーう! 私はそんな悪いお姉ちゃんじゃないから! でも『みんなに僕の姉だと自慢できる最高の姉さんでいて欲しいから』って言われるとつい押し切られちゃって、気がついたら色々やってもらってるの……」
「姉扱いに弱いからなー、ココアは」
「でもそれ以上に私もお姉ちゃんとして色々してるから!」
「へー」
「例えば?」
「た、例えば……そう! 甘やかしたり! 落ち込んでるときや疲れてるときによしよししてあげたり、あとは理系の宿題でわからないところを教えてあげたり。ちゃんと姉らしいことたくさんしてるから!」
普段の様子からは想像出来ないが、実際にココアはここぞというときに姉力を発揮している。
原作でのココアはまだ姉初心者だった。
しかしここでのココアは姉玄人。
まあ、ポンコツなことに変わりは無いため空回ることも多いのだが。
それでも姉としての実績がある。
「でも下宿先のチノって子には姉として認められてないんだろ?」
「いつか認めさせてみせるよ!」
ふんすっ!
と鼻息も荒く宣言するココアをみて「ダメそうだな……」と察するクラスメイト達。
「ココアちゃんならきっと出来るわ」
しかし千夜だけは静かにそう呟いたのだった。
一巻でココアとチノちゃんの好き嫌いの話があった気がしたんですね。
ググったんですがwikiにもどこにも書いてなかったので段ボールから原作引っ張り出してきたんですね。
そしたら
ココア「チノちゃん、好き嫌いはダメだよ」
チノちゃん「ココアさんの分のアスパラがない!?」
みたいなシーンがあったのでたぶん二人ともアスパラが嫌い。
けど明言はされていない。
あとチノちゃんはにんじんが嫌い。
シチューの具をココアに訊かれたときに「にんじん以外を答えよう」と思考してました。
また、ココアとチノちゃんが共に好き嫌いを克服しようとして相手の嫌いなモノを用意したときに、ココアはチノに”セロリ”を、チノはココアに”トマトジュース”を渡したんですね。互いにそれを食べて(飲んで)ぶっ倒れたので嫌いなんでしょうが、ココアは”トマト”自体がダメなのか”トマトジュース”だけだめなのかが曖昧です。
おそらくトマトジュースが嫌いだと思うんですがどうでしょう。
餡子が空から降ってくる話で、ココアが「自分で作った」と言った弁当にミニトマトらしきものが入っているんですね。
まあ、嫌いな人に聞くと「ミニトマトとトマトは別物!」て言うんですが。
不定期更新ですがよければ高評価とかもお願いします。
ここ好きとかも待ってます。