シスコンな双子の兄が姉になりたい妹のために弟になった話   作:名も無き二次創作家

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それでは健全なお話しをお楽しみください。


頼りになるお姉ちゃん

少女が足を開き、仰向けに寝転がる少年の上に乗っていた。

 

「ごめん、姉さん……。服……汚し、ちゃって……」

 

「ううん、大丈夫」

 

「でも、臭いとか……。ハア、ハア」

 

「大丈夫だって」

 

少年の言うとおり、少女の服には少年の体液が付着していた。

先程までの激しい上下運動のさらに直前に原因があるのだが、今は置いておく。

身体を上下に動かしていたのは少年のみで、少女はその上にまたがって座っていたにすぎない。

そのため息の上がっている少年とはウラハラに少女には余裕があった。

 

「じゃあ、今度は僕が上だね」

 

そう言うと少年は少女を優しく、まるで精巧なガラス細工を扱うように床に寝かせ、そのまま少女の下半身の上に乗っかり、押さえつけた。

 

先程までは少年が下だったためどちらも動こうと思えば自由に動けた。

しかし今回は少女が下である。

筋力の差は歴然であり、これで少女は彼に許されている上下以外に動けない。

 

「姉さん」

 

暗に「はやく動け」と言っているのだ。

少女は顔を真っ赤にさせながら必死に動き始めた。

 

「……んっ」

 

時折少女が我慢できずになまめかしい声を漏らす。

しかし本人は行為に夢中でそれに気付いていない。

 

必死になって動き続けること30秒。

 

「ご、めん……ね、情けないお姉ちゃんで……、もう私っ──」

 

 

その言葉と共にぐったりと力尽きた少女は、腹部を片手で撫でながら時折ビクンッと痙攣していた。

そんな彼女を慈しみながら少年がそっと抱き起こす。

そこに人影が近寄ってきて口を開いた。

 

 

 

 

 

 

「保登姉弟、上体起こし終わったか?」

 

 

 

 

◇◇

 

 

 

「姉さん、ラビットハウスの手伝い休んでね。今日は安静にしてて」

 

「えー、もう大丈夫だよ」

 

入学してそれほどたっていないある春の日、ココアとジュンが通っている高校で体力テストが行われた。

通常は1~4限目で終わらせてそのまま下校なのだが、4限目までに終わらなかった者は5・6限目を使用して測定が終わるまで居残りをしなければならない。

クラスの違うココアとジュンはバラバラに測定を行っていた。

 

だが、ココアがシャトルランをしているタイミングで偶然ジュンが近くに来た。

弟に見られていることを意識したココアは「情けない姿は見せられない!」と限界を突破する。

そしてぶっ倒れた。

 

それに気付いたジュンがすっ飛んできてココアを抱え保健室までダッシュし、そのまま戻ってこなかったため2人の居残りが決定した。

 

その時にやり残した種目は、ココアが『上体起こし』でジュンが『シャトルラン』と『上体起こし』であった。

 

 

上体起こしはまず被測定者がマットの上で仰向けになり、両膝を90度に曲げる。

そして補助者が被測定者の両膝を押さえ固定するのだが、腕力だけでは抑えられないので足の先っぽの方に軽く乗りコアラのように抱きつくことで被測定者の足を固定する。

上半身を上げて下ろす上下運動。

足(下半身の一部)に乗り固定する。

これを30秒間続ける。

 

直前にシャトルランをやっていたからジュンは運動が得意にも関わらず上体起こしであそこまで疲れ果てていたのだ。

 

ちなみに普通は基本的に男女でのペアは組まれないのだが、二人は双子で仲も良いことと他に居残り組がいなかったためこうなった。

 

「結局ジュンくんに一種目も勝てなかった……。私ももうちょっと身体鍛えた方がいいのかなあ」

 

「リゼさんに特訓してもらう?“キロ単位でジョギングする”て聞いたことあるけど」

 

「……無理をするとストレスが溜まってよくないからやめとくよ」

 

下校しながら軽く会話を交わす双子の姉弟。

学校指定のローファーが石畳を叩き、コツコツと音が鳴る。

しかし、不意にココアのその音が乱れた。

ほんの僅かであったが、最愛の姉の不調を見逃すジュンではない。

 

「姉さん、やっぱりまだ……」

 

「……何のこと?私、超元気!」

 

「嘘。今少しふらついた」

 

「え、えっと、普段使わない筋肉とか使ったし、軽く筋肉痛ってだけでなんにもないよ?」

 

「今日は一度倒れて保健室送りになってるんだから、これ以上無理するのは禁止」

 

「でも」

「それでも無理をするって言うのなら────」

 

ひょいっとココアを抱き上げる。

 

「無理が出来ないようにするしかないよね」

 

右手は背中に、左腕は膝の裏に通している。

所謂お姫様抱っこだ。

 

 

不意打ち

 

 

 

ジュンは男子高校生にしては背が低めだ。

それは姉のココアより大きくならないために意図して夜更かしをしているからなのだが(おかげで姉と同じ身長をキープできている)、その身長のせいで力持ちにはあまり見られない。

 

だが実は、元々の才能に加えて夜更かしで太らないように運動をしっかりやっているため、そこら辺の運動部の男子よりよほど力持ちだ。

具体的にどれくらいかというと、リゼと張り合えるくらいである。

 

それに姉とはいえ彼女も乙女。

不意打ちで顔のいい男の子にこんなことをされては心臓に悪い。

 

 

「お、降ろして……。こんなのお姉ちゃん失格だよお」

 

姉としてのプライドか、はたまた理想の姉への探究心からか抵抗を試みる。

しかしそう言いながらも彼女の手はしっかりと彼を掴んでいた。

 

大好きな弟の腕の中で、ココアは胸の鼓動を激しくさせる。

ジュンは、上体起こしの時とは比べものにならないほど顔を赤くした彼女には気付かず、ただ姉の体調を案じ帰路を急ぐ。

 

 

 

街の人々はみんな微笑ましいものを見る目をしていた。

 

 

 

 

◇◇

 

 

 

夜、ココアの部屋。

 

 

「もっとそっち詰めてください」

「この腕の中に身を預けてごらん」

「3人は無理だし、チノがいるなら僕はいらないでしょ」

「ダメ! チノちゃんが心細いって言ってるよ!」

「こ、ココアさんが怖いだけでしょう」

 

時刻は10時。

ラビットハウスの仕事を終え、学校の宿題を終え、食事や風呂なども終えた彼等。

あとは明日に備えて寝るだけだったのだが……。

その前にたまたまつけたテレビで季節外れの怖い話特集がやっていたのを見てしまったのだ。

 

怖い物見たさと、ここでテレビを切ったりチャンネルを変えたりすると怖がりだと思われる! とココアとチノ(彼女たち)が互いに見栄を張ったおかげでこうなっている。

 

「チノは壁側でいいの?夜に……いや、なんでもない。なにか用事ができたら僕が寝ていても遠慮無く起こしてね」

 

壁側だと夜にトイレ行きたくなってもベッドを抜け出しづらいよ、と言おうとしたが女の子にそんなデリカシーのない事を言ってはいけないと思いとどまったジュン。

家族の男、特に父親が娘に嫌われるのはそのデリカシーのなさが故のことが多い。

親愛なる姉たちに嫌われたくないため、ジュンはデリカシーに関してはそこそこ気にかけている。

 

彼は頭の上に?を浮かているチノに笑顔で返して誤魔化し、チノの反対である部屋の中央側の布団に潜り込む。

姉弟で同じ布団に入っても性的興奮は無い。

しかし──

 

「(お風呂上がりの姉さん、良い匂い。安心する……)」

 

“匂いがする”という事実までは姉弟だろうとどうにもできない。

 

「ねえ、ジュンくんもうちょっとこっちに……て、もう寝てる!?

「わ、私たちも早く寝ましょう。夜更かしすると背が伸びませんし」

「そ、そうだね。夜更かしは美容の大敵だからね」

 

電気を消していそいそと頭まで布団をかぶり、目を瞑るココアとチノ。

喫茶店の仕事で疲れていたため、そのまますぐに眠ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んう……トイレ」

 

真夜中。

 

尿意でふと目が覚めたココアはいつものように雑に布団を撥ね除けようとするが、寸前で両隣の温もりに気がついた。

そういえば今日は3人で寝ているのだと。

 

しかし何故3人で寝ているのか。

確か、そう。

寝る前に怖い番組を見て────

 

そこまで思い出して自らを()(いだ)き、ぶるりと振るえる。

 

「(うう~、暗くて怖いよお……)」

 

いつもの彼女の部屋な筈なのに、何故か妙に不気味に見える。

例えばお気に入りのもふもふ可愛いぬいぐるみ達が今にも動き出しそうに思えてしまうのだ。

他にも毎朝使う姿見(すがたみ)やカーテンの影、果ては壁やタンスの木目調までおどろおどろしく感じてしまう。

トイレを諦めて朝まで我慢するか、それとも頑張ってトイレを済ませてくるか。

いや怖すぎて足がすくむから物理的にトイレに行けないし。

でも万が一にもチノちゃんの横でおねしょなんてしてしまったら……。

 

このように「でも、うーん、いやしかし……」と心の中で唸っていると。

 

「姉さん?」

 

聞き慣れた男の子の声がした。

隣で真っ先に寝てしまった、双子の弟のジュンだ。

 

救世主だ! と言わんばかりに喜色と安堵でいっぱいになるココア。

しかしそれも一瞬のこと。

何故なら重大な問題点に気付いてしまったからだ。

 

 

 

頼れるお姉ちゃんとして、まさか弟に「怖いからトイレ付いてきて」などと言うわけにはいかないのだ。

 

 

不安からの安堵、からの絶望。

底からすくい上げて落とす。

人間の精神に最もダメージを与えるそのコンボをくらった彼女に、しかし運命の女神は微笑んだ。

 

「トイレ行きたくなっちゃった。悪いんだけど、怖いから付いてきて貰えないかな、姉さん」

 

 

 

 

◇◇

 

 

 

暗い廊下を一組の男女が歩いている。

 

「流石姉さん、頼りになるよ」

「そ、そうかな? えへへ」

 

満更でも無い様子で返事をするが、まだ暗闇が怖い様子で周囲をやたらと気にしている。

 

「でもやっぱりまだ怖いから手を繋いでくれると嬉しいな」

「っ! お姉ちゃんにまかせなさーい!」

 

1も2もなくジュンの腕に飛びつくココア。

これでは手を繋ぐというより腕を組むとか絡ませるとかになるのだが、わざわざ指摘するのはマナー違反だと考えたジュン。

彼はその柔らかい姉の肢体に心臓を跳ねさせ、息子が反応しそうになるのを必死に制御した。

 

「そんなにギリギリなの?」

 

どうやらおしっこを我慢していると思われたらしい。

まあ状況的に仕方が無いが。

 

「もしお漏らししちゃってもお姉ちゃんが拭いてあげるからね!」

「なに言ってんの、姉さん」

 

どうやらまだ怖さで錯乱しているらしい。

ジュンは自分の発言の意味を理解して真っ赤になっているココアを扉の前に待たせてトイレを済ませる。

 

 

 

「お待たせ、姉さん」

 

「あ、えっと、私も……その……」

 

「ついでだから姉さんも行ってきた方がいいよ」

 

「!! そうだね、ついでだし!」

 

今度はジュンが扉の前で待つ番だ。

木製のドアに後頭部を預けたらかなり勢いの良い水の音が聞こえてきてしまったので、急いで頭を壁までずらした。

骨伝導恐るべし。

 

「ジュンくん!? そこにいるよね!?」

 

どうやら今の横移動の音が立ち去った音に聞こえたらしい。

 

「ちゃんといるよ。今夜は一人じゃ部屋まで戻れそうにないし」

 

廊下の電気は階段の側についており、トイレからみて部屋と反対方向だ。

普段廊下の電気は夜間に付けっぱなしとなっており、チノの父親が寝るときに消していくのだ。

そしていかに夜中までバーをやっているチノパパでもこの時間には流石に寝ている。

 

 

「小さい頃にもこんなことあったっけ」

 

「ジュンくん?」

 

「確かあのときは遊園地のお化け屋敷に行ったんだったかな。夜に一人でトイレ行けなくて泣いてた僕を姉さんが助けてくれたんだ」

 

「……あ」

 

「今思えば本当は姉さんも怖かっただろうにね。僕の手のひらをしっかりと握ってくれて……、かっこよかったなあ」

 

 

 

 

 

お花を摘み終えたココアと共にジュンは部屋までもどる。

二人は腕ではなく手のひらで繋がっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「トイレ……です」

「(今度はチノちゃんか)」

「すぴ~zzz」

 




ココア「ねえ、もしかして昨日の夜本当は私のために」
ジュン「なんのこと? コーヒー飲み過ぎちゃっただけだよ?」
ココア「……ふーん」


序盤は蒼山サグ先生が冒頭でよくやるやつ。
エッッッッッッ! なシーンに見せかけて実は普通のことしてますよって感じの。
代表作はロウきゅーぶ!の方です。
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