シスコンな双子の兄が姉になりたい妹のために弟になった話 作:名も無き二次創作家
……ココアは出ないけど。
はい、すみません。
ではどうぞ。
「びしょびしょに濡れちゃった……。シャワー浴びさせてもらお」
天気予報では晴れだったのだが、下校時刻に急に雨が降り始めたのだ。
ジュンは置き傘を持っていたのだがそれは昇降口で困っていたココアのクラスメイトに貸してしまった。
いつも一緒に下校しているココアと千夜が所用のため今日は先に帰ってしまったことを思い出した彼は、学校指定の鞄を頭上にかざして傘代わりとし、走って帰宅したのだ。
「あれ、誰かがシャワー浴びてるなあ」
お風呂から上がったときに多くの人は鏡やドライヤーが使いたい。
そのため脱衣所と洗面所を兼ねるのはコストの面でも設備の面でも効率的だ。
ただし、プライバシーは考えない物とする。
彼は、きちんと畳まれている服の上に置かれたパンツとブラを視界に入れないように手洗いうがいをした。
今更気にするのかと思われるかも知れないが、必要も無いのにジロジロ見るのがデリカシーに欠けるというだけだ。
「(物音はあまりたてない方が良いかな。僕がここにいるとなると落ち着かないだろうし、チノは気が利くから僕にシャワーを譲ってくれようとするかもしれない。兄として、チノにはゆっくり暖まって欲しいからね)」
そんな、妹を思いやる兄の気持ちは素晴らしいものだった。
だが、世の中素晴らしいことをすれば素晴らしい結果になるとは限らない。
「「あっ」」
彼の背後からガチャリと扉を開けて、チノが風呂場から出てきた。
丁度うがいをし終えたジュンは、ついその音に反応してコップ片手に振り返ってしまったのだ。
一拍遅れて事態に気付いたチノは、慌ててボディタオルで身体を隠そうとして隠しきれず、顔を真っ赤にしながら身じろぎして余計に扇情的になってしまった。
「み、見ないでください……」
テンパった彼女はもう一度風呂場に戻るという選択肢が浮かばなかったのだろう。
謝罪しながら「これはまずい、あとでご機嫌取りしないと」と考えながら正面に向き直ると大きな鏡の中にいた裸のチノと目が合った。
「(これは……、どうすればいいんだ)」
前門の虎、後門の狼。
彼が目をそらしたと思って油断したのだろう。
タオルがズレて今までかろうじて隠れていた、まだ生えていないつるつるな下や膨らみかけの胸が丸見えだった。
おまけに洗面所の出入り口はチノの位置を超えた先にあるので、彼が退出するには狭い洗面所内ですれ違う……つまり瞬間的に接近する必要がある。
チノが風呂場に引っ込まないとどうにもならない。
だがチノはそこまで思考が回っていない。
「ううっ……ぐす」
お互いに右往左往している間に、ついにチノが泣き出してしまった。
「あわわ、まってまってごめん御免なさい謝るから泣かないでお願い」
先程までの裸がどうとか気まずい空気とかが頭から吹き飛んだジュンは、咄嗟に膝を床に付けて目線を合わせ、チノを優しく抱きしめ頭を撫でた。
「僕たちは兄妹なんだ。僕はチノの兄だから、だから泣かないで? ね?」
「きょうだい……ぐすっ……」
「そう、兄妹」
「……兄妹なら、しかたがないですね」
なにも仕方なくないが、自分に言い聞かせて落ち着こうとするチノ。
「きょうだいなら一緒にお風呂にも入るのが普通だしね」
「それはないです」
「あれ?」
泣き止んで笑顔をになった彼女を見てほっと一息つくジュン。
このまま目の前にある出入り口を抜けて華麗に立ち去ろうと画策したその時。
「誰もいないのか? 悪いけど洗面所借りるぞ?」
がらり
「「「…………」」」
ラビットハウスのアルバイト、リゼの前には裸の女子中学生(小学生にしか見えない)に抱きつく男子高校生の姿があった。
「ロリコンは断罪するっ!!!!!!」
「まってくださいリゼさん、これには事情が!」
チノの制止も耳に入らないほど怒りを露わにしたリゼに、ジュンが組み伏せられた。
「そんなヤツだとは思わなかったぞ、この性犯罪者!」
「ちが、僕は姉さん一筋だあああ!!!」
「それはそれで問題だあああ!!!」
はい、終わりです。
本当に短い。
いつも2本立てなんですが今日誕生日に気付いて急いで書いたのでボリューム不足です。
ココアちゃん好き失格ですね、御免なさい。
しかも話に出てこないという……。
あとこてこてなネタですまない。
でもチノちゃんとこういうハプニングも悪くない。
原作じゃこんなネタできないだろうし。