○○を教えるスネイプ先生 作:ギャグなんてこりごりだ
「ああ、左様。ハリー・ポッター。我らがお馴染みの――こすられすぎた男の子だ」
薄暗がりのようにじっとりとした声がハリーの名を呼んだ。まるで愛した女と大嫌いな男の間に生まれた唯一の子どもで、その親が二人とも自分のせいで死んでおり、その事実を子どものほうは知らないのに一人で勝手に複雑な感情を抱いているかのようだった。
「このクラスでは、ネタ切れの正直な現状と、不安な今後を学ぶ。ここでは無理のような馬鹿げたことはやらん。これでも小説かと思う諸君が多いかもしれん。ふつふつと沸くしんどさ、ゆらゆらと立ち昇るエタの気配、ギャグの繊細な力、心を惑わせ、感覚を狂わせる魔力……」
褒めているのか貶しているのかわからない。ハリーとロンはハーマイオニーにちらりと目をやった。ハーマイオニーはロックハートの作品を真に受けるほど本を信じているのだ。
「諸君がこの見事さを真に理解するとは期待しておらん。我輩が教えるのは、次話以降のネタを再録にし、既出テーマを深掘りし、シェーマス・フィネガンいじりにさえ再検討をする方法である。――ただし、ネタ切れで休止したことも忘れて連載を再開させたウスノロよりも諸君らがまだましであればの話だが」
大演説のあとはクラス中が一層静まり返った。この講義も60回に差し掛かったところだ。自分がわからない内容を教えることはできない。誰だって持てる時間には限りがあり、その中で知りうる物事にも限りがあるのだ。
「ポッター! 連載スケジュールに変更を加えると何になるか?」
1日2回の開講状況に妥協を加えると何になるって?
ハリーはロンにちらりと目をやったが、ハリーと同じように「今までが異常だったんだ」という顔をしていた。ハーマイオニーは現状を理解しているので空中に高々と手を挙げた。
「わかりません」
スネイプは口元でせせら笑った。唇をめくりあげたりはしなかった。
「名リアクションなだけではどうにもならんらしい。ポッター、もう一つ訊こう。新しい題材を探してこいと言われたら、どこを探すかね?」
ハーマイオニーが思いっきり高く、椅子に座ったままで挙げられる限界まで高く手を伸ばした。ハリーには新しい題材が一体何なのか見当もつかない。本当に見当もつかない。
マルフォイ、クラッブ、ゴイルが身をよじって笑っているのを、ハリーはなるべく見ないようにした。後に落ち着きのある仲間として成長するマルフォイにとっては黒歴史になる振る舞いだし、クラッブは死ぬ。
「わかりません」
「クラスに来る前に新ジャンルを開拓しようとは思わなかったわけだな、ポッター?」
ハリーは頑張って、冷たい目をまっすぐに見つめ続けた。それができたら苦労はしない。スネイプは人間の興味と体力が無限大だとでも思っているのだろうか。
スネイプはハーマイオニーの手がぷるぷる震えているのをまだ無視していた。
「ポッター、これまでとこれからの違いは何だね?」
この質問でとうとういじられすぎのハーマイオニーは椅子から立ち上がり、地下牢の天井に届かんばかりに手を伸ばした。
「わかりません。ハーマイオニーがわかっていると思いますから、彼女に質問してみたらどうでしょう?」
生徒が数人笑い声をあげた。ハリーとシェーマスの目が合い、シェーマスがウィンクした。よく59個もこの男をいじるネタが見つかったものだ。
しかし、スネイプは不快そうだった。
「座りなさい。……教えてやろう、ポッター。連載スケジュールをこれまでどおり1日2話にすることを試みたが、スケジュール上困難だった。ただ、もう少し挑戦してみたい気持ちもある。当面は1日1話を基本とする予定でいる。知識経験から新しい題材を捻出することが難しくなってきたため、しばらくは諸君のアイデアを借りることに決定した。これまでとこれからは同じく我輩の授業だが、これからは試行錯誤の面が増えるだろう。どうだ? 諸君、なぜ今のを全部ノートに書きとらんのだ?」
一斉に羽根ペンと羊皮紙を取り出す音がした。その音に被せるように、スネイプが言った。
「ポッター、君の無礼な態度で、グリフィンドールは1点減点」
たまらずロンが叫んだ。
「でも先生! クビにならなくてよかったですね!」
「だまらっしゃい!」
というわけで、ネタ切れです。
今後は「もっと○○を教えるスネイプ先生」の形式で題材を深掘りしつつ、皆様からいただいた題材を検討したうえで扱わせていただこうと思います。
感想欄でのリクエストは削除対象になってしまうため、以下のフォームからアイデアをお借りできればと思います。
https://forms.gle/QTLEYi2R8GNrsS9m8