自作小説「コピー使いの異世界探検記」の第3章「食の国、大和の魔王」のその後を描いた作品となっております。
本来はエブリスタのスター特典だったのですが、クリスマスプレゼント的な奴として、こちらに公開しようと思いました。


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コピー記スピンオフ 大和の魔王 その後

「ふぅ、偶にはワシもこうして部下の手伝いをするのも面白いな」

 

 部下や国民が止めようとする中、ノブナガは無視して壊れた民家を直すための木材を運び、額から出た汗を拭う。

 そして、黒銀の方を見て、彼が木材の重みで苦しんでいる様子を笑った。

 

「カッカッカ!どうした、全然進んでおらんぞ?」

「何のこれしき、馬鹿にすんなっての……」

 

 するとノブナガは、黒銀が持っている木材の半分を取り、先に壊れた蕎麦屋の方へと持っていった。

 それに負けじと、黒銀も軽くなった木材を持ち、蕎麦屋に持っていく。

 

「ぬぅ、なかなかやるではないか」

「私も負けらんないのでな」

「フン、言うようになったな」

 

 そう言うとノブナガは、黒銀と張り合うように、我先にと木材置き場へ走っていく。

 そして、黒銀も後を追う。だが、そのすぐの所で派手にコケてしまった。

 

「大丈夫か?」

 

  真っ先に心配したノブナガは、黒銀に手を差し伸べる。

  だが黒銀は「いらん」と静かに呟き、そのまま立ち上がった。

 

「素直じゃないな」

 

 ノブナガはフフと笑いながら立ち上がる。

 

 

 

【それから数時間後】

「今日はこれくらいとしよう。みんな解散!」

 

 ノブナガは国民達にそう伝え、まだ半壊したままの城へと戻る。

 今回の修復成果は民家60軒の復興。うち10軒は飯屋を中心に直した。

 

「今日も疲れたな、黒銀。見てみろ、ワシの手なんか煤だらけだ」

「……だから何だ、馬鹿馬鹿しい」

 

 黒銀はノブナガと共に城へと戻り、楽しそうに話すノブナガを罵倒する。

 だがノブナガは、そんな素直に認めない黒銀を笑った。

 

「何がおかしい」

「いや、お主みたいなのと昔共に戦った事を思い出して、ついな」

 

 ノブナガは城の後ろから顔を隠していく夕焼けを見つめながら、生前、天下布武を目指した時代の事を思い出す。

 

「まぁワシだって、当時は多くの者を裏切ったし裏切られた。だからもう裏切りなんてものは慣れた。嫌な話だがね」

「あぁそうかい」

「けどこれだけは言わせてくれ。ワシは黒銀、お前には凄みがあると睨んでいる。それだけは、裏切らないでくれよ?」

 

 黒銀の方を向き、ノブナガはぎこちないウィンクをする。

 その言葉を聞いた黒銀は、頬を赤らめながら「お前が勝手に期待してるだけだろうが」と愚痴った。

 

 

【城内 調理場】

「ここも一段と荒らされたもんだが、幸いれいぞーこ とやらは生きてて良かった」

 

 ノブナガは黒銀にも使用人にも見つからずに、こっそりと調理場へ足を運んだ。

 それも全ては頑張ったご褒美、みたらし団子を取りに行くため。

 ノブナガはウキウキしながら、冷蔵庫のドアを開ける。

 

「さーてみたらしみたらし……ん?」

 

 木の板に乗せられた団子を取ろうとした時、冷蔵庫の真ん中に何か大きな箱が置かれている事に気付く。

 ノブナガが「何これ」と言いながら、その箱を取ると、その下から手紙のようなものが落ちてきた。

 

「手紙?なになに……」

 

 親愛なるノブナガ様へ。

 この手紙を読んでいる時、きっとそれはノブナガ様が、こっそりとみたらし団子を取りに来たときでしょう。貴方はバレてないと思ってるみたいですが、いつも露骨に減ってるからバレてますよ。

 それはさておき、俺は暫く大和には帰れないかもしれません。

 何故ならそれは、タクマの言う魔王討伐、その使命とやらを手助けする為です。なので暫くの間、ノブナガ様に褒めていただいた寿司も作る事はできません。

 なので、その代わりとしては難ですが、初めての洋菓子かすていら を送ります。初めてなのであまり美味しくはないかもしれませんが、よかったら皆と食べてください。

 この度は、タクマの旅の背中を押してくれてありがとうございました。

 追伸、黒銀さんとは仲良くネ(ピースマーク) 剣崎龍弥

 

 手紙にはそう書かれていた。

 ノブナガはその手紙を近くの机に置き、箱の蓋を開ける。

 するとそこから、甘く懐かしい匂いが漂ってきた。カステラだ。カステラが顔を現したのだ。

 ノブナガは小さく分割されたカステラをゆっくりと箱から取り出し、それを口に入れた。

 スポンジのような粒が潰れるいい音が鳴る。その度に、リュウヤが頑張って作り上げた甘い味が広がる。

 

「お主のかすていらは美味いぞ。自信を持て」

 

 ノブナガは懐かしの味に涙を流し、リュウヤの手紙を濡らしながら言う。


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