幽波紋の奇妙な幻想 《Drifted Destiny》 作:右利き
前部までのあらすじ
幻想入りしたスタンド、ハイエロファントグリーンは魔法使いの霧雨魔理沙に拾われ、彼女の助手として共に暮らすようになる。しかし、幻想郷に入ったばかりの彼の身には険しい戦いや謎が次々と降りかかっていくのだった。
ハイエロファントは別のタイミングで幻想入りしたかつての仲間のマジシャンズレッド、そして仲間の
11.東方永夜抄①
「結局、花の異変の原因は分からずじまいだったな〜」
閻魔大王こと四季映姫と出会って1週間後、"花の異変"は収束し始め、季節違いの花々を目にすることは無くなってきていた。そして現在、魔理沙とハイエロファントの2人は魔法店で
「う〜〜ん。美味い! つゆとの相性もいいな! 冷たいし」
「……そんなに美味しいかい? それは良かった。先日、咲夜さんに
「咲夜に? へぇ〜。やっぱり何でもできるんだなぁ〜〜」
改めて咲夜の家事
「なあ、ハイエロファント。お前さ、食事はしなくてもいいのか? お前が何か食べ物食ってるところを見たことないぞ。」
「ああ。
「ふぅ〜ん。ちょっと魔法使いみたいだな」
「魔法使い? ……君も本当は腹なんて減ってないのか?」
「いんや、減るぞ。私は
「そうなのか……」
(何か違いがあるのか…………?)
魔理沙との会話は楽しい。彼女の言うこと、言い方は本当に飽きないのだ。話のネタが尽きないこともあるが、彼女の明るい性格が無意識に側にいる者へと作用し、場を沸かせるのだろう。
ハイエロファントと会話を交わしながら、机上の蕎麦を次々と消費していく魔理沙。ついにザルの中には氷だけが残り、蕎麦は完食された。魔理沙は満足そうに水も飲み干すと、
「……どうだ? ハイエロファント。お前が幻想郷にやって来て3週間目! そろそろ慣れてきたか?」
「ああ。だいぶ慣れてきたよ…………気遣ってくれているのかい?」
「まあ、それもあるけど、そろそろお前に教えなくちゃあな〜と思ってさ」
「教える? 何を?」
魔理沙から渡された食器を流し台で
「そりゃあ、もちろん「弾幕」さ!」
「足を下ろしなさい」
厳しく言われるが、彼女の表情はハイエロファントの注意をスルーしたまま、自然と右足は床へと戻った。
「いいか? ハイエロファント。この幻想郷では「スペルカードルール」ってんのがあるのさ」
「……君がタワーオブグレーとの戦いで使っていた
「ああ。あれもそうさ。基本的にはじゃんけんみたいな感じで、ちょっとしたいざこざなんかを解決したりするための……システムっつーか、遊びっつーか……そういうもんよ」
「なるほど。それで、僕にも教えることでより一層幻想郷の住人らしく、と?」
「そうだ。覚えておいて損はねーからな」
食器を洗い終わり、乾燥棚に並べ並べながら少し間を開ける。ハイエロファントはほんの少しだけ心配していることがあるのだ。それは、
「……当たって死ぬことってあるのか……?」
「ああ。たまにな」
またもショック。魔理沙は思ったことや事実ははっきり口に出す癖があり、優しめにじわじわと事を述べるタイプではない。こうもいきなり言われてしまうと、さすがに
「……やめとくよ。スタンドは
「いや……そこまであるわけじゃあないぜ? その……当たりどころが悪かったりとかな……?」
「じゃんけんみたい、と言ったが、そう例えたということは結構な頻度で行うんだろう?つまらない理由で死ぬのはさすがに嫌だ」
「むう……まあ、分かるけどさ……」
「滅多にないとは思うが、僕はスタンドバトルだけでいい。それ以外は譲歩して、弾幕戦に発展しないようにでもしよう。」
「……分かったよ。お前がいいってんなら、それでいいのかもな。無理強いはしないし、幻想郷にいる全員がやってるってわけでもねーし。任せるよ」
「ああ。そうしてくれるとありがたいな」
「やれやれ」といった感じで魔理沙が微笑むと、形に表れてはいないがハイエロファントの表情も少し緩んだ気がした。
時刻は午後7時50分。日にちも夏がじきに終わる頃。鳴く虫たちの透き通るような音が森中に響いて
「ふ〜。さっぱりした。やっぱり暑い日には暑いシャワーで体を清める、ってな!」
首にタオルを巻いた状態でシャワー室からパジャマ姿の魔理沙が出てきた。まだ湯の熱が冷めておらず、薄く蒸気を
「良かったな…………明日は何をするんだ?」
「ん〜。特にやることも思いつかねえしな〜。アリスの家に遊びに行ってみるか」
「アリス……君が以前話していた「魔法使い」のことか?」
「ああ」と首を縦に振り、2階へ続く階段に足をかけるとハイエロファントの方をもう一度振り返った。魔理沙の顔はどことなく嬉しそうである。友人に友人を紹介できるからであろうか。誰だって人とのつながりを深くできるのは喜ばしく思うものだ、とハイエロファントも彼女の気持ちを何となく理解していた。
「んじゃ、ハイエロファント。明日も早いからな、寝坊すんなよ!」
「僕のセリフだ。いつも僕の方が早く起きるんだからな…………おやすみ」
「おう! おやすみ〜」
魔理沙はハイエロファントに暇を告げると、自室に入っていった。ハイエロファントもまた、残った作業を終わらせようとするのだった。
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「ん〜〜……むが?」
ベッドで眠っていた魔理沙が目を覚ます。起きた直後でまだ
「あ! そうだった……今日はアリスの家に行くんだった! ハイエロファントは「遅い」って怒ってるかな……!?」
急いで着替えて一階に降りると、ハイエロファントの姿は無かった。「どこに行ったんだ?」と周りを見回すが、自分以外の
「? まだ夜だったのか……? いや……それにしても、ドアを開けっぱなしにするのは感心しねーな。ハイエロファントに注意しないと」
そう言ってドアに近付いて閉めようとする。ふと、魔法店の外を見ると、薄く透き通るカーテンのような月光を浴びて誰かが立っていた。目を凝らしてよく見ると、あれはハイエロファントだ。右手に懐中時計を持って月を眺めている。「何やってんだ?」と思い、魔理沙も冷え始めた夜に足を踏み入れ、ハイエロファントの元に歩いていった。
「よお。ハイエロファント。何やってるんだ?」
「ま、魔理沙か……」
「? 何だよ、そんな怯えちまってよ。ゴキブリでも見たのか?」
魔理沙が冗談混じりに聞くと、ハイエロファントは懐中時計を彼女の方へ傾けて時刻を示した。未だ月が天高く昇り、大きく見える状態のままだというのに、時計の両針は7時25分を指していた。
「おかしいと思わないか? 朝のだろうと、夜のだろうとこんな時刻に月がこの位置に、
「時計が壊れただけじゃあないのか? ちょうどその時間になった時に針が止まっちまったんだよ」
「最後に見たときは8時を過ぎていた。ということは、少なくとも
ハイエロファントは遥か遠くに見える巨大な満月を指で指す。魔理沙は彼の指先を目で追ったが、特に気になるものは無かった。
「な、何だよ」
「あの月……少し
「変って……何が変なんだよ」
「やけに大きいし、光もいつもと少し……何か違う。これは……異変だと思わないか?」
「何ィ〜ッ? 異変だとぉ?」
ハイエロファントから出た「異変」の言葉。彼は心の底から今夜が異常だと思っているそうだが、魔理沙にはあまり差を感じられない。
「まあ、ちょっとしたことに疑問を覚えることは悪くないことだとは思うけどよ〜っ。異変ってのはちょっと違うんじゃあ……」
「あら、意外。あなたのことだから、異変と聞いたら解決に乗り気になるとばかり思ってたのに」
「! 誰だ?」
ハイエロファントと魔理沙が声が聴こえた方を振り返る。すると、木陰から1人の女性が、徐々に月光を浴びて歩いてきた。魔理沙と同じく金髪だが、魔理沙のものよりも色が薄く、レモンのようにさっぱりとし、かつ上品な雰囲気を
「お、お前……何でこんな所に……?」
魔理沙の質問に答えることなく、ハイエロファントに視線を移した女性。もの珍しいそうにジロジロと眺めると、ハイエロファントに目を合わせて口を開いた。
「あなたは
「そういう君はアリス・マーガトロイド」
アリスと呼ばれた女性は少し驚いたようで、一瞬眉が上がる。が、すぐに笑みを戻すと、ハイエロファントに手を差し出して握手を交わした。
「私のこと、知ってるのね。魔理沙から聞いてた?」
「ああ。友人だと聞いてるよ」
「そう。嬉しいわ」
アリスは「フフフ」と笑いながら彼女の方を見ると、魔理沙は少し照れ気味に頭を
「……で、何でアリスがここに来たんだ? 自分から来なくたって、私たちは明日お前の家に行くつもりだったぞ」
「あなたの予定なんて知らないわ。鈍感なあなたのことだから、異変に気付いていないかと思って教えに来たのよ。そしたら、優秀な助手さんが既に怪しんでいたってとこ」
"優秀な助手"と聞いて、ハイエロファントは魔理沙に小声で「僕のことも話していたんだね」と呟くと、「うるせえ」とまたも照れ気味に返した。魔理沙は片手の人差し指をクイッと自身の方へ曲げると、魔法店から彼女の必需品である箒と帽子が飛んできた。出掛ける準備だ。
「2人が言うんじゃあ、そういうことなんだろーな。認めざるを得ない」
そう言うと、魔理沙は三角帽子を被って箒に跨がった。そして浮かび上がろうとした時、アリスは手で押さえて浮上を阻止する。「え?」と困惑した表情で魔理沙はアリスを振り返った。
「私も行くわ。だから、乗っけてちょうだい」
「ハア? お前も来るのか?」
「良いじゃあないの。春以来の大型イベントなんだから、私も参戦するわ」
「それじゃあ、僕も行こうかな。もしかしたら、他のスタンドだっているかもしれない。そうなった時は僕の力が必要だろう?」
「まあ、そうだけどよ……」
「ほら、固いこと言わないの。もうちょっと下げて」
こうして、3人はスーパームーンも顔負けの巨大な満月へ向かって飛び立って行った。
しかし、彼らは大きな困難がこの先で待ち受けている、だなんてことは全く想像していないのであった………
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場所は変わって、博麗神社には、境内で満月を眺める霊夢の姿があった。いつもの服に着替えているが、特に何をしようというわけでもなく、ボーッと立っているだけだ。
(あの月……いつもと何か違う……?)
ガサ ガサ ガサ ……
「! 誰ッ!」
神社の敷地の端に生えている草むらが、何かによって揺らされる。無風であるため、風で揺れたわけではないことは確かである。して、霊夢の声に反応して出現したのは、白い髪に黒いリボンを付け、腰に2本の刀を差した女の子だった。霊夢は彼女に見覚えがあった。
「あなたは……えーと……妖夢……だっけ?」
「そう。名前は
魂魄妖夢。人間と幽霊のハーフである、半人半霊という種族の少女。しかし、彼女がなぜ霊夢の元を訪れたのかは、霊夢は見当もつかない。不思議そうにする霊夢を、妖夢は彼女の頭に浮かぶ
「何であなたがここに来てるのよ。何か用?」
「……私が、というより、
「彼女?」
妖夢が見つめる先に、霊夢も視線を移す。するとそこには、長い金髪をなびかせ、夜でありながら傘をさす女性が腰を下ろして
「
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幻想郷の空を飛ぶ3つの影。内2つは箒に乗り、残りの1つはその体から伸びる紐状のものを箒に巻き付け、共に飛行している。霧雨魔理沙、アリス・マーガトロイド、ハイエロファントグリーンだ。
「なー、ハイエロファント。お前、この異変を起こせるスタンドに覚えはないのか?」
「ないな。夜と月をおかしくするだなんて……だが、太陽のスタンドがいたのだから、月のスタンドだっていても驚くことはなさそうだ」
「へー。太陽のスタンドだなんているのね。どんなスタンドだったの?」
質問した魔理沙ではなく、アリスがハイエロファントの言葉に食いついた。実はアリス、「文々。新聞」でスタンドの情報を得てからというもの、レミリアと同じようにスタンドにかなり興味を持ちだしているのだ。
「太陽のスタンド。強力なやつだったよ。夜の砂漠で遭遇したんだが、普通は陽が沈んだ砂漠というのはかなり冷えるんだ。しかし、あの太陽のスタンドときたら、真昼のように明るい光で辺りを照らすばかりかと思いきや、気温を70°C超えるぐらいまで上げてきたんだ。それに、火の玉まで飛ばしてくる。僕も負傷したよ。だが、強力なスタンドの割に、本体は呆気なかったな」
「それは強そうね。死ななくて良かったじゃない」
「ああ。あの時は本当にマズいと思ったよ」
他愛もない会話をしていると、彼ら3人は人里が
「おい……何か人里……いつもより暗くないか……?」
「本当ね……何かあったのかしら?」
「……いや、そもそも人里が無いぞッ! どうなっているんだ!?」
目を凝らして異変に気付いたハイエロファント。人も明かりも無ければ、家屋すら無い。消えた、というよりも、
「こ、これも異変の影響だっていうのか!?」
「! 少し落ち着いて、魔理沙」
「落ち着いてなんかいられねえぞっ」
「あれよ。あそこ、たしか竹林だったじゃない? でも変よね。少しだけ、
「何だって? どこだっ?」
「ほら、あそこよ。この指の先の延長線上!」
アリスが身を乗り出して前方下部を指で指す。そこには彼女の言っている通りに、ほのかに灯りがついている。今まで竹林にそれ程関わってきたことのない3人は同時に、頭の中にある考えが浮かんだ。
『あそこが、異変と何か関係のある場所に違いない!』
太陽のスタンドの名は、「
割と好きです。
ついに始まった第2部!
終わらぬ夜と月の異変にハイエロファントたちはどう立ち向かっていくのか?
突然現れた八雲紫。その目的とは?
お楽しみに!
to be continued⇒
あくまで参考までに、ということで。
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東方をよく知っている
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ジョジョをよく知っている
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東方もジョジョもよく知っている
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どちらもよく知らない