幽波紋の奇妙な幻想 《Drifted Destiny》 作:右利き
「さっきまで通路を歩いていたと思ったら……今度は空か? 箒に乗っといて良かったぜ……」
ハイエロファントたちがエニグマを撃破した頃、妖夢ともはぐれてしまった魔理沙はハーヴェストの波に押し流され、気付いた時には外に出ていた。箒に乗った状態で月光に照らされて滞空している。
ただ風が吹いているだけのこの夜空、魔理沙は自分1人だけがこの場にいると思っていた。思って
「……お前が私の相手と、いうことか?」
魔理沙が問いかけた相手は、中々に高身長の女性。咲夜よりもはるかに長い銀髪を空中へ流し、赤と青だけのツートンカラーをした服を着ている。彼女は
「……あなたね? 私の張った"結界"を破ろうとするのは……」
「結界だぁ? そんなもん、知らないね。私はただ、"月の異変"を解決しに来ただけだ!」
「そう。それじゃあ、あなたは私の敵ということね。」
「お前が異変の真犯人か? そうならば、覚悟しなっ! この霧雨魔理沙さまがとことん相手してやるぜッ!」
「…………」
魔理沙が拳を持ち上げて言い放つ。それに対して、相手の女性。右腕を伸ばし、掌底を魔理沙へと向けると彼女の周りから、赤色や青色をしたおびただしい数の光弾を出現させた。
ゴ ォ ア ア ァ ァ
女性の周りに現れた光弾の群れは、高速で魔理沙へ一斉に襲いかかった!
結構のんきしてた魔理沙だったが、彼女は今までいくつもの弾幕勝負を制してきたベテラン。この程度ではやられない。素早く服中のポケットというポケットからアイテムや円筒を引っ張り出し、同じく弾幕で応戦する。相手の弾幕を縫うようにして避ける。
「危ねーなっ! 私が歴戦の
魔理沙は箒に乗りながら元の位置から飛び退く。鮮やかな弾幕の嵐は魔理沙を何とかして捉えようと、その軌道の跡を
(しっかし、かなり弾幕の密度が高いな……当たることはないと思うが、やつに攻撃するのはかなり難しいぜ……)
魔理沙は敵である女性の周りを、弾幕を避けながら周回する。しかし、その際にも防御を止めることはできなかった。弾幕の1つ1つの威力が高いわけではなかったため、拡散する弾を撃ち返せばすぐに消えはしたのだが。
「油断も隙もありゃしねーな」
「だったら、どうするの?」
余裕に満ちた微笑みを浮かべ、魔理沙へ問い返す。
「ぶちかますぜッ! 恋符.ノンディレクショナルレーザー!!」
魔理沙は1枚、カードを女性へ見せつけて叫んだ。その時、彼女の周りに数個の魔法陣が出現。そこから、何本ものレーザー、無数の大小様々な星型の弾幕を撃ち出された!
「!」
突然の大技に一瞬驚きの表情を見せるが、ここまで魔理沙の攻撃を一切許さなかった女性。こんなことでは終わらない。
縦横無尽に
(ちぇっ……
「こんの……」
魔理沙は少し悔しがるが、弾幕が止んだチャンスを見逃すことはなかった。自身の周りに放り投げて配置した円筒や水晶から、無数の弾幕を集中させて放つ。その光景はまるで、天を流れる天の川のようであった。
「……こっちも使おうかしら。天丸.
女性も魔理沙と同じように、カードを引き出す。右手の人差し指と中指で挟んだ状態で魔理沙へ見せつけると、彼女の周りから大きな弾幕が20個近く撃ち出され、魔理沙の弾幕を吹き飛ばす。しかし、それだけでは終わらず、回避を試みる魔理沙目掛けて……ではなく、彼女の周りに配置され取り囲む。
「な、なんだぁ?」
「今から分かるわ」
魔理沙を囲んだ弾幕は、彼女を逃がさないようにするためだけのものではなかった。魔理沙がそれに気付くのはかなり早かった。炸裂したのだ。配置され、間髪入れずに弾幕は炸裂。外側は速く多い弾幕が。魔理沙のいる内側は遅く少ない弾幕が飛び交う。狭い空間に行動を制限されてしまい、弾速が大したことのないものでも、魔理沙は回避に手こずって攻撃どころでなくなってしまった。
「う、うぉおああぁあぁぁ!」
「1人だけだと、やっぱりキツかったと薄々思ってたわ。どう? 降参する?」
「こ、降参なんぞするかァ! 絶対勝ってやる!」
「……そう」
「まあ、無理でしょう」と女性は返事をすると、空中で腕を組んですっかり休息モードへと入ってしまった。
この狭い空間。飛び交う弾幕を撃ち落とすのは至難の
(なんとか弾幕の隙を見て抜け出さなければ…………! そ、そうだ! そこへ動け!)
「そこだーーッ!! 進むべき道がッ! 今ここに見えたぜッ!」
魔理沙は飛び交う弾幕の一瞬の隙をついに見つけた。いくら大きな満月が光を放っているとはいえ、今は夜。暗黒に染められた空だ。だが、今ここに目撃した弾幕の隙間は、魔理沙からは輝く一本の道筋に見えた。
魔理沙はこのチャンスを逃すまいと、大きく反動をつけて箒を急発進させる。
「そう簡単に抜けられるかしら?」
彼女の言う通り、弾幕は簡単に魔理沙を逃してはくれなかった。せっかく開いた隙間が別の弾によって再び閉じられそうになる。この事態に魔理沙、おもわず箒のスピードを落としてしまった。
「くっ、し、しかし行くしかねぇーーッ!」
「無駄無駄……」
魔理沙は身を屈めて小さくなりつつある隙間を通ろうとするが、一度落としたスピードは元に戻らなかった。女性は魔理沙の努力を無駄だと言い放ち、自身の勝利を確信した。そして、ついに隙間が閉じ…………
ド ォ オ ス ゥ ッ
「うげェッ!!」
「! あれは……?」
魔理沙の脱出は防がれたと思ったその時、なんと魔理沙の右脇腹に1本の棒が突き刺さったのだ!
中々の速度を出していた棒。魔理沙はその勢いに押され、箒を掴んだまま弾幕の隙間へ放り出されて通過した。銀髪の女性も突然の事態に眉が上がる。
弾幕群の外へ放り出され、むせこむ魔理沙だったが自分に突き刺さったこの棒に見覚えがあった。これは親友の"お
「危ないところだったわね。魔理沙」
「れっ、霊夢!」
現れたのは霊夢。左手に札を3枚持ち、既に臨戦状態だ。先程飛んできたお祓い棒は、魔理沙よりも下方にいた霊夢が救出のために投げたものらしい。空中といえど、人体を動かすぐらいの勢いが出ていたのだ。かなりの力が込められていたし、魔理沙の腹部へのダメージもそこそこ高かった。
「れ、霊夢……脇ではあるけど腹はやめようぜ……私だって
「
「いや、そーだけど……そういう問題じゃあねぇ!」
「……敵がいるのに、のんきなのね。私ってそんなに弱く見えるの?」
霊夢と魔理沙の掛け合いに痺れを切らし、2人を見ていた女性が口を開いた。霊夢の参戦によって、先程まで見られた余裕が消え失せる。真剣な眼差しだ。
「……魔理沙の攻撃を許さない弾幕。中々って感じ? 認めてあげるわ」
「…………」
ナメている。もっとも、霊夢は煽るだなんて、そんなつもりは一切ない。本当にこう思っているのだ。しかも、この文でありながら言葉を選んでいるつもりでもある。彼女の無礼に女性は不機嫌となりつつある。
「その自信、なんとかへし折ってあげたいわ。名前は?」
「博麗霊夢。それで、こっちの魔法使いが……」
「霧雨魔理沙、でしょう?」
「悪いな、霊夢。もう名乗ってたんだ」
「…………じゃあ、あんたも名乗りなさいよ。無礼にも、人から名乗らせたんだから」
「……フフ。あなたに無礼と言われるのは
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「…………派手にやってるわね。あの2人」
激しい弾幕戦を繰り広げ始めた霊夢たちを永遠亭の庭から眺める影。アリスだ。鈴仙・優曇華院・イナバとの戦いに勝利し、外へ出てきたのだ。今度は能力に
アリスは人形を操る。それが能力というわけではないのだが、魔理沙やパチュリーと同じく魔法使いであるアリスは魔法によって人形を操作し、弾幕戦を行うのだ。
ザッ ザッ ザッ
「!」
「アリス。良かった。無事だったのか」
突如庭の竹林方面から草をかき分けて歩いてくる音が響く。
アリスが振り返ってみると、そこにはハイエロファント、マジシャンズレッド、そしてなぜか髪が乱れて落ち葉を体中に付けた妖夢がいた。
「あら、ハイエロファントと妖夢……と、どなた?」
アリスが手で示したのはマジシャンズレッド。確かに、彼女はまだマジシャンズレッドとは会ったことがなかった。そのことに気付いたハイエロファントはアリスに彼を紹介する。
「彼はマジシャンズレッド。僕のかつての仲間で、彼もスタンドだ。炎を操ることができる」
「そうなの。私はアリス・マーガトロイド。よろしくね」
「ああ。よろしく頼む」
アリスとマジシャンズレッドは歩み寄って握手を交わす。手を離すと、アリスは妖夢の姿格好をまじまじと見つめて尋ねた。
「……結構大変な戦いだったのね。相手はスタンド?」
「うん。ハーヴェストとエニグマとか言ってたわ。咲夜さんもいたけど、スカートが破れたから修復しに戻ってるよ」
「そう。やっぱりどこか変わってるのよね〜。
アリスは「うんうん」と
「時に、アリス。私も紅魔館に身を置いており、そこの住人数人と共にこの地へ来たのだ。そこで質問なのだが、レミリア・スカーレットと「クリーム」というスタンドを見ていないか?」
「……いいえ。見てないわ。
「そうか……」
「マジシャンズレッド。レミリア嬢の性格を考えてみるんだ。彼女ならきっと、雑兵ではなく大物を狙っていくと思わないか?」
ハイエロファントの考えに「それもそうだな」とマジシャンズレッドが頷く。レミリアなら、おそらく誰よりも早く異変の元凶と相対しようとするだろう。と、なるとやはり
「では、ハイエロファント。これからどうするんだ?」
「今、魔理沙たちが戦っている敵、そしてハーヴェストたちが口にしていた「かぐや」という名前の者。この2人、同一人物なら1人だが、これらが今判明している敵だ。
ハイエロファントの提案に他3人が頷き、賛成した。妖夢とアリス、マジシャンズレッドがどこを誰が探すか、相談し始める。
ハイエロファントはこの光景を見て懐かしさを感じる。スターダストクルセイダースとしてエジプトを目指す旅。色々なことがあったが、仲間と力を合わせて試練を乗り越えていったあの緊迫感、仲間の存在という心強さ。
ゾ ク ゥ ッ !
「っ…………!?」
ハイエロファントは風を切って振り向いた。音がするほどのスピードをつけて振り向いた。ブオン!という音を耳にした3人は「何事か」とハイエロファントへ振り向く。
「どうしました? ハイエロファントさん」
「いや……何でも……マジシャンズレッド。何か感じなかったか?」
「感じたか、だと? 何も感じなかったが……」
「疲れてるのよ。ハイエロファント。ちょっと顔も赤いみたいだし、休んでいたら?」
「アリス。あれはお酒を注入されたんだよ」
「なぁんだ」とアリスは笑い、3人は役割分担の相談を再開した。マジシャンズレッドも妖夢も、ハイエロファントの覚えた
先程自分が感じた"悪寒"は何だったのか? アリス、同じくスタンドのマジシャンズレッドさえ感じなかったあの"オーラ"は? ハイエロファントがこの時思い出していたのは旅の思い出だけではなかった。もう1つ、思い出していた。それは、DIOと相対し、その声を聞いたとき……そこで感じた
この時、竹林の中。ハイエロファントたちを
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ハイエロファントがDIOの恐ろしさを思い出していた頃、霊夢たちは弾幕戦を繰り広げていた。永琳は相変わらず大量の弾幕をばら撒き、魔理沙と霊夢は防御に徹していた。細かい弾の群れの中に混ざっている、大きな弾。魔理沙は目にする度に「うげえ」と口にしていた。
「全然攻めてこないのね。本当に退屈だわ」
「チクショーッ! 調子のりやがって〜〜!」
「魔理沙。そうやってすぐに煽りに反応したらキリないわよ!」
「分かってるぜ……」
「フフフ。何でもすぐに受け取るのは悪い癖。いろんな視点でものを見ないと痛い目を見るのよ。こうやってね。蘇活.生命遊戯-ライフゲーム!」
新たなスペルカードだ。「壺中の天地」と同じようにしてカードを示すと、魔理沙の身の周りに無数の弾幕が配置された。今度は逃げ道など無く、完全な密閉空間だ。
「ま、また
「魔理沙!」
先程と同じように、霊夢が魔理沙のサポートをしようとするが以前のスペルよりも密度が高いため助太刀を挟めない。
魔理沙を取り囲んだ弾幕は動くことはなかった。しかし、それで終わらないのが
「や、ヤバいッ! 周りにある青い弾幕が動かないのは良かったが、その隙間から見えるあの緑の弾! だんだん近付いてきているッ!!」
「さあ、どうするのかしら? 魔法使い」
徐々に接近する弾幕。魔理沙は頭の中で策を練ろうとするが、焦ってしまって何も思い浮かばない。そして、ついに緑色の弾が不動の青い弾幕に触れた! しかしその瞬間、魔理沙の背後から青い弾幕が消滅し始めていった。どうやら本命の緑の弾幕を標的に当てるため、
「魔理沙、後ろよ! 後ろから青い弾幕が消えていっているッ!」
「と、逃走経路が見つかったのは嬉しいが、もう近すぎて当たっちまうぜッ! 霊夢、助けてくれェーー!」
魔理沙が悲鳴を上げ、霊夢に助けを乞うが、その願いが叶う距離でないことは霊夢は既に分かっていた。咄嗟に札を投げるが、もう弾幕を防げはしないだろう。魔理沙は右手で顔をガードして大ダメージを避けようとするが、それすら間に合うか分からない。魔理沙は痛みを覚悟して、ついに目を閉じた。
その時、
ガ オ ン !
どこかで聞いたことのある音が魔理沙の耳に刺さった。そして、しばらく弾の痛みがやって来ず、不思議に思って目を開いてみれば、自分を囲っていた弾幕の群れは既に消失していた。
「こ、これは……」
「お久しぶりね。2人とも」
またまた聞き覚えのある声。霊夢と魔理沙が見上げてみれば、そこにいたのはレミリア・スカーレットだった。永琳も攻撃を止めて、新たな客へ視線を移す。が、頭の中にあったのはレミリアのことではなかった。自身のスペルの行方だ。あの弾幕群が一瞬にして消えた理由。
(あの吸血鬼が消した……? そんな能力を? でも、どちらかというと何かが通り過ぎていくようにして消えたような……)
「レ、レミリア、助かったぜ。今回は礼を言うよ」
「今回は、じゃあなくていつも言ってちょうだい。まぁ、
バサッバサッと翼を動かして滞空するその姿。美しくもあるが、容姿もあってどこか可愛げが漂っている。その余裕に満ちた態度、彼女よりも更に多くの時間を過ごしてきた永琳には、一種の屈辱を覚えるものにも見えた。霊夢にレミリア。揃いも揃って、
「……そこの吸血鬼。さっき、私の弾幕を一瞬で消し去ったのは、あなたの能力?」
「ふふふ。どうかしら? 気になるの?」
「まぁ、厄介だとは思うわ。でも、あなたの数百倍生きてる私から言わせれば、どうということもなさそうだけれどね」
「ふぅ〜〜ん…………フッ!」
ド シ ュ オ ォ ォ ッ !
「!! な……ッ!?」
なんとレミリア。不意打ちとして紅い弾を1発、永琳へ撃ち出したのだ。永琳は反応が遅れ、弾幕で撃ち落とすことができずに無意識に出た右腕でガードした。弾が直撃した腕の側面は火傷し、赤く腫れ上がっていた。
レミリアは、突然の出来事に驚く永琳の表情を見てご機嫌になっていた。
「アハハハ! そんなに驚くことかしら? 戦いを中断します、なんて誰も言ってないわよ。年配だから、
「こ、この……ッ!!」
最大の侮辱だ。言われた永琳は激昂し、魔理沙と霊夢は少し引きながら「やれやれ」と呆れている。
「……そう。そうね。戦いは終わってない……だったら、全員まとめて相手してあげるわッ! ガキ共め、消し炭にしてやるッ!」
「うへぇ! 怒ったぞ!」
「レミリア! あんたねッ!」
「大丈夫よ。私たちは攻撃に集中しておけばいーの」
幼い外見通り、ことの重大さが分からない? それともただの虚勢? どちらも違う。レミリアは分かっている。自分たちのすべきことを。怒る永琳は再び弾幕の嵐を3人に向けて放ち始める。セーブをしようとすらしていないのか、弾幕の密度は今までで一番高く、そして巨大な弾もかなり多く混ざっている。しかし、
「お、おい! レミリア! 本当にいいのかよ!? 防御とかしなくてよォーーッ!」
「大丈夫よ! そうやって、ただあの女を狙っていれば勝てるッ!」
「いいえ! あなたたちはもう終わりよッ! 私の弾幕によって、この夜空のもくずとなるッ!!」
ガ オ ン !
ガ オ ン !
ガ オ ン !
「なっ……また、あの攻撃!?」
再び現れた謎の攻撃は永琳の放つ弾幕を遠方から、彼女付近にかけて順番に削りとっていく。永琳の放った弾幕は消され、消されたそばからレミリアたちの弾幕が接近した。永琳はそれらを撃ち落とそうと弾幕を配置するが、置いた瞬間にあの音とともに消されていってしまう。永琳は謎の攻撃の全貌を掴むことすらできぬまま、徐々に押され、3人の弾幕の接近を許してしまう!
この攻防はやがて終わりを迎え、ついに
ド ゴ オ オ ォ ォ ン !
「やった! ついに一発食わしてやったぜッ」
「……ふん。年寄りは敬いなさいって? 尊敬できる年寄りなら、存分に尊敬するわ」
「でも、レミリア。あの攻撃は何なの?」
「ああ、あれはね…………!」
永琳に弾幕が直撃した地点。そこからは弾幕によって生み出された煙がもくもくと立ち昇っていたが、それが晴れるのは早かった。中から出てきたのは、戦闘不能になった八意永琳ではなく、透明の球。彼女1人だけしか入っていないこともあってか、高さ、幅、奥行き、どれも余裕のある大きさであった。その中には服の一部が焼けて破れている永琳の姿が。
「……当たる瞬間、私の妖力の半分以上を使って作り出した結界……よくもやってくれたわね。こうなるとは思ってもいなかった……でも、私にもプライドがあるから、これ以上のことはしないわ。だって弾幕戦なんだもの。決着は、弾幕でつける!」
「なっ……
「勝つのは私よ! そして、この結界はパワーでは破れない! もはや、私の意思でしか消すことができない壁! 決して
「誰さまって?」
「お姫さまらしいわ。でも、たしかにパワーでどうにかできる結界ではないとしたら、いよいよ私たちにできることはないわね」
レミリアは「やれやれ」と手を上げた。打つ手無しなのか、相手の自信への呆れなのかは2人は分からない。しかし、魔理沙は一片も信じていないのか、ミニ
「やめときなさい。魔理沙」
「やってみなきゃ分かんないだろ!」
「いいえ、霊夢。構えるのよ。結界をこじ開けるためではなく、中にいるあいつを倒すためにね」
「何言ってるのよ。結界を消さなきゃ、あの女にダメージは入らないわ」
「結界は開く。こじ開けるために大技、倒すために大技。これってすごく格好悪いでしょ? だから、スペルは必ず1発だけ」
「ハァ?」
霊夢はレミリアの言っていることが全く理解できない。それもそうだ。いきなり「格好悪い」だの「スペルは1発だけ使う」だのと言われては、誰も完璧に理解することは不可能だろう。しかし、霊夢と魔理沙はレミリアに
その様子を見て永琳。一瞬見せた焦りは影も形も無くなって、強い眼差しで3人を見下していた。
「それが、あなたたちの作戦? 力で押し切るのは無理だと言ったけれど?」
「いいえ、力は使わないわ。使うのはこの1枚、1回だけ! これだけで倒すわ」
「そう。覚悟はできたみたいね。それじゃあ、消え失せるのよッ!」
結界内の永琳は手を広げ、弾幕を撃ち出そうとする。
そこで、レミリアは叫んだ!
「クリーーーーム!!」
叫んだ直後、ビタン! ビタン!と巨大な手が結界に貼り付いた! しかもこの手、なんと何もない空中からいきなり出てきており、その腕の根元が存在していないのだ。
「こ、これはッ!?」
永琳が驚愕の声を上げると、ついに手の主が姿を現した。その容姿、俗に言う悪魔。永琳自体、霊夢や魔理沙よりも身長が高いのだが、このバケモノは自分の身長の1.5倍はある。
クリームは
「……ナルホド。ヤハリ
「あ、あなたは……? もしや、スタンド……?」
「ソノ通リ。我ガ名ハ"クリーム"。オ前ノ名ハ特ニ気ニナルコトハナイガ、マァ、イイダロウ。ソノ結界ヲ破ラセテモラオウ」
「……確かにあなたはそこそこのパワーがあるよう。でも、拳で殴る以外に何ができるというのかしら?」
「……」
クリームは永琳の問いに反応することはなかった。ただ、自分の大きな口を開けて、彼女の結界にかぶりついたのだった。この行動に永琳は思わず笑ってしまった。何とも野生的で、非効率的、かつ頭を使わない方法であるか。
「フフフフ。まあ、握力よりも顎の力が強い生物の方が多いわ。でもね、だからって
だが、永琳はこの行動を許したことを後悔することとなる。クリームの能力を知らない故に……
ガ オ ン !
「なっ……!? 何ですってェッ!?」
結界に穴が空いた。クリームの暗黒空間はどんな物でも粉微塵にする。彼の口の中に入れられた時点で、永琳の結界はもはや無意味なものとなっていたのだ。この時、彼女を襲ったのはクリームやレミリア率いる3人に攻撃される恐怖ではなかった。自分の力の、
「そ、そんな……私の結界が……こんな簡単に……? バカな……」
「後ハオ前タチダ。任セタゾ」
クリームはそう言い残すと、永琳よりもさらに上空へ退避する。永琳はハッと意識を目の前のことへ移そうとするが、もう遅かった。3人は既に自身を取り囲んでいた!
「よくもまあ、やってくれたな! 次に囲むのはこっちだぜ!」
「食らいなさい。"スカーレットディスティニー"!」
「霊符.夢想封印!!」
「恋符.マスタースパーク!!」
3人の大技は球形の結界に空いた穴へ撃ち込まれた。穴を通じて結界のなかへ、結界の中にいる永琳目掛けてぶち込む。結界を無効化されるとは思っていなかった永琳。結界を素早く解くことは叶わず、逃げ場を失って立ち往生を余儀なくされる!
「こ……この、地上の人間に……妖怪なんかにィ……ッ!!」
ド オ グ オ オ ォ ン !
爆音を上げ、盛大に光を放って、永琳は散る。3人の大技を同時に受け、ボロボロの
轟音を立てて亭の上に落ちてきた永琳。かなりの高さがあったはずであるが、それでも彼女は原形を留めていた。しかし、体が頑丈でも落ちてきた時に体中にかかった負担はゼロにできず、指を動かすことすら叶わない。
「……う……優曇華か……誰か……?」
「なるほど。落ちてきたのは、上で戦っていた者か。」
「!」
聞き覚えのない声だ。音の低さからして、声の主は男性。空から降り注ぐ月光が、砂埃の向こう側をシルエットにして映しだしていた。そこには、異形の者。明らかにただの人間ではない、何者かがいた。よく見てみれば、こいつ、少し光っている……?
砂埃が晴れると、彼女の視界には4人の人影が見えた。1番近い者は腕に炎を灯し、その隣にいる者は近くに小人のような存在を置いている。その奥には剣を
「! あ、あなたたちは……!?」
「我々はお前にいくつか質問がしたい。大人しくしているんだな」
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墜落していった永琳を見送ったレミリアたち3人は、夜空に浮かぶ満月をしばらく眺めて勝利の美酒に酔っていた。
「あ〜。達成感がすごいぜ」
「まだ全部終わったわけじゃあないのよ」
「いや、そうなんだけどよ。とにかく、レミリア。お前が来てくれて助かったぜ」
「ふふふ。どうってことないわ。これぐらい。私たちを敵に回した時点で、あの女の敗北は決定していた。それが運命! 何をやったって、無駄だったのよ。無駄無駄……」
初めて東方キャラを敵にして長々と書きました。
思っていたより記憶がトんでいてちょくちょく調べないと分からないこともあったので、vs東方キャラクターは結構少なくなると思います……
ついに異変の元凶、八意永琳を撃破!
彼女の身柄を確保したマジシャンズレッドたち。異変を起こした真の目的とは何なのか?
そして……新たな敵も……?
お楽しみに!
to be continued⇒
あくまで参考までに、ということで。
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東方をよく知っている
-
ジョジョをよく知っている
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東方もジョジョもよく知っている
-
どちらもよく知らない