幽波紋の奇妙な幻想 《Drifted Destiny》   作:右利き

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今回は休憩回です。




17.宴会

 復興作業が始まって2日。"ハーヴェスト"やウサギたちといった数にモノを言わせた作業員たちによって、ボロボロとなった永遠亭、そして付近の竹林は元の(おもむき)のある綺麗な状態へと戻っていた。

 そして本日。永遠亭で宴会と肝試し大会が行われることとなっている。一度魔法店に戻ったハイエロファントと魔理沙は送られてきた招待状を眺めていた。

 

「開催は午後4時から……か。そこそこの人たちが招かれているんだな」

 

 ハイエロファントが「招待客一覧」の表を見て声を漏らす。ただ今午後2時。あとおよそ2時間後に始まるので、余裕をもって3時半頃には到着していたいものだ、と考えている。

 

「そーだなぁ〜。「博麗霊夢」、「霧雨魔法店」、「アリス・マーガトロイド」、「紅魔館」に……」

 

「魔理沙、これは何だ? 白玉(しらたま)……(ろう)……?」

 

白玉楼(はくぎょくろう)だな。言いにくいな。妖夢のとこさ」

 

「……あぁ、彼女の……そういえば、彼女は何者なんだ? 異変解決の時にあまり訊くことができなかったが」

 

 ハイエロファントは妖夢の正体だけはよく分からないでいた。アリスのことは魔理沙が話をしてくれたおかげでなんとなく素性を知れていたが、妖夢だけは別だった。触れはしなかったが、彼女の近くには常に白く半透明な物体がフワフワと浮いていたこととか、とても気になる。

 

「妖夢は半人半霊。文字通り、半分が人間で半分が幽霊なんだ。あのフワフワしてたのがあいつの幽霊の部分だな」

 

「なるほど、そういうことだったのか。てっきり、スタンドかと思っていたよ」

 

「スタンド脳だな〜〜。お前」

 

「……? そういえばだが、八雲紫の名が無いぞ」

 

「あいつは住所が分からないからだろ」

 

 「あぁ、なるほど」とハイエロファントは頷いた。映姫から聞いた「大異変」の詳細をさらに訊き出したかったが、タイミングを掴み損ねて結局情報を得られず、少し残念に思ったハイエロファント。しかし、神出鬼没だというのなら、また会うこともあるだろうと少々楽観的に考え、これから始まる宴会を楽しみにするのだった。

 

 

 

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 一方、紅魔館。こちらでも永遠亭主催の肝試し大会の招待状を、大図書館にて主な住人たちが囲んで色々と話し合っていた。しかし、彼らが参加するにあたって、1つ問題があった。宴会自体始まるのが午後4時のため、日を浴びることができないフランドールとレミリアは少し行動を制限されてしまうということだ。だが、2人ともそれほど気にしていない様子。明らかにウキウキしている2人の態度からすぐ分かった。

 

「ねぇねぇ、クリーム。肝試し、一緒に行こーよ」

 

「イイダロウ。私ニ()()()ガアレバイイナ」

 

 肝試しは1〜2名で1つの組として数え、1組ごとに順番に竹林の中を歩く、というルール。フランドールはクリームを誘って組を作った。

 

「悪いけど、咲夜。私は1人で行くわね。吸血鬼の精神力を思い知らせてやるわ」

 

「了解しました。では、私は美鈴と共に参加いたします」

 

「咲夜さんと肝試しかぁ〜。怖いものなんてありませんね!」

 

 レミリアは1人参加。咲夜は中華風門番、紅美鈴(ほんめいりん)とパートナーを組む。美鈴はあのように言っているが、それは、咲夜がエニグマに完封されたことは知らないでいるからだ。

 ここに出席してはいるが、「この時期の竹林は虫が多いし、暑苦しい」という理由でパチュリーは自主的に留守番をすることとなる。

 

 そして、ここで1人、完全に孤立している者がいた。マジシャンズレッドである。虚空を見つめ、何やら目元が暗くなっているが、彼は今何を思っているのだろうか。残念なことに、彼以外の者はマジシャンズレッドの孤立に気付くことなく、出発の時を迎えた。

 

 

 

 

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 そして迎えた午後3時半。箒に乗った魔理沙とハイエロファントが永遠亭に到着した。亭の前の道はさらに広く切り拓かれ、提灯やら紅白幕やらが門や壁に掛けられたいる。豪勢な屋敷にふさわしい、壮大な歓迎ムードだ。

 外門をくぐり抜け、中庭へ行くと、そこには驚くべき風景が。庭の面積が大きくなっていたのだ。風流のある、実に落ち着いた雰囲気を出していた庭から、(わく)となっていた壁が撤去され、いくつも屋台が並び立っている。屋台主は全てウサギのようで、焼き鳥屋だったり、わたあめ屋などがある。ハーヴェストもちらほら見られた。

 

「……宴会というより、祭り……?」

 

「細かいことはどーでもいいんだぜ。ハイエロファント。今日は楽しむ日さ!」

 

 魔理沙はそう言うと、全開にされた縁側から履き物を無造作に脱ぎ捨て、珍しい物を探しに屋敷内へ駆けていった。「彼女らしいな」とハイエロファントは魔理沙を見送ると、彼もまた縁側へ。そして腰掛け、宴会の準備風景を眺めるのだった。

 しばらく座っていると、そこに近づく何者かの影が。体格からして、女性ではないだろう。彼はエニグマだった。

 

「やあ、ハイエロファント。開始時間まで20分近くあるのにもう到着しているなんて、意識が高いなぁ〜」

 

「…………」

 

 人によっては鬱陶(うっとう)しく思えるように、ねっとりと(から)んできた。これによって気分を悪くしたのか、それともエニグマが嫌いなだけで喋り方は特に関係なかったのか、ハイエロファントは応えない。

 エニグマは()りることなく、ハイエロファントの(となり)に座って話を続けた。

 

「昨日の敵は今日の何やら……この前の戦いの件はもう忘れようじゃあないか。え? ハイエロファント」

 

「うるさいぞ。僕に近寄るな。君の攻撃のせいで咲夜さんと少しギスギスした関係になってしまったんだからな」

 

「おいおい……逆ギレか? だったら、この僕があのメイドの代わりに「友人」になってやろう」

 

「嫌だ。断る」

 

 エニグマの友だち発言を間髪入れずに拒絶したハイエロファント。エニグマが嫌いだから、というのもそうだが、こんな言い方で友だちになってくれると思う考えが(ハイエロファント)には理解できなかった。しかし、この程度でエニグマは食い下がることはない。

 

「そんなこと言うなよォ〜〜っ。実は、今日の肝試し大会のコンビを組みたかったんだが、誰も相手にしてくれないんだ。だから……もう君しかいない」

 

(情け無さすぎる……)

「……一緒に竹林を歩くだけでいいんだな?」

 

「きっ……来てくれるのかい!?」

 

「……いいだろう。しかし、これっきりだ。君をパートナーにするなんてな……」

 

 あまりにも情け無いエニグマに呆れ、ハイエロファントはついに折れてしまった。彼の言っていたことが事実であるのを強調するかのように、ハイエロファントの「承認」に大喜びするエニグマであった。

 

「や、やったっ。嬉しいよ、ハイエロファント。何が出ても僕が紙にしてやるからな」

 

「うるさいなっ! 君も永遠亭(ここ)の住人なんだろう!? 遊んでいないで屋台の準備ぐらい手伝ってやるんだ! パートナー解消するぞッ」

 

「わ……分かったよ……あまり大きな声を出さないでくれ……」

 

 肩をポンポンと叩いて上機嫌なエニグマを叱り、屋台を手伝わせた。しかし、ハイエロファントも肝試しのパートナーは決めていなかったので、気分は乗らなかったがエニグマが相手であることは「どうせ、肝試しの時だけのコンビ」だと思ってそれほど気にしていないのであった。

 

 

 

 そして、ついに訪れた午後4時。

 招待された者が続々と終結し、ついに宴会が始まった。

 霊夢や魔理沙、アリスは集まって縁側で焼き鳥などをつまみながら酒を口に運んでいる。未だ日が出ているので、フランドールとレミリアは屋敷内で楽しんでいるようだ。フランドールの楽しげな声が外まで響いて聴こえる。ハイエロファントはマジシャンズレッドと共に焼き魚と冷やしたキュウリをかじっていた。

 

「お疲れ様です。マジシャンズレッド」

 

「あぁ。お前もな」

 

「しかし、魔理沙たちは大丈夫なんでしょうか」

 

「? ……何がだ?」

 

「アレですよ」

 

 ハイエロファントは指を差した。その先にあったのは、徳利(とっくり)とお猪子(ちょこ)を側に並べて顔を赤くしていた魔理沙たちだった。外の世界では未成年の飲酒が規制されていたが、それは健康面ももちろん考慮してのことだった。しかし、魔理沙たちはどう見ても未成年だ。「実は見た目以上に生きてますよ〜」ということだったとしても、体は完全に子どもなのだから、彼女らの健康は大丈夫だろうか、という心配があった。

 これに対し、マジシャンズレッドは笑って反応した。

 

「まあ、彼女らが良いのなら、放っておいてもいいんじゃあないかな。こちらでもレミリアたちがワインを口にすることがあったから、あのような光景には慣れてしまった」

 

「……泥酔(でいすい)されるのは困りますけどね」

 

 表情にはあまり出ていないが、2人とも苦笑気味に彼女らの楽しそうな様子を眺める。ハイエロファントはそうでもなかったが、美味しそうに酒を飲む様子を見て、マジシャンズレッドは幻想郷の酒に少し興味が出てきているのであった。

 

 

 一方、亭内ではフランドールがハーヴェストたちを追いかけ回していた。小さく、挙動も可愛らしい彼らを気に入ってしまったらしい。それで、紅魔館へ連れ帰るために捕獲をしているのだ。クリームはフランドールを()()()()と思って加勢しなかった。

 レミリアはそんな2名を見て笑いながら、輝夜と「お嬢さまトーク」に花を咲かせていた。自身の過去や、仲間の話、ハマっているものやコレクションなどについて交流し、こちらも実に楽しそうである。

 

 そしてこの時、エニグマは咲夜に捕まって、先日の()()として両腕を逆方向へバッキリと折られたのは別の話である。

 

 

 

 

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 時は流れ、午後9時。ついに肝試し大会が始まった。主にスタンド以外の面々は酒が入り、かなりテンションが上がっている。開催直前にルール説明を(おこな)った輝夜はそうでもなかったが、魔理沙や霊夢はすごかった。非常に赤かったのだ。

 

「それでは、これより「永遠亭主催 竹林の肝試し大会」を始めます」

 

「いえ〜〜い! 待ってたぞォー!」

 

「魔理沙。頭を冷やしてきたらどうだい?」

 

「な〜に言ってンだあよォ〜、ハイエロファント! こっからが大事なんだぞ! 頭冷やしちまったら全部パァだぜっ、このメロン!」

 

「…………」

 

 酔っているとはいえ、魔理沙の態度に少しカチンときたハイエロファントはエニグマとコンビを組んだことよりも、どうやって魔理沙を置いて帰ろうかと考え始めていた。

 

『それじゃあ、肝試しのルール説明をするわ。ルートは既に確保してあって、一本道。最終的に永遠亭の裏口に到着するわ。1つの組に1本の松明を配るから、それを頼りにして進んでいってね…………あ、それと1つ。この竹林には、不死身の怪物が現れるのよ。なんでも、その肝を食べた者は同じく不死身の体になれるらしい……まぁ、頑張ってね!』

 

(……と、輝夜姫は言っていたな。不死身の怪物か……)

 

 輝夜の説明が終わり、始めの方の番に出発する組がスタート地点に並び始めた頃、ハイエロファントは考えごとをしていた。「不死身の怪物」というワード。文字通りの不死身で、文字通りの怪物ならばとっくに霊夢が手を出していそうだが、そんな様子はない。そもそも霊夢は縁側で寝てしまっており、輝夜の話を聞いていなかったのもあるが。

 

(この前の戦いでも姿を現していてもよかったと思うが……もしや、以前感じたあのオーラの正体……!?)

 

「ハイエロファント? 何を難しい顔をしているんだ? そろそろ出発……」

 

「今話しかけないでくれ」

 

 可能性は大いにある。永夜の異変の時に感じた、巨悪のオーラの主こそ、その不死身の怪物である可能性だ。感じたそばから、ずっとその正体を探りたいと思っていた。DIOのように圧倒的カリスマをもつ大物なのか、それとも新手のスタンドか、不老不死の妖怪か……今こそ時は極まれり。

 ハイエロファントは強敵との遭遇を考慮し、気を引き締めて因縁のエニグマと共に竹林へと足を踏み入れるのであった。

 

 

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 歩き続けて5分ほど経過した。辺りに響くのは、足に蹴られて舞い上がった枯葉(かれは)のカサカサという音と、夏の終わりと秋の訪れを感じさせる鳴き虫の声だけ。エニグマとハイエロファントは一切(しゃべ)らなかった。エニグマは「こうなるんだったら、1人でもよかったな」と思うのであった。

 しかし、ここで初めてハイエロファントが口を開いた。

 

「なぁ、エニグマ。君は輝夜姫から何も聞いていないのか?」

 

(あっ……口を聞いてくれた……)

「いや、何も……何かあったのか?」

 

「輝夜姫が肝試しの説明をした時、「不死身の怪物」がどうとか言っていたろう? それについて何か知らないか、と思ったんだが」

 

「ああ、そのことか……もしや、不死身の生き物が本当にいると思っているのか?」

 

「!」

 

「不死身なんてものはなァ〜〜……ない! 生命力が異常に高いだけなら分かるが、不老不死の者なんてのは存在しないものさ。必ずどこかで終わりを迎える」

 

 と、エニグマは得意げに持論を展開するが、よく聞いてみれば根拠が無かった。ハイエロファントは「聞くだけ無駄だったな」と表情に出すことなく後悔する。

 すると、彼らの近くでガサガサ!と草をかき分けるような音が響いた。ハイエロファントはエメラルドスプラッシュを撃てるよう、素早く両手を合わせる。エニグマは松明を左手で持ち、空いた右手で数枚の紙を引っ張り出し、臨戦態勢に入った。

 その後、草の音が聴こえた辺りから、今度は女性の声が彼らの耳に届いた。

 

「さっきから、不死身、不死身って……そして、輝夜? アンタたち、何者?」

 

「……それは僕らのセリフだ。君こそ、何者なんだ?」

 

 ハイエロファントは姿が見えない謎の女性に質問を投げ返す。すると、2人の前にもう1つ、炎の(かたまり)が浮かび上がった。そしてその灯に照らされて、長い白髪に赤いリボンを付け、モンペを穿()いた女性が現れた。年齢は花京院よりも少し下か、同程度に見える。

 

「私の名前は藤原妹紅(ふじわらのもこう)。アンタたちがさっきから言ってる「不死身の怪物」の正体。多分ね」

 

「な……何だって?」

 

 驚きの言葉がハイエロファントに飛んできた。彼女こそ、「不死身の怪物」の正体だと言うのだ。外見的に全く怪物らしくもなければ、他の人間と大差は感じられない。やけに髪が白いといったことぐらいか?

 

「……あなたは今何を言ったのか、分かっているのかい? 不死身だって? 全くそうには見えないなァ〜。嘘をつくなら、もう少しマシなものを、と思うよ」

 

「おい、エニグマ」

 

「…………」

 

 ここへ来てエニグマが妹紅と名乗る女性を煽り出した。ハイエロファントは止めようとするが、悪びれる様子は微塵(みじん)もない。対する妹紅も、エニグマの言っていることを大して気にしていない様子だ。

 

「まあ、嘘だと思うなら、試してみたらどう? その紙でさ」

 

「!」

 

「私が声を掛けた時、ナイフとか短筒(たんづつ)とかではなく、その紙を真っ先に出した……ということは、あなたにとってはその紙が武器なんじゃあないの? どうやって使うのかは分かんないけどさ。自分の手で確かめてみればいいじゃあない?」

 

 よく見ていたものだ。あの一瞬の中でどこを観察すれば良いのかを理解し、素早く考察する力まで身につけているとは。まさか、本当に不老不死の体をもち、長い年月をかけてそのスキルが研磨(けんま)されたというのか。ハイエロファントはこの女性が強敵であることを確信した。それに対してエニグマは、妹紅に試されている感じに嫌気が差しているようだ。彼から不機嫌さを感じる。

 

「……いいだろう。だったら、そこに突っ立っているんだな! お前を紙にして、バラバラに引き裂いてやるッ!」

 

「ま、待て! エニグマ!!」

 

 やけくそに攻撃しようとするエニグマを、ハイエロファントは触手を使って押さえつける。ハイエロファントはとても細く、人並みのパワーしか出せないが、エニグマは簡単に抑えられた。「チンケなスタンド」の意味がようやく分かったハイエロファント。だからこそ、今()()()()で戦わせた場合、エニグマが敗北するのは火を見るよりも明らかであった。

 

「それに……も、妹紅と言ったか? 僕らは何も知らないんだ。輝夜のことも知っているようだったが、君こそ何者なんだ?」

 

「……輝夜とはちょっとした因縁があってね……あいつのせいで、私は不死身になったんだよ」

 

「な、何だって?」

 

「そして、あいつと……永琳も不死身さ。蓬莱人(ほうらいびと)って言ってね。文字通りの不老不死の存在になっているわけさ。結構大変なんだよ? 不死身って。孤独だし」

 

「それは……大変なんだな」

 

「まあね。それで? アンタらは私に何の用があるのか……まだ訊いてなかったっけ?」

 

 妹紅の炎が少し強まる。直接口に出してはいないが、彼女は輝夜のことを()いていないのは確かだ。下手なことを言えば無事では済まなさそうな雰囲気だが、事実、本当にただの肝試しで来ている。素直に言えば(ゆる)してくれるだろうと、ハイエロファントが口を開こうとした時、

 

「その2人はね、私の刺客(しかく)よ〜」

 

「! な、何ッ!? 輝夜姫!?」

 

「やっぱりか……」

 

 暗がりから突然現れて言い放ったのは、輝夜だった。彼女は永遠亭にいたはずだが、なぜここにいる? そして笑顔でとんでもない大嘘をかましてくれた。

 

「今度こそあなたを殺そうと思ってね。送ったのよ。妹紅」

 

「ふん! 3人まとめて消し炭にしてやるわ!」

 

「待つんだ、妹紅! 僕らは何も知らなかったんだ!」

 

「ハイエロファント! 触手を離せェッ! 僕が紙にしてやるんだ!」

 

「君は黙っていろッ!」

 

ド ス ッ 

 

 何が目的なのか、さっぱり分からないまま、輝夜によって場を乱されて今にも激しい戦闘が起こりそうだ。大方、長らく帰って来ない自分たちが妹紅と遭遇したと考えて飛んできたといったところか。迷惑なことをしてくれる、とハイエロファントはため息を吐く。事態の収束を図るため、ハイエロファントは第一にエニグマの首筋を手刀で攻撃して昏倒(こんとう)させて落ち着かせるが、しかし、残る2人はどうしようもできず、その言い合いを見てることしかできなかった。

 

「ふふ。妹紅、続きは空でやりましょう。もちろん、弾幕でね!」

 

「望むところだ!」

 

 輝夜はフワリと浮いて星が(またた)く夜空へ、同じく妹紅も炎の翼を広げて飛び立った。その直後、彼女らが向かっていった空が弾け、カラフルに輝くのを永遠亭の面子は花火大会のようにして鑑賞していたのは、エニグマを抱えて帰ったハイエロファントが今回1番目を()いた出来事であった。

 

 

 

 そして、輝夜たちによるセルフ花火が終了すると、宴会の参加者は続々と帰路についた。そんな中、ハイエロファントが()()()()()()()()が永遠亭の縁側で起こっていた。1人で来ていた霊夢は知らないが、ハイエロファントはこの後、本当に魔理沙を置いて魔法店へ帰ったのだった。

 

「「酒は呑んでも、呑まれるな」だ。魔理沙。めでたいからって、調子に乗っちゃあいけないよ」

 

 

 

 

 

 

 

 




変に戦いを避けていった終わり方ですが、休憩回なのでこれもありでしょう!
ちなみにですが、ハイエロファントとエニグマは徐倫とグェスみたいな関係と思っていただければと。徐倫はここまでグェスに冷たくはないと思いますが、そんな感じです。


東方永夜抄、完!
しかし、何に引かれてか、難は再びハイエロファントたちを襲うのであった……
人里で行方不明事件勃発!?
お楽しみに!
to be continued⇒

あくまで参考までに、ということで。

  • 東方をよく知っている
  • ジョジョをよく知っている
  • 東方もジョジョもよく知っている
  • どちらもよく知らない

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