幽波紋の奇妙な幻想 《Drifted Destiny》 作:右利き
本編は永夜抄"前"の話となっています。好きなキャラクター多いのも理由ですが、いずれ色々と判明します。
早くスタンドたちと絡ませたいのですが、いつになることやら……
素数を数えて落ち着く……
魔理沙に介抱され、何とか身体を動かせるようになったハイエロファント。彼は今、魔法店の前を箒で掃除している。拾われてから、早6日。魔法の研究や薬の調合など、誘われたときに言われたことは全くやれていない。
(助手と言われた覚えはあるが……いつの間に家政婦になったんだ?僕は)
1日、2日程なら何とも思わないかもしれないが、住み込んでおよそ1週間。何にも音沙汰がないと、どうしてもこう思ってしまう。
落ち葉を箒で掃いて集め、ちりとりに乗せた後、店の裏まで持って行って棄てる。その後、ちりとりと箒を片付けた後、首から下げた懐中時計を見やる。
「午前7時40分。そろそろ起こさないとな……」
そう呟くと、ハイエロファントは店に入り、二階へゆっくり上がる。目の前のドアを軽く3回ノックした後、できるだけ
ハイエロファントは近くに転がっているフライパンとオタマを手に取ると、カンカンッ!と鳴らして彼女を起こす。
「ほら、朝だ。朝食もできてるぞ。
「ん〜〜……あと少し……」
「そう言って少しで起きないんだろう?まだ1週間ほどしか共に過ごしていないが、僕にはわかるぞ」
そう言ってハイエロファントは強引にシーツを引っ張る。魔理沙も少女ゆえに体重は軽く、シーツを引っ張られた勢いで豪快に床に落ちる。
「
「目が覚めて良かったよ」
頭から思い切り落ちた魔理沙がハイエロファントにキレるも、知らんフリをして階段を下った。数分後、髪は寝癖でグシャグシャのままだが、着替えた魔理沙が階段を下りて、カウンターの前に持ってこられた椅子に腰を下ろす。
「今日はシンプルに目玉焼きだ」
「ああ。すごいシンプル。何か言うところといえば…卵黄がめちゃめちゃ綺麗な円ってとこだ」
魔理沙はそれがハイエロファントの腕前なのかどうかよくわからない点を褒めると、「いただきます」と合掌し、フォークを突き刺してかぶりつく。うん。かなり上手い。おそらく焼いている際中に胡椒を混ぜたんだろう。咀嚼するたびに香ばしさが口内に広がる。
5口ほどで完食すると、横に置かれたコップを手に取り、中の牛乳を一気に飲み干す。そして「プハァッ」と息を吐くと、再び合掌。ハイエロファントは空になった皿とコップを取り、カウンターの奥にあるキッチンでそれらを洗い始めた。
「なぁ、ハイエロファント。この前さ、自分のことを"精神エネルギーが具現化したもの"って言ってただろ?アレのこと詳しく教えてくれよ」
背を向けるハイエロファントに魔理沙は声を張って語り掛ける。ハイエロファントは洗い終わった食器を乾燥棚に入れると、カウンターに出てきて椅子に座った。
ハイエロファントは自己紹介の後、自身のような
「……君のことだから、おそらくスタンドのことを使い魔か何かだと思っているんだろうが、全然そんなことはない」
「え? そうなのか?」
「ああ。スタンドは精神エネルギーのヴィジョン。1人につき1つだけ。その人物の精神の強さがスタンドに表れる。それに何でもできるスタンドなんてよっぽどいない。まぁ、僕は、少し違うとは思うが
「そっかぁ。1人に1つね……案外不便なんだな」
「それはどうだか。少なくとも僕はスタンド側だからね」
「あ、そっか」
会話を交わしながらハイエロファントはカップにコーヒーを淹れ、湯気が立つ中、魔理沙に差し出す。魔理沙は「お、サンキュ」と言って息を吹き掛けながらコーヒーを冷まし始めた。
「……僕にも一つ、わからないことがあってね」
「ん?」
魔理沙の方から、あらぬ方向へ身体を向けながら、独り言のように呟いた。
「僕はいつから……人格を持っているのか、それがどうもわからない」
スタンドは精神エネルギー。本体の性格や感情などに大きく影響を受けるものであり、人格を持たず、本体による操作で動くスタンドが多い中、自我を持ち、直接命令されながら動くものもいる。ハイエロファントは前者だったのだが、ここ、幻想郷に来たときか、もしくはそれよりも前から人格をもっているのだ。
「典明の記憶……そして今の、
「んーーー……人格をいつから持ってるか、なんて誰も覚えてないと思うけどなーーっ」
「それとは少し違う。……気がする」
「なぁんだよ。それじゃあ……」
と言いかけてカップのコーヒーを一気に飲み干す。飲み終えた後、小さく「熱っ」と言ったが、それよりも、という感じで魔理沙が言葉を繋げる。
「私の友人のとこ、行くか?案外そういうのに詳しいかもしれないぜ?」
友人…おそらく以前話された「幻想郷を包む結界を管理する巫女」のことだろうか。
「それって……君が前言ってた人のことか?」
「ああ。博麗霊夢。私を超えるような自由人というか、気まぐれというか、まぁ、お前だったら苦労して卒倒しそうなやつさ」
と笑いながら答える。ただでさえ自由気ままな魔理沙に手を焼き気味だというのに、彼女が認めるレベルの自由なやつなのか、と思わずハイエロファントは引いてしまう。というか、自分が自由気ままだとわかっていたのか。
「……まぁ、今は別にすることもないし、「知ってどうにかする」というわけでもないが、それでいいかもしれない。その子のいるところまで連れて行ってくれ」
「おうし。わかったっ。それじゃあ、準備するから外で待っててくれ」
魔理沙はそう言うと、洗面所のあるカウンターの奥へ向かっていった。
(あの爆発した寝癖……直すのにかなり掛かるだろうな……)
ハイエロファントは、彼の本体である花京院典明は男子の割にはそれなりに髪が長く、起床後に寝癖を直そうと朝から鏡の前で奮闘していたことがあるのを思い出していた。
特にやることもなく、いつでも行ける準備はしてあったようなもののため、彼女が寝癖を直すまで突っ立っているのも何だと思い、魔理沙を追って洗面所に向かった。
13分後__________
「よしっ。それじゃあ、行くか!」
いつもの帽子を被り、いつもの箒に跨る。そして、「お前も跨れよ」とばかりにハイエロファントに振り向いて自身の後ろのちょっとしたスペースをポンポンと叩く。
「大丈夫だ。魔理沙。僕は僕で
そう言うと、ハイエロファントの身体はゆっくりと浮き上がった。
「おお…すごいな。何もなくても飛べるなんて羨ましいぜ。でも、やっぱりこっちにしといた方がいいぜ?」
再びポンポンと柄を叩く。そう。魔法の森での軽々しい行動ほど愚かなものはない。魔理沙は性格に合わず、それをよく知っている。この魔法の森には人体に影響を及ぼす特殊なキノコの胞子が舞っているのだ。
ハイエロファントよりも長くここにいる魔理沙は、胞子が「最も少なく飛んでいるルート」を知っている。
「ここらは毒のあるキノコの胞子が舞ってるんだ。もちろん、
上を指差して忠告する。ハイエロファントは宙を見上げ、少し考えると地上に降りると、魔理沙の箒に跨った。
「それじゃあ、こうするしかないみたいだが、君はどうやって行くんだ?」
「まぁ、見てろってッ!」
と言った瞬間、箒は急発進し、とてつもないスピードで木々を避けて移動し始めた。
「くっ……なんて……スピードだ……」
ハイエロファントはそのスピードによる負担で後ろに吹き飛ばされそうになりながらも体勢を何とか保ち続けている。
どれだけ経ったのだろうか、ハイエロファントは箒から離れないようにするのが精一杯で全く時間を気にしていなかったが、
「いつの間にこんなに高くまで……!」
「さぁっ!ハイエロファント。あそこに見えるだろ?神社がっ!あそこにいるんだぜッ!もっと飛ばすから、掴まってろよッ!」
「なっ……何ッ!? うわああああーーーーッ!?」
箒は更に加速し、ハイエロファントは今度こそ後ろに吹っ飛ばされた……
が、既に自身の脚を紐状にほどいて箒の柄に巻きつけておいたため、完全に振り落とされずには済んだのだった。
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この時、博麗神社では、縁側で1人の少女が縁側で茶をすすっていた。
「はあ〜……平和ね。退屈なのは嫌だけど、こういう時間もやっぱり好きだわ〜」
と、まったりしている彼女こそ、この幻想郷の結界の管理者たる博麗霊夢である。紅と白の服、リボンを身につけ、強めの日差しに当たりながら偶にやってくるそよ風を感じている。
ーーーーーッ!!
「ん?」
突如聞こえた何かの声。何かをずっと叫んでいるようで、音が延びている間、聞こえる音がどんどん大きくなっていく。
「なっ 何?」
むーーーーーーーッ!!
霊夢は不意に視線を上げた。この声、聞き覚えがある_____!
やつだ。黒と白の服を着た、あの……
「おおーーいッ! 霊夢ううーーッ!!」
「まッ! 魔理沙ッ!? って!嘘ッ、突っ込んでくるの!」
箒に跨った魔理沙は一切減速することなく霊夢のいる方へ向かってきている。しかし、鳥居を高速で抜けたところで、急停止した。後から遅れてやってきた風が、前にいた霊夢の体を強く打つ。
「ぃよっ! 元気か? 霊夢」
「よっ、じゃないっ!危ないじゃない!」
「大丈夫だってっ。私の
と言って後ろを振り向くが誰もいない。
「あ……あれ?」
まさか、スピードでふっ飛んでそのまま落ちてしまったのか。しかし、そんな不安は杞憂だとわかったのにそう時間は掛からなかった。
ゴムのように伸びた彼の体は、後から遅れてゴムパッチンのように戻ってきたのだ。
そしてそのまま、魔理沙の頭と盛大に衝突し、魔理沙は後頭部から地面にすっ転び、ハイエロファントは目を回しながら、倒れ込んだ。
「えーー……っと、大丈夫?」
霊夢が心配すると、魔理沙が起き上がる。ワンモーション遅れてハイエロファントも顔を上げる。
「……痛え……けど、大丈夫だぜ……」
「ああ……僕も目を回しているが、何とか……」
「全っ然大丈夫そうに見えないけど……とりあえず、あなた誰?その光ったメロンみたいな方」
「……僕はどの世界でもそんな風に見えるんだな……」
「え?」
「いや、何でもない」
霊夢がとぼけたように返したため、ハイエロファントはすぐ話題を切った。そして本題に移す。
「君が「博麗霊夢」かい?」
「ええ。そうよ。妖怪さん。わざわざ魔理沙に連れてきてもらって、退治されに来たのかしら?」
霊夢は少し威圧を込めて問い返す。
「…巫女だと聞いていたから、もう少しおしとやかかと思ったが、存外血気は盛んなんだな」
「悪かったわね。血の気が多くて……」
少し気に障ったのか、不機嫌になった。しかし、フンッと鼻を鳴らすと、その小さめの胸を張ってハイエロファントに問い掛ける。
「で?どうなのよ。やる気?」
「……君の仕事の内に妖怪退治もあると聞いている。しかし、残念ながら僕は退治の対象外だ。そもそも妖怪じゃあない。スタンドだ」
「スタンド?」
「スタンドとは、精神エネルギーが具現化したヴィジョン。妖怪よりも、幽霊のそれに近いが、そんなことはどうだっていいんだ…………実は君に聞きたいことがあって来たのだが……」
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ハイエロファントは博霊神社にやって来た事情、自身の経歴を、魔理沙と違ってできるだけ詳しく話した。そうしなければ、自身を退治されてしまうかもしれないと、案じていたのだ。
「…というわけなんだが、何かわかるなら教えてほしい」
「わからないわ。何も」
間髪入れずに返された。端から見ていた魔理沙はこれがわかっていたようで、「やっぱりか」といった感じに苦笑している。確かにわからないだろう。「スタンド」を今日初めて知ったのだから、それに関わる問題がわかるのだとしたら、そちらの方が不自然である。
「まぁ、でも、推測だけどね。あなたの…花京院だったかしら? 彼が死んでしまった際、彼の魂の一片があなたに引っ付いたまま引き離された、といった感じなんじゃないかしら」
「どういうことだ?」
「草を引っこ抜いたら周りの土も一緒に取れてしまうように、花京院の魂……いえ、そもそもあなたが花京院の魂の一片なのだから、その記憶があるのは当然じゃない? 人格については、さっきの草の例でいう「土」よ」
「……」
つまり、こういうことだろう。花京院の魂は死後、2つに分離してしまい、その片方が自分だった、と。シンプルだが、これが最も有力かもしれない。というより、ハイエロファント、彼自身が何より
人格についての答えを聞けた後、2人は霊夢と茶菓子をつまみ、軽い雑談を2時間ほど交わした後、神社を後にした。そして、その帰路、森の上空にて
「……なぁ、ハイエロファント。本体と離れて寂しいか?」
霊夢と別れた後は楽しかった雰囲気がしばらく続いていたが、それをかき消すように魔理沙が質問する。
「……ああ。そう
「だった?」
「今は、君や今日出会ったばかりだが、霊夢といった楽しい人がいるからな。それだけでいい。きっと、
大丈夫だ、と言った。だが、完全には吹っ切れていない。それは
一日の流れで2つも作れるとは……自分自身でも驚きですし、結構疲れました。
さて次回、描きたかった戦闘シーンがついにやってきます!相手はあの
ハイエロファントは果たして勝てるのか!?
to be continued⇒
あくまで参考までに、ということで。
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東方をよく知っている
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ジョジョをよく知っている
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東方もジョジョもよく知っている
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どちらもよく知らない