幽波紋の奇妙な幻想 《Drifted Destiny》   作:右利き

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ジョジョリオン、今すごいですね。
久々に興奮しました。


19.殺人

「慧音さんッ! こいつぁ、一体どういうことなんだ!」

 

 人里内で突如発生した大火事が鎮火(ちんか)し、その翌朝、人里の消防団のリーダーが慧音に怒鳴る。寺子屋の前には先日と同じように多くの人々によって()が形成されていた。

 

「……返す言葉もありません……」

 

「あのバケモノを逃がしちまう、大火事を許す、人は死ぬ! 正直、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ところさ!」

 

「……!」

 

「待ってください。責任は僕にあります。僕がキラークイーン()をしっかり監視していなかったのが……」

 

「やかましいッ、人外は引っ込んでな!」

 

 慧音が責められるのを見かね、ハイエロファントが自分へ矛先(ほこさき)を移そうとするが、一喝されて口を塞ぐ。無差別的に命を狙われている現状、感情的に叫び散らしたくなる気持ちはよく分かるし、彼らは何も悪くない。だからハイエロファントはこれ以上は言葉を出せなかった。

 

「あーあー。犯人はあいつじゃあねぇってことはよく分かった。しかしよ。だからと言って俺たちの里をめちゃくちゃにされて黙ってられるわけがねぇだろう? それとも何だ? 俺たちがアンタら、スタンドのことを気味悪がるのが気に入らず、結託して放火したのかァ!?」

 

「なんだと、てめぇッ!!」

 

 消防団の男の放った言葉に反応し、今まで黙って見ていた魔理沙が飛びかかった。男の襟を掴む手と彼女の額には血管が小さく浮き出ており、完全にプッツン状態だ。

 

「ハイエロファントはそんなくだらねぇことをするやつじゃあねぇッ!! それもこれも、キラークイーンと本当の犯人がやったことだし、やつらが悪いんだ!」

 

 ハイエロファントと出会って1ヶ月ほど、共に過ごしてきた魔理沙は幻想郷の中でハイエロファントを1番よく知っている。彼女だからこそ、ここまで怒れた。スタンド(ハイエロファント)のために。魔理沙には、ハイエロファントという者を知る彼女には、憶測だけで彼を悪者に仕立て上げる目の前の男を赦すことができなかった。

 

「くそ……! 離しやがれっ、魔理沙! お前らの関係なんか知ったことじゃあねぇんだ!」

 

「なんだとォーーッ!?」

 

「いいかッ! あいつらスタンドは"疫病神(やくびょうがみ)"だ。ただの妖怪が里や人間を襲ったとしても、被害は小さかった。スタンド共に比べたらなッ。やつらが相手になった時から、急に変わり始めた。里自体への被害は甚大(じんだい)、被害者の数も一度に十数〜数十人! もう()()りだ! 俺たちの前から消えるんだ、このスタンド(死神)めェッ!」

 

「ッ…………このッ!」

 

 ギリギリと歯が(きし)む音を立てながら、怒りが頂点に達した魔理沙はついに拳を振り上げた。意図したわけではない。そして、振り下ろすという行為もまた、無意識の(もと)執行(しっこう)されるわけだが、拳が男の顔面へ降下することはなかった。それを止めた者がいる。

 

「いい。止めるんだ。魔理沙」

 

「! 何言ってるんだ、ハイエロファント! こんなやつ……」

 

「魔理沙。僕だって、自分とは全く違う存在と出会ってしまえば、彼らと同じく怖いし、警戒だってする。ましてや、それが命を狙ってくるときた。同族に(うら)みをもつのも、さらなる恐怖に(おび)えるのも分かる……彼らの発言はもっともだ」

 

「…………」

 

 魔理沙はハイエロファントの言葉を聞いて、男の襟から手を離す。「くそっ」とセリフを吐き捨て、男もハイエロファントの方を向いて続く言葉に耳を傾けた。

 

「……『僕が怖い』。だったら話は簡単だ。僕は行方不明事件(この件)から身を引く」

 

「なっ……ハイエロファント……」

 

「何ィッ!?」

 

 ハイエロファントの口から出た予想外の言葉に、魔理沙も思わず気分を悪くしてしまう。いや、正確に言えば、ハイエロファントの気分を害してしまった、と自分の力不足や人里の人間たちのことについて()やんだのだ。魔理沙は忌々(いまいま)しそうに前方に(ひか)える人々を(にら)みつけた。

 が、この発言を聞いて1番声を上げたのは消防団の男であった。

 

「お……お前、火事の件についての責任はどうすんだよ……!」

 

「責任か。それじゃあ、その()()()()()()()()()()()()()()()()か」

 

「そ、そういうことを言ってんじゃあねぇ!」

 

「ハイエロファント……お前がいなくなったら、犯人はどうすんだよ!」

 

「魔理沙、君は僕より強いだろう。慧音さんもいるし、実力的には申し分ない。それに、昨日彼らは言っていた。『人里は自分たちの手で守る』と。きっと犯人を捕まえる策や勝てる算段でもあるんだろう。だったら、僕がいてもいなくても同じだと思わないか?」

 

「……ハイエロファント……」

 

「そういうことで、僕はあなた方に()()()()()()。それでは」

 

 ハイエロファントは体の向きを180°変え、人里の出口のある方へと足を進め出した。しかし、ここで魔理沙がハイエロファントを止めようと、男を押し退けて躍り出る。

 

「待ってくれよ、ハイエロファント! たしかに人里(ここ)のやつらはお前の気に(さわ)ることを言ったかもしれねぇけどよォ〜〜ッ! お前がいないとだめなんだッ! 私は人里を放っておけないんだ! だから、たの……」

 

「当て身」

 

ド ス ッ 

 

 

 ハイエロファントの声とともにバタン!と音を立てて魔理沙が倒れた。よく見てみると、ハイエロファントの右腕が(ほど)け、そこから伸びる緑色の触手が魔理沙のうなじ部分まで届いていた。

 ハイエロファントは魔理沙の気絶を見届けると、彗音の方を振り返った。

 

「慧音さん。魔理沙は見ての通り、かなり暴走しやすい()だ。しかし、あなたなら彼女の暴走も上手いこと丸め込めるでしょう。任せます」

 

「! 待つんだ、ハイエロファント! どこへ……?」

 

「……では」

 

 ハイエロファントは一度止めた足を再び動かした。それを見送る慧音は、スタンド戦のスペシャリストであるハイエロファントが離脱したことにかなり焦り、同時に何も分かっていないこの状況でさらなる犠牲者が出ることを予期(よき)し、かなりの不安感に襲われていた。他の人里の者も、全員ではないが同様の者がそこそこいた。一度人里を救ってくれて「また彼が」と思っていた人はゼロではなかったのだ。しかし、よく分かっていない正体不明の謎の敵、キラークイーンの存在と重なってしまい、希望が絶望へと変わった者は()()()よりも増えつつあった……

 

 

 

 

____________________

 

 

 慧音たちと別れ、日の光が届かない人里のとある小道。ハイエロファントは目的地もなく、ただ徘徊(はいかい)していた。()が現れるのを待ちながら。

 

「……ようやく現れてくれたか。かなり探したよ。キラークイーン」

 

「…………」

 

 ハイエロファントに呼びかけられ、彼の数メートル先の陰からキラークイーンがぬっと姿を現す。相変わらずの無表情で、大きな2つの瞳がハイエロファントをジーっと見つめている。しかも、何やら竹で()まれた(かご)を足元に置き、彼の左手には1匹のネズミが握られていた。

 

「……私も君を待っていた……ちょっと、君に訊きたいことがあったんだ」

 

「…………」

 

 キラークイーンの発言に、ハイエロファントは(あご)を引く。相手を真っ直ぐ見据える姿勢である。キラークイーンはハイエロファントの行動に気付くが、特に気にすることもなく言葉を続けた。

 

「私もこの地にやって来て日が浅い……だから、君から幻想郷のことについて詳しく知っておきたいと思ってね……」

 

 キラークイーンは口を小さく開閉し、他の表情筋をピクリとも動かすことなく淡々と言葉を述べる。ネズミを(にぎ)りながら無表情でいるその様子と、昨晩に感じた圧倒的悪のオーラも相まってとても不気味だ。しかし、ハイエロファントは少しも怖気付くことなく、返答した。

 

「分かった。君の質問には嘘偽(うそいつわ)り無く答えよう。だが、こちらの質問にもいくらか答えてもらう。それが条件だ」

 

「…………ああ。構わないよ。ギブアンドテイクだな?」

 

 キラークイーンは「YES」と意思を示すが、ハイエロファントはキラークイーンが口を開いた瞬間、彼に対しての信用が構築されることはなかった。

 なぜか? キラークイーンは一瞬()()()。会話が十分成り立つことは、昨晩のやりとりで分かっている。言っていることが分からないとか、脳内で返答の仕方を悩む、だなんてことには()()()()()()()はかからない。つまり、彼は自分のことを話すことについて快く思っていない部分があり、ハイエロファントが突き出した条件をのむか迷った、と考えられる。

 しかし、彼は言葉では()()()()()()()。何食わぬ顔であっさり了承した行動はハイエロファントには演技であったように感じられ、キラークイーンがこれから話す内容は"嘘"の部分が存在すると思っていた方がいい、とハイエロファントは用心するのだった。

 

 

 

____________________

 

 

「……僕の持っている情報はこの程度。次は君の番だ。キラークイーン。君のことを教えてくれ」

 

「本体と……私自身の能力について、だな? 私の本体は『吉良吉影』。『カメユー』というチェーン店の会社員だった。しがないサラリーマンさ……いきなり首に刺さった「矢」によって、(スタンド能力)に目覚めた。そして……私の能力は「爆破」だ。見て分かる通り、()()()()()()()()()()()。私が能力を使えば、近くにいる者は大体分かるだろう。今回の事件について、犯人は分かっているし、私は無関係であるのは……言うまでもないかな?」

 

「…………」

 

 キラークイーンからの質問にはあらかた答え、今度はハイエロファントの要求が応じられる番。キラークイーンの能力と本体のことについて本人の口から訊き出すことはできたが、ハイエロファントはそのほとんどを信じてはいない。

 スタンドというのは、その本体の奥底に眠る「本質」が形をもったもの、と言ってもよいわけだが、爆破の能力をもつスタンドだって? そんなスタンドを操る本体が()()()()()()()()()であると、ハイエロファントには到底思えなかった。

 

「……君のことはよく分かったよ。その上で気になったのが……その左手で掴んだネズミだ。見たところ、まだ生きているようだが……?」

 

「これか」

 

 キラークイーンは左手を少しだけ持ち上げ、全身を圧迫されて苦しそうに呼吸しているネズミの顔を(おが)む。

 

「……話してやってもいいが、その前に私も君に訊きたいことがもう1つだけある」

 

「なんだい?」

 

「君、さっき人里の人間たちに『行方不明事件には関わらない』と言っていたが、それはどういう意図(いと)があったのか? 文字通り、人里を見捨てるつもりなのか、それとも……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だけなのか……はっきりさせたいのだよ。このネズミのことはその返答次第だ」

 

「……立ち聞きしていたのか。趣味が良いとは言えないな」

 

 キラークイーンはハイエロファントと魔理沙たちが別れた場にいたというのだ。彼の様子からして、昨晩から今朝までの人里の情報はほとんど把握(はあく)しきっていると思われる。ハイエロファントの意思とキラークイーンが掴んでいるネズミには一体何の関係があるというのだろうか。

 

「……君も薄々(うすうす)分かっているとは思うが、後者だ。僕は人里のためではなく、魔理沙たちのために戦う。僕だって、自分を攻撃してくる危険がある人には親密に関わりたくないからな」

 

「フフ……違いないな」

 

 キラークイーンはハイエロファントの返答を聞くと、何かが可笑しかったか、満足したのか、相変わらずの無表情のまま声を()らす。ハイエロファントはその様子については別に何とも思っていなかった。キラークイーンは本体から()()()()なのだろう、となんとなくの予想もついてるのもあったからなのだろうか。そのところはハイエロファント本人でもよく分かっていなかった。

 こぼれる笑みが引いたキラークイーンは近くにある木箱に腰掛(こしか)けると、足元の竹籠(たけかご)の中からピンセットを取り出してハイエロファントに見せつけた。

 

「さて、君に話して有意義なことであるのは分かった……実のところ、()()ネズミはあまり関係ない。この行方不明事件にはね」

 

「何?」

 

「昨晩、我々は何者かの攻撃を受けただろう? その正体は私が既に掴んでいる。こいつとは違う、別のネズミだ」

 

「……それじゃあ、そのネズミは何なんだ?」

 

「それはこれから分かる……」

 

 キラークイーンはそう言うと、竹籠から小さな(つづら)を取り出してその(ふた)を開けた。中から姿を見せたのは、(とげ)が数本生えた小さなライフルの弾丸のようなもの。キラークイーンは慣れた手つきでその弾丸をピンセットでつまむと、逆の手で押さえつけたネズミの背中に突き刺した。

 すると、

 

「ギッ……ギィッ……」

 

ドロオ〜〜 オッ 

 

 

「! これは!?」

 

 ネズミがさらに苦しそうに一瞬(うな)ると、刺した部分からドロドロと、やかんから沸騰したお湯が(あふ)れるようにして溶けた肉が噴き出してきた。ピンク色の流動体がネズミの胴体を(おお)い隠す頃にはネズミは絶命してしまい、異常なほど強烈な刺激臭(しげきしゅう)が鼻を突き始める。戦いの中で死体や殺人も目にしてきたが、ハイエロファントにもこの光景にはかなり()()ものがあった。

 

「キラークイーン、これは……? いや、これこそが!」

 

「そう。行方不明事件の犯人の武器だ。昨晩撃ってきたものを回収したのだが……私が防いでいて良かったな?」

 

 キラークイーンの言う通りだ。彼があの時、石をぶつけて弾丸を撃ち落としていなければ、このネズミと同じようにしてハイエロファントもドロドロになっていただろう。想像して、思わずゾッとする。

 

「だが、敵のネズミは何なんだ? 妖怪か? それともスタンドなのか?」

 

「さあね。それは私にも分からないが、スタンド(我々)(おびや)かす存在であるのは確かだ。そして、これだけではない。私はこのネズミの居場所……というより、テリトリーの位置も掴んでいる。感謝したまえ」

 

「何ッ!?」

 

 ハイエロファントは思わず()頓狂(とんきょう)な声を上げた。キラークイーン、何て行動の早いスタンドなのだ。本当に彼の本体は普通のサラリーマンであったのか? 元々そのような行動を早く起こせる聡明(そうめい)な人間であったのか? ますます謎が深まるが、キラークイーンが未だ内心を見せない以上は確かめようがない。しかし、なぜキラークイーンはここまでのことをしたのか? ハイエロファントには疑問でしかない。

 

「キラークイーン。いい加減、君の目的を教えてくれないか? どうしてそこまでのことをする?」

 

「……どうして、だって? そんなもの、決まっているだろう。私からしてもネズミ()の存在は邪魔でしかない。ならば消す。それだけさ。君()中々面白いやつだが、味方だと勘違いしてほしくないな。あくまで手を組んだだけ、という……利害の一致だ」

 

「……なるほど。しかし、こちらもその程度で構わない。僕もあまり君とは関わりたくはないので…………それで、これからどうするつもりだ? 手は組んだが、まさか情報だけ開示して1人で"ネズミ取り"をするのではないんだろう?」

 

「まさか……」

 

 ハイエロファントのイヤミっぽい言葉に、嘲笑を込めた返事をする。キラークイーンは竹籠から筒状に丸めた大きめの地図を広げ、ハイエロファントに赤い枠で囲んだ地点を示した。2人のいる場所から近いわけではなく、歩いていけば、30分はかかるであろう。それでも大通りからは離れているわけではなく、人目にはそこそこつきそうな場所ではある。ここがネズミのテリトリーである、とキラークイーンは話した。

 

「この赤い枠の上に点があるだろう? ここに何があったと思う?」

 

「何、だって? ……糞か何かかい?」

 

「……ドロドロに溶かした同族(ネズミ)、もしくは溶けた人間の指や耳、挙句(あげく)には女性の乳房といった体のパーツだ。原型をとどめていないものも多かったよ」

 

 淡々と話しているが、かなりえげつない光景である。実際に目で見たらその場で嘔吐(おうと)してしまうだろう。さらに追加情報として、赤い枠の中には糞が一箇所に集められ、まるで人間でいうところの便所のような場所があったり、食べ物のカス(人間の指の骨など)を集めた貝塚モドキのものまであったそうだ。

 

「力を誇示(こじ)してナワバリを主張する……ずいぶん自身があるようだな……敵は」

 

「…………」

 

 しかし、ここで1つ疑問が生まれる。なぜキラークイーンは無事なのか? テリトリーに入られておきながら、無事で逃す生物はそういないはずだ。仮に無傷だったとしても、「戦った」という事実は述べそうなものだが、キラークイーンは一切話さない。ハイエロファントはついに質問を投げかける。

 

「キラークイーン。君の口ぶりからすると、ネズミのテリトリーに入っていったようだが、その時は攻撃を受けなかったのか?」

 

「…………」

 

 一時、沈黙が場を制する。禁断の質問であったのか? そう思いきや、キラークイーンは口を開いた。

 

「……敵のネズミはかなり賢い。素人目から見て、犯人が特定されづらいようにある程度証拠を消すこともやってのける。だからこそ、だ。相手は()()を警戒し、無闇な攻撃をやめたんだろうな。闇討ちを防いだ我々を「強敵」と認めた……簡単にテリトリーを見つけられたが、敵本体は目にしていない。ネズミは大物と予想する方がいい……」

 

「そうか……厄介だな……」

 

 ハイエロファントは腕を組みながら親指を顎に添え、ネズミへの対抗策を考える。それを見たキラークイーンは、ドロドロに溶けたネズミを地面に放り、ハイエロファントへこう言った。

 

「……既に作戦は考えてある。私はこれから罠を張る。君は適当に(ひま)を潰していてもらって構わない……」

 

「何? 2人でやるのが1番じゃあないか?」

 

「我々は()()()()()()。私は君に手の内を全て見せたくないだけだ」

 

「…………」

 

 キラークイーンは静かに語った。ハイエロファントはキラークイーンの瞳を見つめ、その真意に迫ろうとするが、彼の意志は堅いよう。抱く意思は明白だった。こうして話してみて、キラークイーンが気難しいスタンドであることが分かってきていたため、ハイエロファントはこれ以上何かを言うのは無駄だと判断して口を紡ぐ。そして了承した。

 

「分かった。そこまで言うなら、任せよう。それで……作戦の実行はいつにするんだ? あまり時間は掛けられないぞ」

 

「フン。やはり人里の人間たちが心配なんだろう?」

 

「……いつなんだ?」

 

「……明日の午前5時、寺子屋の前に集合だ。霧雨魔理沙は連れて来てもらっても構わないが、邪魔はさせるなよ。万が一、敵を取り逃した時のための()()だ」

 

「使えるものは何でも使う、かい?」

 

「当たり前だ。私は生き延びるために(ネズミ)を始末する。容赦はしない……」

 

 

____________________

 

 

 キラークイーンとハイエロファントはその後別れ、ハイエロファントは一度魔法店に、キラークイーンはネズミが活動を始める夕方にポイントとなる家々に罠を張った。その夜、とある民家にて。

 

ボグオン! 

 

 

 キラークイーンは女性の右手を握っていた。左手はサムズアップに似た、親指を人差し指の側面に付けた形を取っている。手首から後ろの部分が無くなった右手は宙にぶら下げられ、キラークイーンはそれを下から覗く。この行動に()()()()()()()()()

 相手が憎かったとか、魔が差したとか、そういうことではない。ただ、悪意に染まった意思の下で行ったことではなかった。

 

(……吉影(あの人)は……どうしてこんなものに興味があったのか……)

 

 キラークイーンの本体、吉良吉影は死亡するまでの約15年間、手の綺麗な48人の女性を殺してきた。それ以外にも殺害している者はいるにはいる。

 しかし、「女性」というところが肝なのだ。彼は常にその「手」を狙っていた。キラークイーンもそれは覚えている。頬ずりしてみたり、指輪を買ってあげたり、共に昼食を食べたり……しかし、キラークイーンには吉影の気持ちが今になって分からず、気になっているのだ。そして、「知りたい」という興味の延長線上にて、無意識に殺人が行われていた。

 

吉影(あの人)が望む「平穏」……私なら手に入れ、ずっとそばに置いておけるのか…………? 私は……吉影(あなた)が望んだものを目指す。あなたと同じように生きる。邪魔するやつは誰であろうとも爆殺し、勝って生き延びてみせよう……!」

 

 

 

 

 

吉良吉影は()()()()()()()。ただ、大きな波も谷もない、「植物の心」のような人生を……

 

 

 

 

 




基本的にスタンドの口調や性格は本体から受け継がれたような感じにしたいのですが、キラークイーンがベラベラ喋るところを想像してみると……シュールですよね。


次回、ついにネズミ退治が始まる!
ハイエロファントは敵を討てるのか?
キラークイーンは己が望むものを手に入れられるのか?
お楽しみに!
to be continued⇒

あくまで参考までに、ということで。

  • 東方をよく知っている
  • ジョジョをよく知っている
  • 東方もジョジョもよく知っている
  • どちらもよく知らない
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