幽波紋の奇妙な幻想 《Drifted Destiny》 作:右利き
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「ハァッ、ハァッ、ハァッ…………」
暗く、霧に包まれた森の中。息を切らして走る者がいる。マジシャンズレッドだ。頭と同じ高さの位置に炎の塊を浮かばせ、とにかく走る。そして、その後ろをチカチカと瞬く光が木の葉から木の葉へ移り、赤い魔術師を追跡していた。
『バカなことを。マジシャンズレッド、
「ハァッ、ハァッ……」
(
マジシャンズレッドの役目、それはハングドマンの撃破である。数分前、彼はハイエロファントの指示を受け、ハングドマンとの一騎打ちに打って出ることになった。一方、ハングドマンも
マジシャンズレッドはハングドマンをハイエロファントたちの側から引き離すため、逃走しているのだ。
『俺をハイエロファントと天狗から引き離すのが目的……だな? だが、それで助かるのはお前たちだけではない。やつの頭脳が無くなった今、機転を
たしかにハングドマンの言う通りである。
マジシャンズレッドはハイエロファントほど頭が回るわけではない。彼の強みは文字通り「火力」。ハングドマンが言うように、森の全ての露を蒸発させるとなると、ハイエロファントや射命丸は必ず巻き込んでしまうことになる。いくら自在に炎を操れると言えど、大火災を防ぎつつ細かい水の粒だけを消すのは無理があった。
だから今は逃げるしかない。ハイエロファントから、霧のスタンド
『無駄だということが分からないのかァッ』
ズ バ ァ ウ ッ !
「うぐぅっ!?」
マジシャンズレッドの右肩が血を噴いた。ハングドマンがその手に仕込んだ刃物で切り裂いたようだ。しかし、マジシャンズレッドは慌てることなく傷口を炎で覆う。ジャスティスの侵入を防ぐためだ。
だが、たった一撃でハングドマンが手を休めることはなく、二撃、三撃と切り傷が増えていく。
「……ッ!!」
『フフ。せいぜい逃げ回るといい…………お前が疲れ切った後、じっくりなぶり殺してやる』
「ぬぅ! くらえっ、"
十字に交わったマジシャンズレッドの腕が赤く燃え、炎のアンクが飛び出した。
ボボウゥッ! とハングドマンがいた露の木を攻撃するが、直撃の瞬間チカリと光が瞬いた。マジシャンズレッド前方の木は燃え盛り、パチパチと音を立てて崩れてゆく。
炎の音に混じり、ハングドマンの不気味な声が響き渡る。
『遅い……それでいて簡単に殺せる相手ではないということも含めてだが、厄介だ。マジシャンズレッド』
ハングドマンの声に反応したマジシャンズレッドは、自身の周りを囲むようにして炎を放つ。落ち葉や枝に振りまかれた炎は、その場で燃え上がり、あらゆる方向からの
ハングドマンの「簡単に殺せる相手ではない」というのは、この部分だった。ハングドマンは同じ反射物に映ったものに干渉できる能力をもつ。それゆえに同じ反射物に映りさえすれば、攻撃ができる。しかし、炎によって完全に景色を遮断されてしまえば、その炎に焼かれてしまうことだってあり得る。
互いに手出しが難しい状況であった。
『だが、いつまで
「くっ…………」
森全体が敵。逃げ場などありはしない。マジシャンズレッドは火の粉を舞わせ、ハングドマンの接近を遅らせようとした。それでも攻撃を仕掛けようとしているのか、マジシャンズレッドへ足音が迫る。
しかし、次に彼の前に姿を現したのは、予想外のものだった。
ザッ ザッ ザッ ザッ…………
「! なっ、何だ!」
「グルルゥ……」「ウゥウゥウウウ……!」
『ほぉ、こいつは……妖怪か。それも一匹、二匹どころではない。森中の妖怪共が、ジャスティスの支配下に下った獣たちがお前を迎えに来たようだぞ?』
木の裏や草むらから、腐葉土を踏みしめて現れたのはオオカミのような獣の群れ。「ような」というのは、彼らが一般のオオカミとは明らかに違う点があるからだ。
彼らの額には一つ、円形の穴が空いていた。ハングドマンの言葉通り、ジャスティスに操られている群れである。続々と姿を見せる獣たちの数、実に20はくだらない。
『良かったなァ、マジシャンズレッド。お前の
「……!」
マジシャンズレッドはゾッとした。「看届ける」ということは
ド ズ ウ ゥ ッ
「うぐぉああっ!!?」
『フフフフフ……』
マジシャンズレッドの首筋から血が噴出した!
その激痛に悶え、思わず膝をついてしまう。攻撃の正体はハングドマンの刃物だ。やつの居場所、それはマジシャンズレッドを取り囲む獣の瞳の中。
マジシャンズレッドはハングドマンが映る瞳を見つけると、火の玉を飛ばして火傷を合わせる。涙が蒸発した目玉からは、既にハングドマンは姿を消していた。直後、炎を首筋にまとわせ、霧の侵入を防ぐ。
(マ、マズい……攻撃を受け過ぎた……! いよいよ……限界……だ……反撃をするなら、今しかないか…………もう走れはしない……)
『惜しいな。あと数cm刃をズラせば殺せていたろうに……ククク』
マジシャンズレッドを囲む獣たちはジリジリと距離を詰め始めてきていた。口から唾を垂らし、
『
「!!」
さすがのマジシャンズレッドも、ここまでのダメージを受け、ここまで長く炎を操り続けたことはない。まとった炎の衣も徐々に形を崩し始めてきている。マジシャンズレッドは肩で息をしながら、顔を伏せた状態でうな垂れる。
「ギャァアアアッ!」「ウルルゥアア!!」
そして、ひときわ大きく炎が揺れた瞬間、ハングドマンの攻撃が再び始まった!
彼の掛け声とともに獣たちは一斉に飛びかかる。1.5mの数十の影全てが宙に飛び上がり、頭の先から降ってくる様はマジシャンズレッドの元へ吸い寄せられているかのようだ。ハングドマンは彼らの瞳と露を変則的に往来して、マジシャンズレッドを翻弄する。
『マジシャンズレッドッ! お前の力は
マジシャンズレッドの肩が波打った。ハングドマンに掴まれた証拠である。光のスタンドは、マジシャンズレッドの背後から飛びかかる獣の瞳の中。しかし、マジシャンズレッドには彼を探し出す気は無かった。
そう。
上げられたマジシャンズレッドの目は死んでいない!
「ぬうぅんんんおぉぉおおお!!」
ドッゴォアアァァーーン!!
『な、何ィ!?』
マジシャンズレッドの周囲の地面が割れ、業火が噴き上がったのだ!
ハンターたちの体が宙にあったその瞬間、全ての獣がさらに高く打ち上げられ、辺りの露は蒸発する。ハングドマンは逃げられず、獣の瞳の中に待機したまま、濃霧の世界へ吹き飛ばされた。
『こ……これは……ッ!? まだこれだけの余力があったのか!? だが……ここは空中! ここからならば、地上は
ハングドマンは、瞳に映し出された灰色の霧を漂いながら刃物を構える。獣の瞳が地上を向いたその時こそ、ついに決着がつく。
そして、マジシャンズレッドはハングドマンが言う通り傷を負っているため、逃げられもしない。ならば彼はどうする? もちろん…………
「立ち向かうまでだッ!! 来い、ハングドマン!」
『お前はここでリタイヤだァ! マジシャンズレッドォオオ!!』
ハングドマンは刃物を振りかざす。
マジシャンズレッドは炎を口、そして腕にまとわせる。
「うぉおおおおおぉおおぉおおお!!!」
『ハアァァアアアアッ!!』
2人の雄叫びが森中に木霊する。そしてその直後、スタンドが感知できる精神エネルギーが一つ、吹き荒れる火柱とともに消失した。
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そしてそれは、
関係者は3人。灰色の空に浮かぶ大きなガイコツ、ジャスティス。そしてこの場に姿は見えないが、鴉天狗の射命丸文とスタンド、ハイエロファントグリーンだ。
ハングドマンたちの戦いにいち早く気付いたのはジャスティスだった。
『……おやぁ? あちらでは勝負がついたようじゃなァアア…………まぁ、マジシャンズレッドがハングドマンを捉えられるはずがないが、お前たちもそう思わないかえ? あぁ〜〜、そうじゃった。もうとっくに死んでおるかぁああああぁ』
ジャスティスが笑いかけるその先には、地面に墜落した射命丸。そして彼女に巻き付き、拘束した状態で倒れるハイエロファントの姿が。
彼らは必死に抵抗した。
ハイエロファントはマジシャンズレッドと別れた後、すぐさま体を操られる射命丸を拘束した。ジャスティスはハイエロファントを引き剥がそうとするが、しっかり巻き付いた彼を離すのは難しい。そこでジャスティスは始めに、操った鳥の妖怪たちでハイエロファントを攻撃しようとする。しかし、ハイエロファントの"エメラルドスプラッシュ"によって妨げられてしまった。
ここで「上手く粘れば」とハイエロファントはつい考えてしまったが、今思えば、それが命取りだったのだろう。第二の手として、ジャスティスはハイエロファントが拘束した状態で、辺りの建物に射命丸をぶつけ始めたのだった。ハイエロファントを引き剥がすことは難しいが、彼を戦闘不能にすることはできる。その結果が
『ケケケケケ! 仲間を手にかけるのは嫌か? それが命取りだというのにっ!』
「う……ぐっ…………」
「大丈夫……ですか……ハイエロファントさん…………?」
ジャスティスの高い声で2人は目を覚ます。射命丸の体の自由が
はっきり言おう。ハイエロファントではジャスティスには勝てない。
「……あぁ……射命丸……そろそろ終わりだ……
ギリギリの戦いはついに終結へ!
ハイエロファントの元へ集いつつある手とは?
次回、第2部最終回
お楽しみに!
to be continued⇒
あくまで参考までに、ということで。
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東方をよく知っている
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ジョジョをよく知っている
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東方もジョジョもよく知っている
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どちらもよく知らない