幽波紋の奇妙な幻想 《Drifted Destiny》 作:右利き
博霊神社に東風谷早苗が来訪して2日。幻想郷はいつものように
いつもと同じように7時前に起きた霊夢は、境内に散乱する落ち葉を集め、縁側で陽を浴びる。朝の冷たい風が頬を打ち、温かい日光を感じるこのルーティーンは、現代で言うクーラーに毛布のような、自然を活かした
霊夢は縁側でくつろいでいると、ヒラヒラと舞うキタテハを見つけた。右に左に、前に後ろに、上に下に、まるで風に舞う羽毛のようだ。
「虫はいいわねぇ。
そう言って霊夢はチラリと目を逸らす。
今朝は霧が発生しているのか、風景全体が
そんなところで、霊夢は視線を戻した。目前にはまだキタテハが舞っているだろう。そう思っていた。思って
「……!」
キタテハは消えていた。
どこへ行ったのかと、霊夢は辺りを見回してみる。すると、先程までキタテハが飛んでいた地点、その石畳の上にコロリとひっくり返っているではないか。
キタテハの様子をよく見ようと霊夢は縁側から尻を浮かせ、その蝶々のところまで歩き、様子を見た。彼女はあることに気付く。
「! これは……コケ? いや……カビ?」
地に落ちたキタテハの体には、コケかカビのような緑色の物体が
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時を同じくして、「迷いの竹林」。
ズ ボ ォ オ ッ
「うわぁ!!」
ドシン! と音を立てて
「あちゃ〜……鈴仙を引っかけようと思ってたのに……大丈夫〜? ……きゃぁああああッ!!」
てゐの悲鳴が竹林中に木霊した。同胞が落ちた落とし穴を覗き込んだ彼女は、体から血の気が無くなるのを感じたと言う。
穴に落ちた同胞の体からは大量のカビと思しきものが発生し、肉をグズグズに溶かしていた。元の人型の原型は保たれていなかった。
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続いて、「霧の湖」。
スタンド、「
「よぉーーし! かんちゅーすいえいやるぞーー! 一緒にやるやつは集まれぇ〜〜いっ」
「まだギリギリ「寒中」じゃあないと思うよ」
水色の髪に青いリボンと服を着た氷の妖精、チルノが人差し指を天に向けて仲間たちを呼び寄せる。チルノにツッコミをする妖精や、少女である彼女よりも幼く見える妖精、多種多様な妖精たちがあちこちから集まってきた。20人近く集ったところで、秋の湖で水泳をすることとなり、全員でその準備を始める。
力を合わせ、船の形をしているストレングスの船首に飛び込み台を置き、台が向く先にガラクタで作ったゴールをセッティングする。
「よぉし、まずは私からよ」
「次はアタイね。アタイは水泳においても
順番を決め、ストレングスの船首から、1人の妖精が湖に飛び込んだ!
それに続いてチルノも水中に飛び込もうとするが、異変に気付く。先に飛び込んだ妖精の着水音が聴こえなかったのだ。
「あ〜〜っ! 水に入ってないなぁ? アタイの耳を誤魔化そうたって、そうはいかないわ。もしや、飛んでゴールまで行こうって
「バレバレだぞ!」とチルノと待機する他の妖精たちは、先手の妖精が飛び込んだ水面を覗く。ストレングスの船体、そして水面には、カビかコケのような緑色の物体がこびり付き、漂っていた。
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そして人里。
「ん〜ん〜……今日も良い一日が迎えられそうだァ」
ある男が通りを歩いていた。彼は37歳無職独身の
そして彼、今は服の中にある物を隠し持っていた。とても綺麗な手鏡である。手入れがされ、傷もほとんど無い手鏡。柳之介はそれを売り捌こうと目論んでおり、それ故に上機嫌だった。
「グフフフ。こいつぁ、かなり良い値で売れると見たぜ。問題はどこで売るかなんだよなぁ〜〜。一番高い値で買ってくれるとこはどこなんだろーな〜〜……この手鏡をよ〜〜……」
胸元から手鏡を取り出そうと、
「っとぉ〜〜ッ! あ、危ねぇ危ねぇ……上物をドブに捨てるとこだったぜ……早めに売り飛ばすか……」
そうして柳之介は地面に落ちた手鏡を拾うため、腰を曲げて頭から覆い被さるように屈み込んだ。
するとどうだ。金に目がくらんだ男の視界は、ウゾウゾとうごめく何かによって
「お、おぉおおぉお〜〜〜〜……? 前が……見え……み……み、みみ……ぶへぉああ〜〜〜〜…………」
「え? ひッ、キャアアアアアアァァァッ!!!」
柳之介の近くにいた通行人の女性が甲高い悲鳴を上げた。彼女の前には、男の下半身が立っていたのだ!
その上に上半身は無く、下半身の足元にはカビのような緑色の物体の山が積もっている。物体と物体の間からは、日光が反射して
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「こ、これは……ッ!?」
場所は博霊神社に戻る。
キタテハに起こった現象を「異常」と見なした霊夢。その後、彼女の頭上からは数羽の鳥がカビに侵されて墜落してきた。何が起こっているのか?
彼女は神社の鳥居から、幻想郷全体を見下ろした。目にしたのは緑の霧。いや、魔法の森に飛び交う胞子に似たものだった! 緑色のそれらは竹林を、人里を、紅魔館付近を、あらゆる土地を飲み込んでいた。
「幻想郷中に……これは……胞子? 何かが飛んでる……何が起こってるの?」
霊夢はふと、妖怪の山に目を向ける。彼女の視界には驚きの光景が広がっていた。
山が緑色だったのだ。木々の葉によって染められた色ではない。山を包むドームのように、夏の積乱雲のように、緑色の胞子が妖怪の山を飲み込んでいたのだ。ここで彼女の頭にスティッキィ・フィンガーズの言葉が
『あの山からとてつもない邪悪を…………』
「まさか……守矢神社……!?」
こんな現象を引き起こせる者は、幻想郷にはいないはずだ。ならば、新たにこの地にやって来た守矢の勢力が怪しい。妖怪か、スタンドか、それとも早苗が言っていた"神"とやらか。とにかく、こんな異変は野放しにすることはできない。
霊夢は異変を解決するべく、死のカーテンに包まれた「妖怪の山」へと向かった。
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「これは!? 何が起こっているんだッ!?」
人里も大混乱に陥っていた。人々の体からカビが発生し、その部位の肉が腐っていく。腕が朽ちてちぎれた者、顔面をカビに覆われた者、下半身と上半身が分離しても生きている者、まさに
慧音は人々の混乱を抑えようとはするが、いきなり自身の体が腐り始めて焦らない人間などいない。それは慧音も同じである。彼女も右手の指先にカビが生え始めていた。
「慧音、無事かッ!?」
「ス、スティッキィ・フィンガーズ……!」
通りの奥からスティッキィ・フィンガーズが走り込んできた。慧音の元までやって来ると、肩を押さえて落ち着くよう言い聞かせる。
「慧音、決して慌てるな。無闇に動けば"能力"を受けるぞ」
「こ、これは何だ!? 幻想郷に何が起こってる?」
「……スタンド攻撃だ」
「何……ッ!?」
S・フィンガーズは知っている。このカビの正体を。ばら撒く者が何者かを。
それは、かつて相対したギャング組織の追手のスタンド能力だった。ローマにて、最後に立ち塞がった者の内の一人であり、本体であるブチャラティは直接戦っていないが、仲間が始末したことは知っている。
まさか、こいつも幻想郷に来るとは…………
「いいか? 絶対に
「これも……スタンドの力だと言うのか……」
「……スタンドは本体の無意識の才能と言ってもいい。心の中に罪悪感があれば、無意識に
「…………話は……聞かせてもらった」
『!』
S・フィンガーズの話が終わると同時に、2人の間に割り込む者が現れた。慧音とS・フィンガーズは同時に振り返る。そこにいたのは、キラークイーンだった。走って来たS・フィンガーズと同じく、彼からカビは出ていなかった。
「警戒して、あまり動かなかったのが良かったな……恐ろしいスタンドがいたものだ」
「キラークイーン……」
「……キラークイーン。俺は今からカビのスタンドを倒しに行くつもりだ。一緒に……来てくれないか? あんたの力が必要になるかもしれない」
「……!」
キラークイーンと彗音にとって予想外の提案だった。彗音は思わずキラークイーンを横目で見る。彼はS・フィンガーズを黙って見つめるだけだ。
S・フィンガーズも無理に、とは思っていない。彼が嫌がるのなら、自分一人で行くつもりだ。そして、キラークイーンの答えは……
「……わざわざ、自分の命を捨てに行くものだろう? 誰だって君みたいに、他人のために動けるわけじゃあない。対処法が分かっているなら、尚更自分の身を守るものだ……」
「…………!」
答えはNOと見た。想像通りだ。そもそもキラークイーンは誰かのために戦う、という心など持ち合わせてはいない。自分のために戦うだけだ。しかし、S・フィンガーズはそれを悪いとは思っていない。自分の力を自分に使い、生き延びることなんて誰だってするし、
S・フィンガーが
「……分かった。なら、俺は今から「妖怪の山」とやらへ向かう。せめて、慧音と共に人里の人間たちに対処法を教えてやってくれ」
そう言うと、S・フィンガーズは2人に背を向けて走り出した。眼前にそびえ立つ山目掛けて。
走る通りの脇へ目を向けると、苦しむ人々が家の前で助けを求めている。動かない家内を抱きしめ、泣く者もいる。
この世の全ての人間を助けようなどと、決してそんなことは思わない。S・フィンガーズはただ、赦すことができない
「もしもの話だ」
「ッ!!」
突如、走るS・フィンガーズの背に語り掛ける者が現れた。かなりのスピードで走っているが、それに追いつける者などそういないはずだ。
振り返ってみれば、走ってきていたのはキラークイーンだと分かる。
「もしも、君が敗北してしまった場合、この世界にカビの弱点を知る者はいなくなる。気付く者はいるだろうが、そいつが敵スタンドを倒すまでに、人里が無事でいられるかな?」
「…………」
「保証はない。私も、人間たちの"流れ"の中で生活している。それが脅かされるなら、いいだろう。協力してやる。だが、私は生き延びるからな。どんな手を使ってでも、だ」
「キラークイーン……」
強力な味方ができた。S・フィンガーズはキラークイーンの能力、そして本性は知らない。知る必要も無いだろう。彼らが結託する理由は……"共通の敵"で十分である。それ以上の
妖怪の山へ並んで走る2名だったが、その頭上を一つの影が飛び去った。何者かと思って見上げるS・フィンガーズたち。
「! あれは……」
「霧雨魔理沙か……キラークイーン、俺に考えがある」
チョコラータは結構好きです。
ついに守矢の勢力と激突!
誰が勝って生き延びるのか?
誰が負けて死ぬのか?
お楽しみに!
to be continued⇒
あくまで参考までに、ということで。
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東方をよく知っている
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ジョジョをよく知っている
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東方もジョジョもよく知っている
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どちらもよく知らない