幽波紋の奇妙な幻想 《Drifted Destiny》   作:右利き

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35.激闘! vsアヌビス妖夢

「…………」

 

「…………」

 

 両者は睨み合う。

 周りにいる野次馬たちは、ボロボロになったキラークイーンが退散したことにホッとするが、今度は飛び込んで来た謎の甲冑に肝を冷やしていた。

 現れたこの甲冑、突然暴れ出した妖夢とキラークイーンの間に割って入ったので、おそらく自分たちの味方であろう。問題は、彼が妖夢を止められるのか、ということだ。

 しかし、心中穏やかではないのは当人2人も同じ。相手の出方を探り合い、互いが動けなくなっているが、隙はない。先に集中の切れた方が、先手を受けることになる。

 

「…………」

 

「…………」

 

 睨み合いはまだ続く。

 里の人間も唾を飲んで、()を待つ。

 すると、

 

プゥゥ〜〜〜〜ン

 

「…………!」

 

 チャリオッツの視界に、突如ハエが入って来た。

 まるで挑発しているかのように、チャリオッツの顔前を飛び回る。鬱陶しいにもほどがあるが、それでもまだ、チャリオッツは集中を欠かない。欠くわけにはいかない。

 しかし、ハエはまだ飛び続けている。早く出て行けと思いつつも、意識はアヌビス妖夢にある。

 そしてハエが妖夢の姿と()()()()()()()()()

 

ドヒュゥウ〜〜ン!!

 

「!」

 

「フハハハ! 運が悪かったな、チャリオッツ! 視界から敵を外すとはッ!」

 

「……見えて……いたのかッ!!」

 

 ハエが妖夢と被った一瞬。妖夢の姿が見えなくなった直後、アヌビス妖夢は猛スピードで距離を詰めて来た!

 妖夢とチャリオッツの間には12、3m程スペースがあった。その距離を瞬間的に移動してくる瞬発力は目を見張るものだ。しかし、観察力も凄まじい。飛ぶハエがチャリオッツの視界に入り、自身の像と被ったことを察知できるほどの視力だ!

 

ギャイィ〜〜〜〜ン!

 

「ぐっ……くぅ!」

 

「第一撃は防いだか…………」

 

 チャリオッツのレイピアは、アヌビス妖夢から繰り出される唐竹を何とか受け止める。チラリと自身の足元を見てみれば、先程目の前を飛んでいたハエが真っ二つになって転がっている。その正確さ、侮れない。

 そして、込められる力も相当なもので、レイピアは今にも力尽きそうなほどにしなっていた。

 

「しかし、第二撃はどうだ!? 獲物が一本だけの貴様で、こいつをどう防ぐ!?」

 

 そう。妖夢は二刀流。楼観剣を受け止めても、まだ彼女には白楼剣が残っているのだ。

 楼観剣でチャリオッツのレイピアを押さえつつ、妖夢の腕は白楼剣を角度30°傾けてチャリオッツを輪切りにせんと狙いを定める。

 対するチャリオッツは……

 

「防ぐ必要はない…………()()()()!」

 

「……何を言ってるんだァ! 死ねィ!!」

 

 「防ぎはしない」。そう宣言したチャリオッツはレイピアをうねらせ、楼観剣を弾き返した。

 その間に、今度は白楼剣が迫る!

 チャリオッツは自身で言ったように、レイピアをそちらへ向けることはしなかった。向かわせる先とは!

 

「!! そうか……ッ! ()()()()!」

 

「攻撃は最大の防御だぜ」

 

 獲物が2つあると、武器を過信していたアヌビス妖夢の一撃(白楼剣)はチャリオッツのレイピアにスピードで負けることとなる。

 レイピアの向かった先には、妖夢の首があった!

 いくらエジプト9栄神のスタンド、アヌビス神でも死体は操れない。妖夢自身を殺されれば、戦闘不能になるのは言うまでもないこと。

 故に、妖夢が死にかねないこの一撃を、アヌビス神は防がざるを得ないのだ!

 

ギャァアン!

 

「やはり防いだな……」

 

「フン……味な真似を……!」

 

 チャリオッツの胴体を狙っていた白楼剣は高速で切り替えされ、妖夢に迫るレイピアの鋒を刃の側面でガードした。

 ほんの少しの弾けるような金属音を放ち、喉元まであと数cmのところでレイピアは止まっている。

 承太郎のスタープラチナのスピード、そして正確さを学んでいての業。アヌビス神は以前よりも確実に強くなっている。きっと、無敵のスタープラチナでも勝てないレベルにまで…………

 

「ハァアアア!!」

 

「おぉおおぉおおお!」

 

 周囲にいる者たちの耳をつん裂くような音をそこかしこにばら撒きながら、アヌビス妖夢とチャリオッツの剣は加速する。もはや野次馬たちの目には見えないレベルである。

 それと同時に彼らは恐怖し、徐々にその場を離れる者が出てきた。当然の行動だ。激しくぶつかり合う刃は、まるで猛獣。それを操る両者も、凄まじい剣幕で互いの命を切り裂かんとしている。スタンドエネルギーも大きくなっている。

 

 

 

「! すごいエネルギーだ……! チャリオッツはもう敵と戦っているぞ!」

 

「それじゃあ急がねぇと!」

 

 大通りを走るハイエロファントたちはそれを察知し、チャリオッツと妖夢の元へと、足を早める。

 だが、チャリオッツたちの放つエネルギーを感じ取ったのは、ハイエロファント一行だけではない。人里の中で一人。そして、『妖怪の山』でもう一人。確かに、チャリオッツのエネルギーを感知していた。

 中でも、『妖怪の山』にいた者は、チャリオッツを知っている。()が心の中で抱くことは、再び(ほうむ)ってやろうという静かな殺意と、因縁により立ちはだかる、過去に打ち勝てという『試練』を乗り越えんとする邪悪の意志であった。

 

「ポルナレフの……シルバー・チャリオッツか……」

 

 

____________________

 

 

「ハァ!!」

 

「ノロい、ノロい!」

 

 2名が剣を交える大通りには、既に人っ子一人見えなくなっていた。その代わりと言うように、通りを挟む家々の壁には無数の切り傷が刻まれており、それまでの熾烈(しれつ)な戦いの規模を物語っている。

 レイピア一本で攻め続けるチャリオッツだが、彼の装甲にも傷が付いている。

 それに対してアヌビス妖夢。余裕に満ち溢れていた。

 アヌビスの学習力は著しく、戦いが長引けば長引くほど相手の能力を学び、さらに強くなってしまう。

 そして、彼が取り憑いているのは剣の達人、魂魄妖夢だ。どんな者であろうとも、このコンビに苦戦しないはずがない。

 

ギャイィン!!

 

「ハァ……ハァ……ッ!」

 

「スタミナ切れか? チャリオッツ」

 

 剣を弾き、チャリオッツは後退。片膝をつき、肩で何度も息をする。瞳はまだ闘志を失ってはいないが、彼の体力は底が見えている状態だった。

 チャリオッツが疲労している中、アヌビス妖夢は全く疲れを見せていない。呼吸の一つも乱れていない。

 やはりと言ったように、今のチャリオッツでもアヌビス神に勝つことは難しいようだ。アヌビスもそれを悟り、拍子抜けて小さなため息を吐く。

 

「……強くなり過ぎるのもつまらんな。目的は()()とは違うのだが…………」

 

「まだ……負けちゃ……いないぞ……!」

 

「…………」

(そろそろ()()()()とするか……だが、さっきから……)

 

 チャリオッツを横目に、アヌビス妖夢はチラリと『妖怪の山』を見る。そう。彼は感じていた。

 

(チャリオッツは戦いで気付いていないようだが、あの山から感じるこの気配…………()()()()。別物であるのは分かっているが、それでも似ている……DIO様に…………DIO様の『世界(ワールド)』に…………)

 

「なに……よそ見してる……!」

 

「あぁ、そうだったな。まずはお前を始末してやる! 次に敗北するのはチャリオッツ、お前の方だったなァーーッ!!」

(謎のスタンドエネルギーを探るのは、その後だ!)

 

 アヌビス妖夢は楼観剣を構えると、地面を力強く蹴って大きく跳躍する。狙いはチャリオッツの首一箇所。

 確実に断頭するため、万力のような力を込め、そして空中で刃の角度を正確にする。

 

「死ねィ!! チャリオッ……」

 

 

ドバァァアア〜〜ーーーーッ!

 

「ぬぅおおぅ!?」

 

 楼観剣の刃がチャリオッツの首に当たる瞬間、彼の背後から緑色の結晶が無数に飛び出してきた!

 宙に浮いていたアヌビス妖夢。反応することはできても、構えを解くこと、回避はできない。『雨のようなエメラルド』は、そのまま無防備なアヌビス妖夢の体中に突き刺さり、チャリオッツの前方へと肉体を吹っ飛ばす。

 

「ぐあっ!!」

 

「あ、あれは……ハイエロファントの……」

 

「一人で突っ走るのは、前から変わっていないようだな。チャリオッツ」

 

 チャリオッツは背後から発せられた声に振り返る。

 聞き覚えのある声の主、ハイエロファントが激戦の地に駆けつけたのだ。後ろからは魔理沙も走って来ている。

 久々に火を噴いたハイエロファントの"エメラルドスプラッシュ"を見て、彼女は少々興奮気味のようだ。ハイエロファントの隣に来ると、嬉々として声を上げる。

 

「決まったな、ハイエロファント! やっぱり(てのひら)から撃つのかっけーや」

 

「あぁ……だが、見ろ。当てはしたが、ピンピンしてるぞ。あの妖夢、やはり何かおかしい」

 

「スタンドだ。スタンドのアヌビス神が、あの妖夢とかいう女の子を乗っ取っているんだ。気を付けろ。やつはエジプト9栄神の一人だッ!」

 

 チャリオッツがハイエロファントたちに説明した直後、地面に倒れ伏す妖夢の体は持ち上がり、そして何事も無かったようにしてその場で立ち直る。

 彼女の瞳孔は開き、その瞳は鋭い眼光を放ちながら、ギョロリとハイエロファントを睨みつけた。

 

「花京院典明の法皇の緑(ハイエロファントグリーン)か。面と面を合わせるのは、これが初めてか?」

 

「そうだ。アヌビス神、お前に忠告する。死にたくなければ、早く妖夢の体から離れろ。そうすれば、気絶だけで済ませてやる」

 

「ククク……そう言って、敗れたやつがいたな〜〜……名前は確か……スティッキィ・フィンガーズだったか?」

 

「な、何っ!?」

 

 アヌビス妖夢の口から語られた、スティッキィ・フィンガーズの名前に最初に反応したのは魔理沙だった。

 ハイエロファントの攻撃を見た辺りまで、彼女は少々浮かれていた気分だった。だが、彼女らは元々消えたS・フィンガーズの行方を探しに人里に来たのだ。件のスタンドの名が敵の口から語られれば、誰だって悪い想像をしてしまう。魔理沙もその一人だった。

 魔理沙は声を荒げて問いを投げかける。

 

「おい! スティッキィ・フィンガーズが何だって!? お前、あいつをどうした!」

 

「はて? どうしたか…………真っ二つにしてやって……川に流したんだったか? 呆気ないやつだったぞ〜〜?」

 

「!!」

 

 アヌビス妖夢は煽っている。魔理沙を挑発しているのだ。

 S・フィンガーズの名前を出し、それに反応した時点で、アヌビス神は魔理沙がどういう人間なのかを瞬時に理解した。感情の起伏が激しいタイプの人間だと。

 それが判明したら何が変わるのか? 

 アヌビス神の特性を思い出せば、すぐに分かることだ。怒った魔理沙がメチャクチャに攻撃を加えてこれば、アヌビス神はそれを学習する。そしてさらに強くなっていくのだ。スタープラチナと戦い、敗れてしまったあの時よりも、さらに!

 相手が3人もいるならば、尚更のこと。

 

「3人で来るか? いいだろう! 全員まとめてかかって来い!」

 

「言われなくてもだ。ハイエロファント! 援護しろ!」

 

「あぁ。チャリオッツ、君は少し休んでろ」

 

「そうさせてもらうぜ……」

 

 そう言うと、チャリオッツは地べたに腰を下ろし、スタミナの回復を急いだ。

 ハイエロファントはチャリオッツの前に立ち、そのまた前に立つ魔理沙が突破された時のためにと"壁"になる。

 魔理沙は帽子やポケットの中からミニ八卦路、円筒を取り出し、弾幕戦の幕を開けようとしていた。

 アヌビス妖夢は依然、剣を構えたままだ。身長に見合わない楼観剣と、それよりも少々短い白楼剣を両手にして。

 

「妖夢の体は返してもらうぜ……ワン公」

 

「お前なんぞにできるかな? 魔法使い」

 

「へっ、やってみるさ…………だりゃッ!!」

 

「!」

 

 アヌビス妖夢への回答に、間髪入れず一球の弾幕を投げつける魔理沙。刀を抜くように、高速で振り抜かれた左手は、呑気していたアヌビスには見えなかった。

 しかし、自身の方へと飛んでくる弾幕、それは避けられぬスピードでは断じてない。だが、あえて余裕を見せつけるため、アヌビス妖夢は白楼剣を振るい、弾幕を左手側へと弾き飛ばした。

 

バシン!

 

「不意打ちのつもりか? なってないぞ」

 

「そりゃ、不意打ちじゃあねぇからな。も一発いくぞ!」

 

「何を…………」

 

 アヌビス妖夢は魔理沙の策を理解することができず、呆れ顔を見せている。

 ただ弾幕を投げつけただけ? 弾かせるのが目的なら、刃に何かが付着するように仕掛けたか? 

 そんな予想を立てるが、白楼剣の刃には特に何も変わった点は無さそうである。

 だが、弾幕を剣で弾いた後から数秒後。アヌビス妖夢の耳に()()()()()が聴こえ始めてきた。

 

シルシル シルシル

 

「……何だ? この音は……」

 

シルシル シルシル

 

「これは……銀色の円筒!?」

 

「ほらいくぜ。もう一発だ。オラァッ!!」

 

 アヌビス妖夢の左耳へ謎の音を発する物体。それは空中で回転しながら浮遊する、魔理沙の弾幕円筒だった。

 魔理沙は弾幕を撃ち出すと同時に、この円筒も投げつけており、剣で弾いたとしても空中で止まるようにしていた。止まるとどうなるか?

 円筒の口はしっかりとアヌビス妖夢をロックオンしている。そして、弾幕は円筒の口から発射される。まさに、小さな固定砲台である!

 

ボヒュゥゥ〜〜ン!!

 

(円筒と、魔法使い(魔理沙)から弾幕が撃たれる! 挟み撃ちを狙ってるということか…………そして、今投げられたこの弾幕にも、同様に円筒が()()()()()()はず。ならば、弾くのではなく、避ける!)

 

 自分めがけて飛んでくる弾幕を見ながら、かつ、左手から狙う円筒に注意を払いながら回避を考える。

 左にある円筒から発射される弾幕と、前方からの弾幕を避けられる道。アヌビス妖夢は右前方へ避けることを決意する。2つの弾幕を回避し、同時に魔理沙までの距離を詰めるつもりだ。

 そして一歩踏み出す!

 

「おっと、そっちに行くのか? 当たるぞ」

 

「何?」

 

ボバァアアン!

 

「くぅあッ!!?」

 

 弾幕を避けた直後、魔理沙が弾幕と同時に投げた円筒が爆裂した。ネズミ花火の如く、そこら中に火の粉と光る弾をばら撒き、大暴れする。

 アヌビス妖夢は咄嗟(とっさ)に左腕でガードしたが、間に合わず、その衝撃により、二の腕の半分までかかっている袖が弾け飛んだ。

 "炸裂弾"。対スタンド用に、魔理沙が新たに開発したアイテムである。チャリオッツを追い込めるほど強いアヌビスも、初めて見るものには対処し切れない。

 

「ッ…………!」

 

「どうだ? こんなちっこい魔法使いでも、お前に傷を負わせるのは簡単だぜ。ナメんなよ」

 

鬱陶(うっとう)しいぞ! スタンド使いでもないやつが、この俺に対して調子に乗るなァ!」

 

「エメラルドスプラッシュ!!」

 

 左肩から硝煙を上げるアヌビス妖夢は、()()()()()人間にしてやられたことに激昂し、楼観剣を魔理沙めがけて振り上げる。だが、そこから放たれる重い一撃は防がれることとなった。

 ハイエロファントが魔理沙の援護についているからだ。無数に飛ばされる結晶弾は振り上げた楼観剣でガードされるが、魔理沙にケガをさせないという使命は(まっと)うした。

 彼がいる限り、魔理沙に手を出すのは難しい。剣だけでは、エメラルドスプラッシュに牽制(けんせい)されてしまう。

 そう。剣だけでは。

 

「……そうだな。この世界は『弾幕』で戦うんだった…………そして、この妖夢も弾幕を使うんだろう?」

 

「そうさ。それがどうした」

 

「フフフフフ」

 

「……! 魔理沙、離れるんだ! ()()は僕でも防ぐことはできないぞッ!」

 

「!」

 

 いち早く気付いたハイエロファントは魔理沙に叫んだ。

 アヌビス妖夢が服の中から取り出したもの。それは、一枚のカードだった。幻想郷にしばらく住んだ者なら、誰だって分かるアイテムである。

 スペルカード!

 

「ここは僕の触脚で……ッ! 魔理沙、その内にアヌビス神から距離を取れ!」

 

「あ、あぁ……」

(まさか……本当に妖夢のスペルカードを使えるのか!? にわかに信じられねぇぞ)

 

 ハイエロファントの言葉の後、いつから張り巡らされていたのか、至る所から槍状の触脚が飛び出してきた。

 計6本の触脚の標的は、妖夢の左手に剣の柄と共に握られた一枚のカード。全ての鋒が一斉に襲いかかる!

 

「えぇい、無駄なことよッ!」

 

「うぐぅ!」

 

 だが、ハイエロファントの触脚が妖夢に届くことはなかった。空いた右手の楼観剣から数発の弾幕が発射され、全ての触脚は撃墜。先端を失い、力無く宙を舞う。

 

「ハハハハハッ! さぁ、くらえ。魔法使い! これが魂魄妖夢のスペル……六道剣(ろくどうけん).一念無量劫(いちねんむりょうごう)!」

 

「う……うわぁああぁあああ!!」

 

「まずい……! 魔理沙ァーーッ!!」

 

ドガァアア〜〜〜〜ーーン!!

 

 まだ楼観剣の射程内にいた魔理沙。

 スペルカードを使ったアヌビス妖夢は、カードの使用と同時に楼観剣を高速で振り抜いた。魔理沙のいた位置は、確実に巻き込まれていた。

 しかし、それで終わらないのがスペルカードである。アヌビス妖夢の斬撃からは、すさまじい密度の弾幕の群れが放たれていた!

 魔理沙はもちろん、その後方にいたハイエロファントでさえも巻き込まれてしまう弾幕量。それはまるで、色鮮やかに咲き誇る藤の花のよう。

 攻撃の雨が止んだ跡は、大通りを挟む家々は倒壊し、見るも無惨な、殺風景に変えられてしまった。

 吹き飛んだハイエロファントは、砂埃が収まると顔を上げ、魔理沙の安否を確認しようとする。

 

「ぐっ……くそ……魔理沙……どこにいるんだ!?」

 

「木っ端微塵に吹き飛んだぞ。残念ながらなぁ〜〜」

 

 砂埃が晴れ始めた地点から、地の底から響いているような声が返ってきた。アヌビス神だ。

 

「よ、よくも魔理沙を……!!」

 

「フン。どうせ、あのまま戦い続けてもお前たちの負けだ。俺は既に()()()からな」

 

「何だと……!?」

 

「承太郎のスタープラチナ。その圧倒的なパワー! すさまじいスピード! 目を見張るほどの精密動作性! その全てを俺は覚えている。そして、この地で新たに触れる『弾幕』も、今日この場で覚えてしまった。もうこの幻想郷で、俺に敵う者はいなくなるッ!!」

 

 這いつくばるハイエロファントを見下ろし、手に持つ剣をさらに強く握り締めながら、アヌビス神は吠える。

 だが、妖夢のスペルカードを初めて使ったというのに、ここまでのダメージを与えられるとなると、本当にアヌビス神は弾幕を覚えたと言ってもいいだろう。そうなると、幻想郷での弾幕戦でも、数々の猛者たちがアヌビス妖夢に苦戦することだろう。戦えば戦うほど強くなるのだから。

 しかし、

 

「いいや、ハイエロファント! 私は大丈夫だぜ!」

 

「!」

 

「何!?」

 

 突如、ハイエロファントの背後から、魔理沙の元気な声が響いた。

 素っ頓狂な声を上げたアヌビス妖夢と共に振り返ってみると、魔理沙は確かに立っていた。だが、それよりも注目すべきものが、彼女の背後に()()()()()

 その数、なんと7つ!

 

「ま、まさか……」

 

「チャリオッツ……()()()()()()のか……!」

 

 砂埃が晴れると、その場には鎧を脱ぎ去り、さらに細くなったチャリオッツが……7人!

 この姿になると、数体の分身を残像によって生み出せるほどのスピードを出すことができるのだ。

 全員が同じポーズを取り、アヌビス妖夢へとレイピアを向ける。第2ラウンドの始まりだ。

 

「次の剣さばきは……どうかな」

 

 




クリーム戦はかなり好評のようでしたが、今回はどうでしょうか…………
戦闘シーンはかなり難しいですね……

すっかり忘れていましたが、ここで(ストレングス)の解説を入れようと思います。
(ストレングス)
本体名:フォーエバー(オランウータン)
容姿:
貨物船。
能力:
貨物船のヴィジョンをしているため、その内部も本物と同じような構造となっている。内部にある設備や道具、壁、床などを自由に動かし、また変化させることができる。


ついにスペルカードを解禁したアヌビス妖夢!
しかし、それと同時にチャリオッツも本来のスピードを解き放つ!
戦いはさらに激化していく……!
お楽しみに!
to be continued⇒

あくまで参考までに、ということで。

  • 東方をよく知っている
  • ジョジョをよく知っている
  • 東方もジョジョもよく知っている
  • どちらもよく知らない
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