幽波紋の奇妙な幻想 《Drifted Destiny》 作:右利き
『ウマ娘』を友人に勧められ、やってみるけどよく分からない、というので更新が遅れ気味に……
「甲冑を……脱いだのか…………」
「………………」
アヌビス妖夢は驚いたように目を見開き、同時に、どこか嬉しそうに口角を上げる。
アヌビス神は一度、チャリオッツの本体であるポルナレフに取り憑いたことがある。その時、アヌビス神はチャリオッツをも我が物にしたのだが、スタープラチナの猛攻により、その装甲を破壊されている。
つまり、アヌビス神はチャリオッツの『真のスピード』を知っている。本人は心の底からそう思っていた。だが、まさか
「もう大丈夫だ。魔理沙、お前もハイエロファントと一緒に援護に回ってくれ。俺が直接戦う」
「あ、あぁ……!」
「チャリオッツ……」
「これで、ちゃんとした3対1か……だが、全力のお前を倒すことが俺の目的。第2ラウンドだ。チャリオッツ!」
ギャァアア〜〜ーーン!!
アヌビス妖夢の言葉が終わると同時に、チャリオッツの体が突進する。そして、楼観剣とレイピアが真っ赤な火花を散らしてぶつかり合った。
魔理沙とハイエロファントには、チャリオッツの動きは全く見えなかった。だが、アヌビス妖夢は認識できている。下に降ろしていた刀を、チャリオッツの接近と同時に上げられたということは、そういうことだ。
第一撃が防がれた後、再び見えない速度でレイピアが振るわれ、コンマ一秒よりも
ギャァアン ガィン!
ドギャギャギャギャ カィ〜〜ン!
両者の剣撃はさらに加速する。
圧巻の光景である。援護を任せられた魔理沙もこのスピードの戦いに注目しきっている。手に持つ円筒や、その他アイテムを使おうとする気力は未だ湧かなかった。
しかし、ハイエロファントは違った。地面に着く彼の脚はクモの巣のように
それにしても、アヌビス妖夢もかなり粘る。残像をいくつも発現させるほどのスピードをもつ、現在のチャリオッツだけでなく、甲冑を着たチャリオッツ、キラークイーン、そしてS・フィンガーズと連日戦っているというのに全く疲れを見せない。これは妖夢の体力なのか、それともアヌビス神のスタンドパワーの影響なのか…………
剣撃がどんどん加速していく中、やはり2名の位置は変わっていくものだ。回避と防御、攻撃を繰り返す内に、最初いた地点を離れている。
最初からトップスピードのチャリオッツと、それを知らなかったアヌビス妖夢では、やはりチャリオッツの方が一歩リードしていた。足を後退させていくのは、アヌビス妖夢の方だ。
しかし、ここでアヌビス妖夢。また一歩引いたところで、あるものに気が付いた。それは…………
「な、何だッ!? これは
「ご名答。そして、
ドバァアア〜〜ーーッ!
後ろへ下がる妖夢の
そしてそれに触れたら、"エメラルドスプラッシュ"が自動で標的を襲う。それを感知すればもちろん、ハイエロファントもアヌビス妖夢へと狙いを定めた。そして、解き放つ!
「くらえ! エメラルドスプラッシュ!!」
「ぐぬぅぅ……しかし、この程度の弾速! チャリオッツの剣と同時に相手するのは、厳しいとでも思ったか!? 全弾叩き落としてくれる!」
「させるか! 私もぶちかますぜッ!」
ハイエロファントの掌と、結界から放たれるエメラルドスプラッシュ。そして魔理沙の弾幕が、チャリオッツの猛攻をさばき続けるアヌビス妖夢へと向かう。
しかし、やはりプライド故か、ハッタリを言わないアヌビス神は宣言通りに弾幕と緑色の結晶弾を白楼剣で撃墜していく。楼観剣はチャリオッツのレイピアの相手だ。
妖夢の目はチャリオッツを追い、おそらく音や空気の振動だけを頼りに弾幕を防いでいるのだろう。チャリオッツの言っていたように、アヌビス神は強敵だ。
「ぬぅうう!!」
(さ、さすがにキツいかッ……! 何とか…………せめてチャリオッツの動きを止めねば、あの
「どうした!? アヌビス神! 余裕が無くなってきたんじゃあないのか!?」
「…………!!」
(クソッ…………チャリオッツを止めねば……援護射撃があるこの状況では、どのみちチャリオッツを倒すのも困難だ…………この邪魔な結界さえ無ければ!!)
ハイエロファントの結界は、上空を除いて何重にも張られている。自身の肩ぐらいの高さまで、何本もの触脚が伸び、アヌビス妖夢の回避できる範囲を狭めているのだ。
それに触れれば攻撃が始まり、かと言って切断を試みれば、チャリオッツの高速のレイピアと魔理沙の弾幕が水を差してくる。
しかし、アヌビス神も万策尽きたわけではない。
アヌビス妖夢が取った行動。それは、
「結界を切断するのだ! 強行突破、それしかないッ!」
「!」
アヌビス妖夢の楼観剣が、ハイエロファントの張り巡らされた触脚に迫る。チャリオッツはそれを目で追い、それまでと同じように結界の破壊を阻止しようとした。
だが、それが罠だった。
切断はしない。アヌビス神はチャリオッツとの戦いにおいて、初めて『嘘』を吐いたのだ。
結界に迫る刃は途中で止まり、阻みにきたレイピアが空を切る。確実に当てるつもりで放ったのだから、勢い余ってチャリオッツの身が乗り出した。今だ!
「ハマったなァ〜〜? チャリオッツ」
「うっ……!?」
ドバァアア〜〜ーーン!
身を乗り出したチャリオッツの背中を右肘で叩き、触脚のネットへとチャリオッツを突っ込ませる。楼観剣の
そして、身動きが取れず、仲間の攻撃を受けるチャリオッツから、アヌビス妖夢は注目を外す。その瞳が次に映すのは、結界の外にいるハイエロファントと魔理沙である。
「次は……お前たちだ」
「な……んだと……!?」
結界は上部には張られていない。つまり、そちらからであれば、アヌビス妖夢は飛び上がって『リング』から出られるのだ。もちろん、アヌビス妖夢はそれを使う。
高速で上空へ飛び上がると、ミサイルのように降下する。白楼剣と楼観剣、先に血で染まるのはどちらかな?
「ヤ、ヤバい! アヌビスのやつ、かなり速いぞ!」
「攻撃が間に合わない……!」
(触脚も、アヌビス神の攻撃の前に戻すのは不可能だ! どうやって防ぐ……? 何も思いつかないぞッ)
「フハハハハ! 終わりだ! お前たちを始末してから、チャリオッツを倒してやる。くらえ! 第3部、完!!」
アヌビス妖夢は楼観剣を高く掲げ、ハイエロファントたちへ狙いをつける。そして大きく振り下ろし…………
ドメシャァアッ!!
「はブゥッ!!?」
楼観剣は完全に振り下ろされることなく、空中で止まってしまう。妖夢の頬には何者かの拳がめり込んでいた。勢いよくぶつけられ、妖夢の体は後方へ吹っ飛んだ。
この拳はどこから現れたのか?
拳の手首から後ろは、紐のようなものが地面へと伸びており、目を移して見ればそこには驚くべきものが。
「こ、これは……『ジッパー』だ! ジッパーを使うやつなんて、幻想郷には
「バ、バカな…………お前は! 殺したはずだぞッ!?」
『ス、スティッキィ・フィンガーズ!!』
伸ばされた拳は、開かれたジッパーの中へと落ちていく。それと同時に、地面に取り付けられたジッパーの口は、さらに大きく広がった。
中からゆっくりと姿を現したのは、アヌビス神が真っ二つにしてやったと、そう言っていたスタンド、スティッキィ・フィンガーズである。
体全体を地表へ出すと、吹っ飛ばされて尻餅をつくアヌビス妖夢を見やった。
「己の力を過信し、思い上がり、相手の死体を確認しなかったお前の落ち度だ…………殺し屋だったら、失格だな」
「き、貴様……ッ!!」
「スティッキィ・フィンガーズ……てっきり、あいつが言った通り、死んだのかと……」
「簡単なことだ。魔理沙。やつの刃が体に到達する前に、自分の体をジッパーで分断した。後で回収するのが面倒だったが、攻撃を回避するのにはそれが一番の方法だった」
そう。S・フィンガーズが自身の口で語ったように、彼はアヌビス妖夢の攻撃が胴体を切り裂く寸前、体にジッパーを取り付けて解体。かすり傷を負いはしたが、ジッパーで体を切り開くことにより、大事にならずに済んだのだ。
そして水路へ落ち、流れていった先で体を元に直し、チャリオッツたちとアヌビス妖夢の戦いに駆けつけた。
「ク……クソッ……!」
「リベンジマッチといくか? それとも4対1は嫌か?」
「貴様程度のカススタンドが……調子に乗ってるんじゃないぞッ!! 今度こそ真っ二つにしてくれるわッ!」
アヌビス妖夢はそう吐き捨てると、S・フィンガーズに高速で飛びかかる。
迎え討つS・フィンガーズは、拳を握り締めて構えを取る。スピード勝負でも仕掛けるのか、退避する気は一切無いように感じる。実際その通りだ。
魔理沙とハイエロファントは、S・フィンガーズの後ろからアヌビス妖夢を撃ち落とそうと、それぞれ弾幕を撃ち出す態勢を整えた。しかし、その3名の攻撃が始まることはない。4対1。もう一人いるのだから。
ギャイィ〜〜ーーン!
「チャリオッツ…………!!」
「フゥ。ハイエロファント。"エメラルドスプラッシュ"の威力が上がったか? J・ガイルと戦った時に一度食らったが、あの時より痛かったぞ」
「……あぁ。甲冑を着ていないとはいえ、君の体にクレーターを残せるぐらいは」
アヌビス妖夢の攻撃を止めたのはチャリオッツだ。
ハイエロファントの結界に絡ませられたが、やはりと言ったように、すぐには脱出できなかったらしい。ハイエロファントが言った通り、彼の体の至るところに大小さまざまなクレーターができている。部分的にではあるが、変形してしまうほどのダメージ。見ているだけで痛々しい。
だが、動きに支障は出ていない。現にこうして、アヌビス妖夢の刀を受け止めたし、そこから弾き返せるぐらいの
チャリオッツはアヌビス妖夢から目を離さず、体半身をハイエロファントと魔理沙、そしてS・フィンガーズの方へ向けると、こう話した。
「…………あの『アヌビス神』は刀に宿るスタンドだ。あの少女が持つ、どちらかの刀にアヌビス神の本体がある。俺とスティッキィ・フィンガーズで刀を上へ弾き飛ばすから、その内にハイエロファント、魔理沙。お前たちが刀を破壊しろ。
「操られていたのか…………」
「だが、それでしか妖夢は救えない。最善かどうかは分からないが、やらずにやられるのよりはマシだ」
「よし……!」
4人の意は決した。
それと同時に、アヌビス妖夢も鋭い眼光をチャリオッツたちへ放つ。これほどの人数差。いくら今まで互角に戦えていたアヌビス妖夢でも、本気にならざるを得ない状況だ。彼女……いや、彼も全力で向かってくる。しかし、それをさせないのが、チャリオッツとS・フィンガーズの役割である。
2名は前方へ
「貴様らまとめて斬り刻んでくれる!」
「………………」
「…………怒ると案外周りが見えなくなるもんなんだぜ。落ち着く時間でもやろうか?」
「ナメるなァーーーーッ!!!」
S・フィンガーズの言葉により、さらに激昂するアヌビス神。妖夢の額には、図太い青筋が何本も浮き出ていた。
楼観剣と白楼剣をさらに力強く握り締める。その柄はギシギシと
さらに大きなスタンドエネルギーを放出し、さらに一歩踏み出る。そして、大地を強く蹴飛ばした!
「ウッ……!? あ、足が地面から離れん……!? な……何が……起こってい……」
アヌビス妖夢の体が上空へ飛び出すことはなかった。
己の足首へ目を移すと、緑色の紐、なんとハイエロファントの触脚が絡み付いているではないか!
「き、貴様ァ〜〜!!」
「この今がチャンスだ。チャリオッツ! スティッキィ・フィンガーズ!」
『あぁ!!』
「や、やめろ…………!!」
身動きの取れないアヌビス神は、迫るチャリオッツとS・フィンガーズに静止を求める。が、聞くことはない。
「ホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラァーーーーッ!!」
「アリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリーヴェ・デルチ!」
ドギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャ
「うあぁああああーーーーッ!!」
(マ、マズい……!
チャリオッツとS・フィンガーズの攻撃は、妖夢の肉体を傷付けることはなかった。狙いはただ一つ。
アヌビス神の方も、やられまいと必死になって刀を振る。それだ。思わずガードに使ってしまう、その2刀が狙いだ。チャリオッツとS・フィンガーズのラッシュは、その刀を空へと打ち上げるのが目的。
チャリオッツはとにかく弾き、S・フィンガーズは能力を使わずにとにかく殴る!
これまで優勢に戦ってこれたアヌビス神も、流石に疲れが出始めたのか、それとも力の差がついてしまったのか、2人のラッシュをのけぞりながら受け続ける。しかし、限界はすぐそこだ。
と言う間もなく、ついに訪れた。
「くあッ!?」
ギャイィ〜〜〜〜ン!
妖夢の手はチャリオッツたちのラッシュに耐えきれず、ついに刀を手放した。
上空へ、回転しながら舞い上がる刀は一本だけ。これがアヌビス神の宿る一刀なのか!?
それを目にしたハイエロファントは、両の
「魔理沙、刀が飛んだぞ!」
「あぁ! やってやるッ!」
魔理沙はスカートのポケットから、素早くミニ八卦路を取り出し、照準を空を飛ぶ刀に合わせる。準備は整った。そして、解き放つ!
「エメラルドスプラッシュ!!」
「恋符.マスター…………スパァーークッ!!!」
ドギュゥゥ〜〜〜〜ーーン!!
空へと一本の閃光が走った。
日光のように静かに降りそそぐ光ではない。雷のように耳を叩く轟音を伴った光だ。
サーチライトのように小さな光ではない。稲妻のように巨大な光の柱が雲を
魔理沙の『マスタースパーク』は、同時に放たれた"エメラルドスプラッシュ"が見えなくなるほど…………いや、その全てを覆い隠して空へと打ち上げられた刀を飲み込んだ。
ハイエロファントは以前から魔理沙に、マスタースパークの存在を知らされていた。「強力な大技である」と。しかし、まさかここまでのものだとは、一切思ってもいなかったのだ。だが、その威力に驚いている暇は無い。今ここであの刀を消滅させなければ、アヌビス神はさらにパワーアップする。この場で確実に消し飛ばす!
そして、閃光は徐々に閃光は小さくなり、やがて消え果てる。光の柱が無くなり、晴れた空には刀の影は既に消えて無くなっていた。
空に打ち上げられた刀は…………白楼剣は消滅した。
「や、やったか!?」
「アヌビス神は…………」
ズバァアン!
「うぐッ……!?」
「ぐあぁあッ!」
マスタースパークが放たれた空を見上げ、妖夢が正気に戻ったかどうかを確認しようとしたハイエロファント。
しかし、その瞬間、妖夢の一番近くにいたチャリオッツと、S・フィンガーズから悲鳴が上がった。何事かとハイエロファントが振り返ると、彼らの胸には一筋の切り傷が刻まれていた。横薙ぎの一本だ。
悪い予感は的中する。妖夢はまだ、正気に戻ってはいない。地面に倒れ伏せるチャリオッツたちの奥から、小さなシルエットが揺らいだ。
「ハーッ……ハーッ……クソッ……」
「くっ!! あの……長い刀の方にアヌビス神がいたのかッ…………!!」
「………………」
(さ……さすがにもう厳しい……一度退いて……また出直すしかないか……)
アヌビス妖夢はフラフラだ。戦闘不能に陥ってはいないものの、残るハイエロファントと魔理沙とは戦うつもりは無い。その証拠に、右足が一歩だけ後ろへ下がった。
しかし、倒れたチャリオッツたちよりも、ハイエロファントは支配された妖夢のため、アヌビス神を逃すことはできなかった。確実に、この場で楼観剣を破壊し、妖夢を解放する!
ハイエロファントは再び、掌を合わせる。
しかし、
「ハーッ……ハーッ……命拾いしたな……次は絶対に仕留めるぞ。ハイエロファント……チャリオッツッ!!」
「! ま、待てッ!!」
そう言い残すと、アヌビス妖夢は楼観剣を地面に振るい、大量の砂埃を巻き上げる。
ハイエロファントは即座に"エメラルドスプラッシュ"を放とうとするが、砂埃が晴れ、奥の景色が見えるようになった時には、既にアヌビス妖夢の姿は消えていた。
ハイエロファントとアヌビス神のやり取りを見ていた魔理沙は、胸を斬られて倒れているチャリオッツとS・フィンガーズを助け起こしながら、ハイエロファントに問う。
「逃げられた……! ハイエロファント、スタンドエネルギーは感じ取れないのかッ!?」
「無理だ…………完全に気配を消された……クソッ!! 妖夢をッ……元に戻せなかったとは…………」
ハイエロファントには表情が無い。だが今の彼からは、どんな者であろうとも彼の感情を読み取ることができる。
悔しさ。アヌビス神を打ち負かし、妖夢の体を取り戻せなかった悔しさが、ハイエロファントの体中を巡っていた。魔理沙もそれを察知し、それ以上ハイエロファントに口を聞くことはなかった。
チャリオッツたちはと言うと、裂傷は致命的ではないらしい。しばらく休めば治ると、本人の口から聞き出せる程度には大したことはなかった。
ハイエロファントは、アヌビス妖夢が去っていったと思われる大通りの果てを、ただただ見つめるだけ。これから、
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「うぐっ………くっ、かなり腕に負担をかけたな…………あんな戦いは初めてだ……承太郎との戦いよりも激しく、疲労が凄まじい戦い……」
ハイエロファントから逃れたアヌビス妖夢は、大通りから外れた路地裏を、肩を押さえながらフラフラと歩いていた。右手に楼観剣を掴んだまま、左手で右肩を押さえ、疲れによる痛みを和らげている。
アヌビス妖夢は不敵に笑う。
プランはできている。休むだけだ。"総取り"の時は、そう遠くはない。
ドン!
「ム……!」
アヌビス妖夢が歩いていると、伏せていた頭が何かにぶつかった。柔らかくはない。どちらかというと、硬いものだ。考えるに、おそらく人間ではないのだろう。
アヌビス妖夢がゆっくり顔を上げてみると……
ドゴォッ!!
「あぐぅッ!?」
ぶつかったのは何者か。日の光が入らず、暗闇の中なので顔はよく見えない。だが、間違いないことは、アヌビス妖夢がぶつかった相手は、たった今妖夢の腹部へ膝蹴りを叩き込んだことだ。
膝は確実に妖夢の
「な………何者……」
ドメシャァア!
「あがぁああ!!」
「……さっきはよくも……やってくれたじゃあないか。え? アヌビス神……だっけ?」
アヌビス妖夢が新たな敵の顔を確認しようと、再び顔を上げようと試みる。すると、次は胸を踏んづけられ、そのまま地面に倒されてしまった。
胸を押さえつける足がどかされることはなく、そのまま少女の小さな、薄い胸を圧迫。
そして、敵の正体は、アヌビス妖夢が倒された後、下から覗くことによって明らかとなった。
それは……キラークイーンだ。
「バッ……バカな…………! お前…………がッ!? う、腕を……切り落としたはずだ! なぜ、もう既に治っているんだ……!?」
「さぁ……だが、なんとなくだが、
チャリオッツが駆けつける前、キラークイーンとアヌビス神は一度戦っていた。その時、アヌビス妖夢はキラークイーンの右腕を切り落としているのだ。
スタンドは超常的なスピードで回復する。アヌビス神はそれを
そのことについて、キラークイーンは既に答えを出していた。「我々は意思だ」と。
意思の強さが、スタンドのパワーに影響を与える。この仮説が本当ならば、今の、殺意と憎悪に満ちたキラークイーンは、現在の負傷しているアヌビス妖夢を
「や……やめろ……! やめてくれェーーッ! 俺は……し、死ぬわけにはいかんのだ!」
「……おいおいおいおい……みっともない姿を見せるんじゃあない……人様の命を狙っておいて…………無事に帰れると思っていることが……ククク」
キラークイーンは命乞いをするアヌビス妖夢を見下ろし、氷のように冷たい嘲笑を見せつける。
同時に、親指以外の指を折り畳んだ右手を、顔の前まで持ち上げる。キラークイーンの『第1の爆弾』、その作動スイッチである。もうとっくに、アヌビス妖夢は爆弾に変わっていた。
そして、キラークイーンの
「ヒッ……た、助けてくれェ!」
「いいや、限界だ。押すね」
カチッ
これにて決着。
ハイエロファントや魔理沙たちを苦しめたアヌビス妖夢。
しかし、その最期は呆気ないものであった。
そして近付く邪悪の存在。
新たな異変が幕を開ける!
お楽しみに!
to be continued⇒
あくまで参考までに、ということで。
-
東方をよく知っている
-
ジョジョをよく知っている
-
東方もジョジョもよく知っている
-
どちらもよく知らない