幽波紋の奇妙な幻想 《Drifted Destiny》 作:右利き
河童、河城にとりから地底の調査を引き受けたハイエロファントたち。彼らはにとりの助言を受け、早速潜入する亀裂を探そうとしていた。ハイエロファントは魔理沙と。チャリオッツは霊夢とコンビを組み、地底へ向かうことに決める。
チャリオッツと霊夢は神社裏の亀裂から入ったが、ハイエロファントたちは上空を飛び、潜入するのに手頃な亀裂を探していた。
「にとりが言っていた通りだ。幻想郷の至る所で間欠泉が湧いているぞ」
「あれで温泉作ったら、結構儲かるのかな〜〜」
「管理するのが大変なんじゃあないか? 温泉がいつ止まるかも分からないし、やめておいた方がいい」
「お前が言うならそうなんだろうな〜〜」
呑気に話しながら、魔理沙とハイエロファントは空を飛び続ける。地上は遠く、人里に目を向けても人影は一つも見えない。反対の方角にある湖に目を移しても、相変わらず霧に包まれて湖面が見えない。
しかし、そのどちらにも間欠泉が噴き出ているのは視認できた。その内、人里にも温泉業が発達するのだろうとハイエロファントは考える。
すると、突然魔理沙が声を上げた。
「お。おい、ハイエロファント。あそこなんてどーだ? 亀裂が結構大きめだぜ」
「あそこか…………よし、そうしよう。あの亀裂から地底へ向かおうか」
「うし」
魔理沙が指差したのは、湖方面に位置する小高い丘。
2人は体をそちらの方向を変え、飛行スピードを上げて亀裂を目指した。
数十秒後、2人は目的の亀裂のある場所に降り立った。
上空から見た時から亀裂はかなり目立っていたので、間近で見るとさらに大きく見える。その大きさ、博麗神社が一軒丸ごと入りそうなほどだ。
地上に降りた魔理沙は、真っ先に辺りを見回す。付近に怨霊たちがいないか、確認するためだ。しかし、周りの森には人っ子一人見当たらず、妖怪の類の気配すらしない。とりあえずは安全を確保できた。
「魔理沙。永遠亭でやった時のように、魔法で明かりを出してくれないか?」
「おう。いいぜ」
ハイエロファントの頼みに返事をすると、魔理沙は右手を広げて自身の胸と同じ高さまで腕を上げた。途端に、彼女の手の中に火の玉ような、それでいて光るシャボン玉のような物がフヨフヨと浮き上がる。
オレンジ色の温かい色をした明かりを用意し、いよいよ突入の時だ。
「さぁて……どっちから行く?」
「明かりがあるし、君からで頼むよ。魔理沙」
「りょーかいっ。んじゃ…………出発!」
元気良く声を上げる魔理沙。降りていた箒に再び乗っかり、目の前に開く巨大な亀裂へ飛び込んだ!
ハイエロファントも彼女を追い、掃除機に吸い込まれるかのように地底を目指した。
飛び込んだ後のこと、彼らの想像通り、地下へと伸びる大地の"すき間"は一切の明かりの侵入を許さなかった。
四方八方に広がる岩肌は自然によって削られたもの。それ故、大きく突き出ていたり、おろし金のように粗い面だったりだ。そこそこのスピードを出して
しかし、魔理沙たちにとっては小さな問題であることに変わりない。魔理沙は今まで培ってきた箒の操縦技術で、立ち塞がる障害物を易々と避けていく。ハイエロファントも、幻想郷にやって来てからというもの、魔理沙の箒に付いてまわった。その経験により、今は魔理沙との距離を一定に保ちつつ、磨いた飛行技術を存分に発揮している。
地の底まで、もう少しかかりそうである。
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「まだ着かないのか〜〜? いい加減深すぎるだろ……」
「あぁ。もう着いたっていい。この深さまで来たら、地熱の影響は少なからず受けると思うのだが…………」
亀裂に飛び込んでから数分。
本人たちは突入後からはスピードを落としていないと思っている中、中々地底に到着しない。間欠泉が噴き出したのだから、もっと高温なものかと思えばそうでもない。地底湖のようなものにも遭遇しない。
2人の間には不穏な空気が漂っていた。というのも、ハイエロファントは魔理沙にただついて行っているだけなのだが、それ故に魔理沙の方向感覚が重要であるのだ。亀裂はただ真下に向かって伸びているのではなく、小さな抜け穴など、いろいろなルートが巡っており、それらを何の確証もなく突き進んでいるだけである。ハイエロファントがそれを最初に考えていなかったのも悪いが、まさか
その心配がハイエロファントの頭の中をよぎる。
「……魔理沙。僕が前を行こうか?」
「い、いや! 私がやるよ! 絶対こっちだ。こっちに決まってる!」
「本当に合っているのか!? いいから、早く僕と位置を変わるんだ! ものすごく心配だぞ!」
「断るッ!」
よく分からないプライドを見せながら、魔理沙は飛行スピードを上げた。彼女について行くことに慣れてきていたハイエロファントでも、彼女がその気になれば簡単に引き離せる。強引に前へ出ようとするハイエロファントを撒くため、魔理沙はグングン岩壁の間を縫って行く。
しかし、この後すぐに、「だから言ったのに」と言いたくなる出来事が起こった。
ドガン!
「あだッ!!」
「魔理沙!?」
魔理沙の箒が突然『へ』の字に曲がったかと思うと、大きな音を立てて岩壁に衝突した。勢い余って魔理沙の体も叩きつけられ、ぶつかった直後、ズルズルと下へと降っていく。彼女の体は、とても無事で済んだと思えない。
ハイエロファントはそれを見かね、急いで魔理沙の救援へと向かった。地面までの距離は大したことなく、魔理沙の体は10秒もかけずに落下を止めた。
「魔理沙、大丈夫かッ!? 頭は打ってないか!?」
「いっ……てて……あ、あぁ。大丈夫さ……それよりもハイエロファント。あっち……私の右手側を見てみろよ」
「何?」
魔理沙は地面に衝突する瞬間、周りの光景に目を配っていたというのだ。魔理沙が見たものとは?
ハイエロファントは魔理沙が指差す方向へと目を向けると、その先にはボヤボヤとオレンジ色の何かが遠くに浮かんでいた。まるで街である。しかし、あまりにも遠いため、細かな街並みは視認できない。だが、地の底にあるとは思えないほど、明かりが多くあるのは確かだ。
「あっちによ、何かあると思わないか? もしかしたら、にとりのやつが言ってたもんがあるかもよ?」
「……あぁ。そうだね」
「……? どうかしたのか? ハイエロファント」
魔理沙は遠くに見える謎の景色に目をやりつつ、ハイエロファントを振り返る。
その時、彼の視線は魔理沙の指先と同じ方向を向いてはいなかった。見ていたのは、その逆。奥に見える明るく広そうな空間ではなく、真逆の先が全く見えないほど暗い洞窟の奥である。いつの間にか彼らは巨大な空間、いや、巨大な通路へと出ていたのだ。
魔理沙の声に反応しつつ、ハイエロファントは暗闇を凝視し続けた。魔理沙は少し考えると、ある答えが浮かんだ。
「……
「あぁ。おそらく……敵。スタンドだ」
ハイエロファントはスタンドエネルギーを感じ取っていた。真っ暗闇の奥から、彼ら2人をじっと監視し続ける謎のスタンドの存在だ。
ハイエロファントは警戒した様子だが、戦闘態勢には入っていない。魔理沙に「敵だ」と伝えはしたが、まだ彼自身確証をもてないでいるのだ。こちらを見ているのは確かだが、動き出す気配が全く無い。ずっと、監視ばかりしている。やつの目的は何なのか……?
「どうする? 攻撃してみるか?」
「やつは"エメラルドスプラッシュ"の射程外にいる。まさか、知っててこの距離を保っているんじゃないだろうな」
「じゃあ、私が撃つか?」
「いや……まずは………………」
「……? ハイエロファント……?」
ハイエロファントの言葉が中途半端に途切れる。魔理沙はハイエロファントが注意を向けていた闇の奥から目を逸らさず、ハイエロファントを小さく呼びかけた。だが、返事は無い。
不思議に思い、明かりをハイエロファントがいた地点へ移すと………
「ッ!? ハ、ハイエロファント!? どこ行ったんだよッ! ハイエロファント!」
彼の姿は無かった。
魔理沙は焦り、あらゆる方向へ首を曲げ、視線を浴びせる。だがハイエロファントの姿も、声も何も聴こえない。いきなりの蒸発に、魔理沙の背筋が凍る。
しかし、明かりをほんの少し。前の方へと動かした時、あるものを発見した。それは、謎の人物がハイエロファントを拘束し、顔を塞いでいるという、驚くべき光景だった!
「な、なん……何なんだ!? お前!?」
明かりで照らしているが、まるで関係ないように真っ黒い帽子のような物を被り、同じく黒いマントを羽織っている。しかし、そこから覗く顔や腕は白く、また細い。それでも、ハイエロファントの身動きを完封できるぐらいのパワーをもっている!
『……明カリ…………』
「こンの……ハイエロファントから離れやがれッ!!」
ボシュゥン!!
『!』
魔理沙は謎の生物に向かって、高速で明かりを投げつけた。弾幕代わりとなる明かりは、魔理沙お手製のものである。
彼女の攻撃を察知すると、
投げ捨てられるようにして荒々しく解放されたハイエロファントは、力が抜けたように魔理沙の方へと倒れ込む。謎の生物は既に近くにおらず、魔理沙はさらなる攻撃に警戒しながらハイエロファントを助け起こした。
「ハイエロファント、大丈夫か? あいつが例のスタンドか!?」
「ゲホッ…………あ、あぁ……あいつのエネルギーだ。僕が感じたのは…………」
ハイエロファントは膝をつきながら、奥へと広がる闇へ再び目をやる。魔理沙も同じように目を向けるが、スタンドのヴィジョンは見えない。
ハイエロファントによると、先程のスタンドは彼に攻撃した後、すぐに元の位置に戻ったとのことだ。しかし、2人がいる位置から謎のスタンドがいる位置まではそれなりに距離がある。ハイエロファントが言うには、今の一瞬で移動したようだが、それが本当ならば、あのスタンドのスピードはどれだけあるんだ? 以前人里で戦った
冷える地底だというのに、魔理沙の頬を汗が濡らす。
「私には全然見えないけどよ……どうだ? 何か動きはあるか?」
「……動きは無い。ずっとこちらを監視している。一度僕を襲ってから、再び同じ位置に戻った……なぜだ? やつは
ハイエロファントはスタンドの様子を
あのスタンドが敵であるなら、攻撃をしてくることには納得できる。しかし、それならそれで、自分たちの敵である理由が分からない。何者かに始末を命じられたのか? 一体誰に?
そうこう考えている内に、謎のスタンドは次なるアクションを取った。
「! 魔理沙、スタンドが
「ハァ? ど、どこに……!?」
「分からない…………気配も感じられない! 魔理沙! 僕の背後を見張れッ! 僕は君の後ろだッ!」
ハイエロファントの一声で、本人含めた両者は素早く背中を合わせる。ピッタリと合わせることはなく、魔理沙は再び作り出した明かりを背中と背中の間に浮かばせて、視界の確保も行った。
敵の姿が十分に見えない中での戦闘。彼らにとっては、竹林の兎たちが
しかし、今回の相手、ハイエロファントの反応を見るに、おそらく格上の存在であろう。たった一人であるが、前回のように『狂わせる能力』だと正体が分かりきっていない。存在に気付いていても、防御もさせずに拘束するスタンド。一体何の能力なのか…………
2人が背中を合わせてから、数十秒もしない時。警戒を怠っていない中、やつは再び現れた。
『貴様! 『明かり』を
「うっ!? しょ、正面から!?」
スタンドは魔理沙の警戒する正面から、闇をかき分けて姿を現した。ハイエロファントも魔理沙の声に気付き、素早く後ろを振り返る。謎のスタンドは、魔理沙に向けて手を広げ、掴みかかろうとしていた。
この時点でハイエロファントは、このスタンドの能力の正体をいくらか絞っていたのだが、まさか正面から攻撃してくるとは一切思いもしなかった。しかし、今はそれどころではない!
ガシ ガシィッ!
「うぐぅ!?」
『
「〜〜〜〜ッ!!」
(い、息が…………)
謎のスタンドは魔理沙の首をめいいっぱい絞め付けた。これには魔理沙も大いに焦り、スタンドの両手を掴み返して振り解こうとする。だが、こいつの怪力を引き剥がすことはできず、取り入れる酸素はどんどん尽き始めた。それに従って彼女の顔も徐々に真っ青になっていく。
しかし、簡単に
「魔理沙から離れろッ! "エメラルドスプラッシュ"!」
『!』
魔理沙への攻撃はハイエロファントが許さない。
首を絞めるスタンドはハイエロファントの『構え』に気付き、すぐさま魔理沙の首から手を離した。
ハイエロファントの掌からは、スタンド目掛けて結晶が飛び出す。一撃で敵を粉砕できる威力は無いが、それでも自動車に穴を空けることぐらいは簡単だ。防御しても、それなりのダメージは負う。
スタンドは、ハイエロファントの結晶を交差させた腕で受け止めて防御する。だが、やはりと言ったようにその勢いには負けてしまい、闇の中へと押し出されていってしまった。
「魔理沙、大丈夫か!」
「あ、あぁ。平気さ…………ッ! ハイエロファント! 上だッ! また来るぞッ!」
「何ッ!?」
魔理沙が指差したのは、ハイエロファントの頭上。スタンドの次の攻撃は、既に始まっていたのだ。
ハイエロファントが視線を敵の方へ移した時にはもう遅く、頭と両腕をガッシリと押さえつけられて拘束された。ハイエロファントは力づくで押し退けようとするが、やはりパワーでは勝てない。一切の身動きが取れなかった。
(こ……こいつの能力は一体……!? 瞬間移動!? いや、何か違う…………もしそうなら、さっき背中合わせになった時、僕と魔理沙の間に現れて同時に拘束すればよかったんだ。なぜ、それが
「ハイエロファントを放しながれッ! いい加減鬱陶しいぞ。この野郎ッ!」
魔理沙は明かりを消さず、手の中に握った円筒から弾幕を撃ち出す。しかし、それも命中することはなく、ハイエロファントの上に乗っかったスタンドは素早く闇に紛れるのだった。
魔理沙は解放されたハイエロファントを助け起こし、再びスタンドの攻撃を警戒する。
そんな中、ハイエロファントは一つの可能性を見出していた。スタンドの正体のだ。
「ハイエロファント、何か分かったか? やつの能力は瞬間移動だと私は見た!」
「……そうか。僕は違うな」
「……何だって? いきなり現れるところとか、長距離を一瞬で移動してくるとか、これは完全に瞬間移動だぜ!」
「もし瞬間移動が能力なら、さっき背中合わせにした時、僕らを同時に拘束できたはずだ。2人の間に出てきてね。それなのに、警戒していた君の正面から現れた。その前も、君の明かりから一瞬外れた僕を優先して襲った。変だと思わないか?」
「………………」
「背中合わせにしていた時、僕らの間に『明かり』があった。出てくる時も、必ず影から現れる! 僕の考えでは、やつの能力は『影の中』! 明かりに弱く、闇と影の中を自由に移動できる能力だ!」
ハイエロファントの仮説。しかし、彼の中ではそれは確信に近かった。それを聞いていた魔理沙も納得する。
その次の瞬間、2人の周囲からおどろおどろしい叫びが上がった。それを耳にした直後、ハイエロファントは表情に出ない笑みを浮かべる。
『うおぉおおああ!?』
「僕の罠にハマったようだな。解放された瞬間に、触脚を伸ばして結界を張った。影の中に」
「そうだったのか……いや、ちょっと待て。あいつのパワーは強いぞ。お前の結界を弱いって言うわけじゃあねぇけどよ、すぐに破られるぞ!」
「……それも大丈夫だ」
「え?」
「本当にパワーがあるなら、わざわざ首を絞めるなんてせずに、拳か手刀を使えばいい。殺意の有無に関わらず、な。それを一度もしないということは、押さえる力だけが強い、とかだろう? 大方……」
『う……ぐっ……』
ハイエロファントの罠の中で、スタンドは身悶えする。複雑に絡むハイエロファントの触脚は、いくらパワーがあろうとも解くのは難しい。引きちぎらなければ、脱出するのは不可能だ。そらに加え、スタンドの能力の弱点もバレた。いくら取り繕おうとも、機転が利くハイエロファントをこれ以上
ハイエロファントは勝利を確信し、魔理沙に促した。
「もうこのスタンドは敵じゃない。魔理沙、先に進もう。一応、明かりを大量に点けてね」
「あぁ。この先まで一直線に明かりの道を作るぜ」
ハイエロファントがスタンドを拘束している間に、魔理沙は魔法で作り出した明かりを暗闇の奥まで、一本の線になるように配置する。明るい一本道は、スタンドが移動できそうな影を完全に消し去っていた。
「できたぜ」
「よし。それじゃあ、このスタンドにはもう用は無い。どこかへ行ってもらおう」
「倒さないのか? まだ追ってくるかもしれないのに」
「こいつはあくまで門番だ。個人的な恨みは無いし、放っておいたって誰かに自ら害を与えに行くことはないだろうさ。攻撃してきたことに関しては水に流そう」
「行こう」と言い、ハイエロファントはスタンドを放す。魔理沙は少々納得がいかない様子だったが、命とは無闇に奪うものではない。それを諭し、ハイエロファントと魔理沙は道の先を目指し、歩き出した。
解放されたスタンドは、暗い闇の中から2人を見つめ続ける。特に、その視線はハイエロファントを追っていた。
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歩き続けておよそ15分景色は全く変わらず、2人は明るい一本道をひたすらに歩いていた。周りは夜のように暗い闇。肝試しにでも来ている気分だが、ハイエロファントはスタンドの気配は感じておらず、魔理沙も妖怪や怨霊を感知していない。
ハイエロファントにはそれが不思議だった。
「魔理沙、ここに来てから怨霊の気配は全く無いんだな?」
「あぁ。地上の方があったぜ。こっちじゃ全然見かけない」
「………………」
「ハイエロファント、何か分からないのか?」
「僕は妖怪や怨霊の類には
地上に突然噴き上がった間欠泉。それらとともに現れた怨霊たちは、この地底では一切見かけない。先程のスタンドは門番のようであったが、何を番していたのか分からない。
彼らには、解くべき謎がいくつかあるのだった。
しかし、ここでハイエロファントはあることに気付く。
「!? ま、待て魔理沙」
「どうした? またスタンドか!」
「そうだ……やつが……追って来ている!」
ハイエロファントは、影の中に潜むスタンドが自分たちを追跡して来ていることを感知したのだ。いきなりの出来事に慌てるハイエロファントだが、それに対して魔理沙は安心しきった様子である。
「大丈夫だよ、ハイエロファント。ここは明かりの中だぜ。やつは影の中しか移動できないなら、私たちを攻撃することはできねーよ」
「だから焦っているんだ! やつは僕らに手を出せないはずなのに、やつはそれを知っていながら追って来ているんだぞ! 何かおかしい……ッ」
ハイエロファントの焦りは、彼の言った通りのものである。自分が手出しできないと分かっていながら、わざわざ追跡して来た。何か、こちらの手を破る方法でも思いついたのか、それともハイエロファントの読みは間違っていたのか。
そのどちらにせよ、例のスタンドは攻撃を仕掛けてきていた。標的は、ハイエロファント!
ガシィイッ!
「あぐぅッ!?」
「ハイエロファント!? バ、バカな……ここは明かりの中だってのに、何で攻撃できるんだ!?」
「そう……か…………分かったぞ。こいつ……
ハイエロファントの視線の先。魔理沙はそれを目で追うと、そこには確かにハイエロファントの影があった。いや、あるだけではない。後ろに明かりがある故に、ハイエロファントの影が
スタンドはそこから明かりの中へと侵入し、ハイエロファントの脚を掴んで引っ張っていた!
「僕が……甘かった……! こいつ……の……執着心をナメていた! 倒さなければならなかったんだ…………!」
「ま、待ってろ! 私がすぐに……」
バキバキ……ボキ……
「うぐぅ!?」
スタンドの握力はすさまじく、掴まれたハイエロファントの脚は悲鳴を上げる。
魔理沙はハイエロファントを解放させようと、すぐさま円筒を取り出して弾幕を使おうとするが、ハイエロファントを盾にするような体勢を取られているため、中々手を出せない。
ハイエロファントは徐々に影の中に引きずり込まれていく。ハイエロファントは声を絞り出し、魔理沙へ告げた。
「魔理沙……おそらく……この体勢では、やつは僕を放さない。逃れられない。だから、こいつを倒すのは君だッ! 君しかいない!」
「む、無理言うな! お前がいなかったら、こんなやつに対抗できねーよ!」
「いや、君ならできる。
「何言ってんだ!? 『私とクリームなら』!? 言ってることが分からねぇッ! ハッキリ言えよッ!」
魔理沙は焦りと困惑が入り混じり、怒りに似た形に変化した声を上げた。「ハッキリ言え」と。
しかし、ハッキリ言いたいのはハイエロファントも同じである。だが、このスタンドは確実に人語を理解できる。今この場で話してしまえば、このスタンドはハイエロファントの策に対抗しようとするだろう。ハイエロファントの目的とは、魔理沙を危険に晒さず、敵を確実に倒すことに変わっていた。魔理沙が彼の言葉を、確かに解釈できるかどうか。それが最も重要なことであるのだ。
「魔理沙……焦ってはいけない。落ち着いて考えれば、すぐに分かることなんだ……決して難しくない。頼んだぞッ……!」
「ハ……ハイエロファントォ!!」
ハイエロファントはスタンドに引っ張られ、闇の中へと姿を消してしまった。魔法で作られた道の真ん中には、魔理沙ただ一人、焦りの消えない表情を浮かべて立っていた。
この敵スタンドの正体は何でしょう?
スタンドに連れ去られ、一人残された魔理沙。
ハイエロファントが暗に伝えたかったこととは?
次回、決着の時!
お楽しみに!
to be continued⇒
あくまで参考までに、ということで。
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東方をよく知っている
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ジョジョをよく知っている
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東方もジョジョもよく知っている
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どちらもよく知らない