幽波紋の奇妙な幻想 《Drifted Destiny》 作:右利き
『Select your car!』
テーブルに2台のテレビを置き、ハイエロファントとさとりが向かい合うようにしてソファに座る。起動されたゲーム機はテレビ画面に『F-MEGA』のロゴを映し出し、その次に音声とともに車種選択画面へと切り替わった。
「車種を選択して、どうぞ?」
「A
「同じく」
『A-Car!』
さとりとハイエロファントは同じタイミングでボタンを押すと、テレビのマイクから機械音声が響き、選択されたA車が大きく映る。その横側にはA車のステータス(最大速度やフルスロットルまでに要する時間など)が表示される。
F-MEGAのA車、その
「! これは……!?」
「? どうかした?」
テレビ画面に映るA車のステータス、最高速度は480km/h。フルスロットルまでの時間は21秒!
ハイエロファントのもつ情報とは決定的に違っていた。うろ覚えであったとしても、ここまで数値がズレることなどあるだろうか。いや、たしかに思い出してみればこのF-MEGA、タイトル画面に出てくるロゴの形も、ハイエロファントが知る古くさい
(一体どういうことだ……? まさか新作……? いや、だとしても全く同じタイトルだなんてことはあるのか? ナンバリングされるわけでもなく、タイトルのデザインだけを変えて…………あり得なくもない……のか……?)
「ハイエロファントさん? 何かおかしなことでも?」
「……いや、何でもない…………次は番号だったか。僕は『法皇』にちなんで05にしよう」
「では、私は04で。分かる人には分かるかも」
「?」
さとりの謎の言葉に、ハイエロファントは頭に『?』を浮かべていた。彼には
テレビ画面では2人が選んだ数字がステッカーとして車体に刻まれる。ボンネットやボディサイドに05と刻まれた緑色の車がハイエロファント、04と刻まれ、ピンク色をした車がさとりである。
2人は次にコースを決めるわけだが、さとりはその選択もハイエロファントに
コースNo.1には6つのカーブがあり、通り抜けるとスピードが約2倍になる加速トンネルが存在しているのだが、今ハイエロファントが目にしているコースマップには、大きく分けてカーブが8つ。細々としたものを含めれば、さらに存在している。加速トンネルがあることも変わりないが、その長さが彼の知るものとは違っていた。その上、高低差がバラバラの枝分かれした道など、明らかに違うコースであった!
「ハイエロファントさん……用意はいいかしら」
「…………あぁ。早く……やればいい」
さとりが自身の持つコントローラーのボタンを押すと、2台の車がスタート地点に並ぶ。上からライトが降り、赤く点滅しながらスタートまでのカウントダウンを開始した。
コースは崖に挟まれた岩山を模したもの。もしかすれば、コースアウトを誘うように壁の無い場所もあるかもしれない。気を付けて走らなければ。
ハイエロファントはここで考える。これは別に読まれても構わない思考だ。この試合、さとりを打ち負かすには彼女の能力を突破しなければならない。
「大丈夫よ。ハイエロファントさん。私はフェアですもの。
「!」
タタタタタタタ……
(さ、さとりの
さとりが握るコントローラー。そのアクセルボタンをスタート直前に連打することによって、爆発的な加速力でスタートを切ることができる、歴とした方法がある。神奈子は説明書かコツを書いたメモも送ったのだろうか、さとりはこの方法を知っていた。
ハイエロファントは、まさかさとりがこの方法を知っているとは思わず、あのテレンス戦の時と同じくアクセルボタンの入力が遅れてしまった。さとりに遅れて入力するということはもちろん、スタートもさとりの方が早くなってしまうということだ。
『START!』
ギュウゥン! ギャウン!
「ッ…………!」
(やはり前に入られた!)
「こうなってしまっては、中々抜け出せないわ」
「……スタート前の加速だなんて、いつ知ったんだ?」
「自分で言うのも何だけど、私の探究心は結構強いのよ。プレイしていく内に見つけたの」
自慢げに話すさとり。だが、彼女の言葉の真実を裏付けるかのように、スタートした彼女の車はハイエロファントの車の前に躍り出て、牽制しつつぐんぐんスピードを上げて距離を空けていく。
いくら初めて目にするコースであっても、過去に何度もやってきたゲームで遅れを取ることは少ないだろう。それでも、ハイエロファントはさとりに
このコースにはいくつものカーブが存在するが、彼女がテレンス並みの実力者ならば、その車を抜き去るのは至難を極めているはずだ。
ハイエロファントは考える。さとりの、「能力は使わない」という宣言。信じてみようではないか。テレンス戦の二の舞にならないことを祈って。
グルルルルルルルル
「なっ……高速で
「仕様を見つけていくのも良いが、新たな技を
ガガガガガガガガガガ!
「……お、押し出され……!」
「おぉ! すげーな、ハイエロファント!」
ハイエロファントはコントローラーの十字ボタンを右回りでなぞるように押し、自身の車を回転させた。スピードの乗ったスピンは、前方を走るさとりの車をサイドへ押し出し、互いにコースを挟む壁に激突した。
この活躍にはさっきまで興味無さそうにしていた魔理沙も飛び上がり、画面を凝視しながらハイエロファントの肩を揺らす。
「やりますね……でも、勝負はここから!」
「再びか」
ギャウン! ギャウゥン!
2人の車はコースに戻ると、次はスタートの時とは違って同じパワーで発進した。同じタイミング、同じスピード。少しもズレずに並走する。
しかし、直線の道は長くは続かない。やがて前方に初めてのカーブが見えてきた。右側へと曲がるカーブだ。
だが、ここで一つ問題が発生していた。ハイエロファントとさとりの車は並走しているのだが、さとりは右側を、ハイエロファントは左側を走っている。つまり、ハイエロファントはカーブの外側を回ることになっているのだ。もちろん、内側を走る方が有利なのは両者とも分かりきっている。
テレンス戦の時も同じことがあった。しかし、あの時とは車が違う!
「…………ッ!」
(まずいぞ……あのカーブをフルスロットルで曲がれなければ、同じ車種のさとりの車との差が開いてしまうッ! しかし、それには直線が短すぎる……)
「…………」
(私とハイエロファントさんの車は、あのカーブに到達するまでにフルスロットルを迎えることはできない。このまま行けば、一つ目のカーブで差をつけることができる!)
焦るハイエロファントと、ほんの少しの安心感を覚えるさとり。並走する車はぶつかり合うことはなく、お互い全力でカーブを曲がろうと集中していた。
ゲームに関する知識は3人の中で最も低い魔理沙だが、ハイエロファントの画面を見て、なんとなくヤバい雰囲気だというのは分かったらしい。彼女も彼女で、昔は妖精とレースごっこをしたり、化け猫に何かを盗まれた時は追いかけっこをしていた。そのため、カーブを外側で回る不利は理解していた。
「うぉおい……ハイエロファント、ちょっとヤバいんじゃあないの!? もっとスピード上げろ! 気合いだッ!」
「気合いでどうにかなるかッ!」
「静かに! 気が散るわ」
さとりに怒鳴られ、魔理沙は口を紡ぐ。
不利であることが分かっているのは、ハイエロファントも同じだ。再び
そしていよいよ、カーブを曲がる!
「……や、やはりッ!」
「ふゥ…………」
「ハ、ハイエロファントの車が……少しだけ遅れたッ! やっぱり外側を走るのは不利だったか!」
ほぼ同じタイミングでカーブに差しかかる2台だったが、曲がった後で直線に飛び出したのは、さとりの車が先であった。
差は未だ小さいもの。まだ先程と同じように、前方を阻まれて抜け出せなくなるほどではない。
しかし、災難は一度過ぎたとしても、再びやって来るものである。次に現れたのは細かく左右へ振られているカーブ地獄だ。おまけに壁が無い。今のスピードのまま突っ込めば、確実にコースアウトしてしまうだろう。
ハイエロファントは不本意だが、スピードを落としていく。しかし、さとりは依然減速しなかった。
「! さとり…………まさか、そのスピードであのうねった道を行くのか!?」
「おや、ハイエロファントさん。自信が無いんですか?」
「……経験済み……か……もう慣れてるということだな」
「なぁ〜〜っ!! さとり、ズルいぞ!」
「そう言うと思って、ハイエロファントさんにコースを選んでもらったのに。外野は静かに」
ハイエロファントの車が減速し、確実にカーブを攻略する中、さとりの車はスイスイと滑らかな動きでコースを走る。減速した分、さとりとの車の差はさらに開いてしまった。このうねり道の中では、もはやさとりに追いつくのは難しい。いや、不可能である。差はどんどん広がり、既に車5、6台分のスペースが空いてしまった。
やっとの思いでうねり道を抜け、直線に出てもさとりの優勢は変わらない。さとりは先程の並走の時と比べ、かなり落ち着きを取り戻したようだ。余裕の表情で指を動かしている。
ハイエロファントはアクセルボタンを押しながら、コースの全体図を思い出す。
スタートしてから大きなカーブが一つ、そして多くの大小様々なカーブが入り混じったゾーン、それらを抜けて来た。たしか、その次にあった物は……
「次は加速トンネルか。僕がやったことのあるコースよりも、遥かに長いトンネル。差を縮めるには加速に賭けるしかない……」
「加速トンネルの入り口は、2台が同時に入れるほどの広さではありません。どのようにして攻略するかはおそらく知っているのでしょうけど、一応伝えておきます」
「ケッ! どーせ、さとりが先に入るんだろ!」
魔理沙の態度にさとりは少々イラついているようであるが、彼女の悪態がさとりの調子を狂わせることはない。勝負に有利な状況が、さとりの精神状態を好調に維持しているからだ。魔理沙も『応援係』としているのだから、もっと応援してくれ、とハイエロファントは心の中で思う。
だが、魔理沙が言ったようにさとりが先にトンネルに入ることは、覆しようのない事実。加速トンネルでスピードを上げたとしても、さとりに追いつくのは難しい。自分のミスを限り無く減らし、かつさとりのミスを誘わなければならない。
そしていよいよ、2台はトンネルに侵入した!
「うわ、トンネルの中めちゃくちゃ暗いじゃあねぇか」
「…………」
(ないとは思ったが、前のライトを見る限り、さとりは確実に加速レーンを
トンネルの中は想像通り(魔理沙は違うが)、全く明かりが存在していなかった。あるのはせいぜい車のライトか、加速レーンの微かな光。それらを頼りに、走行の妨害をしてくるキャノン砲も避けねばならない。もちろん、ハイエロファントもさとりも、とっくに攻略済みである。
しかし、さとりの操作テクニックも大したものだ。加速レーンはトンネルの地面だけでなく、壁や天井に付いている。つまり、車のスピードを利用して壁、天井すらも走らねばならないのだ。さとりはその技術すらも磨いており、存在する加速レーンの全てを通り、ぐんぐんスピードを上げていた。
操作技術もほぼ互角。ここからハイエロファントはどう巻き返すというのか。互いにミスを待ちながら、加速トンネルを駆け抜ける。
「トンネルは間も無く終わりです。その次に待つのは、コースがいくつにも枝分かれするエリア。そこを抜ければ、再び数個のカーブがあり、そしてゴール。ハイエロファントさん、まだ負けは認めてませんよね?」
「………………」
「な、何か言い返してやれよぉ〜〜! 負けた上に時間取られるとか、私は嫌だぜッ!」
「まぁ静かに。ハイエロファントさんも集中してるのよ」
さとりは勝利を確信しているのか、余裕をアピールしつつ魔理沙を
さとりは、このまま先を走りながらトンネルを抜ける、そう思い車を走らせていたが、突然ある事に気付いた。
ガィイン ガィ〜〜ン ギャギャギャギャ
「! な、何の音……!?」
「何だ……? この……金属がぶつかるような……音。部屋の外から鳴ってんのか?」
「…………」
魔理沙とさとりが反応した、いきなり発せられ始めた奇妙な音。それはまるで、金属と金属が互いにぶつかり合うかのような、耳が痛くなる音だ。
魔理沙は手を耳に当て、音の発生場所を探ろうと部屋中をゆっくり歩き回る。しかし、部屋の端っこに行っても音が大きくならないため、地霊殿のどこかから鳴っているわけではないらしい。ということは、この謎の音が出ているのは、ハイエロファントたちがプレイするゲーム以外にあり得ないということだ。
「ハ、ハイエロファントさん!? 一体何を……?」
「ゲームに集中するんだ。もうすぐトンネルを抜ける」
「!?」
「あ!? こ、これはァーーーーッ!?」
ハイエロファントに言われ、さとりは自身のゲーム画面に視線を戻す。すると、車は間髪入れず、ハイエロファントが言ったようにトンネルを飛び出した。さとりの車に問題があるわけではないようだ。
注目すべきは、ハイエロファントの車。さとりの車がトンネルを抜けた瞬間、彼の車がさとりの車の上から降ってきたのだ!
「上から!? それに、なぜこんなにも差が小さく!?」
「どういうことだよ。ハイエロファント!」
「……キャノン砲さ」
「ま、まさか……キャノン砲に
ハイエロファントが魔理沙に答えたのはほんのそれだけ。「キャノン砲」とだけ伝えた。
魔理沙は理解できなかったが、ハイエロファントが使った手口はこの通り。トンネル内に無数に設置されたキャノン砲の砲身、および砲丸をわざと喰らい、ぶつかって、車を猛スピードで暴走させたのだ。ぶつける角度や部位を間違えれば、車のパワーは大きく減ってしまうし、妨害となって差は開いてしまう。そもそもキャノン砲はそのために設置されているのだ。
障害物でさえも己の武器に変えるハイエロファントのテクニックに、さとりはつい感心してしまった。そして、いきなり差を縮められたことによって、再び余裕が無くなり始める。
「…………!」
「次は枝分かれのコース! 君はこのコースについて知っているんだろう? ならば、君について行けば、差は開かなくて済む!」
「すげぇ! すげぇよ、ハイエロファント!」
「ね、すごいよね〜〜。お姉ちゃんも頑張れ〜〜」
ハイエロファントとさとりの車の差は、既に車一台分までに縮まっている。そして両者ともフルスロットルであり、ハイエロファントはなんとかさとりの車のサイドへ入ろうと、さとりはそれを阻害するため、ハイエロファントの車の前へと移動する。攻防はずっと続き、お互い一歩も譲らない。
そしていよいよ、件の枝分かれコースへと突入する。
「あ、私このコース知ってるよ。前やったことあるもん」
「へ〜〜。じゃあ、どの道が有利か、とか知ってんの?」
「うん。もちろんだとも」
「いや、魔理沙。実を言うと、僕はこのコースは初めて走るんだ。だからこんなコースは走ったことがない」
「……え? 私何か、お前に言った?」
「……何?」
「………………」
ハイエロファントと魔理沙の会話に、さとりは何か感じたことがあるようだ。しかし、それを口には出さない。
しかし、ハイエロファントはそれについていく。ピッタリとくっつき、分かれたコースも全く同じ道を走る。ゴールへ近道となるコースを使う手も、これでは台無しだ。
さとりはなんとか、ハイエロファントの車を一瞬だけでも止める方法を考えていた。
「…………ッ!」
(このゾーンを抜けた先はカーブが多くあるだけ…………全てのカーブで内側を通る? でも、ハイエロファントさんはそれを許してくれる相手ではない! どうする……!?)
「…………」
(残すはカーブだけ。それまでに、さとりが何の手も打たないことは無いはずだ。次は……最後の手は何だ?)
枝分かれゾーンは難無く突破した2台。依然、ハイエロファントの車はさとりの後方にピッタリとくっついている。
最後にはカーブしか待っていない。カーブに差しかかるまでの直線。そこが仕掛けどころだ。経験の差でハイエロファントが勝つか、それともさとりの意地が勝つのか。
さとりが最後に取った行動は…………
グゥウン……ガッチャァアアン!
「な、何ィ!?」
「なっ……さ、さとり! お前!」
さとりの車は一瞬、ハイエロファントがいる方とは別側のサイドへ弧を描くようにズレたかと思うと、勢いをつけてハイエロファントの前に飛び出した!
「ま、まさか……この手でくるとはッ!」
(最後の最後……何かあるとは思ったが、こんなにも大胆な方法を! シンプルだが、自分のスピードは極力落とさず、相手だけを減速させるやり方…………まさか君がやるとは思ってもいなかった!)
さとりの車は勢いをつけて横にズレただけのため、彼女の車は減速はしたものの、止まりはせず、そのままスピードを戻しながらゴールへと走る。
しかし、いきなりの行動に度肝を抜かれたハイエロファントは、思わず十字ボタンを押して左右へ逃げ、壁にぶつかってしまった。これで再び差ができてしまったのだ。
「お姉ちゃんも大胆〜〜」
「お前、汚ぇぞ! スポーツマンシップみたいな……ものは無いのか!」
「……誇りってこと? これも立派な技よ。ぶつかり合うことを前提に、このゲームはできてるんですもの。それに、今のが卑怯だって言うなら、最初のハイエロファントさんのスピンだってそうじゃないの?」
「ぬぐぅ…………」
「……まずい…………」
魔理沙はさとりに言いくるめられて黙る。ハイエロファントはと言うと、すでに車を動かしてはいるものの、さとりの車との差は大きく開いてしまった。カーブを通るだけでは、この差を埋めることはできない。
ハイエロファントは敗北を覚悟…………することはなかった。
今彼の頭の中にあるのは、彼の本体花京院と、DIOを倒すための長い旅。なぜ今思い出したのか、彼でもよく分からなかった。だが、今この場で諦めてしまったら、自分が自分でいられないと、ただただそんな予感がしていたのだ。
「…………」
(DIOを倒すというあの旅…………典明は……いろんな場面で
『光』の中へ……
ハイエロファントの中で、もはやにとりの依頼の調査に関する思考は消えていた。代わりにあったのは、矜持と自身の本体を裏切るまいとする心。それが例え、ゲームという遊びであっても、目の前の不利な現実から目を背け、諦めるという行為は限り無く愚かなもの。
ハイエロファントはそうでありたくはない。さとりに勝って終わると、高潔で誇り高い本体へ、強く誓った。
ハイエロファントの画面からはさとりの車は消え、ハイエロファントの聴覚から魔理沙の声も消える。ただ、彼は自分だけの道を行く。
カツン……カツン……
「……? な、何が…………」
(後ろに何かが……当たってる……? ハイエロファントさんの車は後ろのはず。差はさっきよりかは開いて、私に追いつけるわけが…………)
「く、車だ……ハイエロファントの車ッ! カーブを曲がる度車間を詰めて、もう追いついて来た! 何でだ!?」
「なッ!?」
「……さとりの車? もう追いついたのか」
さとりの車を後ろから押すもの。それは、ハイエロファントの操作する車だった!
さとりはその事実を知り、一度頭が真っ白になってしまう。それなりに差があったはずなのに、なぜもう追いついているのか。車体がぶつかり合うほどの距離まで、どうやって近付いて来たのか。何も分からなかった。
ハイエロファントの車はさとりの車を後ろから押し上げ、そのまま前へ突き進む。押され続けることにより、さとりのスピードがさらに増す。それにつれ、コントロールも徐々に失ってしまう。ハイエロファントの車が左右にズレてしまえば、さとりの車もそれにつられてズレてしまうだろう。
さとりは再び差を生むため、自分から左右に振ろうと試みる。が、振られるのはハイエロファントも同じであるため、自分の車体にぶつけて減速させることもできなかった。そして、ゴールもいよいよだ。
「そ、そんな…………!」
「ハイエロファントのスピードも上がってくぞ……! これで終わり、勝ちだぁッ!」
「ま、まだ……ッ!」
さとりは十字ボタンをいじり、ハイエロファントの車からなんとか逃れようとするが、加速するハイエロファントからは中々離れられない。
さとりはゲームを始める前、「能力は使わない」と宣言していた。しかし、今この時、さとりの視線と『
そしてようやく、無理矢理ハイエロファントの車から離れると、次に彼女に待っていたのは…………
「あっ……し、しまっ…………」
ガッシャァアア〜〜ン!
さとりの車はバランスを崩し、近くまでやって来たゴールの枠に激突。大破してしまう。そして、その瞬間!
『ゴール!!!』
「や、やったぁ! ハイエロファントの勝ちだぜッ!」
「ふゥ…………勝ったのは僕の方……だ」
長かったですね。
本当はキリのいいところで切りたかったのですが、中々難しいです。
さとりとのレース勝負に勝ったハイエロファント!
これで、さとりはハイエロファントたちに協力することが決まった。
次回はヨーヨーマッを倒した霊夢サイドにスポットを当てる。
お楽しみに!
to be continued⇒
あくまで参考までに、ということで。
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東方をよく知っている
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ジョジョをよく知っている
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東方もジョジョもよく知っている
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どちらもよく知らない