幽波紋の奇妙な幻想 《Drifted Destiny》   作:右利き

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47.ぶつけろ、『陰陽宝玉』

「うっ……ぐ…………チャリ……オッツ……」

 

 霊夢は壁に手をつけ、フラつきながら朦朧(もうろう)とする意識を整えようと頭を押さえる。

 鼻の奥がツンと痛くなる爆煙はまだ晴れておらず、ドーム内の状況が掴めない。お空はどうなった? 倒せたのか? 起き上がってくる気配を探りたい。だが、その前に、自分を庇って爆発に巻き込まれたチャリオッツのことだ。

 あれは幻覚であってほしい。爆風で頭を揺らしたか、壁にぶつけたかで視界がブレただけだ。そう思いたい。

 

「…………チャリオッツ……ッ! 出てきなさいよォ! あんたはスタンドでしょ!? ケガしても治るんでしょう!? 調子の狂う態度を見せなさいよッ!」

(意味が分からない! 例のスピードだったら、私を助けた後に逃げることだってできたはず…………わざわざ飛び込んで来るなんて…………!)

 

 まだ意識がハッキリし切っていないからか、チャリオッツの行動について理解しようと思っても納得のいく答えが出ない。霊夢の目にはまるで、わざと弾幕に当たりに来たようにも見えていたのだ。会って初日とはいえ、戦いを共に潜った仲間。自身の目の前で彼がバラバラになったショックよりも、謎の方が霊夢の頭に残っているのだった。

 

「ハァ……ハァ…………あ、あれは……?」

(壁の下の方に……通路? まだこの先に何かがあるっていうの……?)

 

 自分が手をついている壁とは真逆の方向、お空が背にしていた壁の下方に通路の入り口のようなものを見つけた霊夢。ドアが付いているわけではなく、本当にただの道になっているようだ。そこから暗闇が漏れている。

 霊夢はあそこが出口だと考え、余計にチャリオッツのことを頭から離せずになっていた。「本当に死んだのか?」、「ハイエロファントに何と言えばいいのか」。混乱が徐々に大きくなり始めたその時、驚きの人物が彼女に声をかけた。

 

「……よくも……やったなぁ……博麗の巫女…………!」

 

「! あんた……まだ動けるの……!?」

 

「神の力をナメちゃあいけないよ。この程度じゃあ、私の地上進出は止まらない!」

 

 なんと、倒れたと思っていたお空はまだ戦闘を続けられる状態にあった。霊夢の『夢想封印』を喰らっても尚、彼女は地面に墜落することはなく、ダメージを空中で受け止めていたのだ。

 霊夢にとって、これは初めての経験だった。今までもいくらか異変を解決してきたが、その過程で色々な種族、強者たちと弾幕戦を行った。『スペルカード』とは弾幕戦における切り札であり、使い方次第では形成をいきなりひっくり返せるほどの代物。そのように作られている。そのため、これまでに戦った『紅魔館』のレミリア・スカーレットや十六夜咲夜も、『スペルカード』が直撃さえすれば撃ち沈められることができた。

 この事実から、お空が手に入れたものは紛うこと無き『神の力』。相当強力なものだ。なおさら地上へ出すわけにいかないが、霊夢も『メガフレア』の爆発を受けて満身創痍。第二回戦を始めることは厳しかった。

 

「戦いはまだ続いている! 今体力に余裕があるのは、私の方みたいね。次の一撃で今度こそ、決着をつけてやる」

 

 霊夢が左腕で右半身を庇う中、お空はほんの少し(すす)にまみれているだけでピンピンしている。エネルギーもまだまだ足りているようだ。

 お空は再び、『メガフレア』や『ニュークリアフュージョン』とは違うスペルカードを取り出すと、これまでと同じように宙に掲げる。彼女の荒々しい、火山の噴火のような激しいスペルが、また霊夢に繰り出されるというのだ。

 もちろん霊夢も迎撃の用意をしようとするが、先に述べたように彼女は万全の状態ではなく本来の力を出しきれない。霊夢は破滅の道を征くしかなかった。

 

「くっ……弾幕を……ッ!」

 

「終わりだ。くらえ、『地獄極楽メルトダウン』!」

 

ブォオオオオオォッ!!

 

 お空がスペルを叫ぶと、左右に伸ばした両腕の先に紫色の弾幕が形成される。彼女の弾幕に共通するのは、どれもこれも球型であるということ。この『地獄極楽メルトダウン』で放つ弾幕も例外でなく、丸い弾幕をベースに展開していくようだ。

 形作られた弾幕は、空気を入れられる風船のようにどんどん大きくなる。お空と霊夢の距離はドームの半径とほぼ同じで、それなりに遠いのであるが、霊夢のところまで熱が届いている。本当のトドメとして使うところから、おそらくお空がもつスペルの中でもトップクラスで強いのだろう。これを止めねば全てが終わる。

 

「ハァ……ハァ……」

(ま、まずい…………もう避けられる体力も、迎え撃つ弾幕(霊力)も残ってない……浮遊しているだけで精一杯なのに……どうにか……しないと…………!)

 

「私の……勝ちだァアアアッ!! 消えて無くなれェーーーーッ!」

 

 お空が両腕を後ろにしならせ、振りかぶり、二つの超大型弾幕の狙いを霊夢に定めた。もう数秒後には、お空のスペルが灰も残さず霊夢を焼き殺しているだろう。「もう終わりだ」と、霊夢も覚悟した。

 

 

 

 その次の瞬間!

 

 

ガシィッ ガシィィ!

 

 

「うッ!? だ、誰……!?」

 

 突如、お空の体が弾幕を振りかぶった体勢で動きを止めた。胸と腹を大きく前に張った状態で、いかにも維持し続けたら辛そうな姿勢である。そして、彼女の言葉から考えるに、この体勢は何者かに強制されてしまっているらしい。

 霊夢がその者の正体を確認しようと、少し顔を左右へ振ってお空の背後を覗く。

 チラリと目に見えたのは、金属が放つ鈍い光沢。銀色の籠手が、お空の両脇を抱えており、頭の後ろには同じく銀色に輝く甲冑があった。それはまさしく彼だった。

 

「まったくよ……俺っていつもそうなんだ。悪運が強い。あれだけ負傷してても……『運命』ってやつの仕業なのかな、また戦わせられる」

 

「う、うそ…………あんた……さっきバラバラになって……死んだんじゃないの…………チャリオッツ……!」

 

「人を勝手に殺してんじゃあねーー。だが、オメーが時間稼ぎしてくれたおかげで、身体の節々はそれなりに回復した。そっちも無事で何よりだぜ…………」

 

 そうだ。よく見てみれば、爆破の衝撃で断裂しかけていた腕もしっかりとくっ付いているではないか。完全回復とまではいかないが、チャリオッツはそれなりに回復し、霊夢に文句を言えるぐらいにはなった。

 チャリオッツは霊夢に向けて言った後、チラリとドームの出口に目を向ける。そこには赤髪の火車、火焔猫燐とザ・フールがおり、砂を熱気に乗せてパラパラとドーム内に溶け込ませていた。

 霊夢が先程見たチャリオッツとは、ザ・フールが砂で作り出したダミーである。DIOの館でヴァニラ・アイスに使った技。その時は見破られてしまったが、彼のダミーは形が精巧に作られているのはもちろん、声まで本物そっくりにできるのだ。

 ザ・フールが砂のダミーで霊夢を助け、チャリオッツも動かすことなく回復させたのだ。

 

「…………また助けられちまったな……だが、今度は礼が言えるぜ……!」

 

 

 

「ねぇ、スナマル。君、本当は喋れるのにあの剣士さんと話さなくていいの?」

 

『ケッ! 誰があんなやつと喋るかよ。全く、相変わらず尻拭いしてやらねぇといけねー野郎だ。だがまぁ…………礼ぐらいはちゃんと聞いてやってもいいぜ』

 

 

 

「は、離せぇ……このォ! 私から離れろォッ!」

 

「あれだけ……喰らっても! こんなに元気なのかよ! 全く妖怪は侮れねぇな…………霊夢、トドメだ! こいつはまだ動けるが、俺がなんとか抑えているッ! そのうちに、一番強いやつを頼むぜッ!」

 

「!」

 

 チャリオッツは超スピードで分身すると、お空の体にへばりついてさらにキツく拘束する。いくら少女でも、お空は妖怪。パワー自体は普通の人間と大差のないチャリオッツでは、数人がかりで押さえつけねば力負けしてしまうのだ。

 そして、霊夢はというと、彼女の頭の中にチャリオッツの「一番強いやつを」という言葉が色濃く残っているのだった。一番強いスペルである。霊夢は魔理沙と違い(怠け気味なのは同じであるが)、あまり自身の強さの追求をしないタイプであった。しかし、今回ばかりは違う。スタンドたちが幻想郷に来てから、彼女のサボり癖は徐々に消えつつあった。

 

「…………」

(ふふ……いいわよ。特大のやつをプレゼントしてやるわ。後悔しないでよ、チャリオッツ…………)

 

 霊夢は口角だけを上げ、小さい笑みを浮かべて再びスペルカードを取り出した。その一枚を空中へ放り投げると、彼女は両腕を頭上へ掲げる。

 すると、どうだ。まるで気流が発生したかのように、風が巻き起こる。実際は風ではないのだが、チャリオッツとお空は確かにをそれを肌で感じ、霊夢の髪もバサバサと(なび)く。

 霊夢が両掌に集めているものとは霊力である。自身に残る多くの霊力を集め、固め、特大の弾幕に変えて相手にぶつける。これがスペル、宝符.『陰陽宝玉』。

 

「ガラにもなく、真面目に修行したのよ。そして手に入れた! 妖怪なんぞに負けるか! チャリオッツ、私が撃ったらすぐ離れるのよ。死にたくなければね」

 

「あぁ、分かってるぜ。絶対こいつにぶち当ててやるよ」

 

「ヒッ…………!」

 

 チャリオッツたちが拘束に使う腕を少し締めると、お空から怯えた声が飛び出す。彼女の正面にいるチャリオッツはいないため、お空の顔が引き()っているかどうかは分からないが、最早勝負はついていた。

 霊夢の『陰陽宝玉』はお空が撃ってきたどの弾幕よりも、はるかに大きく膨らんでいた。バチバチとスパークし、その電撃がドーム内の壁を削り取る。双方、準備が整った!

 

「いくわよ…………チャリオッツッ! 絶対離すなッ! ハァアアアアーーーーーーッ!!!」

 

「う……うあぁああああああぁああ!!!」

 

 霊夢が全身の筋肉をしならせ、腰から腕まで全てのパワーを以ってして『陰陽宝玉』をお空へ投げつける。チャリオッツが限界までお空を押さえ込む中、お空の悲鳴がドーム内からマグマの渓谷まで響き渡る。

 『陰陽宝玉』が迫るスピードはそれほど速くはなく、チャリオッツはギリギリまでお空を押さえつけるが、彼女は先程よりもさらに力強く暴れ出す。しかし、いくら彼女でも7人のチャリオッツにしがみつかれては、身動きはほとんど取れないのであった。

 そして、時は来た。チャリオッツたちは一斉にお空から飛び退くと、疲弊した霊夢を脇に抱えてザ・フールたちが待つ出口へ急いだ。事を察知したお燐たちも、お空を心配する素振りを見せながらも出口の奥へと身を翻して走り出す。

 

「お前ら、行けッ! 早くしろ! 巻き込まれて全員死んじまうぞッ! GO GO!」

 

 

「う、うぅあぁあああ…………」

 

 ドーム内に一人残されたお空。彼女は限界までチャリオッツに押さえつけられ、結局『陰陽宝玉』を避けることができなかった。しかし、避けられないなら避けられないで、霊夢の全力の弾幕を受け止めてしまえばいいのだ。そう考えたお空は、最後に力を振り絞り、両手を大きく広げて特大の超大型弾幕全身で受け止めた。

 

バチバチッ ビシッ バチバチバチィ!

 

「こ、これしき……のこと……ぉ……う……け……止めて……や…………」

 

 お空は全力で『陰陽宝玉』に抵抗するが、弾幕から発せられるスパークは妖怪であるお空をどんどん消耗させていく。彼女にとってはそれは毒のエネルギーで、巫女がもつ退魔の力そのもの。故に、お空には絶対に止めることができない大技である。

 最初から確実に、宣言通りにチャリオッツを仕留めていればこんなことにはならなかった。そう心の中で後悔する。敗因は、彼女自身の怠慢である。

 

「ま、負ける…………! 受け止め切れない……つ、潰れ……潰れるぅ……ッ! うわぁあぁああぁあッ!!」

 

 スパークはどんどん激しくなり、『陰陽宝玉』自体も真っ白な閃光を放ち始める。そろそろフィナーレだ。

 お空は神の力にあやかり過ぎてしまった。それ故に、自らが最強であると信じて疑わず、霊夢に敗北したのだ。井の中の蛙は大海を知らないように、地底の鴉は世の中を知らなかった。地上ではなく、世の中を。

 『陰陽宝玉』の光はどんどん強くなり、止まることを知らない。やがてお空の全身を呑み込んで________

 

 

 

____________________

 

 

 

「うわぁ! な、何だ!? 人里の外で火が出てるぞ! ドデカい火柱だァ!!」

「何だありゃあ……この世の終わりだぁ……」

「て、天まで昇ってやがる……何が起きてんだ!? 今日は厄日なのかッ!?」

 

 太陽も沈んだ頃、人里では大混乱が起きていた。人里から離れた森の中、そこから超巨大な火柱が上がり、それが終わりなく天まで続いていたのだ。それはまるで、火山の噴火。しかし、火口があるのは山ではなく、地の高さであれば人里と同じぐらいである。

 人々が大騒ぎしている中、とある民家に集っていた慧音とS・フィンガーズも異常な出来事に困惑していた。

 

「な、何なんだ……あれは!? こんなこと、今まで一度も起きたことがないッ!」

 

「……俺が見てくる。慧音、あんたは人里の混乱を鎮めていてくれッ!」

 

「ス、スティッキィ・フィンガーズ!?」

 

 S・フィンガーズは慧音の制止を聞かず、民家から飛び出した。彼からしたら、これは()()()()厄介ごとであった。

 火柱は幻想郷の至る所から見えており、竹に囲まれた日本家屋からも、この厄災のような現象は十分過ぎるほど目に入るのだった。

 

 

____________________

 

 

 

「な、何……!? 今の振動……!?」

 

「どうやら、地下から来ているようだ……さとり、この下には何がある?」

 

 場所が変わって地霊殿。ゲーム勝負に勝ったハイエロファントと魔理沙は、さとりに連れられるがままに、地霊殿の中を歩いていた。さとりは言う。ここは『旧地獄』に蓋をするようにして建てられた場所で、この地下に『灼熱地獄』が存在していると。

 

「そこで私のペットに温度の管理を任せているんだけれど……まさか何かあったのかしら…………」

 

「! おい、ハイエロファント……な、何だ? この振動。次は何か……足音みたいなのが来て…………」

 

 

ドガシャアァアア〜〜ーーーーン!

 

 

「うわ! 何だァ!?」

 

 3人が2フロアへ繋がるエントランスを歩いていると、一階部分にある一際大きな巨大な鉄扉が轟音を立てて開けられた。何事かと階段を降りて様子を見てみれば、そこには赤髪の少女とボロボロのチャリオッツ、そしてさらにボロボロの霊夢が、ぶちまけられた砂の上でぐったりしていた。

 魔理沙はびっくりしてチャリオッツと霊夢を助け起こそうとし、さとりもさとりで、赤髪の少女に助けの手を伸ばす。ハイエロファントは砂を少々(すく)い上げると、何を思ったのか声をかけた。

 

「……君は……もしや……ザ・フールか……? イギーの…………」

 

 砂は彼の言葉に反応し、掌の上でサラサラと形を変える。作った文字は『YES』。ハイエロファントは続けて声をかけた。

 

「ありがとう。君があの3人を守ったんだな。何があったのかは分からないが、砂のクッションとなって。個人的に関わったことは少ないが、僕は君にまた会えて嬉しいよ」

 

 今度は反応なし。「照れているのだろうか」と考え、ハイエロファントはそれ以上ザ・フールに話しかけることはなく、起き上がったチャリオッツの元へ歩いて行く。チャリオッツの傷は修復しかけており、脱ぎ捨てた甲冑も戻りつつあり、見た目はなんともバランスが悪かった。

 

「チャリオッツ、無事で良かった。さっきの大地震は2人がやったのか?」

 

「よお、ハイエロファント……まぁな。強い敵だったぜ…………なぁ、霊夢。まだ敵の反応はあるか?」

 

「うっすらと……ね…………でも、もう再起不能よ。この感じじゃね」

 

「一体……何があったの……? お燐、全部話してちょうだい」

 

 お燐はさとりに言われるまま、事の顛末を洗いざらい話した。お空が地上の神に『八咫烏』の力をもらったこと、彼女の処分を恐れて地上の者に地底の異変を察知してもらおうとしたこと、怨霊や間欠泉を勝手にイジったこと。

 さとりは終始表情を変えずに、お燐の話を黙って聞いていた。何を思っているのか、それはさとりにしか分からないことだ。全てを話した後のお燐は、今までの緊張が全部抜けたからか、少し目が潤んでいるように見える。そんな彼女に、さとりは優しく言うのだった。

 

「お燐。あなたの気持ちはよく分かったわ。でもね、私はペットであるあなたたちの飼い主だもの。処分なんてしないわ。もちろん、ミスが無くなるように叱ることはあるかもしれないけどね。私は心を読めば全て分かるけど、それでもしっかり話してくれたあなたは偉いわ」

 

「さとり様…………」

 

 体はさとりの方が微妙に小さいが、まるでお燐の母親のように、彼女はお燐を抱擁する。そして軽く宥めた後、魔理沙の提案でさとり、チャリオッツ、霊夢、ハイエロファントの5人でお空のいたドームを再び見に行くこととなった。

 長い長い通路と階段を5人は飛行して抜けて行くと目的地に到着。霊夢の『陰陽宝玉』がドームのほとんどを破壊し、地上まで大穴を穿っていた。大量の瓦礫(がれき)が溢れ、渓谷方面からはマグマも流れ出ていた。さとりがそんな惨状に唖然としている中、魔理沙と彼女に肩を貸してもらっている霊夢が瓦礫の中にあるものを見つけた。それは特大の弾幕を受け、着ていた服が全て弾け飛んで無防備な姿に変わったお空だった。

 異変の元凶だと聞きつけたハイエロファント、単純に覗きに来たチャリオッツを、魔理沙たち2人は追い返し、さとりにお空のことを任せる。

 お空の肌色を男共に見せぬように、さとりはお空を抱き抱えて苦労しながらドームを後にするのだった。

 ドームの天井は完全に吹き抜けになってしまい、空に星空が見える。一日も経っていないというのに、久々の地上を見た4人は脱力し、各々近くの瓦礫に腰を掛けた。

 

「こんなんにする攻撃を受けてもよーー、原型を留めてたあのお空ってやつ、スゲーよな」

 

「あの娘がどうやら、にとりが言ってたやつよ。神の力をもらったらしいわね」

 

「へ〜〜。大変だったんだな。こっちはゲーム機で勝負してたのに」

 

「何ィ!? おいハイエロファント、それは本当か!? 俺たちが命懸けの戦いをしてたっつーのに、ゲームだぁ〜〜!?」

 

「……すまない……今回は返す言葉がない……」

 

「そうだッ! 謝りやがれ、このチクショー!」

 

 4人はしばらく団欒し、小一時間ほど経過した後で解散することになった。この中で一番負傷が激しい霊夢は穴を出てまっすぐ博麗神社へ戻り、魔法店組の3人はゆっくりと地上へと上がる。

 ハイエロファントがチャリオッツにザ・フールのことについて訊いたが、チャリオッツは「ザ・フールが行きたくないと言うならば、無理に連れては行かない」と動きを共にすることはなかった。また改めて、話せる機会があるならば、今度はマジシャンズレッドも連れて行きたいと話しながら、3人は地底を抜けるのだった。

 地底に入ったばかりの時はすんなりと受け入れられたが、いざ地底から出てみると地上とはかなり空気が違うようだ。澄んでいてとても美味しい。木々の近くで魔理沙が深呼吸していると、木陰から何者かの影が揺れた。現れたのは…………

 

「君は……スティッキィ・フィンガーズ。どうしてここに……いや、普通来るものか」

 

「魔理沙にチャリオッツ、ハイエロファントグリーン。お前たちがその穴から出て来たということは…………起こっていた事件は解決した、ということでいいのか?」

 

「あぁ。まぁな。異変解決は、この霧雨魔理沙さまの十八番(おはこ)だからな!」

 

「そうか。なら、異変というわけではないと思うが、俺を手伝ってほしい」

 

「? 君を手伝う?」

 

 突如噴き上がった巨大な火柱を調査しに来たS・フィンガーズ。彼は厄介ごとを抱えていた。彼は心の中で、この3人の力を貸してもらえれば、事件を解決することができると踏んだ。

 その内容とは。

 

「永遠亭が何者かに襲撃された。その生き残りが人里にいる。彼女から話を聞く限り、襲撃者の正体はスタンドだ。そいつの討伐を手伝ってほしい」

 

 

 

 




これにて地霊殿編は完結。
今までで一番長い異変でしたね。


間欠泉と怨霊の異変を解決したハイエロファント一行。
しかし、難というものは次々とやってくるものである。
『無敵』のスタンドを倒すのは誰か?

お楽しみに!
to be continued⇒

あくまで参考までに、ということで。

  • 東方をよく知っている
  • ジョジョをよく知っている
  • 東方もジョジョもよく知っている
  • どちらもよく知らない
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