幽波紋の奇妙な幻想 《Drifted Destiny》 作:右利き
いつもフリーバトルしかやらないんですが、そっちの方がキャラクターを多く使えて新鮮じゃないですか。
そんな感じで、好きなキャラクターがいるんですけど、
手応えがコントローラーを通して伝わる「承太郎」と
時を長く止められる「DIO」、
カウンターというか、原作の再現がしやすい「ディアボロ」、
元々キャラクターとして好きな「定助」がお気に入りです。
(どうでもよかった)
異様な行動を取るスタンドにかけられたフランドールの言葉に、咲夜とレミリアは目に焼き付けられたスタンド像を視界から外さずに反応する。
「クリー……ム?」
「あいつの名前のようね……」
「! 来るぞ!」
ハイエロファントの声で2人は構える。宙に浮かぶクリームは自身の体を呑み込んで姿を消してしまっていた。
「咲夜さん、あのクリームとかいうスタンドの攻撃、その最中で
「い、いいえ……何も見えなかったわ」
「……もしかしたら、あいつは……」
ハイエロファントはクリームのいた地点から目を下に落とす。その直後、いきなり同じ地点の床が抉られた。そこで止まった…思いきや、床につけられた
「やはり! 透明になって攻撃してくるスタンドッ!」
「……咲夜!」
「はいッ。時よ……止まれ!!」
レミリアの合図を受けた咲夜は、クリームの攻撃が自身の10m程先の辺りに来たとき、右手を前へ広げて叫んだ。
そこからは静止の世界。動くものは何も無く、ハイエロファントやレミリア、巻き上げられた瓦礫、クリームの攻撃、全てが止まっている。しかし、たった1人だけ、動く者がいた。
十六夜咲夜。種族はただの人間でありながら、"時間を操る"という強力な能力をもっている。止まった時の中で動ける彼女からして、この
「あなたの攻撃の軌跡が……見える。いくら透明だといっても、自身の痕跡を残しているようじゃあ私の敵では、ない!」
クリームの攻撃が行われている箇所を見ながら、彼女は攻撃に移る。
咲夜は静止したクリームの攻撃目掛けて、無数のナイフを全方位から刃が向くように配置し、攻撃の進行方向からもさらに束ねたナイフ群を宙に置いた。そして元の場所に戻って一言。
「そして時は動き出す」
突如として現れたナイフの群れ。それらは咲夜の掛け声と同時にゆっくりと破壊の権化に向けて進行する。そしてクリームの攻撃は何事もなかったかのように3人のいる方へ、そして自身を殺すために散りばめられた鋼鉄の雨へと突進した。
ガオン! ギャオォン!
ガオン!
しかし、「その程度の攻撃、どうということもない」とでも言うかのようにクリームはナイフ群をまとめて削り取る。そしてその勢いを殺さぬのまま、3人の方へと迫った!
ゴ オ オ オ オ オ ォ ォ
「まずい……! 避けるんだッ!」
ハイエロファントの声をトリガーとしたように、レミリアは張りの良いバネの如く宙へ、咲夜とハイエロファントはそれぞれ左右に転がり、クリームとの衝突を回避する。標的を失ったクリームは
空洞音を響かせる風穴はしばらく何も変化が無かった。そのまま突き抜けたのか?クリームが戻って来る気配はない。
「戻って来ないなら……何にせよ、今がチャンスだ。あのスタンドへの対策を練られる。」
ハイエロファントはそう言って図書館の奥へ目をやる。そこにはレミリアの妹、フランドール・スカーレットがいた。彼の視線に気付いたフランドールは何を口に出せばいいのか分かっていないのか、とても難しく、悲しそうな表情をしていた。
「私がフランと話してくるわ……いろいろね」
「頼みます」
フランドールの様子を見たレミリアは、ハイエロファントが彼女の元へ行こうとする前にフランドールへの事情聴取を名乗り出た。「あんな様子だからこそ、姉の私が聞いてやるに限る」と。
「それじゃあ、咲夜さん。クリームとフランドールの関係についてはレミリア嬢に任せよう。こっちでやつへの対抗策を。時を止めて攻撃をしたとき、何か気付いたことはあったかい?」
「いいえ。……やつに弱点なんてあるとは思えないわ。全方位からナイフで囲んだというのに全部、ほら、この通りよ」
そう言って3本のナイフをハイエロファントに見せつけた。刃が半分失われているもの、完全に刃が消え、持ち手だけになったもの、刃だけ残ったもの。石の壁や鉄でできた道具など、やつに削られないものはないのだろう。そんなことを間接的に想像内に刷り込ませてくる。
「……どんなものでも削られる上に、全身を隠し、なおかつ防御も完璧、か……」
「どうするの? どうにかして引きずり出すつもり?」
「…………」
ハイエロファントはクリームの攻撃を受けてから、これまでの光景を思い返していた。干渉されることのない無敵の状態となって攻撃してくる。それは透明な時だけ。それでは、今の今まで一度も姿を現さずに突進攻撃を仕掛ければ我々を葬っていけただろうに、わざわざ姿を見せた理由は……
「……やつは、我々のことが見えてない。」
「え?」
「いや、気が触れていて獣のようなやつだと思ったから、一度姿を見せたことに何も意味なんてないと思った。だが、やつは僕を狙っていながら、
「なるほど……でも、それが分かったからってあっちが顔を出すまで何もできないじゃない? こっちを見させるために陽動しようと言ったって目は見えないし、顔を表に出していないから目が見えない、というなら耳も頼りにならなさそうだけど。」
「いいや、もう1つ分かったこと、というより可能性が高いことがある。やつは
咲夜は顎に親指の先を当てて考える。
「……私たちを襲ってきたとき、床を伝って行ったから?そのまま削り取りながら沈まずに。」
「ああ。」
「……確かに。あり得るわ………でも、それだけ分かっても対抗策なんて全然思い浮かばない…厄介な相手ね……本当に。」
「…………」
(あのスタンド…とても理性が感じられなかった……本体が元々あんな人格だった可能性もあるがにわかに信じられない。……僕と違う、何か問題がある状態で生まれてしまったのか……?)
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「フラン」
ハイエロファントに情報聴取を任されたレミリアが呼びかける。フランドールは一瞬レミリアをチラリと見やるが、すぐ顔を伏せた。レミリアはそれを見て彼女に歩み寄り、右手を肩に、左手で頭を撫でながら「大丈夫 大丈夫」と言うように興奮した犬を
「何があったのか……話してくれる?」
レミリアの問いかけに、しばらくしてからコクンと頷くと、フランドールは口を開いた。
私とクリームが出会ったのは、今から大体2週間前。館内を歩いていたら、見つけたの。体中に小さい穴がたくさん空いてて、苦しそうに唸りながら突っ伏してたわ。見つけたときは1人だったから、その時は誰にもクリームの存在に気付いてなかった……
私は無意識に彼を自分の部屋に連れて行ったの。今思えば、新しい遊び相手をむざむざ放っておきたくなかったのかもしれないけど。部屋に運んで、自分のベッドで寝かせて2日後くらいにクリームは目覚めたわ。目覚めたクリームとはお互いに自己紹介して、話し相手や遊び相手になってもらったの。とても楽しかったわ。咲夜や美鈴、パチェに遊んでもらうのとは全然違ったの。それは"いつもはいない特別な存在"みたいな…ね。その時は、"私の友達"って館のみんなに紹介するつもりだった……
でも、「隠そう」って思ったのはクリームが目覚めてからすぐのことだったわ。いきなりだったの。クリームはいきなり苦しみだして、態度が変わった。すごい気迫で、溜め込んでいた恨みが爆発したみたいに荒っぽくなって、私が抑えてもダメだったの。そしてそのまま、
せっかく私が、自分で作った"初めての友達"……絶対に離さないって決めて……匿ったの…… だって彼も……心が空っぽの器だけみたい。だけってことは……1人ぼっちなのよ。
自分で作った初めての友達。フランドールはその言葉を出してから、涙が止まらなくなってしまった。いい終わった後、フランドールはレミリアに「ごめんなさい」と謝るが、レミリアはそれに反応することなく、フランドールをそっと抱きしめる。
「それは……こっちのセリフよ。フラン。そんなに優しい子に育っているなんて……全然気付かなかった。ごめんなさいね」
フランドールの涙はもう止まっている。彼女は「うん」と抱きしめ返した。そこでレミリアが再び口を開ける。
「大切な友達……だからこそ、どうにかするべきじゃあない?あのまま放っておくわけにはいかないでしょう? ……手を貸してくれる?」
レミリアの問いかけに、今度は間も入れずに答える。
「うん。クリームを止めましょう」
「それでこそ我が妹、よ。」
レミリアはそう言うと、フランドールの手を引き、ハイエロファントたちの元へ軽く羽ばたいた。床から2メートル程浮き上がる。レミリアには羽らしい羽があるが、フランドールはなぜ
「フラン。クリームの弱点はわかるかしら? 本人に聞いていたりしない?」
「……わからない……自己紹介の時に記憶がなさそうだったわ。名前しか思い出せないって」
「……困ったわね」
記憶がない。ということは、今暴れ回っているのは少なくとも理性によってではない。そう確信したレミリアは思案する。
(記憶がないのに、相手を傷つける方法、自分の特性をよく理解しているのは変ね…………となると、フランに嘘をついたか……
「…フランに嘘をついた、ということはなさそうね。メリットがないもの」
その呟きに対してフランが小さく頷いたとき、図書館の外から獣のような、いや、それよりも更におどろおどろしい、低い雄叫びが館中に響いた。おそらく……
「この声、クリーム!?」
「! フラン!」
聴こえた瞬間、フランが飛び出した。レミリアは待ったを掛けながらフランの肩を掴み、静止させようとする。ハイエロファントたちも気付いたようで、咲夜と共に2人の元へ寄ってきた。しかし、
ガ オ ン !
次の瞬間、レミリアの頭上、しかも遥か上の図書館の天井に円い穴が空いた!
「お嬢様!?」
「……いきなり来たか……レミリア嬢! 早くそこを移動するんだッ!」
「お姉様……っ。クリームッ! 顔を見せてッ!」
フランドールの言葉を無視しクリームは答えず、顔も出さない。しかし、彼の"牙"は確実に迫ってきているのは明白である。
(軌道が……読めない……ッ。せめて何か……クリームに削り取らせないと!)
攻撃が当たる前に、何かをぶつけて軌道を読もうと画策するが、近くには何もない。だからと言って下手に動くのも、命取りだ。レミリアが「まずい」と覚悟した瞬間……
ブ ワ ワ サ ア ア ア ァ ァ!!
何かの"群れ"がレミリアの周りを囲んだ。鳥のように羽ばたく何か。それをガオン!と削る球形の空間がレミリアの視界を埋める。
(み……見えたッ。クリームの攻撃が!)
自身の右手側から接近するクリームを発見し、前方へと回避する。目標を再び失ったクリームは墜落するようにして床に穴を空けた。
それを見たレミリアと、その他の者は突如視界を覆った物体へと目を向ける。先程は羽ばたいていたように見えたが、どうやら違ったらしい。おそらく、"舞っていた"だけ。その証拠に、物体全てが今は宙になく、床に散乱していた。
その物体とは、本。おびただしい数の本である。しかし、本は自分では舞うことはない。誰かが
「全く……私の図書館で好き勝手やるわね。あなたたち」
「パチェ!」
魔法使い、パチュリー・ノーレッジ。彼女が魔法によって本の群れを巻き上げたのだ。読書の途中だったようで、1冊の本を脇に抱えて4人の元へゆっくりとやって来ると、クリームの空けた穴に向かって声を投げる。
「ま、あちこちの破壊の犯人はあなたらしいけど? 話は何となく聞いていたから、あなたの命までは取りはしないわ。でも、しばらく再起不能になってもらう」
いい終わったすぐ後、穴の上にポッとクリームの顔が出現した。目をギラつかせ、上顎から首から下の部位が流れるように現れていく。異様な光景だが、5人は全く臆すことなくクリームの全貌が現れるのを見つめていた。
全身が現れ、その両足が床に着いたとき、ハイエロファントは驚愕する。なんて巨大な体躯。自身の1.5倍。いや、それ以上にもなろうか。
「クリーム……!正気に戻ったの?」
フランドールが駆け寄ろうとするのをレミリアに抑えられながら問う。クリームはフランドールを目を向けた後、ハイエロファントを見やった。
「……私ハ元カラ正気ダ。ハイエロファントグリーン……貴様のヨウな裏切リ者は、DIO様ヨリ「殺せ」と命令されテイル」
「……何だと?」
ハイエロファントはクリームの言葉に対して疑問を抱く。DIOは既に花京院典明を殺した。それを知らないのか……?ということは…まさか……
「お前は……まさかとは思うが……アヴドゥルと……イギーを殺したのはお前か……?」
ハイエロファントの言葉に怒気が混ざる。挙げられたかつての仲間は、DIOの館の中で死亡した、とポルナレフという別の仲間から聞かされていた。
「その通りだ。ソシテ花京院典明ッ! 貴様をココで始末シテやル! コノ"ヴァニラ・アイス"のスタンド、クリームの暗黒空間にバラ撒いてなッ!!」
全員が驚愕する。中でもハイエロファントとフランドール。どちらの想像とも違っていた。スタンドに入っていたのは本体の人格ッ!クリームの人格は今表にはないッ!
「このスタンドッ! いつの間に人格が変わったんだ! 絶対に正気じゃあないぞッ!」
「そんなッ! クリームを返してッ!」
フランドールが自身の周りに弾幕を形成し、クリームに飛びかかった。
「訳の分かラナイコトを……邪魔だッ! 小娘ェッ!」
バ キ イ ィ !
クリームは苛立ちながら飛びかかるフランドールを殴り飛ばした。吹っ飛んだフランドールは軌道上にある本棚をいくつも貫通し、硬い
「ク、クリーム……」
「まだ息がアルのカ………ウゴガァァッ!?」
フランドールの小さな呟きを聞き逃さなかったクリーム。しかし、その刹那、クリームの左脇腹に大きく鈍い音と共に"弧"ができた。そして間髪入れずにクリームの体が右手方向へ勢いよく転がされ、壁に激突する。原因はすぐ分かった。
「あの程度では、たしかにフランは死なないわ。でもね、私はあなたを許さない。あの子の心につけ込んで……いつから人格が入れ替わっていたのかは知らないけど、私の怒りに火をつけるには……今ので充分よ……ッ」
「この……ガキガッ……」
レミリアの蹴りである。吸血鬼の身体能力、その全力を注ぎ込んだ一撃。そして、この場にいる全員が、レミリアの激昂を肌で感じた。
「……ッ! ……いいだろウ! ……ハイエロファントの前にッ! 貴様モ始末シてくれる!!」
叫んだクリームは自身の体を再び呑み込んだ!それを見たレミリアはパチュリーと咲夜に向かって大声で指示を出した。
「パチェ! もう一度本を巻き上げるのよッ! 咲夜ッ! フランを!!」
「……わかったわ」
「御意に!」
咲夜はフランが飛ばされた方へ走り、パチュリーは魔法を唱え、羽ばたく本の群れをレミリアの周りを旋回させる。
「さあ……来なさい」
(彼女、かなり
ハイエロファントはレミリアの激昂を良く思ってはいなかった。何なら、危機を感じている。しかし、「止まれ」と言って止まらないことは目に見えている上、自身の力の全てを使おうともレミリアを抑えるのは無理だと分かり、ハイエロファントはその場を退く。
巻き上げられた本の嵐、その中にたたずむレミリアは目を閉じ、集中する。今のクリームは、自身に対して明確な殺気をもっている。いくら透明でも殺気は消せない。怒り狂っているのなら、尚更である。しかもそれが両者ときたものだから、ハイエロファントは巻き込まれまいと一時的に身を引かざるを得なかった。
(フラン……あなたの思い通りにならないかもしれない……その時は、また謝るわ……)
身の周りを舞いに舞う無数の本。クリームの攻撃を予知するための対策だが、未だに攻撃は行われない。外から見るハイエロファントとパチュリーは怪訝に思う。レミリアの方にもアクションは見られない。
一方、咲夜は床に倒れているフランドールを介抱していた。
「妹様、大丈夫ですか? 今、お嬢様がクリームの相手を……」
咲夜がフランドールに声を掛け、応急処置として、
「咲……夜……クリームは……削り取るだけじゃあ……ないの……彼は……物の隙間にも入り込めるの……!」
「え……?」
巻き上げられた本……その1冊の中、ページとページの間から不気味な顔がレミリアを背後から覗いていた。目を瞑り、完全に隙だらけ。クリームは両腕を出し、レミリアに襲い掛かった!
「そこだァッ!!」
ド メ シャ ァ ! !
レミリアのフルパワーが込められた裏拳がクリームの顔面にヒットし、爆音を立てる。メキメキとクリームの顔は痛みに歪んでいくが、しかし、
「グ……ガァッ……!……だが……ッ
「!?」
たしかにクリームにダメージが入ったが、拳の下部をクリームに咥えられていた。クリームの口内に入った部分は、崩れるようにして徐々に、ボロボロとなって消滅していく。
「なッ……アアァァアァアーーーー!!?」
クリームは本から体を出し、レミリアの右腕をガッシリと掴んで、右肩目掛けて彼女の腕を口の中へと詰め込んでいく。いや、その表現は適切ではない。シュレッダーのように、入れた途端に消えていく!
クリームの口が右半身に到達した時、いつの間にか消えていた本の群れの代わりに、青い光弾と、緑色の結晶体が束になってクリームの脇腹に衝突する。その勢いに負け、レミリアの体から口を外し、クリームの体は吹っ飛ばされる。そして解放されたレミリアの体は、力無く、床に倒れ伏せた。
「!! レミィ!」
パチュリーが叫び、レミリアに近づこうとするが、高速で戻ってきたクリームがそれを殴り飛ばす。
バ キ ィ !
「パチュリーさん!」
ハイエロファントは宙を飛ぶパチュリーの体を、紐状に解いた体を結び、ネットにしてキャッチする。ハイエロファントは脱力する彼女の首に手を当てると、脈はあるままであった。
「良かった……命に別状はないな……」
「ウ……グ……ッ……オアァァァアアァッ!!」
叫んだのは、殴られ、気絶したパチュリーではなくクリームである。頭を押さえ、膝をつき、何度もガンガンと壁や床に叩きつける。激しい
「! まずいッ。エメラルドスプラッ……!」
ハイエロファントはエメラルドスプラッシュのための態勢を作ろうとしたが、すぐその手を下げることとなる。クリームのいる更に後方から、フランドールが飛行してきたのだ。そして、クリームの拳がレミリアの頭を砕く前に、彼女を掴むと、床に転がり落ちた。
「小娘……ッ!」
「ハーッ……ハーッ……お姉様……クリーム! 目を覚まして! ヴァニラ・アイスだなんてやつに負けちゃあ嫌よ!」
フランドールは叫ぶが、その思いを踏みにじるかのように、クリームは自身の体を呑み込む。そして、出来上がった暗黒空間は2人目掛けて突進した!
「フランドールッ!!」
ついに捉えられた……!
そう思ったが、2人はいつの間にか、元いた場所とは左右反対の側に移動していた。咲夜だ。時を止め、その内に2人を連れて避けていた。
「咲夜さん……! 良かった……」
「妹様……大丈夫です……か?」
「ええ……大丈夫よ。でも、お姉様が……」
ゴオオオオオォォォォ!!!
フランドールが言いかけたとき、再び轟音と共にクリームが迫ってきた。
「ま、まずいッ!! 時を止められるまで、後数秒要るのにッ!」
「咲夜ッ! 私たちをハイエロファントの方に投げて!!」
「……え……ええ!!」
クリームの攻撃が当たる直前で、咲夜は2人をハイエロファントの方へ投げ、彼女はクリームが迫ってくる側から見た右側へと転がり避けた。
しかし、咄嗟のことのため、焦って飛距離が足りない。これでは、ハイエロファントの元へ着く前にクリームに直撃してしまう。
「う うおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!」
ハイエロファントは2人を捕まえるため、必死で触手を伸ばした!
が……現実は非常である。
ガ オ ン !
「あ ああぁあ……!」
「そんな……レミリア嬢……フランドール……」
削り取られた。レミリアから匂っていた鼻を突くような鉄の臭いは、元からどこからも流れてきていなかったように消えている。いくら再生力が高い吸血鬼だろうと、髪の毛一本も遺さずに消滅してしまえば、何もできずに死亡判定である。クリームは、2人の居たところを念入りに、舐め回すようにして旋回しながら削り取ると、咲夜とハイエロファントの間に降り立った。
「邪魔者は……始末シた。後は貴様らだ……花京院典明、貴様を始末スレば、DIO様もさぞお喜ビになるダろう。」
ハイエロファントを花京院と呼ぶクリームの腕は、ゆっくりとハイエロファントに迫る。咲夜は2人の死の悲しみで動きそうにない……
何もできない。この距離では。
そう思った瞬間、クリームの足下から、勢いよく火柱が出現した!
「グォオォオオオアア!!?」
「な……何だ……?」
クリームを絡めとり、まる焦げにした炎は、上部が円、下部が十字というあまり見かけない形をしている。これは、いわゆる"アンク"と呼ばれる、生命を意味するもの。ハイエロファントは
彼はそれを目にした後、何気なく、図書館の上階に目をやると、真っ赤に燃える炎の塊が手すりに乗っかっていた。しかし、一切燃え広がることなく、枝にとまる小鳥の如く、静かに止まっている。その側には、炎に抱えられるようにしてぐったりしている、レミリアとフランドールがいた。
「レ……レミリア嬢ッ!」
「え……ッ!?」
ハイエロファントの叫びに応え、咲夜も上階へ目を移す。怪我をしているものの、しっかりと存在している我が主の姿を視界に入れると、自然と安堵の涙が頬を濡らした。
「お二方……良かった……ッ!!」
口に手をやり、更に泣き崩れる。しかし、ハイエロファントには、もう1つ、気になるものがあった。その炎である。
「その炎……もしかして……あなたは……ッ!」
そう言った直後、燃え盛る炎が弾けるようにして、火の粉を舞わせながら晴れた。その中には、赤い肌をした屈強な男……のような上半身と、獣や鳥を思わせるような赤い毛で全体を覆われた下半身をした、
「あなたは……DIOの館で死んだアヴドゥルの!
「YES I AM!」
新たに現れたスタンド、マジシャンズレッド!
未だ猛威を振るうクリームにどう対抗するのか?
クリームはどうなるのか?
お楽しみに!
to be continued⇒
あくまで参考までに、ということで。
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東方をよく知っている
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ジョジョをよく知っている
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東方もジョジョもよく知っている
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どちらもよく知らない